著者
高橋 裕一 川島 茂人
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1217-1221, 1999
被引用文献数
12

スギ花粉の総飛散数を予測する方法として,前年と前々年との夏期気温の差を用いた予測法を検討した.全国9地点におけるスギ花粉の実測総飛散数と予測総飛散数との相関はいずれの地点においてもr=0.84を越えた.7月の平均気温との相関が高い地点が多かったが,中には8月の最高気温,8月の平均気温あるいは7月の最高気温との相関が高い地点もあった.検討した135例のうち101例(75%)で実測総飛散数と予測総飛散数との差が1000個/cm^2以下であった.各地点で多く飛散した方から3年間について予測誤差を調べたところ,その誤差は40%以下で,その平均は17.5%であった.従来行われてきた前年の気象からの予測では過大評価になった大飛散年の翌年の予測が正確にできた.以上からこの総飛散数の予測方法は実用化できると考えられる.
著者
高橋 裕子
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.95-103, 2005-01-31

アスペルガー障害(Asperger's disorder: ASP)とは、DSM-IVにおいては高機能広汎性発達障害(high-function pervasive developmental disorder; HFPDD)の下位障害に分類されており、1944年にアスペルガーが報告した自閉症の中でも比較的言語発達が良好なタイプを指す。この障害の特徴として「社会的相互作用の質的障害」があるが、高い能力を有しながらも社会適応が困難である点、本人も周囲もこの質的障害を正しく認知し、適切な対応や支援を求めることが難しい点は、社会的な次元の問題であると同時に、障害の個人差を見極めにくいことが関与している。 本稿では、成人後にアスペルガー障害であると診断された女性のロールシャッハ反応に現れる特徴を形式構造解析の観点から検討し、援助の手がかりとした事例を報告する。
著者
小山内 康人 高橋 裕平 田結庄 良昭 土屋 範芳 林 保 蛭田 真一
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.445-481, 1990-11

第31次南極地域観測隊(JARE-31)夏隊のセールロンダーネ山地地学・生物調査は, 山地全域においてヘリコプターを用いて実施された。ヘリコプター偵察飛行及び調査慣熟のための陸路調査が1989年12月25日から29日にかけて実施されたのに引き続き, 本調査が1990年1月5日から30日まで行われた。そのほかにあすか観測拠点付近の小山塊における調査・観測が1月1日と1月31日に実施された。調査・観測は38日間におよんだ。今回の行動形態は, 内陸山地でヘリコプターを導入した日本南極地域観測隊としては初めての例であるので, 計画作成から実施経過までを通信, 装備, 食料などの設営面を含めて詳しく報告する。調査結果については現在, 整理・研究中であり, 今後個別に発表されるので, ここでは概要を述べるにとどめる。

1 0 0 0 はじめに

著者
高橋 裕子
出版者
学習院大学
雑誌
学習院大学史料館紀要 (ISSN:02890860)
巻号頁・発行日
vol.19, 2013-03
著者
山本 元久 小原 美琴子 鈴木 知佐子 岡 俊州 苗代 康可 山本 博幸 高橋 裕樹 篠村 恭久 今井 浩三
出版者
The Japan Society for Clinical Immunology
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 = Japanese journal of clinical immunology (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.349-356, 2005-10-31
参考文献数
44
被引用文献数
9 14

症例は,73歳女性.1998年頃より口渇,両側上眼瞼腫脹が出現,2003年10月には両側顎下部腫脹を認めた.同時期に近医で糖尿病と診断され,経口血糖降下薬の投与が開始された.2004年夏頃より上眼瞼腫脹が増強したため,当科受診,精査加療目的にて10月に入院となった.頭部CT・MRIでは,両側涙腺・顎下腺腫脹を認めた.血清学的に高γグロブリン血症を認めたが,抗核抗体・抗SS-A抗体は陰性であり,乾燥性角結膜炎も認めなかった.さらなる精査で,高IgG4血症及び小唾液腺生検にて著明なIgG4陽性形質細胞浸潤を認めたため,Mikulicz病と診断した.腹部CTではびまん性膵腫大を認め,ERCPで総胆管・主膵管に狭窄を認めた.自己免疫性膵炎の合併と診断し,プレドニゾロン40 mg/日より治療を開始した.その結果,涙腺・顎下腺腫脹は消失,唾液分泌能も回復した.また膵腫大,総胆管・膵管狭窄も改善した.耐糖能障害も回復傾向にある.Mikulicz病と自己免疫性膵炎は共に高IgG4血症を呈し,組織中にIgG4陽性形質細胞浸潤を認めることから,両疾患の関連を考える上で非常に興味深い症例であると思われた.<br>
著者
高橋 裕 畠中 克弘
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンストラクション (ISSN:09153470)
巻号頁・発行日
no.482, pp.58-60, 2009-10-23

