著者
西園 晃 アハメド カムルディン 齊藤 信夫 山田 健太郎 鈴木 基 グエン キューアン パカマッツ カウプロッド エリザベス ミランダ
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

東南アジアにはイヌ肉を食する文化があり、感染犬とその食肉の取り扱いに伴う狂犬病感染リスクが想定されるが、実態は全く知られていない。3年間の計画で、ベトナム、フィリピンでのイヌ肉取り扱いによる非定型狂犬病曝露の可能性、リスク因子の解析を行った。その結果、これらの国では動物咬傷に依らずイヌ肉を食するまたはその肉を扱うことで、狂犬病ウイルスに感染する非定型的な感染様式が存在することが明らかになった。特にベトナムのイヌ食肉市場従事者の中には、イヌからの咬傷曝露歴や狂犬病ワクチン接種歴がないにもかかわらず狂犬病ウイルスに対する抗体を有し、微量のウイルスの曝露による不顕性感染が成立したと考えられた。
著者
花田 賢太郎 桶本 優子 齊藤 恭子 佐久間 智理
出版者
国立感染症研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

感染症対策に汎用されるVero細胞には複数の亜株が存在する。ゲノム比較解析から、同細胞亜株は二系統に大別できるが、内在性レトロウイルス挿入位置やI型インターフェロン遺伝子クラスターのホモ接合性欠失位置は亜株間で同一であることを明らかにした。黄熱ウイルス17Dレプリコンが持続複製するVero細胞を作製した他、WHOが主導するポリオ根絶計画に寄与すべく、ポリオウイルス増殖能のないVero細胞も作製した。ヒト肝がん由来 HuH-7細胞系統の亜株でC型肝炎ウイルス産生能が高いHuh7.5.1-8細胞についてウイルス学的な有用性を見出し、HuH-7細胞系統におけるRIG-I変異の実態も明らかにした。
著者
西山 慧 齊藤 智
出版者
日本認知心理学会
雑誌
認知心理学研究 (ISSN:13487264)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.21-41, 2022-08-31 (Released:2022-09-23)
参考文献数
130

検索の意図的な制止は,記憶を意図的に思い出さないようにする内的過程を指し,Think/No-Think(TNT)パラダイムによって検討されてきた.本論文ではTNTパラダイムの実験手続きの説明に始まり,TNT研究によって明らかにされた検索の意図的な制止の効果,メカニズム,そして調整要因を網羅的に概観した.また,思考抑制との相違点をもとに,検索の意図的な制止が忘却を引き起こす要因についても論じた.検索の意図的な制止は,対象の記憶の忘却を引き起こすだけでなく,記憶のかかわるさまざまな認知プロセス,さらには感情反応にも影響を及ぼす.その背後にある応答的な制御のメカニズムは運動や感情の制御と共通しており,領域普遍性を有する.検索の意図的な制止の制御メカニズムに関する大きな進展の一方で,忘却のメカニズムについては未解明な部分が多いことも明らかとなった.検索制止を事後効果も含めて包括的に理解することは,制御メカニズムの領域普遍性を踏まえると,運動や感情制御がもたらす効果の解明にも寄与し,ひいては認知的制御の統一的な理解に資するに違いない.
著者
齊藤 智樹 熊野 善介
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.30, no.9, pp.51-56, 2015 (Released:2018-04-07)
参考文献数
19

著者らは,科学教育研究における科学的な研究方法論についての研究の手始めとして,NRC(National Research Council, 2002)が示した科学的原則や研究デザイン(計画)の原則を示し,それがいわゆる自然科学と何ら変わらないことを示した.同様に,混合研究法(Creswell・Plano Clark, 2007)にまつわる哲学から,量的な検討や質的な検討のどちらを採用しているかといった方法論が,研究を科学的なものにしている訳ではないことを指摘し,プラグマティズムの基礎となる可謬主義から,現代的教育課題とその実践的・実証的研究との関連性を述べた.また,アクション・リサーチ(Action Research)とデザイン研究(Design-based Research)の比較から,これらを理論的枠組みと捉え,議論可能な文法を持った方法を構築し,その方法論を議論していくという,これからの科学的な教育研究の方向性について考察した.
