著者
加藤 昌彦
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2005

博士論文
著者
米田 剛 後藤 晋
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

乱流の数理的理解を飛躍させるために、乱流モデルを一切使わずに、非圧縮Navier-Stokes方程式そのものを使った大規模数値計算、及びその数値計算結果に対する純粋数学的洞察を進める。さらに、乱流実験も進め、そのNavier-Stokes乱流の数理的洞察そのものの妥当性を検証する。より具体的には、①3次元Navier-Stokes乱流のエネルギーカスケードのメカニズム解明②流体運動が乱流であるための重要な指標であるzeroth-lawの数理的理解③乱流実験データに基づく、①および②の数理的洞察の妥当性の検証、を進める。
著者
廣瀬 陽子
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.131-165, 2004-03-19

旧ソ連のコーカサス地方に位置するアゼルバイジャンのナゴルノ・カラバフ自治州は,ペレストロイカ期にアルメニアヘの移管運動を開始し,やがてそれは平和的運動から,民族虐殺,民族浄化へと発展し,ソ連の内戦となった.ソ連およびアゼルバイジャン,アルメニアの各共産党は求心力を喪失し,権力が乱立したことから,紛争の収拾がなされないままにソ連は崩壊し,紛争は国際化し,戦争の規模が拡大した.以後,OSCEなど国際的主体が和平に乗り出し,結局,ロシアの主導により停戦に至ったものの,ナゴルノ・カラバフ軍がアゼルバイジャンの国土の20%を占領し続けており,「凍結した紛争」もしくは「戦争でも平和でもない状態」のままで和平プロセスは停滞している.バルト三国以外の旧ソ連ではロシアの影響力が依然として強く,また非民主的な政治体制が継続していることから,国際組織などによる予防外交なども機能しにくい.ロシアの位置は冷戦前後であまり変わっておらず,今後の当地の和平の鍵もロシアが握っているといえる.
著者
小野里 拓
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2018

本研究は、アメリカの専門職を中心とする大学職員のあり方やその育成方法について研究することを目的とした。アメリカにおいては、専門職化した大学職員自らによって様々な専門職団体が設立され、大学内専門職の重要性を訴え、関連政策に提言を行うこともある。こうした状況の中でHigher Education Programが多くの大学に設けられ、高等教育分野の修士・博士の学位を提供し、上級職を志向する大学職員のステップアップの手段となっている。専門職能と学位とが昇任のための車の両輪となり、そのシステムが専門職志向を強めている状況が推察される。本研究では、専門職としての大学職員への「入口」とも言える修士課程の高等教育プログラムに着目し、Pennsylvania State Universityをはじめとしたアメリカの大学関係者へのインタビュー調査や各プログラムの公式出版物、教員・学生による論考の収集・分析、最新の先行研究の批判的検討を通して、広く職員育成の観点からアメリカの高等教育プログラムの実態と効果について分析を行った。この際、日米比較を主眼に置いて分析を行うことにより、日本への適用を意識しながら研究を実施し、研究成果が日本の大学人事制度を中心とした大学経営に活用できるよう心がけた。その結果、アメリカの高等教育プログラムの学生を、学士課程から進学してきたフルタイム職未経験の学生と、現役職員である有職者学生の2タイプに大別できることが明らかになった。前者に対してはインターンシップやGraduate Assistantshipを通し、実務を経験させるとともに必要に応じて経済的支援を行い、後者に対しては実務経験を裏打ちする理論を学ばせ、上級職に求められる知識と学位を与えるのがプログラムの主たる目的である。こうしたニーズに応じて複数コースを設けるプログラムも多く、学位名称が異なる場合も少なくない(たとえばM.A.とM. Ed.)。今後は、専門職団体のありようについても研究を深めたい。
著者
筒井 牧子 (石川 牧子)
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

