著者
堀田 千絵 加藤 久恵 多鹿 秀継 十一 元三 八田 武志
出版者
奈良教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、学習力を支える高次認知機能としてのメタ認知の早期育成が、定型発達児のみならず発達障害児の予後の適応に多大な影響を与えることに鑑み、発達障害児のメタ認知活性化を促すことのできる学習支援法を開発し、当該幼児の小学校入学後までを見据え、その適切性を吟味することであった。その中で、幼児期からのメタ認知育成を可能にする学習支援法の1つとして「検索学習」の有効性を明らかにし現場で活用できる学習支援システムの土台を構築した。特に、食物連鎖に基づく課題を考案する過程で幼児期からのメタ認知の活性化には検索学習の3規定因が重要であることを明らかにした。特に、3規定因としては、第1に初回学習の徹底、第2に検索スケジュールの時間的分散、第3にフィードバックが効果の要となる点を明確にし、これらを組み込んだ学習支援システムを構築した。その成果を堀田・多鹿・加藤・八田(2020)に要約した。加えて申請者らは、検索学習の導入の仕方によっては有効に機能しない一部の発達症児の存在することも特定し、自閉スペクトラム症等の発達症の障害の程度のみならず、それ以外の個人を特定する個人差が影響する可能性を突き止めた。
著者
小川 昭 佐々木 弾
出版者
国際基督教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、(成績評価における)相対評価制度があるもとで、「成績を目的とした行動」がどのような形で現れるのかを分析するものである。本研究において注目するのは、(科目選択後の努力のあり方ではなく)「科目選択にどのように影響するのか」という点である。学生が、自らの関心や学習成果というよりはむしろ成績評価によって科目履修を行うという効果がどの程度、どのような形で出るのか、それが厚生(効用)をどれほど損なうのか、について、理論モデルを構築して分析する。分析に際してはゲーム理論の枠組みを利用し、ある学生の科目選択において、他の学生の行動(戦略)が影響を及ぼすことを組み込んだ分析を行う。
著者
中川 敦夫
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

わが国での実施に適した新規認知行動療法プログラムである反芻焦点化認知行動療法(rumination-focused CBT: RFCBT)の実践を目的に、本研究ではRFCBT治療者用ハンドブックを作成し、パイロットケース(5例)としてRFCBTを行い、そのfeasibilityを確認した。さらに、原著者のEdward Watkins教授らのもと、面接音声ファイルを用いたスーパービジョンを受け、この経験を踏まえRFCBT治療者用ハンドブックの改良を図った。そして、うつ病に対するRFBCTの前後比較研究プロトコール(UMIN000037191)を作成し、実施した。
著者
宇井 貴志
出版者
横浜国立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

金融政策の研究には,さまざまなアプローチがある.本研究では,ゲーム理論の立場から,情報の側面に焦点をしぼり,基礎研究と応用研究を行った.本研究で取り扱う情報の側面とは,情報の非対称性と,情報のナイト的不確実性である.情報の非対称性とは,中央銀行の情報と,民間経済主体の情報とが異なることである.本研究では,情報の非対称性下で,中央銀行のアナウンスメントが実体経済に与える影響を分析するための,シンプルなフレームワークを提供した,情報の非対称性下の金融政策については,ルーカスの先駆的業績が有名だが,ルーカスのモデルでは,中央銀行のアナウンスメントは,予期された貨幣ショックなので,貨幣に対して中立的になってしまい,実体経済には何も影響を与えない.本研究では,より現実的な情報構造を設定することで,中央銀行のアナウンスメントは,貨幣に対して非中立的になることを示した.したがって,ルーカスのモデルの若干の拡張で,中央銀行のアナウンスメントが実体経済に与える影響について分析することが可能となった.また,本研究では,情報の非対称性下の合理的期待均衡の,金融政策への含意について考察した.すなわち,中央銀行が公表する情報には,価格と合理的期待を通じて既に公的情報になっているものと,なっていないものがあり,両者を区別することが重要であることを指摘した.また,本研究では,情報のナイト的不確実性についての基礎研究を行った.ナイト的不確実性とは,将来の事象に対する確率が分からないような不確実性である,将来のリターンが確定していない金融資産を取引する金融市場では,ナイト的不確実性が内在する可能性が高い.したがって,ナイト的不確実性を考慮して金融政策を議論することは重要なはずである.しかし,ナイト的不確実性の基礎理論自体がまだ発展途上であるため,金融政策などへの応用には至っていないのが現状である.本研究では,将来の応用を念頭に,ナイト的不確実性下の意思決定理論,とくにショケ積分期待効用理論について,新しい結果をいくつか得た.
著者
大河原 典子 宮廻 正明 高林 弘実
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