著者
林 隆之 齊藤 貴浩 水田 健輔 米澤 彰純 川村 真理 安藤 二香
出版者
政策研究大学院大学科学技術イノベーション政策研究センター (SciREX センター)
雑誌
SciREX ワーキングペーパー = SciREX Working Paper
巻号頁・発行日
no.SciREX-WP-2020-#04, 2020-10

我が国は生産年齢人口の減少がすすむ中、デジタル化による産業構造転換に遅れて国際競争に劣後し、さらに、近年は感染症や災害などの問題にも直面するなど、厳しい状況におかれている。この中で、大学は、高度な能力を有する次世代の人材を育成・輩出し、また、先端的な研究開発を通じて新たな知識を形成し社会や産業の課題解決へつなげていく重要な機能を有している。とりわけ国立大学は、公的資金に基づいて、高度な研究開発の実施や国として必要な高度人材の育成を担うことが強く期待されている。しかし、大学はこれまで、大学改革の要求に受け身で対応することによる疲弊や、国立大学法人における運営費交付金の削減等による財政基盤の弱体化により、その機能を十二分に発揮している状況とは言えない。 大学が教育研究活動の現状を国や社会に示し、その方向性を共有することで公的存在としての大学への支持を構築していく手段の一つとして、大学評価があげられる。日本では2004年から、大学評価制度として認証評価と国立大学法人評価という2つの評価が実施されてきた。しかし、現在、2つの評価制度は大学に多大な対応負担を求めているにもかかわらず、現実的には何に活用されるのかが不明瞭な状況になっている。日本の大学評価は、大学の「個性化」を重視してきたがゆえに、大学間の比較可能性を限定的なものとしており、学生や社会が意思決定のために求める大学情報として機能しにくく、また大学自らの切磋琢磨にもつながりにくい状況になっている。 その一方で、大学評価制度とは別に、資金配分のための評価が行われるようになった。大学単位の競争的資金配分や、国立大学の運営費交付金配分のためのKPIによる「機能強化経費」配分、ならびに共通指標による競争的配分である。そもそも先述の2つの大学評価制度は評価結果を運営費交付金の配分に強く影響させないことを前提としており、それゆえに、資金配分のためには別の評価が必要となり、大学に重複した負担をかける状況になっている。 この状況は大学評価の在り方の問題だけではなく、運営費交付金の配分の在り方の問題と一体である。第三期中期目標期間に新たに導入された競争的配分は、運営費交付金の8割以上を占める「基幹経費」部分を圧縮することによって各大学が拠出した額が、毎年の改革状況や実績によって再配分される方法であり、不安定かつ短期的な配分をもたらしている。 一方、基幹経費は、前年度額をもとに算定される方式が法人化以降15年以上続き、大学が現在行っている教育・研究活動に必要なコストと整合した額が配分されているかも不明な状態であるとともに、教育研究実績を向上させるインセンティブが存在しない。 このように、我が国の高等教育や社会を発展させるための全体としての財政理念や長期的な将来展望を欠いたまま、前年度踏襲の漸増減が繰り返されたり、対症療法的な改革点検項目を指標とした評価が行われたりすることは、大学を疲弊させることにつながる。 この点について海外諸国をみれば、財政配分については、その根拠や効果を透明性をともなってわかりやすく社会に提示するため、広い意味での大学評価と関連づけた議論や取組みが進んできている。すなわち、海外では運営費交付金のような基盤経費の配分は、日本のような前年度額や非公式の交渉に基づく配分から、必要コスト(学生数等)や実績指標を総合的に用いた算定方式や、大学と国との契約に基づく配分を含むものへと次第に変化している状況がある。大学評価の方法についても、教育面では、学生満足度調査や卒業率・雇用状況等を、研究面では研究成果の学術的質や社会的効果(インパクト)に対する評価者による研究評価等を活用する国もあるなど、実績を定量的・定性的に測定する方法の開発が進んでいる。一方で、教育の質保証を目的とする評価は、大学内部の評価である内部質保証を厳しく実施することによって、外部からは簡素に評価を行い、大学内部では自ら意義ある取組としての内部評価を実施することが可能となりつつある。 