著者
軍令部 編
出版者
軍令部
巻号頁・発行日
vol.昭和8年, 1934
著者
田中 岳 渡部 靖憲 中津川 誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.48-63, 2013

2011年東北地方太平洋沖地震津波による避難指示・勧告の解除直後,北海道沿岸域の住民に対して避難行動調査を実施した.その結果から,主に以下のことが示された.避難者の約8割が自動車を使用していた.また,予想される津波の高さが,陸上での浸水深や遡上高とは異なるものの,「津波はそれほど大きくないと思った」,「もう安全と思った」などの自己判断から,避難しても警報や注意報の解除前にその約6割が帰宅した.徒歩避難が原則ではあるが,確実に来る超高齢化社会や,気象や地形の地域性を考慮した避難行動計画が必要と考えられる.さらに,自己判断による被災を防止するために,防災知識と意識の醸成を図る防災教育の必要性が示唆された.
著者
井上 真里
出版者
国際ビジネス研究学会
雑誌
国際ビジネス研究学会年報 (ISSN:13480464)
巻号頁・発行日
no.10, pp.73-89, 2004-09-30

本稿では、2003年に日産自動車のブランドマネジメントオフィスに対して行った定性調査結果を主な事例として、製品ブランド管理の1領域であるグローバル・ブランド管理の新たな傾向を示すことを目的としている。それは、2002年に実施したグローバル・ブランド管理に関する2つの定量調査結果に基づいている。本稿では組織・制度アプローチに立脚し、消費者行動ではなく戦略や組織などの企業要因に因果関係の起点を措定しており、複数グローバル・ブランド間におけるマーケティング諸政策の一貫性管理問題を分析している。グローバル・ブランド管理を含む製品ブランド管理がマーケティング諸政策全体の全社的管理であることはいくつかの調査からも明らかになっており、また主要な多国籍企業では1990年代後半から全社的管理を実行するために製品ブランド管理の専門組織を設立する傾向をみることができる。さらに2つの定量調査結果において、グローバル・ブランド管理には産業特性や企業国籍によって特殊な管理認識や管理体制、管理内容が存在することが明らかになっている。ところが、既存研究ではブランド管理組織の形態やその管理内容にまで考察が及んでいないという点で課題が残されている。既存研究の批判的検討と定量調査結果を受け、次にグローバル・ブランド管理の定性調査として日産ブランドマネジメントオフィスに対して行ったインタビュー結果を事例に、当該組織が複数グローバル・ブランド間における製品開発や流通政策、コミュニケーション政策の一貫性管理に対して与える影響を検討している。日産のグローバル・ブランド管理においては、2種類のブランド・マネジャー(個別グローバル・ブランドのマネジャーと複数グローバル・ブランドのマネジャー)が川上段階を統制し、ブランド管理組織が複数グローバル・ブランドにおける川下段階(流通政策やコミュニケーション政策)を全般的に統制する「職能分散型」であるとみることができる。これは松下電器産業のブランド管理組織であるマーケティング本部の役割が、川下段階のみならず川上段階にまで管理権限を持つ「全体統合型」であるのとはかなり異なっていると考えられる。ただし、いずれにせよ複数グローバル・ブランド間におけるマーケティング諸政策の一貫性管理を世界的に展開しようとしており、またそれによって経営成果を上げている点では共通点をみることができる。
著者
金田 弘挙
出版者
公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.106, no.1, pp.9-18, 2011 (Released:2016-06-13)
参考文献数
13
被引用文献数
1

品質が向上し,いわゆる欠陥のある商品というのは少なくなった。そこで注目されているのは,人の感覚によって呼び起こされ,それによって支配される感情,欲望などといった感性の世界である,感性は,こころ(感情・記憶)でもあり,からだ(反射・運動)でもある。感性刺激に対し言葉によってかたられる官能評価はもちろん大切ではあるが,ヒトの脳や体の部位にどのような応答が現れるのか近年様々な研究が行われている。筆者は,ビールの「のど越し」という,それまで官能的に表現されていたものの混沌としていた感覚に果敢に取り組み,客観的にこれを計測する技術を開発された。ビールにとどまらずその研究の価値は広がっており,新たな分野を開拓している。
著者
木村 弘之
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.82, no.837, pp.15-00535-15-00535, 2016 (Released:2016-05-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2

