著者
伊藤 弘明 岩崎 基 原田 浩二
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

ここ数十年で乳がんの年齢調整罹患率は著しく増加してきたが、乳がんの原因はその既知の危険因子だけでは半分程度しか説明できないとされている。一方、新規な環境汚染物質である有機フッ素化合物への曝露が乳がん発生に関与している可能性が注目されている。しかしながら世界的にもデータが乏しく、国際機関が発がん性を評価していない有機フッ素化合物も多い。既存の疫学研究では異性体別に研究しておらず、南半球での研究例もまだない。これまで日本人女性において有機フッ素化合物が乳がんの発生に及ぼす影響の解明を進めてきたが、これに加え、本研究ではブラジル人女性における症例対照研究を行い、国際比較と統合解析を行う。
著者
藤田 尚 茂原 信生 松井 章 鈴木 隆雄
出版者
新潟県立看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

現在まで、韓国の古人骨研究でまとまったものは、日本の古墳時代初期に相当する礼安里人骨の報告があるのみと言って良いだろう。しかし、礼安里人骨は個体数こそ70個体を数えるが、保存状態が良好なものはごくわずかであった。しかし、平成16年度から調査研究を行った勒島人骨は、礼安里人骨の時代をさかのぼること約400年。日本の弥生時代の中期初頭に相当し、しかも極めて保存状態が良好な個体が数多くある人骨群であった。また、当時の韓国にどのような疾病が存在したかと言う観点での研究は、現在まで全くなされていない。結核の起源など、渡来人によって日本に持ちこまれた疾病を解き明かすことは、昨今の古病理学の大きな課題であり、日本、韓国を始めとする、東アジアの疾病史の研究においても、非常に価値が高いものであった。以上のように、平成16年度より、基盤研究(C)「韓国勒島出土人骨に関する形質人類学的研究」を行い、日本の弥生時代中期相当の、韓国南部の人骨の形質や古病理学的分析を進めてきた。その結果、当時の日本と韓国は、文化的・人的交流が非常に盛んであったことが、明らかとなった。一例を挙げれば、勒島遺跡からは、日本の弥生土器(須玖I式、II式土器など)が多数出土し、恐らくは、日本の土器が搬入されたのではなく、「日本人が移住していた」と考えられる。人骨の形質は、概ね北部九州地方から出土する「渡来系弥生人」に類似するが、男性で変異が大きく、女性で変異が小さいという特徴を持つ。この傾向は、礼安里人骨、土井ヶ浜人骨には共通するが、金隈人骨の女性は変異が大きく、違った傾向を持つ。
著者
石 純姫
出版者
苫小牧駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

前近代期末期から近代期初期、戦時期、戦後においての朝鮮人の移住と定住化の形成過程について調査を行った。北海道においてはアイヌ民族との非常に緊密な繋がりを確認した。また、北海道立文書館から明治16年、朝鮮人に対して、鳥獣猟を許可する公文書を発見した。これは明治初期における朝鮮人の定住化を示唆するものと考えられる。朝鮮人の移住と定住化は、幕末や明治期の早い時期から進んでおり、従来の説を根底から覆すものと考える。また、歴史的背景は異なるが、サハリンにおける朝鮮人とアイヌ民族、その他の先住民との繋がりとアイデンティティーの重層性と複雑さを考察した。
著者
安達 登 坂上 和弘 澤田 純明
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東京都、千葉県、長野県から出土した縄文時代人骨合計23個体について、新規開発したミトコンドリアDNAの一塩基置換検出法を用いた解析をおこない、17個体の解析に成功した。観察されたハプログループの種類およびその出現頻度は北海道および東北縄文時代人に類似していたが、サブハプログループのレベルでは、従来検出されなかった遺伝子型も確認された。本研究の結果は、いわゆる「縄文人」を遺伝的に均一な集団として捉えることが難しいことを示唆しているものと考えられた。
著者
長廣 利崇
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

大学で得られた学びが職業にどのように活かされているのだろうか。比較的データを集めやすい「今」を対象とした研究は多いが、過去にさかのぼってこれを検討した研究は少ない。我々の生きる「今」は、過去の蓄積から成り立っているため、歴史的視点が重要になる。この研究は、第二次世界大戦以前における日本の高等教育(とくに文系の教育)を受けた学生・生徒の学びが職業にどのように結びついたかを検討するものである。この研究によって戦前期のイメージを掴み、「今」をより深く知ることができよう。
著者
浅井 隆志 野崎 智義 佐貫 潤一
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