本課題研究はイタヤガイ類の"逆影"色彩パターン(背側が暗色, 腹側が明色の生物界に広く見られる背景適応)を司る貝殻色素形成の分子基盤を明らかにすることを目的として開始したが, 貝殻色素についての先行研究は, 1950年代の抽出実験から現代の分光分析による方法の出現まで長期間にわたり論文の少ない時期があり, 色素構造についても混乱していた. そこで本年はまずその研究史を総説としてまとめた.更に, イタヤガイの色素はポリエン化合物であることが確実となったため, イタヤガイ科ホタテガイをモデルとし, 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計および2D-DIGE解析, 抗体染色により, 殻を作る組織である外套膜のポリエン分解酵素について存在を確認した. 更に, 液体クロマトグラフ/タンデム質量分析計によりアサリ外套膜においても酵素の存在を確認した. 機能解析までは至っていないが, 今後機能解析を含めた色彩パターン形成研究を発展させる重要な結果である."逆影"色彩パターンについてはイタヤガイ科二枚貝類をモデルとし, 米スミソニアン博物館の収蔵本を中心に写真撮影を基に"逆影"の程度を既存の系統樹上にプロットし, 生活型(付着型 vs. 遊泳型)との相関を検討した, これによりタクソンサンプリングはほぼ完全となり, 付着型の属の殻は左右同様色彩パターンを示すのに対し, 独立に進化した遊泳種では逆影的なパターンを独立に獲得している傾向を確かめ, 更に中新世で付着型から遊泳型に生活型を変化させたイタヤガイ類の系統の紫外線色彩復元法による模様の復元を行った. 更に精密な証明のための画像データの統計的解析が終了次第, 論文としてまとめる.
著者
峯松 信明 牧野 武彦 山内 豊 齋藤 大輔
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2018-04-01

外国語学習の主目的は,対象言語を用いた他者との音声コミュニケーションであるが,その言語を日常使う機会に恵まれなければ,外国語訛りが強く残り,聴取者にとって聞き取り難い発音となる。学習者発音を矯正する場合,教師は自身が内在的に持つモデル発音との差異に基づいて矯正し,これを技術的に実現する場合も,母語話者発音モデルとの差異を自動検出することになる。これらは母語話者のような(native-souding)発音を学習目標とした指導戦略と言えるが,外国語音声学習の主目的は十分伝わる可解性の高い(comprehensible enough)発音の獲得である。この場合,聴取者が持つと想定される発音逸脱への許容度を前提とした指導が必要となるが,聴取者の許容能力を計測・モデル化することが困難であるため,発音了解性に基づく音声指導は,教師の経験と直感に頼らざるを得なかった。本研究では,1) 学習者音声o(t)に対する母語話者シャドーイングを通して,各音声に対して了解度の時系列パターン i(t) を定量的に導出し,o(t) と i(t) のパラレルコーパスを構築する。2) それを用いて,任意の学習者音声のどこが,どの程度聞き取り難くなるのかを深層学習によって予測する技術を構築する。3) 最終的に,LA を母語とし LB を学ぶ学習者群と,LB を母語とし LA を学ぶ学習者群に対して,互いに他群の学習者音声をシャドーイングさせ(互いに他者の評価者となり),学習者音声のどこで了解性が低下するのかを教示する教育インフラを構築・公開し,外国語音声教育に貢献する。2018年度は学習者音声に対して音素事後確率を推定し i(t) とする方式を提案した。その後,シャドー音声以外に母語話者の読み上げ音声を利用する手法を考案することができた。
著者
菅 豊 北條 勝貴 宮内 泰介 川田 牧人 加藤 幸治 西村 明 中澤 克昭 市川 秀之 俵木 悟
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本年度、研究メンバーは、まず個々のフィールドで生起しているパブリック・ヒストリーをめぐる歴史実践の展開と深化に不可欠な重要課題を、フィールドワーク・文献調査等により精査するとともに、理論研究を行った。加えて、各メンバーの個別研究を統合し、成果を発表するために研究会を3回開催した。その研究会はパブリック・ヒストリー研究会というかたちで基本的に公開とし、現代民俗学会等の学術団体と共催することにより社会への研究成果の還元に努めた。また、本研究を世界的な研究水準とすり合わせるために、国内学会のみならず海外学術集会等で発表、意見交換を行った。主たる研究実績は下記の通り。○2017.4.6:北京聯合大学北京学研究基地・One Asia Foundation主催『北京学講堂:亜州文化共同体與首都比較』において「東亜文化共同体中的非物質文化遺産相関問題」と題して講演、○5.11~13:台湾文化部文化資産局主催国際シンポジウム『2017 亜太無形文化資産論壇-前瞻教育與当代実践』において「無形文化資産保存維護與公共民俗学:「共学」立場與方法之必要性」と題して講演、○5.20:現代民俗学会2017年度年次大会でシンポジウム「「民俗学」×「はたらく」-職業生活と〈民俗学〉的知」を共催、○7.7~10:第4回研究会「神代在住Oターン郷土誌家をめざして」、○10.15:第69回日本民俗学会年会で第5回研究会「パブリック・ヒストリー―歴史実践の民俗学―」パネル発表、○12.16~17:第6回研究会「『十三浜小指 八重子の日記』について語りあう」※研究会回数は前年度からの通算
著者
前野 深 新堀 賢志 金子 隆之 藤井 敏嗣 中田 節也 鎌田 桂子 安田 敦 青柳 正規
出版者
東京大学
雑誌
東京大學地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.271-289, 2010-03-29

