著者
上出 寛子 大坊 郁夫 趙 〓珍 高橋 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HCS, ヒューマンコミュニケーション基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.385, pp.33-38, 2005-10-27
被引用文献数
10

社会的スキルが, 顔面表情時の顔形態特徴に与える影響について, 韓国人の大学生を用いて検討を行った.84名の大学生(男性37名, 女性47名)が真顔・幸福・怒りの表情を表出し, 各表情を3次元計測器を用いて撮影した.各表情の顔形態特徴と社会的スキルとの関連を調べた結果, スキル得点が高いと, 口や顎周辺と, 目や眉毛周辺という顔の上下部位の表情が豊かであるということが示された.男女別の検討では, スキル得点の高い男性は, 口や顎周辺の表情が豊かであり, スキル得点の高い女性は, 目の表情が豊かであることが示された.また, 社会的スキルの判別分析では, 男性の方が女性よりも表現力の識別には多くの顔形態部位が必要であり, また, 男女共に目の周辺や顎, 口の周辺の表情が重要であることが明らかとなった.さらに, 目の周辺や鼻, 眉の動かし方が豊かであると, 基本的なスキルが高いことも明らかとなった.
著者
李 尚 高橋 宣明 武部 幹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.27-36, 1993-01-25
被引用文献数
28 9

本論文は雑音に埋もれた単一正弦波の検出を目的とする確率こう配法を用いたIIR形適応帯域通過/阻止ディジタルフィルタの収束速度を高くし,かつ収束後のフィルタ特性を安定化させる新しい方法について述べる.まず,IIR形適応帯域通過フィルタの収束速度とフィルタの選択度Qとの関係を解析し,その結果に基づいて,フィルタの中心周波数f_0と検出目標の正弦波周波数fとの距離に逆比例するように,フィルタのQと適応制御信号発生回路のQを連続可変することにより,f_0のfへの収束速度を速め,かつ分解能を高くできるアルゴリズムを見出した.次に適応制御信号発生回路の振幅特性の最大値を適応的にsin2πfに比例する値に制限すれば収束後の係数変動を効果的に抑制できることを見出した.このようにするとQの高いIIR形適応フィルタを容易に実現できる.また,上記に加えフィルタ係数補正のステップサイズをフィルタのQと連動させて連続可変する更に高速かつ高安定の適応アルゴリズムを提案する.IIR形適応帯域阻止フィルタの構成も与える.最後に,提案した適応アルゴリズムの有用性を計算機シミュレーションで確認する.
著者
岩澤 昭一郎 海老原 一之 竹松 克浩 坂口 竜己 大谷 淳
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解
巻号頁・発行日
vol.98, no.394, pp.15-22, 1998-11-12
被引用文献数
15

本報告では, 人物の姿勢を画像解析により推定し, CGキャラクタにより実時間で再現することが可能な"Shall We Dance?"システムについて述べる.筆者らは既に, 単眼画像を用いた非接触な人物の姿勢推定手法を開発したが, 姿勢推定結果は2次元的であった.本報告では既提案の単眼像アルゴリズムを多眼画像へと発展させる.まず, 各画像におけるシルエット領域とその輪郭のヒューリスティックスに基づいて頭頂・手先・足先の各特徴部位を実時間で検出し, それら結果を用いて3次元復元を行なうことで姿勢を推定する.併せて本手法の有効性を実験により示す.
著者
平賀 裕 斎藤 善行 森島 繁生 原島 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HC, ヒューマンコミュニケーション
巻号頁・発行日
vol.93, no.439, pp.1-8, 1994-01-26
被引用文献数
25

