著者
高木 秀雄 鈴木 宏芳 高橋 雅紀 濱本 拓志 林 広樹
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.112, no.1, pp.53-64, 2006 (Released:2006-05-01)
参考文献数
49
被引用文献数
7 3

埼玉県岩槻市で1971年に防災科学技術センターによって掘削されたボーリングコアの最深部(3,505.0~3,510.5 m)およびその上部(2,943~3,327 m)の基盤岩類について,岩石記載と鉱物のEPMA分析ならびに放射年代測定を実施した.その結果,最深部基盤岩類は主にざくろ石トーナル岩質および緑簾石角閃岩質マイロナイトから構成され,そのざくろ石,角閃石,斜長石の化学組成と角閃石年代(70~83 Ma)から,領家帯に属するものと結論された.また,その上部は石英斑岩からなり,その黒雲母年代(17.7 Ma)から西南日本中央構造線に沿った瀬戸内火山岩類よりも古い値をとることが明らかになった.最深部の再結晶石英粒径に基づくマイロナイト化の程度区分と,基盤岩類全体のカタクレーサイト化から,関東平野の中央構造線は岩槻コアの基盤岩の深度位置から南側500 m以内にあることが推定された.
著者
高木 浩 有田 重明 マテオ ルン・ジー
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.152-158, 1987-04-05

オオムギ地上部からのメタノール抽出物の塩基性画分について, TLC(n-ブタノール:酢酸:水=4 :1 : 2)を行うと, いくつかのエールリッヒ試薬に反応するスポットが検出された. 亜鉛欠除区から得られたスポット1は標準トリプタミンと同じRf値を示した. TLCにより精製されたスポット1は, 紫外部吸収スペクトル法, 電気泳動法, GC-MSによりトリプタミンの定量は, ガスクロマトグラムのピーク面積から算出する方法で行った. 亜鉛欠乏の症状が進んだオオムギの地上部には, 大量のトリプタミンが存在した. (11.3μg/新鮮重g). 対照区では0.8μg/新鮮重gであった. 明らかな欠乏症状が認められた窒素, リン, カリウム欠除区のトリプタミン含量は, それぞれ, 2.1, 2.8, 1.7で, 対照区に比較して高い値が得られた. カルシウム, マグネシウム, 鉄欠除区では, それぞれ, 0.5, 0.6, 0.5で対照区よりも低い値であった. イオウ欠除区のトリプタミン含量は, 5.7と各種要素欠除区のうちでは, 亜鉛欠除区についで高い値を示した. なお, NK_4-N区のトリプタミン含量も4.5と高い値であった. (単位はそれぞれμg/新鮮重g).
著者
高木 史人 矢野 敬一 立石 展大 蔦尾 和宏 伊藤 利明 生野 金三 浮田 真弓
出版者
関西福祉科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成29年度は当該研究の2年目として、平成28年度に行ったシンポジウムの成果を活かして、さらなる研究の深化を期した。具体的には国語科の文部科学省検定済教科用図書及びその教師用指導書に徴して、「伝統文化」教材の扱われ方と指導書における指導法への言及の分析を進めた。なお、平成29年告示の『小学校学習指導要領』では、従来の学習指導要領における国語科の「3領域及び1事項」という区分が見直された。従来の1事項が〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕であったものが、今次の学習指導要領では大きく〔知識及び技能〕〔思考力、判断力、表現力等〕〔学びに向かう力、人間性等〕の3本の柱が立てられ、その中の〔知識及び技能〕が「(1)言葉の特徴や使い方に関する事項」「(2)情報の扱い方に関する事項」「(3)我が国の言語文化に関する事項」に分かたれ、その(3)が従来の〔伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項〕の前半「伝統的な言語文化」部分に相当するものと見られる。この間の学習指導要領の推移、変化の分析に多くの努力を行った。これらは生野金三・香田健児・湯川雅紀・高木史人編『幼稚園・小学校教育の理論と指導法』(平成30年2月、鼎書房刊、206ページ)にまとめられた。また、高木は「社会的・共=競演的でひろい悟り」へのアプローチ―小学校教育史、国語科教育史との係わりから―」(『口承文芸研究』第41号、平成30年3月、日本口承文芸学会刊)において平成29年12月に行った科研費メンバーによるシンポジウムの概略を紹介しつつ、現行の伝統文化教育の根拠となっている平成18年改教育基本法第2条第5項の淵源が、昭和16年3月改正の小学校令第1条第3項にあることに触れて、日本の長い教育史の中ではこれは伝統的でなったことと結論づけた。伝統という語じたいが昭和初期の流行りであった。
著者
加藤 眞義 舩橋 晴俊 正村 俊之 田中 重好 山下 祐介 矢澤 修次郎 原口 弥生 中澤 秀雄 奥野 卓司 荻野 昌弘 小松 丈晃 松本 三和夫 内田 龍史 浅川 達人 高木 竜輔 阿部 晃士 髙橋 準 後藤 範章 山本 薫子 大門 信也 平井 太郎 岩井 紀子 金菱 清
出版者
福島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、東日本大震災のもたらす広範かつ複合的な被害の実態を明らかにし、そこからの復興の道筋をさぐるための総合的な社会学的研究をおこなうための、プラットフォームを構築することである。そのために、(1)理論班、(2)避難住民班、(3)復興班、(4)防災班、(5)エネルギー班、(6)データベース班を設け、「震災問題情報連絡会」および年次報告書『災後の社会学』等による情報交換を行った。
著者
小久保 秀之 高木 治 小山 悟史 山本 幹男
出版者
国際生命情報科学会
雑誌
Journal of International Society of Life Information Science (ISSN:13419226)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.236-249, 2010-09-01