明治から昭和にかけて活躍した日本画家上村松園の技法と表現について、作品の科学的な分析と下絵および自叙伝の調査からその特徴を明らかにすることを目的とした。本画2作品を蛍光X線回折、赤外線撮影、顕微鏡撮影を通じて分析したところ、日本画で古くからある顔料と、明治以降新しく使われ出した顔料がともに検出された。また文献資料にある記述と異なり、絹の表からのみ彩色されていることが解った。表現においては同一画面のなかでも人体とそれ以外で技法に意図的な差異があった。作家の原点である縮図帖の分析では、色とモチーフの分類および電子書籍化を実施した。
著者
近藤 玲介 竹村 貴人 宮入 陽介 坂本 竜彦
出版者
皇學館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

日本列島のリアス海岸周辺における海成段丘は,離水年代が不明な場合が多い.そこで本研究では,リアス海岸などの海成段丘を対象にpIRIR年代測定法を適用し,中期更新世以降に形成された海成段丘の高分解能な地形面編年をおこなうことを目的とする.本研究では,リアス海岸の周辺の海成段丘が発達する複数地域を研究対象地域とした.野外調査と年代測定の結果,調査対象地域においてはMIS 9からMIS 5aまでのpIRIR年代値が得られ,中期更新世以降の海成段丘の離水年代が明らかとなった.
著者
神長 伸幸
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は,日本語特有の表記特徴が文章理解時の周辺視野処理にどのように影響するのか,およびその発達的変化を心理学実験により検討した。成人および小学校5年生を対象に検討した結果,縦書きと横書きに分けて検討したところ,成人では,横書きの方がより広い有効視野だが,縦書きは注視点前の周辺視野がより広いことが示唆された。この知見は児童でも同様であり,注視点の前領域は縦書きで有効視野がより広いことが示唆された。このような結果は,成人と児童が普段使用するテキストの表記特徴を反映したものであると考えられる。
著者
佐藤 丈
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

余剰次元として商空間の構造を持つ理論を考え、素粒子標準理論を超える理論の構築を試みた。より具体的には二つの方法を用いた。一つ目は、商空間次元降下の方法で、標準理論に直結しうる商空間とその理論での物質の同定を行った。二つ目は商空間として最も単純なS2上で模型の構築をいくつか行った。一つは大統一理論的な方法でゲージ群としてSO(12)を考え、標準理論が出うることを示した。もう一つは普遍高次元理論の枠内で、余剰次元をS2とする標準理論の拡張を行い、十分生きている模型であることを示した。
著者
岡本 圭一郎 黒瀬 雅之 山村 健介 高木 律男
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

心理ストレスは歯科領域での痛みを増大させる。本課題ではストレスが咬筋の痛みを増大させる生体機構を、脳神経系の機能変化と想定し、基礎的に解明した。三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)に着目した。これまでの研究によってVc部は顎顔面部の痛みの応答を制御する部位であることが解明されているからである。繰り返しストレス処置を加えると、咬筋への侵害刺激による Vcの興奮性は有意に増大することが明らかになった。さらに選択的セロトニン再取り込み阻害剤を繰り返し投与するとストレスによるVcの興奮性の増大は低下することがわかった。つまりストレスによるセロトニン機構の変調が咬筋の痛みを増大させることがわかった。
著者
坪井 秀人
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の短詩型文学、特に和歌が西欧語に翻訳され、その翻訳テクスト歌曲として作曲された過程をドイツ語・東欧諸語・フランス語の翻訳テクストによる歌曲作品を対象に調査し、20世紀初頭、1930年代まで独墺仏および東欧・北欧地域の作曲家による歌曲作品のリストを作成し、その波及の実態を考察した。資料調査は日本国内の図書館、海外ではウィーンのオーストリア国立図書館、ベルリン州立図書館およびプラハのチェコ国立図書館などの海外の図書館と国内の大学図書館を中心に行い、その研究成果として日本語版論考を学術雑誌に発表し、そのドイツ語版を、本年中にスイスの出版社から刊行される論集に発表する予定である。
著者
河野 有時
出版者
東京都立産業技術高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、言文一致運動が伝統的な和歌の革新と近代短歌の成立にどのような影響を与えたかということについて明らかにしようとするものである。言文一致運動を背景に、散文世界では次第に「つ」「ぬ」「たり」「り」「き」「けり」といった時の助動詞は失われていった。だが、短歌はそれを残し、残しながら短歌表現として近代化を推進めたのである。それは、一人称の現在的な発話たる短歌の表現に地の文の末尾を席捲した助動詞の「た」が位置しにくかったためだった。そこで、近代の短歌は、動詞の終止形止めやテイル形を用いることによって、時の表現に膨らみをもたせた。石川啄木の『一握の砂』に見られる諸歌はその代表と位置づけられる。
著者
安積 典子 秋吉 博之 吉本 直弘 生田 享介 川上 雅弘 深澤 優子 萩原 憲二 種田 将嗣
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