When an elevator rope for a high-rise building is forcibly excited by the displacements of the building induced by wind forces and/or by long-period ground motion, rope displacement becomes large even if the ground acceleration and the buildings acceleration are small. In previous paper, when elevator cage is stationary, a new practical method for reducing the rope vibration by using vibration suppressors is proposed for relaxing the restricted elevator operation. The advantage of using the vibration suppressors for reducing the rope lateral vibration is demonstrated through numerical calculation. Further, when arbitrary position of the rope is pulled, exact solution to the free vibration of the rope with vibration suppressor, which located at the center of the rope and the gap between rope and vibration suppressor is 0, has been presented. However, in the case where the position of vibration suppressor is center of the rope and the gap between rope and vibration suppressor is not 0, no exact solution to the free vibration has yet been obtained. In this paper, an exact solution to the free vibration of this case is presented. In the analysis, the rope is modeled with string. Finite difference analyses of the rope vibration with vibration suppressor are also performed to verify the validity of this exact solution. The calculated results of the finite difference analyses are in fairly good agreement with those of the exact solution.
著者
柳田 勉
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.276-282, 1988-04-05

ニュートリノ(中性微子)に質量があるだろうか? もしニュートリノにわずかでも質量があれば, 宇宙・天体物理学はもとより素粒子物理学にも重大な影響を及ぼす. 最近, ニュートリノが0.001〜0.01eV程度の質量を持てば, 天体物理学の長年の謎になっている「太陽ニュートリノの問題」が巧妙な方法により解かれることが発見され, 話題になっている. このニュートリノの質量こそ素粒子の大統一理論の予言していたものである. 現在, 我が国をはじめとして世界各地で太陽ニュートリノの測定が計画されている. この仮説が検証されれば, 素粒子物理学も新たな局面をむかえることになろう.
著者
小林 憲正
出版者
日本惑星科学会
雑誌
遊・星・人 : 日本惑星科学会誌 (ISSN:0918273X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.94-99, 2011-06-25
被引用文献数
1

土星最大の衛星のタイタンは,窒素・メタンなどからなる濃厚な大気を有し,紫外線,土星磁気圏に捕捉された電子,宇宙線などのエネルギーにより多様な有機物ともやの生成が観測されている.カッシーニ=ホイヘンス探査により,タイタン表面に液体エタンなどからなる湖沼の存在が明らかとなり,また地下にアンモニア水が存在することが示唆された.また,種々の地上模擬実験により,模擬タイタン大気から炭化水素,ニトリル等の有機物や,高分子態有機物「ソーリン」が生成すること,ソーリンの加水分解によりアミノ酸の生成が報告されている.これらの有機物と,液体メタン・エタンもしくはアンモニア水との相互作用により生命の誕生の可能性も議論されている.次期の土星系探査におけるタイタンの有機物・生命探査の可能性について議論する.

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著者
前川 金治
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前女子大学論集 (ISSN:02859785)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.86_a-100_a, 1978
著者
森田 裕介 藤木 卓 全 炳徳 李 相秀 上薗 恒太郎 渡辺 健次 下川 俊彦 柳生 大輔 中村 千秋
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.197-200, 2005

日韓間のギガビットネットワークを介して, 日本の長崎と福岡, 韓国光州の3地点を結び, DVTSを用いた遠隔交流および遠隔授業を実践した.本遠隔交流・授業が中学生の国際性に与える影響を明らかにするため, 「外国への意識」, 「愛国心」, 「他者理解の態度」, 「興味・関心・意欲」, 「韓国(日本)に対する認識」の5つの観点で質問紙による調査を行った.そして, 本遠隔交流・授業によって, 日韓両国の中学生の外国への意識や自国の建築物に対する愛着, 相手国に対する認識が向上したことを示した.また, 日本の中学生は, 韓国に対する興味・関心, 韓国語学習に対する意欲が向上したことを明らかにした.
著者
Daisuke MIYAKOSHI Hiroyuki SENBA Mitsumori SHIKICHI Masaya MAEDA Ryo SHIBATA Kazuhiro MISUMI
出版者
日本ウマ科学会
雑誌
Journal of Equine Science (ISSN:13403516)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.67-76, 2016 (Released:2016-06-21)
参考文献数
14

This study aimed to evaluate the influence of radiographic abnormalities of 2-year-old Thoroughbred horses that were listed at in-training sales in Japan, on whether they started to race or not at 2–3 years of age. Radiographs of 850 2-year-old Thoroughbreds in the in-training sales repository from 2007 to 2010 were reviewed, and 26 categories of radiographic abnormalities were found. Forty-three horses (5.1%, 43/850) did not start a race at 2–3 years of age. In accordance with the racing results for this age category, as determined by Fisher’s exact test and multiple logistic regression analysis, none of the radiographic abnormalities were significantly related to failure to start a race. At 2 years of age, 198 horses (23.3%, 198/850) did not start a race. Horses with enlargement of the proximal sesamoid bones in the fore (9 of 19 horses) and hind limbs (5 of 9 horses) did not start a race at the age of 2 years, and fewer of these horses (fore, P=0.021; hind, P=0.030) started a race at the age of 2 years compared with the population of horses without these radiographic abnormalities. These results suggest that identification of radiographic enlargement of the proximal sesamoid bones during training sales could derail the racing debut of horses at the age of 2 years. However, this might not necessarily indicate a poor prognosis and resulting in retirement from racing at 2–3 years of age.
著者
本多 照幸 北原 照央 廣瀬 勝己 五十嵐 康人 青山 道夫
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.195-195, 2006