白いぼキュウリ(Cucumis sativus'white spin type')を生体センサとして使うガス測定法にて、ヒーリング中のヒーラーの周囲に広がるヒーリングパワーのポテンシャルの空間分布(X-Y平面)の測定を試みた。ヒーラーは特異能力者として知られるW003(女,41歳)。ヒーラーは座位にて、高さ67cmの机上に設置されたキュウリ切片(実験試料2皿)に対し、30分間、キュウリの香が強くなるよう非接触で手かざしヒーリングした。さらにヒーラーの周囲のポテンシャル分布を測定するために、ヒーラーの前後左右に50cm間隔で4点ずつ、斜め方向約2.5mの4か所にキュウリ切片を設置した(計20点。いずれも床面から70cm)。ヒーリング試行は15分の休憩をはさんで2回実施した。ヒーリング中、対照試料となるキュウリ切片は別室に保管した(ヒーラーから対照試料までの直線距離は12m)。24時間後、各試料のガス濃度を酢酸エチル検知管141L(ガステック社)で測定し、各点のJ値(実験試料と対照試料のガス濃度の比の自然対数)を求めた。結果、ヒーリング中のヒーラーの周囲にはクーロンポテンシャルとは異なる特異な形のポテンシャルが形成されていること、ヒーラーの体の前後方向と左右方向とで異方性があることが示唆された。
著者
高木 秀和
出版者
人文地理学会
雑誌
人文地理学会大会 研究発表要旨 2008年 人文地理学会大会
巻号頁・発行日
pp.201, 2008 (Released:2008-12-25)

