著者
中西 尋子
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.47-69, 2004-06-12 (Released:2017-07-18)

統一教会の合同結婚式では、信者は自ら選んだ相手とではなく、教祖が選んだ見知らぬ相手と結婚する。本稿では、なぜ信者は合同結婚式を受け入れ、その後の結婚生活を継続できるのかを合同結婚式で韓国人男性と結婚し、韓国農村部に暮らす日本人女性たちへの聞き取り調査から考察する。統一教会がめざす「地上天国」は、国家・民族・宗教が垣根を越えて一つになった平和な世界であるとされる。それは神の血統をもった人類が生み殖えることによって実現されるという。彼女たちは入信前から生きる意味を求め、世界の平和について関心をもっていた。韓国人男性と結婚し、神の血統を持つとされる子どもを生み育てることは、結婚生活それ自体が平和への実践となり、生きる意味と意識される。ここに彼女たちが抱いていた欲求と統一教会の結婚観との一致がある。彼女たちは現実の結婚に希望をもっていなかったけれども、統一教会の結婚は意味ある結婚となった。
著者
佐藤 正人 藤田 学 坪井 潤一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.89, no.1, pp.49-55, 2023-01-15 (Released:2023-02-07)
参考文献数
41

種苗放流されるヤマメ養殖魚との交雑が野生サクラマスの生活史形質に及ぼす影響を評価するため,米代川産サクラマスの雌と関東地方由来のヤマメ養殖魚の雄を交雑させた。作出した交雑魚のスモルト化の盛期は3月であり,養殖ヤマメ(12月)と米代川産サクラマス(4月)の中間であった。1歳における交雑魚の雌の成熟率は43.1%であり,ヤマメ養殖魚(75.7%)と米代川産サクラマス(6.8%)の中間であった。得られた結果から,ヤマメ養殖魚との交雑によってサクラマス地域個体群の生活史特性が変化する可能性が示唆された。
著者
白井 嵩士 榊 剛史 鳥海 不二夫 篠田 孝祐 風間 一洋 野田 五十樹 沼尾 正行 栗原 聡 Shirai Takashi Sakaki Takeshi Toriumi Fujio Shinoda Kosuke Kazama Kazuhiro Noda Itsuki Numao Masayuki Kurihara Satoshi
雑誌
SIG-DOCMAS = SIG-DOCMAS
巻号頁・発行日
no.B102, 2012-03-11

Twitter is a famous social networking service and has received attention recently.Twitter user have increased rapidly, and many users exchange information. When 2011 Tohokuearthquake and tsunami happened, people were able to obtain information from social networkingservice. Though Twitter played the important role, one of the problem of Twitter, a false rumordiffusion, was pointed out. In this research, we focus on a false rumor diffusion. We propose ainformation diffusion model based on SIR model, and discuss how to prevent a false rumor diffusion.
著者
鈴木 翔 須藤 康介 荒川 智美 寺田 悠希 澁谷 功太郎
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.103-116, 2012-03-10

The purpose of our study is to make clear the significance of a boyfriend or girlfriend for junior high school students. For this purpose, we firstly investigated the determining factors of having a boyfriend/girlfriend, and then clarified the effects of the fact that one has a boyfriend/girlfriend on their self-consciousness. As a result of our analyses, we got following two findings. First, there are various factors which determine whether junior high school students have a boyfriend/girlfriend or not, and the factors differ according to each student's gender. Furthermore, the levels of academic accomplishment of the school also make a difference. Second, when we analyze the effects of that fact on their self-consciousness, it is necessary to consider not only the very thing that one has a boyfriend/girlfriend or not, but also if she or he is likely to have a boyfriend/girlfriend. Our analysis suggests that a success in love for girls in junior high has a more complex meaning compared with that for boys.
著者
鈴木 晃志郎 于 燕楠
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2019, 2019

<b>研究目的</b><br><br> 本発表は,地理学が得意とする空間的可視化の手法を用いて,富山県内の心霊スポットの分布が現代と100年前とでどう異なるかを空間解析し,その違いをもたらす要因について考察することを目的とする.本発表はエミックに扱われがちな事象をエティックに捉える試みであり,民俗学を中心に行われてきた妖怪変化の分類学を志向するものでもなければ,超常現象そのものの有無を論ずるオカルティズム的な関心も有しない.<br> 超常現象が何であるにせよ,それらが超常現象となり得るには,人目に触れ認知されなければならない.ゆえに超常現象は高度に文化的であり,その舞台として共有される心霊スポットは,組織化され商業化された一般的な娯楽からは逸脱した非日常体験を提供する「疎外された娯楽(Alienated leisure)」(McCannell 1976: 57)の1つとして社会の文化的機能のなかに組み込まれているとみなしうる.その機能に対して社会が与える価値づけや役割期待の反映として心霊スポットの布置を捉え,その時代変化を通じて霊的なものに対する社会の側の変容を観察することは,文化地理学的にも意義があると考えられる.<br><br><b>研究方法・分析対象</b><br><br> 2015年,桂書房から復刻された『越中怪談紀行』は,高岡新報社が1914(大正3)年に連載した「越中怪談」に,関係記事を加えたものである.県内の主要な怪談が新聞社によって連載記事として集められている上,復刻の際に桂書房の編集部によって当時の絵地図や旧版地形図を用いた位置情報の調査が加えられている.情報伝達手段の限られていた当時,恐らく最も網羅的な心霊スポットの情報源として,代表性があるものと判断した.この中から,位置情報の特定が困難なものを除いた49地点をジオリファレンスしてGISに取り込み,100年前グループとした.比較対象として,2018年12月にインターネット上で富山県の心霊スポットに関する記述を可能な限り収集し,個人的記述に過ぎないもの(社会で共有されているとは判断できないもの)を除いた57の心霊スポットを現代グループとした.次にGIS上でデュアル・カーネル密度推定(検索半径10km,出力セルサイズ300m)による解析を行い,二者の相対的な分布傾向の差異を可視化した.このほか,民俗学的な知見に基づきながら,それらの地点に出現する霊的事象(幽霊,妖怪など)をタイプ分けし,霊的事象と観察者の側とのコミュニケーションについても,相互作用の有無を分類した.<br><br><b>結 果</b><br><br> 心霊スポットの密度分布の差分を検討したところ,最も顕著な違いとして現れたのは,市街地からの心霊スポットの撤退であった.同様に,大正時代は多様であった霊的事象も,ほぼ幽霊(人間と同じ外形のもの)に画一化され,それら霊的事象との相互作用も減少していることが分かった.霊的なものの果たしていた機能が他に代替され,都市的生活の中から捨象されていった結果と考えられる.<br><br><b>文 献</b>:<br>MacCannell, D. 1976. <i>The Tourist: A new theory of the leisure class</i>. New York: Schocken Books.
著者
松元 美里 古賀 夕貴 樋口 汰樹 松本 英顕 西牟田 昂 龍田 典子 上野 大介
出版者
公益社団法人におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.319-322, 2020-09-25 (Released:2021-11-14)
参考文献数
5
被引用文献数
5 3