音声に含まれる基本的感情を分析するため、演劇経験者に感情を込めて単語音声・短文音声を発声してもらい、それぞれに関して分析を試みた。本研究では扱う感情を「怒り」「喜び」「悲しみ」「嫌悪」の4種とし、「平静」音声と比較を基に今まであまり行なわれていなかったピッチ周波数・振幅の変化パターンの検討を中心に分析を行った。またより豊かな感情分析のためにFMラジオから感情音声を採取し、主観評価した後同様の検討を加えた。その結果、矛盾点も皆無というわけではなかったが、相互に多大なる共通項を見いだすことが出来た。
著者
寺島 裕貴 岡田 真人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.461, pp.325-330, 2011-02-28

神経細胞の受容野が秩序を持って並ぶ地図構造は大脳皮質感覚野に共通の特徴として知られるが,整然とした一次視覚野(V1)のレチノトピーに対し,一次聴覚野(A1)のトノトピーは乱雑であることが明らかになってきた.一方,過去の研究はV1とA1で見られる受容野構造の違いが自然界の刺激が持つ統計性の違いの反映に過ぎないことを示唆している.そこで我々は,この地図構造の乱雑さの違いもまた,自然刺激の統計性の違いの反映であるという仮説を提唱する.本研究では,V1のモデルであるトポグラフィック独立成分分析を「聴覚らしい」刺激に適応させることで,同モデルがA1のように乱れた地図も生成し得ることを示す.
著者
山村 清隆 大熊 秀明 井上 靖秋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.333, pp.43-48, 2003-09-22
被引用文献数
1

パス追跡回路は,「式を回路で記述する」という逆転的発想に基づく方法論である.すなわち,一般に非線形システムの数値解析ではシステム(例えば回路)を方程式で記述し,それに数値解法を適用するが,パス追跡回路の方法では数値解法の式を回路で記述し,それに回路シミュレーショタSPICEを適用する.それにより手軽でプログラミングのいらない数値解析を実現することができる.また,SPICEに搭載された様々な手法が数値解析の効率を大幅に向上させることが期待される.本稿では,ホモトピ一法(MathematicaやMATLABにはない機能)の公式を記述するパス追跡回路を,回路解析以外の問題,具体的には不動点問題,非線形境界値問題,線形計画問題(主双対内点法),非線形計画問題,通信路容量の計算問題などに応用する.これらは古くからのホモトピ一法の応用分野であると同時に,ホモトピ一法の大域的収束性が証明されている分野で,これにより応用数学やオペレーションズ・リサーチの分野に新しい方法論を導入できることが期待される.
著者
吉田 幸弘 宋 宝玉 奥畑 宏之 尾上 孝雄 白川 功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.765-771, 1997-05-25
被引用文献数
4

本論文では, オブジェクトコード圧縮によるプロセッサの低消費電力化手法について, 特に組込み用プロセッサへの適用を前提として考察する. 本手法は, 実行するプログラムに対し, 重複する命令を単一化して圧縮し, これによって生成された疑似コードからオブジェクトコードを再編成する命令伸長回路を付加的に構築するものである. この命令伸長回路とプロセッサコアを1チップ内に集積化することにより, 外部メモリとのインタフェースで必要となる帯域幅を削減することができ, 低消費電力化が大幅に達成できる. 実験結果では, 例えば, 32bitRISCプロセッサARM610に本手法を適用した場合, 62.5%のコード圧縮が得られ, 命令メモリでの消費電力が42.3%削減でき, 更に, 付加的に実装した命令伸長回路の面積は0.983mm^2であった.
著者
安藤 真也 竹内 義則 松本 哲也 工藤 博章 大西 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.709, pp.1-8, 2002-03-07
被引用文献数
5

この論文では,聴覚障害者のために環境音の中から警告音を識別し使用者に伝えるシステムについて述べる.音源識別処理の概要は次のようである.まず入力音に対し短時間FFTを行うことにより周波数情報に変換し,それを固有空間へ投影することにより特徴抽出を行う.そして,特徴抽出された入力音のオンセットからオフセットまでのデータ,それが3秒以上の時はオンセットから3秒間のデータに対し,隠れマルコフモデルを用いることにより入力音の識別を行い,識別結果を画面出力することにより使用者に伝える.以上の識別処理を計算機に実装し,6種類の警告音(サイレン,非常ベル,警笛,踏切,クラクション,救急車)を識別対象音源として実験を行ったところ,一10dBの雑音環境においても94%の識別率を得ることができた.
著者
梶本 智仁 八木 竜 西谷 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム
巻号頁・発行日
vol.110, no.439, pp.375-376, 2011-02-24
被引用文献数
4