このままでは日本は災害大国になる──。最近のゲリラ豪雨は大河川の洪水の前触れだと、河川工学の大御所が警鐘を鳴らす。ダムの建設や川幅の拡幅といった従来の方法には限界があり、洪水をあふれさせる治水を進めるべきだと説く。資源協会「水資源・水災害危機に関する調査研究」委員会委員長として私見を交えて、今後の水災害対策の在り方を語ってもらった。
著者
島谷 弘幸 松原 茂 神庭 信幸 高橋 裕次 富田 淳 和田 浩 恵美 千鶴子 赤尾 栄慶 丸山 猶計 太田 彩 鍋島 稲子
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題では日本、中国、韓国に残る装飾料紙を使用した書の作品について、その書の特徴の詳細を調査・データ化するとともに、料紙の科学的分析を行なうことを目的として、まずは国内外の関連作品のデータ収集を行ない、そのうち約200件の調査を実施した。それらの調査結果はデジタルデータで蓄積し、東京国立博物館での陳列に活用しながら、研究成果報告書を作成し公開している。
著者
高橋 裕一 伊藤 健 最上 久美子
出版者
山形県衛生研究所
雑誌
山形県衛生研究所報 (ISSN:05134706)
巻号頁・発行日
no.36, pp.21-27, 2003
被引用文献数
1

花粉情報システムが開発され今年(2003年)の春から運用に入った.予報は4段階のランクに分けた場合,実測値と予測値のランクが"完全に一致"した割合は三川,新庄,山形,米沢で各々49%,46%,58%,53%,"1ランクはずれ"が各々33%,27%,33%,33%,"2ランク以上はずれ"が各々18%,27%,9%,14%で,9~27%が"大きくはずれた"ことになる.飛散状況ではダーラム捕集器による飛散開始日はいずれの地点も昨年より遅かった.総飛散数は県北部(三川町,新庄市)が2002年に比べて各々4.6,2.3倍と多かった.花粉モニター法とダーラム捕集器の結果は2002年より良く一致した.花粉モニターによる総飛散数は,2003年が2002年より少なくダーラム捕集器の結果とは異なった.それは2003年は空中に浮遊する粒子数が少なく,花粉モニターはスギ花粉以外の粒子をあまり計測しなかったためと考えられた.春に飛散する花粉の最大ピーク日をみると,14種のうち11種で2003年よりも2002年が早かった.総飛散数は14種のうち10種で2003年が多く飛散した.秋に飛散する花粉の飛散時期は昨年(2001年)とほぼ同時期であった.
著者
丸山 士郎 島谷 弘幸 高橋 裕次 白井 克也 鬼頭 智美 木下 史青 伊藤 嘉章
出版者
独立行政法人国立文化財機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

東京国立博物館は日本で最も古い博物館であり、1950年に文化財保護法が施行されるまでは、文化財行政の中心的な役割を果たしてきた。東京国立博物館が保管する歴史的な文書は、日本の博物館の歴史を知る上で欠くことのできない資料であるとともに、戦前までの文化財行政を知る上でも重要な資料である。この研究では、それらの資料を分析し、東京国立博物館が果たしてきた歴史的役割について解明した。
著者
金 大祐 高橋 裕樹 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MI, 医用画像 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.57, pp.65-70, 2002-05-10