Burial process of Roman Villa on the northern flank of Mt. Vesuvius, Italy, was reconstructed based on sedimentation processes of laharic deposits newly discovered during 2006-2008 for the extended excavation site in NE to E parts of the Roman Villa. The laharic deposits are distributed on the lower level of the excavation site. The deposits are divided into four subunits, G1-MfL1, G1-DfL1, G1-MfL2, G1-DfL2, based on their sedimentary facies (Mf and Df facies). Mf is characterized by massive and matrix-supported facies, indicating en masse deposition from a laminar flow process, and Df is characterized by stratified and clast supported facies, indicating grain-by-grain aggradation from suspension or traction process. These different types of facies are partially transitional and attributed to variations of sediment/water ratio and internal stress condition inside flows, and may be resulted from an evolutional process, like a flow transformation, of a single debris flow. These laharic deposits directly overlie pyroclastic fallout deposits (G1-Af) in the initial phase of the AD 472 eruption, but are eroded and covered by epiclastic deposits (G1-Mf1, 2, 3, 4 and G1-Df) derived from later- and larger-scale laharic events related to the same eruption. The later laharic deposits include more amounts of basement lava of Mt. Somma, compared with the newly discovered deposits. Characteristics and interpretation of the deposits suggest that lahars just after the 472 eruption came from the north to bury the lower level of buildings and have experienced various types of sedimentation processes. An erosion of the edifice of Mt. Somma may have mainly acted in the later laharic events.
著者
家永 遵嗣
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
1994

博士論文
著者
青山 善充 紺谷 浩司 池田 辰夫 石井 紫郎 河野 正憲 瀬川 信久 加藤 雅信 松下 淳一 植田 信廣 三谷 忠之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1994