これらの国内外の状況を踏まえれば、我が国の大学評価を、効率的な財政配分への貢献をも正面から見据えて、根本的に問い直すべき時期にきている。本報告では、大学評価と運営費交付金配分方式の一体的改革が必要であることを提言する。 運営費交付金は前年度額に基づく理論なき配分から、大学の教育・研究・社会貢献の機能ごとに、必要コストや実績の測定を行い、配分に反映させる透明な算定方式へ移行することが必要である。そこでは、インプット指標に基づくコストを保証する基盤的部分、教育・研究・社会貢献の実績を測定してインセンティブを付与する部分、大学の戦略をもとに国の政策課題に対する貢献を「契約」する部分など、統合的で一貫性を持った体系へと再設計することが望まれる。このような方法をとることで、運営費交付金が安定的、あるいは期間中の増減が予め把握可能な資金配分となり、また、社会からは大学の実績への理解と支持がえられることで、大学による長期的な視野に立つ自律的経営が可能となることが期待される。 国立大学法人評価は、大学の教育研究活動の状況や実績を量的・質的に把握・評価し、運営費交付金へ反映させることが可能な情報を提供することを目的とする評価へと転換することを提言する。そこでは現在のように、中期目標・計画の達成を厳密に評価するのではなく、教育面では将来必要となる人材の育成のために、学習者や社会のユーザーの視点を反映した基準に基づく評価を行い、研究面では学術的な質の国際的卓越性や研究による社会への効果(インパクト)を把握し、その評価結果を理解しやすい形で提示する。それにより、幅広いユーザーへの有効な情報提供や、資金配分の説明責任を果たすことも期待される。 加えて、大学の戦略的経営の面からは、各大学は独自に「戦略計画」を策定し、それを踏まえて国が提示する政策目的・課題(たとえば、将来社会において必要な領域の人材養成、国際的な拠点となる学術研究、地域創生の拠点としての大学)への貢献を国と契約し、そのための資金配分がなされることも考えられる。これにより、国は、個々の大学の個性や自律性を尊重しつつも、大学セクターへの公共投資の目的を明確化し、大学間での機能分担を促進し、有効性と効率性を高めることが必要である。 一方、認証評価は内部質保証を重視した方向性を堅持しつつ、大学単独だけでなく大学セクターが共同して教育内容や学修成果の水準を外部のステークホルダーの視点も入れながら点検し、教育の質向上を図るよう取組を進めるべきである。 令和2年度において、新型コロナウイルスのパンデミックが緊急の大きな財政出動につながったが、経済状況の回復後は財政再建のための緊縮財政を覚悟しなければならない。そうした中、大学への公共投資には投資効果に関する明確で一貫したわかりやすい全体設計による効率性・透明性の確保と社会からの広範な理解と支援が必要となる。そのためにも、運営費交付金配分と大学評価の一体的改革が不可欠である。
著者
齊藤 泰雄
巻号頁・発行日
1995-03

本報告書では、まずアステカ族の教育の全体像、その人間観、教育観を概観するたあに、メキシコの教育史の本のなかから「アステカ族の教育」を記述した部分を紹介する。この本は、メキシコの師範学校用教育史教科書として編集されたものであり、今日のメキシコにおいて、自国の教育史のルーツのひとっともいえるアステカ族の教育の遺産がどのように認識されており、通史的なメキシコ教育史のなかにどのように位置づけられているかを知るうえでも興味ぶかいものがある。っぎに、メキシコ国立自治大学の歴史・人類学教授ロペス・アウスティン博士が編集した、『古代アステカ教育関係史料集』(L6pezAustinA.,LaEducaci6ndelosAntiguosNahuas1,2.1985)の主要部分を翻訳、紹介する。この史料集は、16世紀初頭の征服、植民地化の初期の段階おいて、まだそれほど破壊されていないインディオ文明に直接的に接触したスペイン人たちがその文明について書きしるした記録や書簡、さらにインディオたち自身が書き残した資料(アステカ族の独特な記録法である絵文書、インディオ言語のローマ字表記やスペイン語習得によるみずからの歴史の記録)など膨大な資料のなかから、当時のインディオの教育に関連する記述部分をひろいだして集成したものであり、アステカ族の教育に関する一次史料に直接的かっ効率的にアクセスするのにきわめて有用なものである。
著者