小学校教員を志望する学生の大半はいわゆる文系型に属し,理科や科学の非専門家であるにも関わらず,教師就職後は理科の授業・実験を行わなければならない。そのために教員養成課程の理科教員は,理科に関する知識や関心が低い学生に対して,限られた時間で理科授業のための職能教育を行わねばならない。本研究では教員養成系大学に特有のこの課題を,科学の専門家と非専門家の間のコミュニケーションの視点から分析する。その結果を踏まえ,課題解決の手段として,小学校理科教員を目指す理科専攻以外の学生の文脈に沿った教科書コンテンツを作成する。
著者
金桶 吉起 乾 幸二 渡辺 昌子
出版者
生理学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、仮現運動知覚および第2次運動知覚について、生理学的研究を脳磁図および機能的磁気共鳴画像にて行った。ランダムドットパターンを用いた仮現運動刺激では、ちらつきと運動の知覚を外的刺激を変化させずに与えることができる。よって刺激によらず運動知覚に伴う内的な脳機能の違いを検討することができた。結果は、運動知覚が惹起されるときはちらつきが惹起されるときと比して100ms前後から高い神経活動を示した。これは両者の知覚が視覚系の早い段階から競合しながら形成されていくことを示唆する。また、第2次運動知覚に関わる脳部位を機能的磁気共鳴画像を用いて検討した。第2次運動とは、明るさの時間変化を検出して運動を知覚する第1次運動知覚に対する概念で、物体の模様やコントラストなどの全般的な要素の位置の変化を検出することによって初めて知覚される。これまでにも同様の試みは多くなされてきたが、第2次運動知覚のみに特異的に関わる部位の同定はできておらず、臨床例の研究との結果に乖離があった。我々は、第2次運動知覚をもたらす視覚刺激を2003年に新たに創作した。この刺激は、第1次運動の影響を理論的に皆無にし、また第2次運動知覚の中でももっともその特徴を有するという性質を持つ。この刺激を用いて、脳磁図にて初めて第1次と第2次運動に対する反応の違いを明らかにした。今回は、この刺激を機能的磁気共鳴画像実験に応用した。視認性の影響を調べるために、第2次運動より見にくい第1次運動と、第2次運動、そして第2次運動と同程度の見易さの第1次運動、さらに第1次と第2次運動の両者の性質を持つ混合運動の刺激を用いて、それぞれに反応する脳部位を検索した。その結果、第2次運動に特異的に反応する部位は、上側頭溝後部にあった。この部位に障害を起こした臨床例が、第2次運動に特異的に知覚障害を起こしたことが報告されており、その結果とみごとに一致する。また、同部位は、biological motionや表情の変化にも特異的に反応することが知られており、高次の運動知覚に広く関わることが示された。
著者
鈴木 生郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、相互的な存在論的依存(相互的根拠づけ)関係について理論的に整備するとともに、それをさまざまな形而上学的問題に応用することである。こうした目的を達成するために、2021年度は以下の研究を進めた。(1) 前年度に引き続き、(A)ある対象が特定の種に属すること、その対象がその種の成員として典型的な性質を持つこと、その対象その種に属するものとして同一性を保つことの間の相互依存関係を明らかにすることによって、持続の形而上学における「根拠づけの問題」を解決する論文をまとめ、出版することを目指す。また、根拠づけ概念に関する研究の応用として、(B) 死の害悪についての「タイミング問題」に対する、いわゆる「死後説」(人は死によって生じる害を、死後に被るとする説)に、より十全な擁護を与える論文を執筆するとともに、新たに着想を得た論点として、(C) 時間の哲学における「現在主義」と呼ばれる立場に対して、持続の事実を根拠づけるものは何かということに関する困難があることを指摘する課題にも取り組む。(2) 相互的根拠づけの概念に基づいて実体概念を解明する。特に、アリストテレス以来典型的な「実体」とみなされている中間的なサイズの対象が、その構成要素であるミクロな対象に対してどのような意味で「独立的」であると言えるのか、という問題意識のもとで、その独立性を相互依存関係のあり方から捉えることを目指す。
著者
河合 康典 越野 亮 三好 孝典
出版者
