著者
段 智久 赤松 浩
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

地球温暖化の要因となるGHG(CO2、CH4など)を排出する熱機関において、それらの排出量を低減させることが環境保全の観点からも必要である。その手法として、燃料燃焼を促進させる効果のあるプラズマを熱機関の燃焼室内部で生成させて作用させることを試みる。レトロフィットで試作するガス燃料を利用する二元燃料エンジンシステムを用いて、プラズマのガス燃焼促進効果を検証して、本手法の有効性を明らかにする。
著者
豊村 文将 渡嘉敷 亮二 平松 宏之 上田 百合 服部 和裕 高野 愛弓 渡嘉敷 邦彦
出版者
東京医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

痙攣性発声障害郡において前帯状皮質から基底核や中核言語領域への機能結合の増加を認めた。また、情動が痙攣性発声障害になんらからの関与をしている可能性が示唆された。その際、一般的に情動に最も関与しているとされる扁桃体よりも前帯状皮質からの関与が強く、それと線条体との機能結合が原因ではないかと考えられた。
著者
竹本 浩典 榊原 健一
出版者
千葉工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究では、オペラ歌手が声量のある良く響く発声を行うメカニズムの解明を試みる。オペラ歌唱では、共鳴器である声道(声帯から口唇までの空間)と、呼気を生成する横隔膜を独特の方法で制御することにより、特有の発声を行っていると考えられているが、声道も横隔膜も直接観察できないため、詳細は明らかになっていない。そこで、まず、オペラ歌唱時の声道や横隔膜の運動を医療用のMRIで動画として撮像し、変位量などを分析する。次に、これらの分析結果に基づいて、声道や呼気の制御が音声に及ぼす影響をシミュレーションでも検討する。そして、これらを踏まえてオペラ歌唱のメカニズムの解明に取り組む。
著者
小塩 真司 橋本 泰央 下司 忠大 三枝 高大
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

二分法的思考とはものごとを「白と黒」「善と悪」のように二項対立的に捉えようとする思考形態である。本研究では特に,二分法的思考と外在化問題に結びつきやすい心理指標との関連を通じて,二分法的思考の持つ意味や役割を明らかにすることを目的とする。第1に二分法的思考は誇大型の特権意識と強く結びついていた。第2に,外在化問題に結びつきやすいパーソナリティ特性であるダーク・トライアドは,二分法的思考と関連していた。第3に,二分法的思考は年齢にともなって直線的に低下していた。第4に,二分法的思考と攻撃性との間には正の関連が認められるが,その関連の大きさは若い年齢集団ほど大きいという効果が認められた。
著者
寺尾 純二
出版者
甲南女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

調理や消化過程で生じる過酸化脂質は最小限に抑える必要がある。そこでネギ属野菜が有する過酸化脂質還元作用を利用することにより、過酸化脂質量低減化法を開発することを目的とした。万能ネギ、長ネギ、タマネギ、ニンニクのうちで長ネギの還元作用が最も強いことを明らかにした。食用油脂のトリアシルグリセロールヒドロペルオキシド(TG-OOH)を人工膵液で加水分解すると遊離脂肪酸ヒドロペルオキシ体(FFA-OOH)が産生したが、長ネギ試料はTG-OOHおよびFFA-OOHどちらとも還元作用を示さなかった。消化管ではネギの還元作用を発揮する活性本体が膵液により消化されて消失すると思われた。
著者
安井 もゆる 小川 春美 吉原 秋 鈴木 道也 小川 知幸 畑 奈保美 津田 拓郎 田村 理恵
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

世界史学習の意欲が喚起されるのはどのようなときか。本研究は学生および高校教員への聞き取り調査等により、世界史学習の契機、実践そしてその際の内面を質的に調査することによって、基礎教養的であるとともに問題解決志向型であるような新しい世界史授業の開発・提案を行い、学問と教育の架橋を目指すものである。方法としては、大学生・短大生を対象に聞き取り調査を行い、高校までの世界史学習への評価・世界史学習への動機づけ等を明らかにする。また、高大連携に積極的な学界全体の動向を踏まえ、全国の高校の世界史教員にも聞き取りすることにより、授業での学習意欲を高めるための取り組みを調査する。
著者
亀田 佳代子 前迫 ゆり 藤井 弘章 牧野 厚史
出版者
滋賀県立琵琶湖博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