齊藤 明 岡田 恭司 斎藤 功 木下 和勇 瀬戸 新 佐藤 大道 柴田 和幸 安田 真理 堀岡 航 若狭 正彦
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.1393, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに,目的】膝関節筋は中間広筋の深層に位置し,大腿骨遠位前面を起始,膝蓋上包を停止とする筋である。大腿四頭筋と合わせて大腿五頭筋と称されることもあるが,その作用は大腿四頭筋とは異なり膝関節伸展時に膝蓋上包を挙上するとされ,機能不全が生じると膝蓋上包の挟み込みにより拘縮の原因になると考えられている。変形性膝関節症(以下,膝OA)で多くみられる関節水腫は,膝関節筋機能不全の要因の1つとされているが,その関係は明らかにされていない。しかしそれにより関節拘縮など新たな障害を招く可能性があり,膝OAの病態を複雑化させる恐れがある。本研究の目的は膝OAにおいて膝関節水腫と膝関節筋機能との関係を明らかにすることである。【方法】膝OA患者60名81肢(男性15名,女性45名,平均年齢73歳)を対象とした。測定肢位は筋力測定機器Musculator GT30(OG技研社製)を使用し椅子座位にて体幹,骨盤,下腿遠位部をベルトで固定し,膝関節は屈曲30°位とした。膝関節水腫および膝関節筋は超音波診断装置Hi vision Avius(日立アロカメディカル社製),14MHzのリニアプローブを用いてBモードで測定した。描写はいずれも上前腸骨棘と膝蓋骨上縁中央を結ぶ線上で,膝蓋骨上縁より3cm上方を長軸走査にて行った。膝関節水腫は安静時の膝蓋上包の腔内間距離である前後径を計測し,Mendietaらの報告に基づき2mm以上のものを関節水腫と判定し,水腫あり群となし群に分けた。膝関節筋は最大等尺性膝伸展運動時の筋厚および停止部移動距離を測定した。筋厚は筋膜間の最大距離を計測し,安静時の値に対する等尺性膝伸展運動時の値の変化率を求めた。停止部移動距離は安静時の画像上で膝関節筋停止部をマークし,等尺性膝伸展運動時の画像上でその点の移動距離を計測した。この移動距離は膝蓋上包が膝関節筋により挙上された距離と定義した。また膝関節屈曲,伸展可動域(以下,ROM)を測定し,膝関節の疼痛をVisual analog scale(以下VAS),膝OAの重症度をKellgren-Lawrence分類(K/L分類)を用いて評価した。膝関節筋筋厚,停止部移動距離の2群間での比較には,まず膝関節ROM,疼痛,重症度をt検定を用いて比較し,有意差のみられた項目を共変量とした共分散分析を行った。また膝関節筋筋厚および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との関係をPearsonの相関係数を求めて検討した。統計解析にはSPSS22を使用し,有意水準は5%とした。【結果】膝関節水腫あり群は50肢(平均年齢74歳),なし群は31肢(平均年齢73歳)であった。膝関節ROMは伸展(-10.85±5.10°vs -5.83±4.92°),屈曲(132.80±14.30°vs 142.33±6.92°)ともに水腫あり群がなし群に比べ有意に低値を示し(いずれもp<0.001),またVAS(48.17±23.07 mm vs 31.87±18.73mm),K/L分類(2.71±0.67 vs 1.83±0.83)は水腫あり群がなし群より有意に高かった(いずれもp<0.001)。これらの膝関節ROM,VAS,K/L分類で補正した共分散分析の結果,安静時の膝関節筋筋厚は2群間に有意差が認められなかったが,筋厚変化率(31.86±16.55% vs 61.95±18.11%)および停止部移動距離(4.74±2.08mm vs 8.03±2.21mm)は水腫あり群がなし群に比べ有意に低値であった。また膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離と膝蓋上包前後径との間に有意な負の相関を認めた(それぞれ,r=-0.592,r=-0.628)。【考察】膝関節水腫あり群ではなし群に比べ膝関節筋の筋厚変化率および停止部移動距離が低値であり,また水腫の程度を示す膝蓋上包前後径といずれも有意な相関関係を認めたことから,膝関節水腫は膝関節筋機能に影響を及ぼし,関節水腫が重度であるほど膝関節筋の機能低下が大きいことが示唆された。