著者
西田 公昭 山浦 一保 渡辺 浪二 角山 剛
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

人権擁護の側面から、集団活動の健康度を心理学的に明らかにし、その集団虐待的な経験実態を探ること、また現在、不健康な集団活動への対策が大学においていかになされているかを実証的に明らかにした。その結果、一般にカルト経験者は、テロリスト同様の明らかに逸脱した不健康な活動を多く行っており、また約4 割の大学でカルト事例があるがその予防対策は十分ではない。
著者
堀田 昌寛
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

量子エネルギーテレポーテーション(QET)を2つの量子ビット系で実現できる最も簡単なモデルを構成できた。また基底状態の量子もつれ量が大きいほど、転送エネルギー量も大きくなることが示された。また量子電磁場の零点振動の量子測定においてより大量の基底状態の情報を引き出すと、それを用いたQETでの転送エネルギーも増えることが分かった。一般的な量子スピン鎖モデルにおいては、基底状態のエンタングルメントエントロピーが転送エネルギーの2乗に比例する量の上限値になることも証明された。また量子ホール端電流系を用いると実験でQETが検証できる可能性が高いことも発見された。さらに有限温度系でもQETが有効であることも示された。
著者
山本 郁男 宇佐見 則行 井本 真澄 宇佐見 則行 井本 真澄
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

我々は、これまでマリファナ(大麻)の薬理および毒性に関して、三大主成分(カンナビノイド)、THC(tetrahydrocannabinol)、CBD(cannabidiol)、CBN(cannabinol)の代謝を中心に報告してきた。本研究においては、シクロヘキサン環を酸化して芳香環化に関与するCYP19(アロマターゼ)によるTHCの代謝を検討した結果、代謝物の1つが8-ヒドロキシCBNであることを同定した。そこで、CYP19が芳香環化と同時にCBNのヒドロキシル化に関与することを示唆した。一方、CYP19によってTHCとCBDからCBNが形成されることをGC/MS方法によって確証した。さらに、これらのカンナビノイドのステロイド代謝(CYP19と17β-HSD(17β-ヒドロキシステロイド脱水素酵素)によるアンドロステロン(AND)、テストステロン(TES)およびエストロン(E1)の代謝)に及ぼす影響を検討した。その結果、CYP19によってエストラジオール(E2)へのTESの代謝においてTHC、CBDおよびCBN(50μM)が、それぞれ16、60、46%阻害することが判明した。一方、CYP19によるTESのAND、およびE1のE2への代謝は、THC、CBDおよびCBNによってそれぞれ約20%阻害された。したがって、本研究において、カンナビノイドが性ホルモンの代謝に深く関係していることが明らかとなり、内分泌かく乱作用が示唆された。
著者
久保 堅一
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

物語文学の誕生について明らかにするためには、現存最古の物語である『竹取物語』の典拠の徹底的な調査が必要となる。特に、『竹取物語』成立のための必須の教養であった仏教の受容に関する研究は不可欠といえる。本研究は、『竹取物語』を中心に、同時代テクストにおける仏教の受容について調査するものである。物語文学が創造された9世紀において、その作者層がどのような仏教的教養を身につけ、それをどのように創作に活かしていたのかを明らかにし、物語文学誕生の背景に光を当てたい。
著者
中島 由佳
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2003年の鳥インフルエンザの流行以降,小学校における動物飼育にどのような変化が起こったのか,変化を起こした要因は何であるのか,現状はどのようであるのか等,未解明のままであった。そこで本研究は,全国約2000校の小学校への電話での聞き取り調査により,小学校における鳥インフルエンザ以降の動物飼育状況の解明を試みた。また,小学校を対象に学校で動物飼育をしている児童,学校に動物がいて触れ合うことのできる児童,動物が飼われていない学校の児童の計3群に対して,継続的にアンケート調査を行い,小学校での動物飼育を取り巻く状況が変化する中,その効果を改めて問い直すことを試みた。
著者
伊東 正博 サエンコ ウラジミール 中島 正洋 三浦 史郎
出版者
独立行政法人国立病院機構(長崎医療センター臨床研究センター)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