1 目的と方法 本論は、三重県先志摩半島に位置する志摩町(現・志摩市志摩町)のなかから片田についで「漁法の多様性」がみられる御座において、漁村の村落構造と漁法との関係をフィールドワークにより示し、村落構造の規定要因を明らかにすることを目的とする。 2 地域概況 三重県志摩市志摩町は先志摩半島と呼ばれる半島の大半を占め、全体が隆起と沈降を繰り返した海蝕台地の上に乗っている。そのため、台地面および海底地形は複雑であり、熊野灘側の磯漁場、英虞湾側のリアス式海岸のような好漁場をうみだした。 このような基本的な自然条件にある志摩町域の西端に位置する御座は、英虞湾口にあるために海水循環がよく、イワシ類がよく入ってくる。そのために、カツオ漁に欠かせないイワシを狙う小型定置網(御座では「大敷」と称する。以下、大敷とする)による水揚量が他地区に比して多く、真珠養殖漁場も相対的に恵まれている。また、御座岬周辺には岩礁が発達し、磯漁に好影響を与えている。 御座の人口・世帯数は2007年9月末の時点で、人口664人、うち65歳以上208人、世帯数265を数えるが、1955年時点と比較すると世帯数は約20、人口は560人以上減少した。2001年時点の正組合員数は117人であり、漁業従事者も減少している。 御座の基本的な社会集団をみてみると、地区内を6つに分けた番組があり、それぞれが定期的に寄合を持っている。後述するが、漁協とムラとのつながりや関係性は強く(以下、ムラ=漁協と記述する)、志摩漁村のなかでは地縁的まとまりが比較的強いといえる。そのほか、特権的な集団として氏神の御座神社の世話役である祷屋(大祷)があった。これは30軒前後の家でその役を順番に回して務めていたが、1988年を最後に廃絶した。 3 御座における漁村の村落構造と漁法との関係 御座では小型定置(大敷)、あま、えび刺網、ツボアミ、一本釣などの漁法がみられ、そのほか真珠養殖もおこなわれている。このように御座でも「漁法の多様性」がみられるといえる。どの単位で漁を行うかをみてみると、大敷以外は血縁や地縁や個人のレベルで漁業に従事しており、規模も家族レベルで営まれる漁法が多いので大きくはない。なお四艘張は戦後廃絶した。 ところで、ムラ=漁協の収入源となっているのが大敷の漁場料(餌鰯沖売歩合金)と口銀(手数料)である。大敷は網元経営によるが、かつてはムラ人の就労先となったり現在でもムラ=漁協に対して多額のカネを納めているという点では地縁的な漁法であり、ムラ=漁協に自由を奪われた網元といえる。また、昭和30年代後半まで「村営」とよばれた「御座村鰯大敷網組合」があり、各種団体(婦人会や青年団など)に運営資金が支給され、なおかつムラ人たちには盆前に漁獲物が支給されたという。村営廃止後は、各種団体に運営資金を支給する習慣が漁協に受け継がれ、毎年漁協から100万円(うち50万円は御座神社の祈祷料)が捻出された。しかし、1970年ころ町から注意を受けて両者ともに廃止された。さらに、各番組で話し合われた要望事項を漁協の総会や理事会に提出して議論をおこなうことから、旧御座村が志摩町に合併(1954年)後も漁協はムラの行政的な役割の一部も担っていたといえる。なお、かつては何軒かの網元があったが、現在では御座に網元が在住するY大敷(3統)と浜島に在住するY氏(1統)が従事しており、後者は浜島に漁獲物を水揚げする。 その他、磯魚を対象とする漁法に関しては片田ほど磯漁場の環境には恵まれておらず、聞き取り調査から刺網とツボアミなどいくつかの漁法を組み合わせて生計を立てる零細漁民の姿がうかがえる。なお、真珠養殖が普及すると雇われの従業員も含めて養殖業に転業するものも多かったためにこの「漁法の多様性」は見えにくくなったが、それが衰退している今日においては再び「漁法の多様性」を明瞭にしている。 4 御座における漁村の村落構造の規定要因 御座では多数の一般漁民たちは少数の網元のもとで水夫として大敷に従事したが、網元より納められる多額のカネによりムラ=漁協の財政は潤い、各種団体の活動資金も配分されていたことなどからその存在は肯定されていたといえる。このように御座の大敷は網元経営でありながらもムラに密着した地縁的漁法であり、その構成員たちも比較的横並び的な関係にあった。しかし、真珠養殖の成功や観光地化(民宿業)により一時的に財をなすものもいたが、今日では両者ともに規模を縮小させたり廃業に追い込まれているケースが多く、再び磯漁を中心とした「漁法の多様性」が浮かび上がってきたといえる。
著者
大平 日実子 田中 郁子 山中 悠紀 戸津 喜典 高木 奈美 八重柏 真理 石垣 道子 菅原 好孝
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.308-312, 2013