これは関節水腫により膝蓋上包が伸張され,上方へ引き上げられる距離が短縮したため膝関節筋の十分な筋収縮が得られなかったと推察される。膝関節水腫は膝関節ROMや疼痛,膝OAの進行に影響を及ぼすだけなく,長期間の存在は膝関節筋の機能不全やそれに続発する膝関節拘縮の要因となり得ると考察した。【理学療法学研究としての意義】膝関節水腫は膝OAの症状や進行,膝関節筋の機能低下に影響を及ぼし,特に長期間の存在は拘縮など新たな二次的障害を生じる可能性があるため,理学療法施行時には関節水腫に対する早急な対応が必要であると考えられる。
著者
田口 勇 齊藤 努
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

1)古代刀の調査 日本の代表的な古代刀である蕨手刀の現状について調査した。主として宮城県,岩手県,福島県,北海道の代表的な蕨手刀を現地で発掘時期,同場所,形状,寸法,保存状態などを調べ,さらに可能な場合には以下の自然科学的研究を実施した。2)古代刀の自然科学的研究 古代刀の自然科学的研究方法は確立されていなかったので、元素分析方法として化学分析方法とグロー放電質量分析方法を、観察方法としてX線マイクロアナライザー付き走査型電子顕微鏡法を研究し,さらに新たに鉄資料を対象とした鉛同位体質量分析法を研究した。この方法は青銅器の産地推定法に使用されている方法であるが,鉄資料中の鉛含有率は10ppm以下で少なく,分析技術上困難視されていた。研究者らは新たに乾式鉛同位体質量分析法を開発し,分析を可能にした。この鉄資料の鉛同位体分析法については、平成6年4月に,中国三門峡市で開催された国際冶金史会議(BUMA-3)で発表した。3)古代刀の製造技術の再現実験 平成5年6月26,27日に,岩手県大東町大原において,刀匠菅原平氏の協力を得て、小型製鉄炉を使用し,蕨手刀の再現実験を実施した。餅鉄(円礫状磁鉄鉱)23kgとほぼ同量の木炭を交互に入れ,約1300°C,3時間で一次還元鉄を得,再溶解後,鍛造し,研磨し,刀を造った。この実験の解析結果と,原料である餅鉄,刀,蕨手刀そのものなどの自然科学的研究結果から,新たにつぎのことがわかった。通常のように砂鉄使用ではなく,塊状鉄鉱石使用であること,餅鉄の純度は高いことなどの結果を得た。また,餅鉄は比較的低い温度で還元されて鉄になり,生成した鉄の炭素含有率は砂鉄原料の場合に比較して低いことなどもわかった。
著者
李 省展 内海 愛子 上村 英明 齋藤 小百合 篠崎 美生子 駒込 武 内藤 寿子 内海 愛子 上村 英明 駒込 武 篠崎 美生子 内藤 寿子 李 泳釆 齊藤 小百合 姜 信子
出版者
恵泉女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、人々の日常にどのような形で「戦争」と「戦後」の「記憶」が根づき、継承されつつあるかを、アカデミズムや国民国家の枠を越えて採集、編集、分析し、偏狭なナショナリズム解消のために活かそうとしたもの。その成果は、各メンバーによって書籍・論文・口頭発表の形で公表されたほか、HP(http://www.postwar-memories.org/)でも公開されつつある。
著者
湯澤 美紀 湯澤 正通 齊藤 智 河村 暁
出版者
ノートルダム清心女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では,学習に困難を抱える子どもの読み書きに関する能力の向上を目指し,ワーキングメモリならびに音韻認識に着目した学習支援の研究を行った。まず,個人のワーキングメモリのプロフィールを測定するために,オートメーティッド・ワーキングメモリ・アセスメント(以下AWMA)の日本語版を作成した(2009年)。次に, AWMAを用い,特別支援学級に所属する児童10名のワーキングメモリのプロフィールを測定した(2010年)。次に,英語の活動を週1回, 14カ月(2010年~2011年)の長期にわたって実施した。学習支援プログラムについては, (1)ワーキングメモリの小ささに由来するエラーの軽減(2)ワーキングメモリプロフィールに応じた支援(3)音韻認識に着目したプログラム内容を目指し,構成した。結果,子どもたちの英語の音韻認識に向上が見られ,最終的には,英語の読み能力を身につけ,主体的に学習に取り組む姿が見られた。