福島第一原発事故後,若年者の甲状腺スクリーニングは世界で初め実施され予想を越える甲状腺癌症例が発見された。その甲状腺癌の増加が放射線の影響かスクリーニング効果か結論は出ていない。チェルノブイリ事故後に多発した小児甲状腺がんでゲノム解析がなされてきたが、放射線特異的な遺伝子異常は未だ見いだされていない。本研究ではチェルノブイリ症例に加えて、福島第一原発事故後に周辺地域の検診で発見され切除された症例を加え、二つの異なる地域と異なる被曝線量を背景とした若年被曝による放射線誘発甲状腺がんの高リスク分子機構を、ゲノムDNA変異解析に加えエピジェネティックな変異解析の両面から解明することを目的としている。
著者
吉井 匡 伊東 裕司
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

刑事手続過程において医学的知見の誤用や曲解が指摘されることがあるが、指摘が妥当なら、それは刑事手続過程から排除される必要がある。上記問題意識の下、研究代表者は、小児医学の知見であるタナー法を児童ポルノ事件で年齢推定に用いるべきではないとの立場から、国内初の研究論文を2016年に発表したが、これには批判も寄せられた。そこで、これまで以上に、国内外の研究動向の精査、他の医学的知見との比較、小児科医への調査等を行い、先行研究の正当性を裏付ける。そして、本研究で得られた知見は、タナー法を巡る問題に限らず、広く刑事手続過程における医学的知見の取扱いに対する、理論基盤の構築にも貢献することとなる。
著者
佐藤 純
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

天候変化に影響を受ける疾患(気象病)のメカニズムを,慢性痛モデル動物と気象病患者を被験者とする研究で明らかにしてきた。本研究計画では,メカニズムを明らかにする動物実験と慢性痛患者を対象とした臨床実験をさらに進めた.この連携研究により,気象病のメカニズムにおける内耳の重要性について明らかにし,効果的な予防治療法の糸口を見つけることができた.
著者
牟田 和恵
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、日本における性暴力・セクハラ問題についての取り組みをとくに女性のエンパワーメントを通じて前進させるために、近年めざましい変化を遂げている韓国の経験に学びながら、またこれまで日本で女性たちが沈黙を強いられてきた状況や構造を分析することを通じて、その方途を探る試みである。何が女性たちの声を抑圧しているかについて、ネット上のバッシングや攻撃について調査分析を行う。
著者
岡本 由美子
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-07-19

研究5年目は、2つのことを行った。まず第一に、社会的インパクト調査の具体的な調査手法について、さらに詳細に学んだ。その知識を活用し、委託調査を通じて、フェアトレード(FT)を含めた国際認証制度の小規模農家組合員に与えたインパクト調査を行った。第二に、組合長に対して詳細なインタビュー調査を行い、2019年度までに得られていた調査結果の理解をさらに深めた。その結果、以下のことが明らかとなった。まず第一に、国際認証制度の存在は、収入の安定・増加のみならず、女性の地位向上、社会面での充実、環境への意識の高まり等により、SDGsの達成と人間の幸福感の向上をもたらす可能性が高いことが明らかとなった。具体的には、国際認証制度の中でもFTは組合の結成とあらゆる面での差別撤廃を求める国際基準であるため、FTをきっかけにしてジェンダー平等化が進展していることが分かった。これに加え、国際認証制度の存在により、環境に対する意識の劇的な向上が明確となった。収入の増加は確実に子供の教育や医療への支出の増加に向けられているが、これは必ずしも組合員の特徴だけではなく、純粋なインパクトとは言えない可能性はある。最後に、国際認証制度の取得を通したコーヒーの生産・販売に取り組む小規模農家組合員の方がメンバー以外の農家に比べ、確実に、well-beingの向上に繋がっているとの調査結果を得た。しかし、国際認証制度はいい面ばかりではない。もちろん、これは国際認証制度を取得した組合員だけの問題ではないが、コーヒーの価格が安定、又は、上昇することによって小規模農家がコーヒー生産に特化してしまい、それまで、自家生産をしていた食糧生産を減らす傾向が明確となった。フードセキュリティーの問題の深刻さが明らかとなった。今後は国際認証制度の負の側面を考慮に入れながら制度設計を行う必要性があることが明らかとなった。
著者
土井 正男
出版者
公益財団法人豊田理化学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