本研究では多重解像度Walsh変換及びその特徴量を求めるIPcoreの設計を検討する。このTPコアは動的背景に強く演算量の少ない多重解像度Walsh変換領域混合ガウス分布前景分離を実行するIPcoreセットの一部となる。このセットは映像コンテンツの理解に対する基本的な前景分離機能であるためモバイル端末にも活用できるようにコンパクトな回路として実現する。演算器の多重使用効率性を上げ、他IPcoreとの接続を簡単にするためプログラマブル・アプローチ方式を用いた。
著者
浜住 啓之 伊藤 泰宏 宮沢 寛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-II, 通信II-無線通信・無線応用 (ISSN:09151885)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.466-474, 1997-06-25
参考文献数
15
被引用文献数
54

本論文では, 将来のディジタル放送の移動受信等の広帯域伝送路における周波数選択性フェージング対策として, 複数のアンテナで受信した広帯域信号を周波数領域においてそれぞれ複数の狭帯域 (サブバンド) に分割し, 各々のサブバンド単位で選択又は合成を行うサブバンド分割スペースダイバーシチ (SB-SD) 方式を検討している. 一例として, SB-SDをOFDMの受信に適用し, OFDMにとって条件の厳しい等振幅の単一エコーモデルおよび3波レイリーモデルにおいて, 誤り率特性の計算機シミュレーションを行った. レイリーモデルにおけるDQPSK-OFDMの誤り率特性をSB-SDなしの場合と比較した結果, SB-SDを構成するアンテナのブランチ数が2本の場合は約17dB, 3本の場合は21dB, 4本の場合は23dBのダイバーシチ利得 (BER=2×10^<-3>) が得られた. また, レイリー環境における多相DPSK-OFDMについても良好な特性が得られ, 受信側に本ダイバーシチを適用することにより, 広帯域信号の移動受信時の特性を大幅に向上できる可能性があることがわかった.
著者
西本 卓也 志田 修利 小林 哲則 白井 克彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.12, pp.2176-2183, 1996-12-25
被引用文献数
32

マルチモーダルインタフェースの枠組みの中で音声入力がどのようにインタフェースの改善に貢献し得るかを検討し,そこで得た知見を生かしたマルチモーダル作図システムS-tgifを作成・評価した.システムの作成にあたっては,インタフェースの原則論に従って音声の特長である操作性および手順連想容易性を生かし,欠点である状態理解容易性,頑健性を他で補うよう努めた.評価実験の結果,システムの利用を開始してまもない時期あるいは一時利用を中断した後などにおいては特に音声の利用効果が高く,課題の完了までに要する時間を約80%に減少できた.ユーザがシステムに熟練すると音声の利用の客観的効果は薄れるが,特定のコマンドでは音声の利用率が90%を超え,また主観評価の結果でも高い評価を得るなど,音声入力はユーザから支持された.このように,インタフェースの原則論に従って音声の効果的利用を考慮することにより,有用なインタフェースを構築できることが示された.
著者
藤高 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-08-13
被引用文献数
2