本研究では、1964年及び2000年福岡降下物試料(固形分)に中性子放射化分析やγ線スペクトロメトリ等を適用し、得られた定量結果を用いて、既報の近年における降下物試料の定量結果を含めて比較検討し、福岡降下物から見た大気環境の変動について考察した。その結果、1.1964年福岡における全降下量は、2000年に比べて数倍から十数倍多かったが、その原因は土壌ダストによるものであり、通年において土壌ダストが全降下量を支配し、2.ウランの起源は、土壌だけでなくフォールアウトも含むことが示唆された。また、3.REEパターンより、1964年試料では11月と12月が黄砂のパターンに近く、これらの月では黄砂の寄与が比較的大きく、さらに、4.Th/Sc比より、近年試料(特に2000年長崎と福岡)の方が1964年福岡試料より黄砂の寄与が大きいことが判明した。
著者
瓜田 真司 齋藤 仁 中山 大地 泉 岳樹 松山 洋
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.23, pp.114-114, 2010

本研究では、気象庁が開発した土壌雨量指数を用いて、日本全域を対象に、2001-2008年の土砂災害発生危険性を明らかにした。2001-2008年の土砂災害発生危険性には地域差があり、1年間に何度も危険性を高める雨が降った箇所もあれば、この8年間に一度も土砂災害の危険性が高まらなかった箇所もあった。<BR> 牛山(2005)では、暖候期降水量から推定される極値降水量が観測されていない地域を豪雨空白域として抽出している。その豪雨空白域における土砂災害発生危険性を調べたところ、新潟・山形県境付近、富山県中央部、近畿地方中部と種子島南部は豪雨空白域であり、対象期間(2001-2008年)の土砂災害発生危険性も高まっていなかった。すなわち、これらの箇所では、今後の大雨の際に土砂災害発生危険性が高まる可能性が示唆される。
著者
宇田川 俊一 戸矢崎 紀紘
出版者
日本食品微生物学会
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 = Japanese journal of food microbiology (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.163-169, 2000-09-30
被引用文献数
1 1

オーストリアから輸入されたチョコレートを汚染していた白色菌糸状のカビは, 分離した菌株の生育性状・形態観察の結果から, わが国では未報告の<I>Chrysosporium farinicola</I>と同定された.<I>C.farinicola</I>の有性時代 (テレオモルフ) は子のう菌類ハチスカビ目の<I>Bettsia</I>属とされている.しかし, ハチミツなどの天然基質を含む培地など5種類の培地を使用して培養したが, 子のう胞子の形成は認められなかった.<BR>本菌は麦芽エキス・酵母エキス・50%グルコース寒天培地 (MY50G, A<SUB>w</SUB>0.897) 上でよく生育し, 多量の分生子を形成, 白色, 粉状の集落となった.本菌の生育至適温度は30℃, 最低生育温度は15℃, 最高生育温度は37℃ 付近であった.また, pH3~9の範囲で生育した.<BR>本菌の耐熱性試験では, 65℃, 1分間の加熱処理でも生残率80~100%を示し, 死滅温度は65℃, 5分間であったため, 比較のために用いた子のう胞子を形成する好乾性糸状菌 (<I>Eurotium spp., Monascus lunisporas</I>) ほどの耐熱性はなかった.しかし, 薄壁の分生子を形成する<I>Aspergillus spp., Wallemia sebi</I>のような好乾性の不完全菌と比較すると, 厚壁の分生子を形成するために熱抵抗性が強かった.したがって, 本菌は水分活性の低い加熱食品の場合でもその熱抵抗性が事故原因となる可能性があり, その制御には70℃ 以上での十分な加熱殺菌が必要であると結論された.<BR>本菌の生育性状, チョコレートを用いた再現性試験の結果とこれまでの外国からの報告を重ね合わせて見ると, 甘味菓子類, 蜂蜜, ドライフルーツ, 製菓原料など糖質の食品における<I>Chrysosporium</I>のさらなる汚染事故発生の機会も十分あると思われる.