印刷・塗布・乾燥などの工業プロセスにおいて、ソフトマターの界面や接触線近傍の微小領域におけるレオロジー現象は極めて重要である。本研究では、界面近傍で起こるレオロジー現象をソフトマターのミクロ構造と結びつけて理解することを目的とする。平成24年度は以下に述べる研究成果を挙げた。(1)粘着剤やゴムなどの高分子弾性体と基板界面で見られる粘着、剥離現象:対称な平行基板にはりつけた両面テープを平行に引き離した時の粘着剥離の様子を観察し、剥離における中芯の影響について理論的な解析を行い、剥離エネルギーを最大にするには、適度な曲げ弾性を持つことが必要であることを示した。(2)高分子溶液の乾燥にともなうスキン層の影響:シャーレの中に置かれた高分子溶液が乾燥するとき、溶液表面にスキン層と呼ばれる膜ができることがある。スキン層ができると、内部に泡が生成されることがしばしば観察されるがその原因についての詳しい研究話。本研究では、乾燥にともなう泡の成長と高分子溶液内部の圧力変化の測定から、泡が溶液に溶けている空気によるものであることを示した。(3)粘性流体から基板を引き上げた時、一定速度以上では、流体は完全に基板を濡らすことが知られているが、我々は、ある種の粘弾性流体においては、臨界速度を超えると逆に脱濡れが起こることを見出した。この現象についての理論的な仮説を提示し、臨界速度の見積もりを行い、仮説の正当性を検証した。
著者
岩佐 峰雄 的場 梁次
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