本報告では,デジタルカメラで撮影した画像中のハングル文字領域の抽出,認識を行う手法について検討を行う.ハングル文字の構造特徴を利用し,輪郭特徴と色特徴から段階的にハングルを構成する字素を抽出することによって,情景画像からハングル文字列を抽出する手法を提案する.輪郭画像からは,ハングルの字素の構造の単純さを利用して,テクスチャやノイズを多く含む領域を削除し,字素としての形状の簡単な条件を用いて字素輪郭候補の抽出を行う.次に,字素輪郭候補に対する外接矩形を探索領域とする局所的な画像情報を用いて,字素を構成する領域である字素領域候補の抽出を行った後,文字列が同一の色から構成されているという特徴を用いて,色空間でのクラスタリングとハングルの字素の配置パターンによって文字列領域の抽出を行う.さらに,ハングルの字素の構造特徴を用いて,対象パターンの端点,交点の数と位置から字素を認識する手法を提案する.任意の条件で撮影した画像100枚に対して,ハングル文字列を抽出した結果,85.97%の文字抽出率が得られた.また,ハングルを構成する字素が連結していない理想的なハングルを対象に.字素認識を行った結果,71.96%の認識率が得られた.
著者
加藤 雅人 川野邊 渉 高橋 裕次 稲葉 政満 半田 正博
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

紙文化財の修理技術は、工程、手法、道具、材料が様々であり、同じ作業や材料、道具でさえ用語が異なっていることがある。本研究では、これらの用語を調査して分類することにより、紙文化財およびその修復技術という無形文化財に対する共通理解を深めることを目的として行った。最初に調査票の作製を行い、その後情報収集を行った。データベースの検討を行い、htmlの試作を行った。また蓄積した情報を修復用紙の選択に応用した。
著者
小澤 真一郎 岡室 彰 高橋 裕一郎
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.397-407, 2009-03-31

可溶性および膜タンパク質の精製においてカラムクロマトグラフィーは最も有効な手法の一つである.本章では,一般的によく使われるカラムクロマトグラフィーの方法について紹介する.
著者
津田 彰 森田 喜一郎 高橋 裕子 磯 博行 矢島 潤平 辻丸 秀策 津田 茂子 福山 祐夫 稲谷 ふみ枝 森田 徹 岡村 尚昌子
出版者
久留米大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,多理論統合モデル(TTM)をストレスマネジメント行動(1日20分以上健康的な活動を行う)の変容に適用して,大学生集団を対象とする介入を行うことを目的とした。TTMをストレスマネジメント行動に適用するために,まず日本語版TTM尺度を開発した。次いで,ワークブックとエキスパート・システム(アセスメントに応じてストレスマネジメント行動を獲得維持するためのアドバイスを与える)を開発して,その効果をランダム化比較試験により比較検討したところ,個別最適化アプローチによりストレスの自覚が緩和し,ストレスマネジメント行動の実行者の割合が増加することが示された。
著者
河井 良浩 石山 豊 植芝 俊夫 高橋 裕信 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.291-292, 1994-03-07

これまでのビジョンシステムは受動的で、与えられた環境のみを観測・認識していたが、ロボットの眼として考えた場合、システムが能動的・計画的に注視点を変えたり、ズームアップすることの必要性と有効性が認識され始めている。例えば、複雑な形状をもつ物体を扱う場合、全体像だけでは得られない細かな部分の情報は、その部分をズームアップして得る必要がある。またハンドアイロボットでは、視覚によって操作する物体の位置・姿勢の認識、ハンド操作のビジュアルフィードバックと操作ミスの発見が重要な課題となるが、ハンドの作業内容によって注視点を計画的に変えなければならない。そこで、3次元情報を能動的に測定できるステレオカメラシステム-パタパタ-を開発した(図1)。本システムには、3台のテレビカメラに電動ズームレンズが取り付けられ、ズーム, フォーカス, アイリスの制御がコンピュータで制御可能となっている。各カメラはそれを支持する雲台にのり、輻輳制御が可能である。またこれら3台の雲台を支える支持台は別の雲台の上に掲載され、首振り(パン、チルト)制御が可能となっている。これらもコンピュータ制御される。この機能により、対象の形状、位置、移動に応じた柔軟性のあるステレオビジョンが可能となっている。基本的には2台のカメラで行なうが、3眼ステレオに対応できるように、3台をカメラ有している。[figure]
著者
竹内 宏治 井熊 武志 高橋 裕司 匂坂 慶子 高澤 俊英
出版者
帯広畜産大学
雑誌
帯広畜産大学学術研究報告 自然科学 (ISSN:09193359)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.103-107, 2001-06
被引用文献数
1