Toxoplasma gondiiに特異的と考えられていたジチオスレイトールにより活性化されるヌクレオシド三リン酸加水分解酵素(NTPase)が最近新種として登録された細胞内寄生原虫Neospora caninumにも存在ことを明らかにした。この酵素(NcNTPase)の遺伝子の塩基配列を調べたところ、予想アミノ酸数は626でT.gondiiのそれより2残基少なく、545と546番目のアミノ酸が欠落していること、NcNTPaseには二つ以上のサブタイプがあることが判明した。またNcNTPaseはT.gondiiに二つあるNTPaseアイソザイムのNTPase-IおよびNTPase-IIと約69%のアミノ酸配列が相同であった。また酵素学的性質はNTPase-Iに似ていた。このNcNTPase遺伝子組換体を作製し、ヒトIgG抗体との反応性を酵素抗体法(ELISA)で調べた。健常人のIgG抗体とNcNTPaseは反応せず、色素試験陽性者(T.gondii感染者)のうち一部のIgG抗体だけがNcNTPaseに反応し陽性であったが、しかし殆どのIgG抗体は全く反応しなかった。一部の陽性例は当然N.caninum感染が疑われたが、両虫体の全抗原を用いたウエスタンブロット法による精査の結果、両感染者ともNcNTPase以外のN.caninumのどの抗原とも反応しないが、多数のT.gondii抗原と反応することから、この陽性例のN.caninum感染は否定された。このことから、NcNTPaseはN.caninumのエイズなど免疫不全患者における人体寄生例の検索に有用な抗原であることが示唆された。
著者
能川 元一 河野 哲也 中村 雅之 信原 幸弘
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1.J.J.ギブソンの生態学的知覚論、F.J.ヴァレラのEnaction理論はいずれも伝統的な実在論/観念論という存在論的な二項対立を超えた存在論、客観主義/主観主義という認識論的な二項対立を越えた認識論を要求しており、これらはメルロ=ポンティが自らに課した哲学的な問いと同型である。2.それゆえ、メルロ=ポンティに依拠しつつギブソン、ヴァレラらの認知科学に哲学的な基礎を与えることができる一方で、メルロ=ポンティの存在論、認識論を解釈しなおす可能性も生じる。研究分担者河野はメルロ=ポンティとギブソンの存在論を「性向の実在論」として再定式化することを提案している。3.また、研究分担者信原は心脳同一説への批判として、認知は脳、身体、環境からなるシステムによって担われていることを、コネクショニズムの立場から明らかにした。また研究代表者能川が分担して研究したEnaction理論の見地からすると、コネクショニズムを身体-環境というシステムの中に位置づけることにより、ギブソンやヴァレラらが主張する反表象主義の立場とコネクショニズムとを整合的に理解する可能性が開ける。後者については、今後さらに研究を継続する予定である。4.研究分担者中村は「心の理論」論争がもたらした知見を認知意味論の解釈にとりいれることにより、認知意味論に欠けていた意味の間主観的生成という側面を記述することが可能になることを示した。また研究代表者能川は関連性理論をある種の「心の理諭」として捉えなおし、コミュニケーションを「表象」ではなく「行動」の観点から理解しなおす可能性を検討したが、これについては今後さらに研究を進める必要がある。
著者
小寺 智史 磯部 哲 岡田 希世子 奈須 祐治 高 史明 成原 慧
出版者
西南学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究は、補完代替医療(CAM)をめぐる情報流通の現状と課題を体系的かつ包括的に明らかにし、日本における適正な法的統制の在り方を考察し、提言することを目的とする。そのために、CAMに関する情報流通を、①多様な主体による社会全体へのCAM言説の拡散、②健康食品事業者、その他CAM関連事業者、医薬品メーカーによる消費者への情報提供、③事業者による医師への情報提供及び情報を受けた医師から患者への情報提供、④国による国民(消費者)へのCAMに関する情報提供、ならびに⑤CAMに関する国境を超える情報流通及び基準設定という各領域に区別し、情報流通の適正化に向けた法的統制の在り方を考察する。
著者
白井 章代 森下 章司 東村 純子
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

古代日本において最も高貴な色とされた紫染について、絶滅危惧種に指定されている日本原産ムラサキの栽培実験、『延喜式』ほか史料や紫根関係木簡に記された素材と量の意味の検討、条件を変えて染色サンプルを作成する各種実験、それらを総合して一疋の「深紫」を再現する染色実験を行った。実験過程において、『延喜式』や出土木簡に記された素材の役割や量の意味を検証し、紫根染めに必要な素材の条件や技術を確認した。紫根栽培の管理と移送法、素材の確保、各種工程の必要条件など、古代国家管理において成立しえた紫根染生産の特質を明らかにした。
著者
和久田 智靖 横倉 正倫 間賀田 泰寛 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