Y染色体上のSTR多型による親子鑑定システムの開発の一環として、本年度は特にDYS390の日本人集団におけるアリル頻度を調査した。血縁関係のない日本人117名の血液からChelex-100によりDNAを抽出した。PCR増幅は3ngの鋳型DNAを用い、総量25μlの反応液中で定法に従って行った。用いたプライマーは、P1:5'TATATTTTACATTTTTGGGCC3'およびP2:5'GACAGTAAAATGAACACATTGC3'で、型判定はポリアクリルアミドゲル電気泳動と銀染色によった。また、各アリルの塩基配列は、Dye Terminator Cycle Sequencingキットによった。今回の調査で認められた6種類のアリルの塩基配列は、5-primer(23bp)-27bp-(CTAT)_2-(CTGT)_8-(CTAT)_n-CTG(TCTA)_3-TCAATC-(ATCT)_3-25bp-primer(22bp)-3'であり、CTATの4塩基(アンダーラインで示した)の繰り返し数は8回から13回(即ち、n=8-13)で、各アリルの総塩基数は、8;202bp;9;206bp;10;210bp;11;214bp;12;218bp13;222bpと算出された。CTATの繰り返し数を各アリルの名称とすると、アリルの出現頻度は、8;0.017;9;0.154;10;0.248;11;0.291;12;0.239;13;0.051であり、以前調査したドイツ人集団における成績(8;0.026;9;0.158;10;0.263;11;0.368;12;0.175;13;0.051)との間に有為な差は認められなかった(x^2=5.370,df=5.P>0.05)。一方、DYS389の日本人集団におけるアリルの頻度は、DYS389Iでは、8:0.018;9;0.161;10;0.268;11;0.527;12;0.027であり、DYS389IIでは、23:0.029;24:0.105;0.229;26:0.324;27:0.248;28:0.048;29:0.010;30:0.010であった。Jones(1972)によるDiscrimination powerはDYS389Iでは0.624、DYS389IIでは0.767で、両者のCombined discrimination powerは0.912と算出された。ダイレクトシークエンス法でDYS389アリルの塩基配列を決定しようとすると、判読不可能な個所が複数個所あらわれ、各アリルの塩基配列の全体像を把握することはできなかった。Y染色体上のSTRの法医学実務における応用として、司法解剖得た膣内容からDYS390およびDYS389の検出を試みた。試料とした15例のうち4例でDYS390の増幅が認められ、これらの試料では顕微鏡検査によって精子も確認された。なお、DYS389はいずれの試料でも増幅することができなかった。次に環境変化の影響を検する目的で、加熱処理した歯牙から得た歯髄よりDNAを抽出し、DYS390およびDYS389の検出を試みた。DYS390は、300℃2分の加熱では6例全例で、400℃2分の加熱では7例中1例で増幅可能であった。海中にほぼ1年間放置され、白骨化した遺体の長官骨骨髄のDNAについてDYS390が増幅可能であった。Y染色体上のSTRによる親子鑑定では、父親と男子間のみに限定されるものの、そのシステムは極めて単純化される。即ち、男子の型から父親の型は常に1つに決定されるので、母子結合確率と擬父と同じ遺伝子型の真の父の出現頻度は等しいことから、父権肯定確率=1/(1+擬父の型の遺伝子頻度)として計算されることとなる。
著者
松井 大輔 尾崎 悦子 渡邉 功 小山 晃英 栗山 長門 上原 里程
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

申請者らは2003年より前向き研究として約500名(現在平均年齢:74.8歳、5年毎の追跡調査)のコホート集団を対象とした脳ドック検診を実施し、生活習慣・動脈硬化症・口腔内細菌と認知機能低下や大脳白質病変・微小脳出血との関連を明らかにしてきた。本研究は、これまでの申請者らの研究成果を基に、認知機能低下、脳の器質的変化、腸内細菌叢および口腔内状態と、唾液中の口腔内細菌叢(16Sメタゲノム解析)の関連を明らかに、解明を目指すことを目的とした。得られる研究成果は超高齢社会で増加する高齢者の認知症、脳血管疾患を口腔衛生の観点から予防するエビデンスとなり、ひいては口腔保健施策の発展に寄与する。
著者
櫻井 義秀
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、第一に、現代の情報化社会で言説がいかに生成されるか、その過程をオウム真理教事件に関わる言説に則して見ていき、現在流通している様々な言説を共通の概念枠組みで記述した。第二に、オウム真理教がなぜかくも急速に信者を獲得・動員して犯罪を行い得たのかという疑問への説明として最も流布し、しかも社会的影響力を持ったマインド・コントロール論を取り上げ、オウム真理教現象の構成のされ方、論者の視点の問題点を社会学的に吟味した。また、川瀬カヨ氏によって設立された天地正教が、1995年に十勝清水町御影地区において教団の宿泊施設を建設しようとしたが、地域住民の反対運動が起き、町議会も建設中止の陳情を採択するに至った。天地正教は1988年の宗教法人化以来、霊感商法との関係が弁護士会等で問題にされていたが、1996年の弥勒祭、浄火祈願祭において二代目教母が下生した弥勒として統一教会の創始者文鮮明夫妻を迎えると宣言した。本事例は、新宗教教団が地域社会にいかに定着していくかという問題を示していたが、天地正教はこれに失敗した。本論文集には、上記の2論文以外に、新宗教教団の形成過程と地域社会変動の当初の研究対象教団であった、天照教調査の経過報告と、猪瀬優理「宗教とジェンダー -創価学会を事例に-」、大倉大介「情報受容に関する一考察-オカルトに関する情報を中心に-」、蔭山茂樹「新宗教教団における入信・回心・献身-統一教会・原理研究会を事例に-」の4論文を加えて、現代宗教を考察する視角を多方面から検討してある。
著者
奥中 康人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