著者
齊藤 真 山内 寛行
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成20年度電気関係学会九州支部連合大会(第61回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.194, 2008 (Released:2010-04-01)

半導体集積回路のレイアウト設計CADにおける煩雑な繰り返し作業を軽減することを目的とした設計支援ツール「GDS-Utility」を開発した。その特長は、業界標準となっているレイアウトデータのファイル形式であるGDS-IIに対応したコマンドラインツールであり、追加・削除・変更・情報出力・ファイル操作の5系統からなる単機能なコマンドを組み合わせて利用し軽微な編集が可能なことである。これにより作業時間が軽減され、CADツールをレイアウト設計作業のために有効利用できる。さらにリバースエンジニアリング防止のため、セルの階層構造をフラットにするコマンドを加えて開発したので合わせて報告する。
著者
塩原 みゆき 齊藤 昌子 佐々木 政子 竹下 秀
出版者
社団法人 繊維学会
雑誌
繊維学会誌 (ISSN:00379875)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.229-235, 2009-09-10 (Released:2009-10-10)
被引用文献数
1 1

The ultraviolet radiation (UV) protection efficiency of apparel dyed fabrics of cotton and polyester were evaluated by UPF (UV-B protection index) and APE (UV-A protection index) to investigate the effects of hue and lightness of the fabrics. UV transmittance of fabrics changed along with the thickness of the fabrics. The characteristic spectral transmittance of dyes appeared on the dyed taffeta (thickness: 0.1 mm), but on the dyed fabrics thicker than kanakin (thickness: 0.3 mm) they were less than 10% in all UV region. White fabrics having not enough UV protection efficiency increased their UPF and APE by dyeing and showed good protection efficiency. If the L* values of dyed fabrics were same, UPF is higher in the order of yellow, red, blue and black color. The required conditions for taffeta, thinnest fabric in this research to have enough UV protection efficiency are as follows: L* values of cellulose should be less than 25 regardless of their hue, L* values of polyester should be less than 86 in yellow, less than 67 in red and blue, less than 60 in black color, and addition to those transmittance at 370 nm should be less than 10%.