統合失調症は、20歳代に発病する主要な精神疾患である。症状には陽性症状(幻覚妄想)、陰性症状(感情の平板化など)、認知機能障害(記憶力障害など)があり、陰性症状と認知機能障害に対する治療法は未だ確立されていない。喫煙(ニコチン)が統合失調症の陰性症状や認知機能障害を改善させるという報告を手掛かりに、本研究では、PETを用いて統合失調症者のニコチン受容体と活性化ミクログリア結合能を測定することで、新たな創薬標的を創出することを目指す。
著者
村尾 忠廣 新美 成二 新山王 政和 南 曜子
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、裏声を視点としてジェンダーの問題を学際的に問い直そうとしたものである。以下、今回の研究で明らかになったことについて述べる。1)男性の歌声が80年代後半から急激に高くなってきていることを、日本の歌謡曲の音域のデータを解析して明らかにしたこと。2)男性の高音化と女性化、ユニセックス化がリンクしていたこと。3)男性の高音化には、裏声の活用が関わっていること。4)裏声と頭声、ファルセットなどの用語を歴史的、音声生理学的に整理、解明をはかったこと。5)カウンターテナー、カストラートなど西洋音楽における男性ファルセットを歴史的、社会的にとらえなおしたこと。6)フォーマルとインフォーマルな場では、日本の女性が今なお声のピッチを区別し、公の場所でキーを上げて女らしさを見せようとする傾向にあること。7)学校の音楽教育においては、声による芸術が混声合唱中心となっており、そのため男性が裏声を使うことができない状態にあること。8)平成13年に、国際シンポジウム「International Symposium on Falsetto and Gender」を開催したこと。9)国際シンポジウムの開催によって、日本で現在おこっている声とジェンダー意識の変化が世界的に共通していること、また、その中で何が日本で特に顕著な傾向であるかを明らかにしたこと。以上のように今回の研究は、多分野にわたり、数多くの副次的テーマが広がっている。そのため、鳥瞰図的な研究成果になった嫌いはあるものの、裏声とジェンダーの関係を包括的に扱った最初の研究と言えるだろう。
著者
福岡 徳馬
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究では、レジリンの代表的な3種類の繰り返しアミノ酸配列(AQTPSSQYGAP等)がそれぞれ単一、または異種配列がブロック毎に繰り返されるハイブリッドポリペプチドを、生物学的重合法により合成する。続いて酸化還元酵素等を用いて、得られたポリペプチド中のチロシン残基の酸化カップリングを行い、種々の架橋ポリペプチドを得る。さらに架橋前後のポリペプチドからフィルム及びハイドロゲルを作製し、熱物性、機械的強度の評価、粘弾性測定等を行う。これらの解析結果からポリペプチドの構造-物性相関を明らかにし、天然レジリン以上の高復元力、高耐久性を示す最適構造のポリペプチドを提供する指針を得る。
著者
長澤 唯史 立岡 浩
出版者
椙山女学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

北米地域の研究および調査では、日本で流通するコンテンツがほぼリアルタイムに海外でも受容・享受されている現状が明らかになった。またインターネット利用者の多くを占める若年層においては、日本語はさほど大きな障害と考えられていない。日本のポップカルチャー・コンテンツは、普遍的なジャンルとしての地位を確立しつつある段階にすでに入っている。
著者
鍋倉 賢治 徳山 薫平 榎本 靖士 丹治 史弥
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

長距離競走の成否には、エネルギーを供給する能力(最大酸素摂取量:VO2maxなど)だけでなく、エネルギーを節約(省エネルギー)して走る能力が重要となる。本研究では、エネルギーを節約する能力として、走の経済性(RE)と脂質代謝について着目した。REに関して、①高強度におけるREの測定法を確立した。②REとVO2maxを縦断的に追跡し、両者は同時に向上せず、片方が向上するともう一方は低下することを明らかにした。脂質代謝に関して、③運動時の脂質酸化動態は、事前の貯蔵エネルギーの状態、運動プロトコールに影響される。④高強度運動を行なわせることで、その後の運動時の脂質酸化量が増大することを明らかにした。
著者
岩井 將
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012