19世紀後半の日本に流入した西洋楽器のラッパ(Bugle)が、静岡県(浜松市)と長野県では祭礼行事として結びつき、現在ではもはや民俗楽器であるかのように定着している実態について、資料調査およびフィールドワークをおこない、今に至る歴史的・社会的背景を明らかにした。さらに、従来の音楽研究が、そうした動態的な新しい民俗芸能の発展を間接的に阻害していることについて考察をした。
著者
二宮 祐 小島 佐恵子 濱嶋 幸司 小山 治 児島 功和
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

「新しい専門職」は大学改革が推進されるなかで、主として米国の高等教育機関における新興専門職が参考とするべきモデルとされたうえで、日本への導入が図られた。ファカルティ・ディベロッパー、キャリア支援・教育担当者、インスティテューショナル・リサーチ担当者、リサーチ・アドミニストレーション担当者、産官学連携コーディネート担当者を対象とした聞き取り調査、質問紙調査の結果から、必ずしも十分には目標を達成することができず、職能形成にも課題があることが判明した。
著者
中根 俊成 樋口 理
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

自己免疫性自律神経節障害(AAG)では自律神経節におけるアセチルコリン受容体( gAChR)に対する自己抗体が陽性になることが知られている.自律神経節に存在するAChRはα3サブユニットとβ4サブユニットから構成され,交感神経・副交感神経いずれにおける節前後線維のシナプス伝達を仲介する.われわれはルシフェラーゼ免疫沈降システム(LIPS)による新規の抗gAChR抗体測定系を確立した.臨床像解析では起立性低血圧を初発症状とするものが多く,自律神経障害として頻度の高いものは消化管障害,起立性低血圧・起立不耐,排尿障害である.自律神経系外症状として内分泌障害や精神症状などに注意する必要がある.
著者
堅田 香緒里 佐々木 宏 山内 太郎 大岡 華子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、1940年代後半以降、長年、貧困/生活困窮当事者による社会保障運動として全国各地で活動を続けている「生活と健康を守る会」(以下、守る会)に光を当て、貧困当事者の<声>の政治の一端を明らかにしようとするものである。そのために、守る会による発行物の分析、そして「守る会」運動に深くコミットしてきた関係者への聞き取り・語りの分析を行う。これらの作業を通して、戦後日本において、とりわけ貧困/生活困窮当事者の手になる運動が、①どのように当事者の組織化を行い、②ボトムアップ型の社会保障政策形成を促し、③貧困当事者中心のソーシャルワーク実践に影響を与えたのかの三点を実証的に明らかにしたい。
著者
松浦 稔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

食事は炎症性腸疾患(IBD)における有力な環境因子の1つである。腸内細菌は腸炎の発症および慢性化に重要な役割を果たし、鉄は細菌の増殖・生存および毒性維持に必須である。IL-10KOマウスに鉄含有量の異なる食餌を与えた結果、鉄制限食群で組織学的腸炎の軽減と炎症性サイトカインの発現低下を認めた。また盲腸内の腸内細菌数は両群間で有意差を認めず、腸内細菌叢の組成に差を認めた。in vitroの検討にて、鉄負荷を受けたE.coliはJ774細胞内におけるsurvivalが延長し、炎症性サイトカイン産生も有意に高かった。以上より、鉄は腸内細菌叢の組成と毒性変化を介してIBDの病態に関与することが示された。
著者
臼井 洋輔 馬場 俊介 三好 教夫
出版者
吉備国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国では山城から平城への移行という中世末期の社会的要請の中で、新しい大型矢穴による石切技法が劇的に全国に普及した。この大型矢穴技法の導入時期とルート解明を目指したのが本研究である。