フェノール-硫酸法(80%(w/w)フェノール試薬使用)は、ペーパークロマトグラフィーによって分離された少量の糖類を定量するためにDubois等[Dubois,M.,Gilles,K.A.,Hamilton,J.K.,Rebers,P.A.,and Smith,F. 1956. Anal. Chem. 28:350-356]によって開発されたが、最近は5%(w/v)フェノール試薬を使用する改良法[Hodge,J.E. and Hofreiter,B.T.1962. Methods in Carbohydrate Chemistry vol.1,pp.380-394]が広く用いられている。我々は、カラムクロマトグラフィーによって分離されたごく少量の糖類を定量するためにHodge and Hofreiter (1962)の方法を高感度定量法に改良した。Hodge and Hofreiter法と比較すると、我々の高感度定量法は、再現性はほぼ同程度であるが、約10倍感度が良くなり、マイクログラムレベルの糖を定量でき、非常に優れた方法である。更に、フェノール-硫酸法において、濃硫酸の添加は注意深く行わなければならず、そして又時間を要する操作であるが、我々の改良法では、硫酸の使用体積を大幅に減少させたために、多数のサンプルを同時に処理でき、硫酸添加後の操作の危険性が減少し、実験操作性が大きく向上した。
著者
高橋 裕一 井上 栄 阪口 雅弘 片桐 進
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1612-1620, 1990
被引用文献数
7

我々は, Schumacherらにより開発されたfluorescence immunoblotting法を, 二次抗体に酸素標識抗体を用いることで肉眼または10×ルーペで花粉アレルゲンを判別できる方法に改良した.すなわち, Burkard捕集器の透明なテープ上に捕集した大気中の花粉アレルゲンをニトロセルロース膜に転写し, アレルゲンを抗Cry j Iウサギ血清または抗Lol p Iウサギ血清と反応させ, 次いでアルカリホスファターゼ標識F(ab')_2抗ウサギIgGで処理した.最後に, BCIP/NBT基質を加えることで青紫色のスポットを得た.この方法は, 従来用いられている形態観察による計数法のような熟練を必要としない.また, 共通抗原性を有する花粉全体を計数し得るため, ある花粉症患者の感作花粉アレルゲンの空中量を把握するにはすぐれた方法と考えられる.ただし, スギ花粉のように大量に飛散する花粉では, 試料捕集面積の0.16cm^2当たりに400個以上の花粉がみられた場合には, 花粉数が多く重なってしまい, スポット数として求めることができなかった.この場合には, 染色領域を1花粉の染色領域で除して算出する方式を試みた.しかし, 花粉症患者の原因物質量の把握という意味ではスポット数として計数するよりは, むしろデンシトメータを用い比色定量しアレルゲン濃度として表示する方式のほうが良いと思われる.
著者
但野 茂 橋本 伸也 高橋 裕人 吉成 哲 吉成 智
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

車椅子の試作:従来の2輪駆動電動車椅子をベースに構造的、機構的検討のため、四輪駆動電動車椅子を試作した.そして雪路走行実験を行い、四輪駆動の優位性を確認した.また、室内では四輪駆動は不用のため、二輪駆動車椅子で使用できる収納型キャスター輪を考案した.これらの成果を新聞報道した.乗り心地性の客観指標の開発:市販電動車椅子および本開発の四輪駆動電動車椅子を使い、雪路、乾燥路走行時の身体負荷特性を計測した.三軸方向加速度、三軸周りの角速度、座圧分布変化量を用いることで、乗り心地性の客観的評価法が可能であることを確認した.通常路面に比べて、雪道走行では乗り心地性が悪くなった。しかし、本開発した四輪駆動車椅子の乗り心地性は、市販の車椅子に比べて、改善された。シーティング機構の開発:身体機能・状態に合わせた四輪駆動電動車椅子のためのシーティング設計法を考案した.座面角度と背もたれ角度を任意に設定可能な実験シートを作成し、それぞれの角度について走行時の座圧分布を測定した。これらのデータにより、雪道走行に最適な角度があることを示し、シーティング設計と重心位置の移動制御方法を検討した.雪路走行実験:あらゆる条件を想定した実験路面を作成した.そして、走行実験を行った.また、実際の雪路を利用した走行実験を繰返し、乗り心地性を評価した.ジョイスティックの機能デザイン:ジョイスティックの操作制御に学習効果を持たせ、使っているうちに、利用者の感覚と合ってくるものを開発した.試作車の改良と走行実験:試作した車椅子に上記の開発項目を盛り込み、改良を計った.