長期人工呼吸器管理中の1症例に対して,身体や精神の状態の把握を目的としてKOMI記録システムによる評価を実施した.その結果,医療従事者によって必要以上に制限されたADLの実態が明らかとなり,ケア内容を変更することで一部のADLに改善を認めた.
著者
加藤 史訓 野口 賢二 諏訪 義雄 木村 晃 河合 雅史 高木 利光 小俣 雅志
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1396-I_1400, 2012 (Released:2012-11-15)
参考文献数
4
被引用文献数
7 12

Field survey on coastal dike damage and scouring induced by the Great East Japan Earthquake Tsunami was conducted in the Southern Part of Sendai Plain. Erosion rate of dike cross section was estimated by using topographical data obtained by airborne laser scanner. The erosion rate tends to increase with relative height of coastal dike from the landside ground. Tsunami overtopping caused scouring at the landward toe of coastal dike, being a trigger of dike failure. Cross-sectional shape of the ground induced by scouring and thickness of tsunami deposit was estimated by portable dynamic cone penetration test and trench survey.
著者
谷口 忠大 高木 圭太 榊原 一紀 西川 郁子
出版者
Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics
雑誌
知能と情報 : 日本知能情報ファジィ学会誌 : journal of Japan Society for Fuzzy Theory and Intelligent Informatics (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.1078-1091, 2009-12-15
被引用文献数
2 9

近年,CO<SUB>2</SUB>排出量の抑制や,化石燃料の将来的な枯渇を背景に再生可能エネルギーの利用が注目されている.しかし,既存の中央集権的な電力ネットワークは系統末端での非定常発電を前提とする再生可能エネルギーとは必ずしも相性がよくないと言われる.このため,マイクログリッドを始め分散型の電力ネットワークが研究されている.本研究ではその一つである自律分散型の電力ネットワークであるECOネットを取り上げ,ECOネット内の発電消費の末端ノードであるミニマル・クラスター間での電力売買を通じた電力融通の自動化の為の機構について検討する.電力売買の自動化の為には,各ミニマル・クラスターにおける電力ロスの発電・消費における諸条件に基づき電力売買の方策を最適化する事が望まれる.本稿では,電力売買を行うエージェントの学習に強化学習を用いる事で電力ロスを低減し,収益を最大化させるような適応的取引エージェントの構築を目指す.ただし,そのような系ではマルチエージェント強化学習の系となるために,不完全知覚問題や同時学習問題が発生することが指摘されている.本稿ではそれらの問題に強いとされる方策勾配法,特にその一種である Natural Actor-Critic を用いて適応的取引エージェントを構築する.また,提案手法の有効性を示すために,6個のミニマル・クラスターにより構成されるローカルクラスターを対象にシミュレーション実験を行った.シミュレーション実験では,Natural Actor-Criticによりエージェントが適切な取引を学習する事が出来る事が示されたのと同時に,マルチエージェント強化学習環境下においても少なくとも一体固定的な取引を行うエージェントの居る条件下では良好な学習結果を生むことが示された.
著者
佐藤 悌介 高木 直温
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密機械 (ISSN:03743543)
巻号頁・発行日
vol.35, no.409, pp.74-80, 1969-02-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
10
被引用文献数
1

Recently, high energy rate forging has been developed.In a high speed stamp forging, the indentation velocity reaches to the range of several decades or 100m/s.High speed indentation involves numerous interesting problems from the view points of plasticity, metal physics and metallurgy. The high speed indentation for mild steel test piece has been investigated using cylindroconical punches with several cone angles.High speed was obtained by firing the gun powder.This paper deals with the comparisons on the velocity, resistance and microstructure in both cases of dynamic and static indentations. The results obtained are as follows.1) High speed indentation gets deeper depth than that of static one.2) The zone of the microstructure deformed by the high speed indentation is smaller than obtained in the static case.3) Mechanical twins are observed in the case of high speed indentation.4) The coefficient of friction in the high speed indentation seems to be smaller than that of static one.