本年度は、膵臓におけるアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)の分布と、その役割についてACE2欠損マウスを用いて検討した。1)膵臓におけるACE2およびMasの発現と局在:野生型マウスの膵臓を採取し、ACE2およびMasのmRNA発現をリアルタイムRT-PCR法により検討すると、これらが膵臓においては、心血管に比して多く含まれていることが判明した。さらに、免疫染色にてACE2とMasそれぞれの局在を調べると、ACE2は膵臓のランゲルハンス島に限局して発現しており、しかもグルカゴンと共存することが分かった。一方、Masの発現はランゲルハンス島よりも外分泌細胞に多く染色された。マウスを絶食させた後膵臓のACE2発現を調べると、絶食によりラ氏島のACE2は増加することが分かった。Mas発現はほとんど変化しなかった。2)絶食時の膵ホルモン分泌に及ぼすACE2欠損の影響:上記の結果から、ACE2が膵ホルモン分泌に関わる可能性が考えられたため、ACE2欠損マウスを用いて絶食を行い、その時の血中インスリン及びグルカゴンの濃度変化を計測し野生型マウスと比較検討した。野生型マウスにおいては、絶食24時間目から48時間目にかけて血中インスリンは著明に低下した。一方血中グルカゴンは絶食24時間目に増加が認められた。これらに対し、ACE2欠損マウスでは絶食後のインスリン低下が野生型マウスよりもさらに著しく、また血中グルカゴンは絶食前においてすでに高値でありまた絶食によっても変動しなかった。3)絶食後の再摂食による膵ホルモンの変動とACE2の役割:マウスを24時間絶食させた後、再摂食をさせると、1時間後には野生型マウスでは血中インスリン分泌が増加し、グルカゴン分泌は低下する。ACE2欠損マウスにおいては、血中インスリンは再摂食によって増加したが、血中グルカゴンレベルは再摂食により、著明に増加するという反応が認められた。これらの結果から、膵臓においてACE2はラ氏島に限局して分布し、グルカゴン分泌細胞に共存して存在して血中グルカゴンに分泌に重要な役割を果たすと考えられる。Masについては、その分布から現在のところは特定の役割を推測することができなかった。このような膵組織ACE2/Masの意義に関しては、今後さらに詳細な検討が必要である。
著者
佐藤 勉 田中 とも子
出版者
日本歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

水道水のフッ化物濃度調整(fluoridation)があり、公衆衛生学上優れたう蝕予防法である。わが国においても、地域住民の合意等を前提にfluoridationの実施が可能となった(2000年、厚生労働省)。国内では安全な水の供給に関心が高まっており、浄水器を設置する家庭が増加している。したがってfluoridationが実施された場合、浄水器通過後のフッ素(F)濃度を検討する必要がある。本研究では家庭用浄水器に多く使用されている2種類の濾材を用いて浄水装置を作製し、F濃度に及ぼす影響を検討した。家庭用浄水器の濾材として用いられている活性炭フィルターと中空糸膜フィルターを用いて、簡易浄水装置を作製した。NaFを純水および水道水に添加し、種々のF濃度(0.1〜10mg/L)の試験溶液を調製した。ついで浄水装置通過後の試験溶液とフィルター中のフッ素濃度を測定した。活性炭フィルターを用いた浄水装置通過後のF濃度は、すべての試験溶液で通過量10Lまでは通過前のおよそ1/10の濃度であった。その後通過量が多くなるにしたがって、F濃度は上昇した。中空糸膜フィルターを用いた浄水装置では通過前後のF濃度に変化がみられなかった。実験終了後の活性炭フィルター中に高濃度のFが含まれていた。以上より、活性炭フィルターを使用した家庭用浄水器はfluoridation後の水道水中のF濃度に影響を及ぼすことが明らかになった。従って、fluoridationによるう蝕予防効果を確実にするためには、使用する浄水器の種類を考慮する必要があることが明らかにされた。なお、F以外の陰・陽イオンについては、Cl、MgとCaは活性炭フィルターと中空糸膜フィルターに吸着されることが示された。その他のイオンについては明確な結果が得られなかった。
著者
櫻井 鼓
出版者
追手門学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

15歳以上22歳以下を対象としたオンライン調査を実施して、自画撮り被害(児童が脅かされて自分の裸体を撮影させられ、メール等で送らされる形の児童ポルノ被害のこと。)の経験割合と精神的影響、自画撮りの画像を送信するに至った心理・社会的要因を明らかにする。さらに、調査で得たデータに基づき、保護者や教師が被害予防のために早期にとるべき対応の指針を発見し、被害予防教育のための教材を作成する。
著者
胡 潔
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、蔭位制など律令官人制を軸にして形成された父系観念の形成過程を歴史的に考察し、その外来的、人為的な性格を明らかにすると同時に、居住面では訪婚、妻方居住、独立居住の三形態が内的連続性を持って段階的に移行し、夫方居住は不在であったことを明らかにした。古代日本社会に見られる制度上の父系的偏向と居住上の母方偏向は、父系社会の観念、制度が移入された後に現れた双系社会の反応であり、一種の複合的文化現象として捉えられる。
著者
栗原 千枝 穂苅 量太
出版者
防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

炎症性腸疾患 (IBD) は原因不明の難治性疾患であるが、病因の一つとして食べ物や腸内細菌などの環境的要因による消化管免疫バランスの破綻が想定されている。近年、加工食品用添加物の一つである乳化剤が、動物モデルの腸内細菌叢を変化させ、腸炎を引き起こすことが報告された。本研究では、乳化剤がどのような機序で腸内環境バランスを破壊し腸炎を誘発するのかを解明し、IBDの予防や治療に結びつけることを目指す。