かつて肥料として利用するために行っていたカワウの糞採取とそれに伴う保全管理技術が、カワウによる森林衰退を軽減する効果があったのかどうかを検証した。糞採取が行われていた愛知県のカワウコロニー、鵜の山で、当時の優占種であるクロマツをポットに植えて設置し、実験的に糞採取と同様の処理を行った。その結果、糞採取に伴う砂撒きが、クロマツの生存や成長を促進することが示唆された。現植生の調査からは、1960年代後半のクロマツ植栽域でタブノキの個体数が有意に多いことが明らかとなった。これらの結果から、砂撒きや植栽などの伝統的保全管理技術が、カワウによる森林衰退を軽減し遷移を促進していた可能性が示唆された。
著者
上野 豪久 東堂 まりえ 高瀬 洪生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

長小腸移植の短期成績は急性拒絶の制御が可能となり改善したものの、長期成績は肝臓、心臓移植などにはいまだ及ばない。その理由の一つが慢性拒絶によって移植小腸が機能不全となることである。しかしながら小腸移植における慢性拒絶の作用機序はいまだに明らかになっていない。近年、間葉系幹細胞による免疫制御が臓器移植の慢性拒絶に効果があることがわかってきた。そこで我々はラット小腸移植後慢性拒絶モデルを作成し、HMGB1ペプチドを投与し、同様に慢性拒絶抑制・治療を目指す。本研究は小腸移植における慢性拒絶作用機序の解明につながるだけでなく、小腸移植後の患者の長期生存を可能とする、再生誘導医薬の創薬を可能にする。
著者
長澤 一樹 西田 健太朗
出版者
京都薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度も引き続き、初代培養アストロサイトを用いてのin vitro実験、並びにうつ病モデルマウスの作製プロトコール及び評価系を確立するためのin vivo実験を行った。In vitro実験では、アストロサイトの異物貪食活性が酸化ストレス負荷により低下するが、これは(1)酸化ストレス負荷による細胞内遊離型亜鉛レベルの増大、(2)P2X7受容体のスプライスバリアント群の発現割合の変動、そして(3)P2X7受容体の細胞膜からサイトゾルへの局在変化に伴ったチャネル/ポア活性の低下に起因するものであることを明らかにした。これらの成績は、うつ病におけるアストロサイトの機能変動が、少なくとも一部、酸化ストレス負荷によってアストロサイトにおけるP2X7受容体‐亜鉛シグナリングの変動に起因することを示すものである。うつ病モデルマウスは、chronic mild stress及びsocial defeat stressをマウスに負荷することにより作製し、social interaction試験、強制水泳試験、尾懸垂試験、スクロース嗜好性試験、脳海馬領域での炎症性サイトカインの発現などにより、ストレス感受性及びうつ様行動を評価する実験系をほぼ確立できた。さらにこれまでの検討により、うつ様行動を誘発するためのモデル間、並びに使用するマウス系統間で、ストレス感受性やうつ様行動誘発に差異のある傾向を見出しており、今後、その再現性を含め引き続き実験を行う予定である。
著者
岩槻 幸雄
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

この3年間で次の点が明らかとなった。全海洋域におけるタチウオ科タチウオ属魚類は,Trichiurus lepturusは、水産学上重要な魚種で、分類学的には多くの異論があったが、FAOのReviewにより全世界にNakamura and Parin(1993)によって1種とされた。その後も多くの異論がだされ、学名が混乱しているため国際間の漁業交渉では紛争の種となっている。申請者は、従来全く認知されていなかった小型類似種群タチウオ属魚類(全長700mm以下)の2新種を含む4種をまず幸晧し、従来知られる大型類似種群(全長1500mm上)には、形態学的に区別される10種を確認し、全海洋域におけるタチウオ科タチウオ属魚類の全種数と、その識別法および、正しい学名の検討を明らかにすることを務めた。初年度は,テンジクダチTrichiurus lepturusと同定されてきた標本を全世界の海域から生標本および固定標本を得るように全力を注ぎ、最も困難である西アフリカ、西部大西洋の生標本を手に入れることができたことにより、遺伝学的分析を行い、形態学的な違いと遺伝学的違いとが一致し、インド・西太平洋の種類と比較して、4種が遺伝学的にも強く別種である結果が得られた。その4種は以下の通りである。1,Trichiurus lepturus(western Atlantic type), 2,Trichiurus sp.2(yellow eye and yellow margin of dorsal fine membrane from Indo-Pacific), 3,Trichiurus japonicus(East Asian shelf type with long caudal fin), 4,Trichiurus sp.3(western African type with short pectoral fin)。
著者
栗島 義明
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