本科研費による共同研究においては.10国立大学法学部(北大・東北大・東大・名大・阪大・香川大・岡山大・広島大・九大・熊本大)が.最高裁の方針により廃棄の運命にあった明治初年から昭和18年確定分までの民事判決原本を.各地の裁判所から暫定的に移管をうけたのを契機として.この貴重な史科群の保存利用に関し、多面的な検討を行った.具体的には.本研究会に4分科会を設け(外国法制研究、恒久計画測定.保存対策.プライヴァシ-.データベース).それぞれが核となって検討を重ねた結果、以下の知見を得た:1.民事判決原本に関する外国法制調査ヨーロッパ諸国(ドイツ・フランス・イギリス・イタリア・北欧).アメリカ合衆国.韓国.台湾.パナマといった諸国において.民事判決原本が如何なる機関において.如何なる期間保存され.どのように利用に供されているかを.現地調査やヒヤリングをも含めて調査した.この結果、国立の公文書館において.行政・立法の公文書とあわせて現用をおえた司法府の公文書を保存し.利用に供するのが一般的であること.そのシステムは.日本に比して発達した公文書館制度と表裏をなしていることが明確になった.2.日本における民事判決原本恒久保存施設の模索上記1に得た比較法的知見を踏まえて9民事判決原本の恒久的保存利用施設として如何なる機関が適切であるかを検討したところ.大学での保管はあくまで暫定的でイレギュラーな緊急〓措置であり.国立公文書館・国立国会図書館といった既存施設にもそれぞれ難点があるので.やはり.(名称はともあれ)司法資料を収容する国立の文書館を新設するのが筋であるという結論に達した.なお.このことと.民事判決原本を地域的に一箇所に集中するか地方分散とするかは.必ずしも必然的に結びつくものでないということが了解された.3.大学保管中の保存対策2の恒久保存施設に民事判決原本を移管するまで.3乃至4年間をめどに大学が保管の責務を負うのであるが.その間の保存対策について.史料保存学専門家の意見をきいて.協議し.空調・防虫対策・保安措置等について.各大学に助言を行うことができた.4.大学保管中の利用ガイドライン策定大学保管中に.大学は.可能な限り民事判決原本を学術利用に供することが移管に関する最高裁との協定からも望ましいが.これには.史料の性質上.プライヴァシ-保護を中心とする微妙な配慮を必要とする.これらの点を考慮しつつ.本研究会は.学術利用と事件当事者による閲覧との二類型を念頭においた詳細な利用ガイドラインとそれに応じた利用申請書式を策定し.それを.各保管大学で使用することとした.5.民事判決原本のデータベース化これまで民事判決原本へのアクセスを困難にしてきた最大の理由は.その検索の困難性にあった.この点は.民事判決原本に含まれるデータをデータベース化することによって大きく改善される.と同時に.原本自体を画像入力することによって.貴重な原本の損耗を防止できる.この見地から.フィージブルな民事判決原本データベースを模索した結果.明治23年までの判決原本を全文画像入力し.これに.最小限の項目データを付して検索の便を図ることが最善であるとの結論に達し.国際日本文化研究センターがこの作業を引き受けることとなった.
著者
中村 覚
出版者
東京大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究の目的は、オンライン上で複数のユーザが共同で史料を翻刻可能なシステムを開発することである。特に、IIIFやTEI等の国際標準規格に準拠することにより、汎用的・国際的に利用可能なシステムの構築を目指す。具体的には、IIIF準拠の画像を入力データとして、IIIF準拠で公開されている様々な史料を翻刻対象として登録可能とする。また、システムに登録されたテキストデータをTEI準拠の形式でエクスポートする機能を提供し、テキストデータの長期保存およびシステムに依存しない多様な利活用を支援する。さらに、東京大学柏図書館が所蔵する『平賀譲文書』を対象とした翻刻作業を実施し、システムの利用可能性を示す。
著者
佐野 利器
出版者
東京大学
雑誌
震災豫防調査會報告
巻号頁・発行日
vol.83, pp.1-15, 1916-10-01
著者
山根 克 中村 仁彦 山本 知孝 辻 省次
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

1.神経筋骨格モデルおよびそのための順・逆動力学計算法の開発と神経医療における知見を基にした検証と改良従来の筋骨格モデルに比べて極めて詳細(155自由度の骨格と約1000本の筋)な筋骨格モデル,および脊髄神経から筋までの神経-筋ネットワークをモデル化した神経筋骨格モデルを開発した.また,体性反射や筋ダイナミクスなど生理学的な知見をもとに高精度な筋張力推定アルゴリズムを開発した.2.計算・シミュレーション結果の可視化と低次元化による診断・リハビリテーション支援への応用計測された運動データ,計算された筋張力などを三次元モデルやグラフとして可視化し,神経筋疾患の診断やリハビリテーションを支援するツールを開発した.また,多次元のデータを低次元化して容易に理解できるように提示する技術を開発した.3.神経筋骨格モデルパラメータを非侵襲に同定する手法の開発骨格モデルの運動学・質量パラメータ,関節粘弾性パラメータ,筋モデルパラメータ,神経-筋ネットワークパラメータを,非侵襲な運動・筋電計測データのみにより同定する手法を開発した.4.新しい非侵襲運動計測システム技術の提案従来の球状マーカを用いた光学式モーションキャプチャに代わる運動計測システムのプロトタイプを開発した.具体的には,平面状のメッシュマーカを用いて計測点数を増加するとともに安全性を高めた方法と,カラー画像を用いてマーカレスに運動とトポロジーの取得を同時に行う方法を実現した.
著者
塩野谷 斉
出版者
東京大学
雑誌
東京大学大学院教育学研究科教育行政学研究室紀要 (ISSN:13421980)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.133-144, 1997-03