ディジタル回路もアナログ回路も共に電子回路ではある。大学は近年アナログよリディジタル教育に重点を置いてきたように見える。さらに言えばディジタル技術の中のソフトウェアの学習に偏っていると思える。回路の学習というと、CADツールをコンピュータ上で動かして、シミュレーションを行い、回路動作の確認をするような仮想体験だけやってきました、という新入社員がたくさんいる。忘れてならない事は、仮想体験では理論と思考の正解、不正解は分かっても、現実の世界の繊妙さは全く体験できないという事である。これは丁度、近年問題になっている、コンピュータゲームで自分の世界を作った人間の変質犯罪と、類似の世界と言えるだろう。 どうしてこんな形の教育が増えてしまったのだろうか? 一つには、コンピュータ上で設計をシミュレーションをする方法が、指導が簡単で費用もかからず、また検証も容易な事から、大学として楽である、ということだろう。第二には、偏差値教育の結果、入学する学生が、以前から電子工学が好きだった訳でもないのに、周囲の評判と経歴作りの目的だけで電子工学を専攻する傾向があるように思われる。電子工学科卒業と胸をはって入社した社員が、半田付けのやり方が分かりませんと言ってくる実態には絶望感を抱く。今の大学の先生方は、自分の育てた学生が、うまくいけば一生半田付けができなくても、会社の中で一流の電子工学技術者として、自信を持って働けると思っているのだろうか?
著者
安本 匡佑 坂井 理笑 桐山 孝司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. WIT, 福祉情報工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.368, pp.51-55, 2007-11-28

We are developing a user interface device for better health and creative thinking that allows movements of the waist while maintaining seating posture. Our interface encourages the user to use his/her body while operating a computer. We thought about the improvement of the body as a target of a new interface. Though our interface can be used even in the working environment to operate a computer, we valued the application to the game operation especially. To overcome the current limitations of the gaming interface, we designed a new interface device by focusing on the movement of the pelvis and the waist. We began by modeling the relation between the position of the pelvis and the center of gravity of the upper-body. Posture is calculated by using this model. Then, based on the model we developed a new interface system. We developed the Balance Ball1 as hardware to maintain the seating posture, while allowing the movement of pelvis and the center of gravity. The device also allows bouncing and tapping movements.
著者
坂上 岩太 泉 圭輔 坂口 和志 藤井 雅文
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MW, マイクロ波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.536, pp.7-12, 2004-12-13
被引用文献数
3

90度の奇数培の位相差をもつ2ブランチ、3ブランチ集中定数3dBコダイレクショナル(COD)・ガップラを扱う。均等負荷の集中定数2ブランチCOD・カップラに関しては4通りの構成法が知られている。ここでは分布定数3dBブランチライン・カップラを出発点として、極めて容易にこの4通りの回路を導出する。次に、段数を1段増やした3ブランチCOD・カップラを取り扱う。従来はC7個、L6個よりなる回路、及びこれらの交換回路が知られている。2ブランチの場合と同様の手法により、新しくC9個、L4個の回路を示す。これにより4通りの2ブランチに対応した3ブランチ回路が得られる。また、帯域福の検討も行う。
著者
渡辺 哲也 渡辺 文治 藤沼 輝好 大杉 成喜 澤田 真弓 鎌田 一雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.4, pp.891-899, 2005-04-01
被引用文献数
15

重度視覚障害者のコンピュータ利用を支援するスクリーンリーダには「詳細読み」という読み方が装備されている.これは, コンピュータで取り扱う文字を音声で一意に特定させるため, 各文字にそれぞれ異なる説明的な表現を割り当てたもので, 特に同音の漢字の区別に必須である.この詳細読みの一部にもとの漢字を想起しづらいものがあるという問題が提起されてきた.そこで, まず既存のスクリーンリーダ4種類から教育漢字1006字の詳細読みをテキストに書き起こし, その構成と語彙の観点から, もとの漢字の想起を困難にする要因を考察した.次に, スクリーンリーダを児童が利用した場合の問題を探るため, 詳細読みを聞いて想起した漢字を書き起こさせる実験を小学校で行った.その結果, 8割以上の詳細読みは50%以上の正答率を得た.他方で50%未満の正答率となった詳細読みを, 同じ漢字で正答率の高かった読みと比較・検討したところ, 児童の語彙範ちゅうにない説明語の使用が最も大きな要因であることが分かった.誤答の要因として次に多かったのは, 同音異字のある説明語の使用であった.
著者
今井 哲朗 藤井 輝也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, no.1, 1997-03-06
被引用文献数
2