縄文時代中期に東日本地域に広域的に分布するヒスイ製品は当該期の広域的な交易存在の証拠とされてきた。糸魚川周辺で製作されたヒスイ製品は中部地方だけでなく、広く関東や東北地方にも広がっており、注視すべきは大型のヒスイ製品の出土は各地の拠点的集落にのみ限られていることにある。所謂、環状集落だけからヒスイ製品が検出されているのである。しかも注目すべき点は、ヒスイ製大珠が出土するのは集落内に作られた墓域内でも中心部に構築された墓に副葬されている場合が殆どである。ヒスイ製大珠は出土数や出土状況から判断して、集落のオサが所有し佩用したものだった可能性がたかい。
著者
山本 敏充 玉木 敬二 打樋 利英子 勝又 義直
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ヒトY染色体上のDNAマーカーであるY-STRs (short tandem repeat)やY-SNPs (一塩基多型:single nucleotide polymorphisms)は、法医学で、同胞鑑定や性的事件などにおける男性由来の型を検出する目的として利用されつつある。アメリカ合衆国NISTが開発した10ローカス(DYS436、DYS439、DYS435、DYS19、DYS460、Y GATA H4、DYS391、DYS392、DYS438、DYS437)のY-STRをマルチプレックス法により型判定できるシステム(10-plex)及び市販のY-PLEX6キット(DYS393、DYS19、DYS389、DYS390、DYS391、DYS385)を用いて、日本人(名古屋207名、沖縄87名)及びタイ人(117名)について、共通な2ローカスを除く14ローカスのハプロタイプ解析を行った。また、非常に情報量が少ないDYS436をMinimal Databaseに含まれるDYS389Iに入れ換え、改良型の10-plexシステムを作製した。この改良型10-Plexによる14ローカスを用いて、父子関係が証明されている日本人の161組の父子DNA試料から型判定したところ、5例の突然変異が観察された。その内訳は、DYS389I、DYS439、Y-GATA-H4及びDYS389IIローカスで、1リピートの増加、DYS391ローカスで、1リピートの減少であった。このY-STR全体の突然変異率は、0.22%/ローカス/減数分裂(95%信頼区間0.09-0.51%)で、ヨーロッパ人とほぼ同じ値であることが示唆された。本研究での目的の一つである日本人におけるY染色体上のDNAマーカーの突然変異率を算定することは達成できた。
著者
虫明 眞砂子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

合唱表現における合唱指揮の役割は重要であると思われるが,日本には欧米の音楽系大学の合唱指揮科のような合唱指揮者の養成機関が少なく,合唱指揮は,個々の指揮者の力量に委ねられている。合唱指揮者によって,合唱者の歌声や表現が大きく変化することに着目し,本研究では,「合唱指揮」が演奏にどのように影響を及ぼすのかを可視化装置による実験,合唱指揮者・合唱者へのアンケート調査や聞き取り調査等を用いて分析する。それらをもとに,合唱曲作者の意図を汲み取り,豊かな表現に結びつける,演奏者にとってわかりやすい,合唱指揮法を検討する。
著者
高橋 義人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

戦後の日本におけるゲーテ受容について語るとき、最も重要なのは、『ファウスト』である。ゲーテの『ファウスト』の中核には悪魔との契約譚がある。したがって日本の作家が『ファウスト』文学を受容するときには、「悪魔との契約」という主題を日本の風土に馴染ませなければならない。ところがこれは決して容易なことではない。というのも日本人の多くは、「悪魔との契約」はもとより、悪魔の存在そのものを信じてはいないからだ。遠藤周作は小説『真昼の悪魔』(1980年)のなかで、日本人にとっての悪魔の間題に真正面から挑んだが、その試みは成功したとはいえない。これに対して三島由紀夫は「悪魔」ではなく「通り魔」のような「魔」を間題にし、より日本の現実に即した考察を行なった。しかもその「魔」の考察を三島はゲーテの『ファウスト』と結びつけ、三島の「わがファウスト」を書いた。それが彼の『禁色』と『卒塔婆小町』である。この2作品の中核をなすのは、美と醜の対立であり、メフィストには「醜」の役が与えられている。石川達三は『四十八歳の抵抗』において、ゲーテの『ファウスト』を下敷きにしながら、現代日本のサラリーマンの悲哀に満ちた生活をパロディ風に描き出した。ファウストのように人生をやり直そうと試みた主人公の試みは挫折せざるをえない。ファウストのように生きることは、現代の日本においては不可能だということを石川達三は示した。手塚治虫は生涯に3度、ゲーテの『ファウスト』を漫画化している。彼の諸作品の中心にあるテーマは、科学技術による地球環境の汚染であるが、このテーマは遺作の『ネオファウスト』に明瞭に表れる。ゲーテの『ファウスト』に出てくる人造人間ホムンクルスを手塚はクローン人間に置き換え、大量生産されたクローン人間による軍隊によって地球が壊滅する。『ネオファウスト』によって手塚は、漫画がどれほど強い時代批判力を持っているかを示すことに成功した。
著者
椎名 貴彦 志水 泰武 椎名 貴彦
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