石川工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は,筋肉疲労に対して安全な電気刺激による遠隔リハビリテーションシステムの開発を行うため,今年度は下記の2つの課題について考える。課題①の筋肉疲労の推定と患者側での安全機構の開発については,これまでに行った筋電計は疲労推定の精度が悪く,脳波計では疲労推定ができなかった。そこで,外乱オブザーバとガウス過程回帰を用いた2つの疲労推定手法を考える。はじめに,外乱オブザーバを用いた方法は,疲労がない時の膝関節の運動モデルを用いて,疲労時には入力外乱が発生すると仮定することで,入力外乱の推定を行う。推定する入力外乱の平均値は,運動開始直後は小さいが,被験者が疲労を感じるにつれて徐々に増加していることから疲労を推定できることが分かる。次に,ガウス過程回帰を用いた手法は,外乱オブザーバと同様に疲労がない時の膝関節の運動モデルを用いて,疲労時には入力外乱が発生すると仮定して疲労推定を行う。測定値と運動モデルの差を入力外乱として考え,学習における入力を膝関節角度,出力を入力外乱とすることで,入力外乱の平均と分散を求める。運動開始直後は外乱の平均値が0に近いのに対して,被験者が疲労を感じるにつれて徐々に平均値の振れ幅が広がっていることから,疲労を推定できることが分かる。課題③の高速化と耐故障性を備えたクラウドシステムの開発については,AWS IoT から変更してNode.js を用いたクラウドシステムを考える。これまでの遠隔リハビリテーションシステムは,MATLABのSimulinkをベースにシステムを構築しているので,Node.js との通信の結合を行っている。
著者
緒形 雅則 石橋 仁
出版者
北里大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、注意欠損多動症(ADHD)の症状に対する糖質を制限したケトン食の有効性、安全性を基礎的研究により明確にし、さらにその効果発現の機序を解明する。幼若期ドーパミン神経系傷害動物は、ADHDモデル動物として用いられている。本モデル動物が示す異常行動に対するケトン食の長期摂取の効果を複数の行動試験により確認する。さらにケトン食摂取がADHD治療薬の効果におよぼす影響を調べ、食事療法としての有用性を確認する。また、電気生理学的、組織学的手法を用いて効果発現機序を明確にし、今度のADHD治療薬の発展へと繋げる。
著者
阿蘇 司 原 正憲 藤原 進 平野 祥之
出版者
富山高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究は、量子化学・分子動力学計算による知見を組み込んだDNA損傷の確率的計算モデル開発を目的としている。今年度は、(1)開発シミュレーションソフトウェアでの間接作用の影響を評価するためのラジカル発生と、その拡散・再結合相互作用の評価、(2)空間クラスタリング法を用いたDNA損傷の確率モデル検証、(3) 分子動力学計算を用いたDNA分子置換に起因する分子構造変化の影響評価、(4)ガンマ線照射による重水中DNA分子の水素置換評価実験を解析するための量子科学計算の導入を実施した。以下に概要を示す。(1) 間接作用では、ラジカル発生からその拡散・再結合を追跡して時間的な空間分布を計算してDNA分子の空間形状との対応によりDNA損傷の有無を判断する。計算アルゴリズムは試作したが、計算時間が長く精密な計算を行うことが容易ではないことがわかった。現在、文献調査等を通じてアルゴリズムの改良に着手している。(2) 空間スラスタリング法を利用して、直接作用と間接作用の両方を考慮したDNA損傷が評価できる状況にある。このソフトウェアを用いて、多様な条件でのシミュレーションを行なっている。また、(1)のシミュレーション開発のアルゴリズム改良に際しての参考に用いている。(3) DNA分子置換が生じた後に、DNA損傷に至る過程を分子動力学計算で評価を行なっている。また、トリチウム水の水分子がDNA分子構造にアクセスする様子を調べるために、水分子とDNA分子構造を入力した分子動力学計算によって、確率的なアクセス頻度を計算できる状況となっている。(4) 重水へのガンマ線照射により、DNA分子構造の水素が重水素に置換する可能性を調査している。ガンマ線照射実験で得られた赤外線吸収スペクトルを量子化学計算により解析して、置換反応の有無を評価している。