移動通信の伝搬推定法の有力な方法としてレイトレース法がある. レイトレース法にはイメージング法とレイランチング法があり, 推定精度と計算処理量には大きな差がある. そのためどちらの方法を選択するかは伝搬推定システムを構築する上で大きな課題となっている. 本稿ではイメージング法とレイランチング法の推定精度と計算処理量を比較した結果について述べる.
著者
飯田 泰生 安在 大祐 王 建青
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.497, pp.1-6, 2015-03-05

人体無線網(BAN:Body Area Network)は医療・ヘルスケア分野での応用が期待できる無線通信技術として注目を集めている.その中でもインプラントBANの応用例の一つであるカプセル内視鏡は,消化管内部の画像情報取得に用いられるが,画像に位置情報を付加することで治療効率の向上が期待できる.カプセル内視鏡位置取得の方法として,人体に電界を照射した際に生じる散乱電界を用いた位置推定法が提案されている.しかし,この推定法において,散乱電界を求める際に事前に生体組織の複素比誘電率情報が必要となり,さらには計算量が膨大になるという課題が残されている.このことから本研究では,この位置推定法に遺伝的アルゴリズムを組み合わせることで事前に生体組織の複素比誘電率情報を必要とせずに計算量を減らし,人体内のカプセル内視鏡位置推定の高速化を行った.
著者
辻 正敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.555-558, 2013-05-01

本研究では,屋外防犯用途のマイクロ波センサにおいて,草葉の揺れ物体による誤検知を大幅に減少させる手法を提案する.その手法は,検出物体の移動距離を求め,そのしきい値を設けて判定するものである.Xバンドのマイクロ波センサを用いて草葉の移動距離のデータが採取され,分析が行われる.その結果,検出物体の2秒間の累積移動距離のしきい値を0.4mにしたとき,草葉の揺れに対する誤検知率を従来の受信新号のレベル判定のみを行うセンサと比較して0.0134%程度まで減少させることができた.また,揺れ物体の移動距離は,正規分布に従うため,設定した移動距離のしきい値に対する誤検知率を推定することが可能であることが分かった.
著者
片桐 正敏 河西 哲子 室橋 春光
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.117, pp.39-43, 2007-06-21
被引用文献数
1

Milneらは,高機能自閉症を持つ人たちが健常者と比較して,背側経路における弱い情報システムを持つことを指摘している。自閉症がスペクトラムとしての特徴を持つのであれば,自閉症の診断を持たない広域表現型の人たちにおいても自閉症の持つ視覚処理の特性が見られるのだろうか。本研究は,健常成人を対象に自閉症スペクトラム指数(AQ),社会スキル得点,および運動コヒーレンス閾値を検討した。その結果,AQと社会スキル得点は運動コヒーレンス閾値と相関した。
著者
大沢 寿 岡本 好弘 斎藤 秀俊
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.393-412, 1998-04-25
被引用文献数
73

近年, ディジタル記録機器の高密度化の要望は高まる一方である.本論文では, 対象を磁気ディスク装置やディジタルVTRなどのディジタル磁気記録機器に限定し, その高密度を図るための手段としての信号処理技術について述べる.まず, その基礎となるパーシャルレスポンス方式, ビタビ復号法, PRML(Partial Response Maximum Likelihood)方式について詳述する.次いで, 長手磁気記録において最近盛んに検討されている各種信号処理方式について概観する.また, 高密度記録となるほど誤り率特性劣化の要因となるパーシャルイレージャ等の非線形ひずみを考慮した非線形ひずみ対応信号処理方式についても, 最近の研究動向を踏まえた検討を行い, 各種方式の性能評価を行う.更に, 将来の高密度記録方式として期待されている垂直磁気記録のための信号処理方式についても触れる.