ニワトリを始めとする鳥類は、空腹時であっても300mg/dl以上の高血糖を維持しているにもかかわらず、循環系、神経系の障害といった糖毒性が発生しない。本研究では、まず、鳥類の血糖値が高いことに関しては、積極的に高いレベルにコントロールしているのか否かについて検討した。ニワトリに血中グルコース負荷試験を行い、グルコース消失速度を調べたところ、上昇した血糖値は極めて速やかに投与前のレベルに回復することが判明した。このことは、充分な制御がかかった上で高血糖を維持していることを意味する。しかしながら、哺乳動物でインスリンの作用に不可欠な4型グルコース輸送体の存在が骨格筋および脂肪組織において検出することができなかった。また、インスリン刺激後に骨格筋におけるインスリン受容体の自己リン酸化やIRS1-4のチロシンリン酸化を調べたが、いずれも応答は認められなかった。従って、ニワトリの血糖降下機序が、哺乳動物とは本質的に異なることが示唆された。次に、哺乳動物の糖尿病時に糖毒性による障害を受ける血管系について、電気生理学的解析を行った。ニワトリ前腸間膜動脈縦走平滑筋は、ATPを神経伝達物質としたプリン作動性神経の強い支配を受けており、哺乳動物とは異なる非常にゆっくりとした脱分極反応が記録された。また、ニワトリ前腸間膜動脈輪走平滑筋については、プリン作動性神経と内皮細胞の相互作用によって、ゆっくりとした過分極反応が誘発されることが明らかになった。さらに、ニワトリの血管系の神経支配は、成長に伴って変化することも明らかにした。これらの結果は、ニワトリの血管系が哺乳動物とは異なる神経支配を受けていることを示唆している。このことは、ニワトリの血管系が糖毒性による障害を受けないことと考えあわせると、非常に興味深い知見と言える。
著者
宮地 泰士 杉原 玄一 中村 和彦 武井 教使 鈴木 勝昭 辻井 正次 藤田 知加子 宮地 泰士
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自閉症の特徴の一つである「対人的相互作用の障害」は共感性の障害に基づくと考えられている。本研究では、自閉症の共感性の障害の神経基盤を探る目的で、機能的磁気共鳴画像(fMRI)により共感が惹起された時の前部帯状回の活動を計測し、自閉症との関連が指摘されているセロトニン・トランスポーター遺伝子多型との関連を検討する。平成21年度は、以下のように研究を進めた。平成20年度において選定した成人自閉症者5例、健常対照5例を対象に、他者の痛みを感じるような画像刺激を提示し、fMRIを撮像した。撮像プロトコルはTE=40msec,TR=3000msec,In-planere solution=3.1mm,スライス厚=7mm,ギャップ=0.7mm,18スライスとした。その結果、「身体的な痛み」、「心の痛み」のいずれを惹起する課題においても、活性化する脳領域に両群で有意な差はなかった。この結果には、例数の不足による検出力低下が影響していると考えられる。今後、さらに対象者を募る予定である。また、共感性の障害において前部帯状回と深く関係する脳部位の一つに海馬があるため、成人自閉症者の海馬における代謝物量を磁気共鳴スペクトル法により測定した。その結果、自閉症者の海馬ではクレアチン、コリン含有物が健常者に比べ増加しており、その増加は自閉症者の攻撃性と有意に正相関することを見出した(Int J Neuropsychopharmacol誌に公表)。
著者
張 民芳
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

カーボンやナノホーン(CNH)などのナノカーボンを使用した医療応用研究が盛んになっている。しかし、ナノカーボンは毒性が低いものの、肝臓や脾臓などの組織に集積され易いことが分かっている。実用化するには、ナノカーボンは組織内で分解、体外へ排出されなければならない。本研究では、CNHの生分解可能性を明らかにするため、CNHの近赤外光吸収特性を利用し、細胞内および生体組織内のCNHの量を測定する方法を開発した。この方法を用い、異なったサイズおよび表面修飾したCNHの生分解率を測定し、生分解可能なCNHの複合体を作製した。そして、細胞及び動物実験により作製したCNH複合体の分解性を確かめた。
著者
坪田 敏男 下鶴 倫人
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、なぜクマは体脂肪率30~40%の肥満状態でも脂肪肝や高脂血症を発症しないのか、その特徴的な体脂肪蓄積メカニズムを明らかにすることを目的に、秋田県北秋田市マタギの里阿仁クマ牧場において、ツキノワグマを用いて行われた。麻酔下で血中糖および脂肪濃度測定、静注糖負荷試験ならびに脂肪組織バイオプシー等の実験を行った。その結果、ツキノワグマにおける冬眠前時期の体脂肪蓄積の増大は、単に摂食量だけでなく、生理・代謝機構によっても調節されていることが明らかとなった。