There are a hot dispute about "Japanese education of modern history" in recent days between "the society for the study of the liberal view of history" and its criticizers.The society insists that modern Japan has been explained too ill in Japanese education after the World War n. The criticizers are positive in denying the insistence of the society.I tried to summarize the dispute in this paper.
著者
月村 辰雄 安藤 宏 佐藤 健二 木下 直之 高野 彰 姜 雄 野島 陽子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、東京大学総合図書館に保存されている千数百冊におよぶ明治初期の洋書教科書の分類整理を主要な目的とし、あわせてそれらの教科書が用いられていた大学南校・開成学校等における教育の実態、またそれらの教科書を通じてもたらされたヨーロッパ文化の受容形態を、残された洋書教科書そのものに即して明らかにしようとするものである。研究第1年度においては、主として著者名・書名・印記・書き込みの有無などを調査対象として教科書群のデータ採録にあたった。第2年度においては、採録されたデータのデジタル・データ化にあたり、エクセル・データとして著者名のアルファベット順教科書一覧表を作成した。あわせて今後の研究資料体としての活用を見越した分類法について各種の方法を検討した。第3年度は、このデータをもとに明治初期の東京大学の教育史との関連において各種の研究を進めたが、その主な成果は以下の通りである。(1)東京外国語学校の分離にともなって移管された初期東大の洋書教科書群の一部が、明治前期の諸学校の変遷の結果、現在一橋大学を始めとする各所に分散保管されていること。(2)大学南校から開成学校、東京大学へと移行する教育方針は専門教育化と英語専修化の二つであり、それが残存教科書群からも窺えること。すなわち、南校まで仏・独の多方面の教科書がその後は法学科・工学科学生のための語学書に限定されること。また、書き込みのノートを検討しても英語による下調べが一般化すること、など。(3)工学系の教科書群の選定にきわめて強く外国人教師ワグネルの意向が反映していること。(4)さらに、明治4年の貢進生について、新たな視点から精細な調査をおこなったこと。なお、教科書群の分類リストは校正のうえ、別途公刊の予定である。
著者
細田 千尋
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

社会、教育等における成功には目標達成にむけた努力を継続する力“persistence”が必要である。この能力は課題内容に依存しない能力であるとされている一方、その神経基盤は明らかでなかった。そこで、本研究では、異なる実験参加意欲の高い被験者群に、数種類の長期学習実験介入を行い、その継続有無と、神経基盤差の関連性の解明、及び、継続力を上げる手法の開発を行った。その結果、前頭極の灰白質及び周辺の白質神経繊維の発達度合いから、努力継続力を予測する事が可能である事を明らかにし更に、達成感の細かい授与や、人格特性に合わせた教示法が、前頭極の発達を促し、努力継続力を強化出来る事を明らかにした。
著者
橋本 毅彦 岡本 拓司 廣野 喜幸 鈴木 淳 梶 雅範 鈴木 晃仁 柿原 泰 金 凡性 石原 孝二
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

事故や災害の発生を防止したり緩和したりするために、様々な安全基準や規約が設けられている。本研究では、そのような各種の事故災害への対応と基準規約の制定に関して、航空・電力・防火・治水・保険・化学・医薬・医療などの工業医療分野において取り上げ、その歴史的過程を分析しようとした。産業社会を支えるそのような巨大な技術システムの基準・規約の全体を取り上げることはできないが、その顕著な側面やよく知られていないが重要な事例などを明らかにした。
著者
島津 明人 川上 憲人 宮本 有紀 大塚 泰正 種市 康太郎 西 大輔 津野 香奈美
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,米国およびカナダで開発されたCREW(Civility, Respect & Engagement with Work)プログラムに関して,(1)日本版CREWプログラムの開発,(2)日本の職場での適用可能性の検討,(3)実施効果の検討,の3点を目的とした。某大学病院の2つの病棟を対象にプログラムを実施し(2014年9月~2015年2月の6か月間)中間解析を行った結果,参加者の大部分を占める看護職において,ワーク・エンゲイジメントの得点が上昇する傾向が認められた。