近年,残香性を高めることを目的としたマイクロカプセル化香料の使用が一般化している.本研究ではハウスダストから甘いにおいを感じることに着目し,におい嗅ぎガスクロマトグラフィー(GC-O)を利用した“におい物質”の検索を試みた.分析の結果,ハウスダストと柔軟剤から共通したにおい物質が検出され,香料がマイクロカプセル化されたことでハウスダストに比較的長期間残留する可能性が示された.
著者
秋光 純 堀金 和正
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

「室温超伝導の実現」は、人類の夢の一つである。確かに、「物理学の夢」の10本の指の中に挙げられていることは間違いない。最近、申請者は「室温伝導体(Tc~350K)」と思われる物質Ti-B-Cを発見した。しかし、その超伝導体積分率は1%以下であり、その成分を取り出し、それを単相化し、結晶構造を決定する必要がある。それが本申請の目的である。本物質が実現出来れば、現在のエネルギー問題の解決に向けての第一歩になることは間違いない。
著者
田口 真二
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
pp.689, (Released:2015-02-17)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

We selected a group of men who acknowledged sexual interest in prepubescent girls based on the Sexual Desire Scale for Males (SDS-M). Subjects were members of the general population aged 18 years and above who were not in prison (N=573). The relationship between acknowledging sexual interest in prepubescent girls and factors such as their experience of sexual offence, personality traits, cognition towards women and use of pornography were examined. It was estimated that 10% of survey subjects had acknowledged sexual interest in prepubescent girls. Statistical analysis showed that acknowledging sexual interest in prepubescent girls was significantly related to experience of sexual offence against women, some of sexual desire, some of personality traits and acceptance of sexual violence. A significantly higher proportion of men who acknowledged sexual interest in prepubescent girls had experience of sexual offence against women and of using child pornography compared to those who did not. The results of this study suggest that an understanding of sexual interest in prepubescent girls requires the perspectives of cultural and social learning.
著者
五十嵐 彰
出版者
日本家族社会学会
雑誌
家族社会学研究 (ISSN:0916328X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.185-196, 2018-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
41

配偶者とのみ性的関係をもつ,いわゆる「不倫」の禁止は現代の結婚制度の根幹を支える要素のひとつといえる.しかしながら,では誰が「不倫」をするのかを明らかにした日本の研究はほぼ見当たらない.本稿では日本における「不倫」行動の規定要因を機会および夫婦間関係のフレームワークを用いて検討した.分析結果から,労働時間や夫婦間関係の親密さ(会話頻度,セックスの頻度),子どもの数は「不倫」行動の発生に効果を与えないことが示された.男女ともに効果のある変数は学歴であり,高学歴になればより「不倫」しなくなるといえる.男性のみに効果のある変数は収入および妻との収入差であった.男性は収入が上がれば,また妻の方が収入が高ければ「不倫」するようになるといえる.
著者
中島 貴子
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.90-101, 2005 (Released:2008-07-25)
参考文献数
64

乳児用粉ミルクに工業廃棄物由来のヒ素化合物が混入して大規模な被害が発生した森永ヒ素ミルク中毒事件は,今年2005年8月24日,公式発表から50年目を迎える.しかし,事件の全体像は今なお把握されていない.被害者に対する恒久救済機関の運営実態への疑問の声もある.被害者の現在を正視すると同時に,事件史の教訓を徹底的に整理する必要がある.病因物質が市場に流通してから恒久救済機関が発足するまでの約20年を振り返ると,食中毒事件における疫学と事故調査の独立性の必要が指摘できる.また,事後対応における行政と専門家の関係についての課題も指摘できる.本格的な歴史研究のためには本事件に関連する一次資料の収集・保存が必要である.
著者
Tadayuki Imanaka Tadashi Takemoto
出版者
(社)日本化学会
雑誌
Chemistry Letters (ISSN:03667022)
巻号頁・発行日
pp.150720, (Released:2015-08-29)

Here we show that petroleum can be formed efficiently at normal temperatures and pressures from carbon dioxide and activated water. The oxygen nano-bubble containing water was treated with TiO2 catalysis under UV irradiation. The activated water was mixed vigorously with kerosene or light oil and carbon dioxide to form an emulsion. The emulsion gradually separated into a two-phase solution. After phase separation, the volume of kerosene or light oil, depending on which oil was utilized, increased by 5 to 10 %.
著者
髙嶋 博
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.472-473, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
15