著者
宮島 昌克 北浦 勝 池本 敏和 村田 晶 清野 純史 能島 暢呂
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在,被害地震の直後には被災建築物応急危険度判定士によって建物の健全度が判定されているが,医療機関の機能の健全度を評価するものではないので,医療機関においては効果を発揮し得ない。このような観点から本研究では,医療機関における建物の健全度のみならず,救命ライフラインや医療機器の耐震機能評価法を考究することを目的とする。まず,過去の地震における医療機関の被災資料を収集した。近年わが国で発生した地震のみならず,アルジェリア・ブーメルデス地震やイラン・バム地震などの被害についても調査し,世界共通の視点から分析した。その結果,地震後の医療機能損失の要因としては建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に大きく分ける必要があることが明らかとなった。つぎに,2007年3月に発生した能登半島地震と7月に発生した新潟県中越地震の際に被災地の医療施設に対して地震被害が医療機能に与えた影響に関するアンケート調査を実施した。ここでは,上記のように,建物そのものの損壊,ライフラインの機能喪失,医療機器の転倒,落下に分けて,それぞれの被害が医療機能にどのような影響を及ぼしたかについて整理,分析した。その結果,能登半島地震および新潟県中越沖地震では,医療施設において生活機能,医療機能の両面に対して断水被害の影響が目立ったことが明らかとなった。さらに,長周期地震動に対して敏感であると考えられ,しかも医療機器類に多い,キャスター付き機器の振動特性を明らかにするために,正弦波を用いた振動台実験を行い,医療機器類のフラジリティ曲線を求めた。さらに,病院内のライフラインの損傷や薬品棚の転倒が医療機能に及ぼす影響を検討し,それぞれのフラジリティ曲線を提示するとともに,地震時の医療機関の機能損曲線を提案した。
著者
高橋 成子
出版者
京都市立芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

物体知覚と空間知覚における知覚的文脈がどのような脳内機構によって処理されるのかについて検討を行なった。知覚的文脈処理においては、4つの処理系が同定された。視覚情報処理において常に働く機構は、低次文脈処理、および、注意コントロールを担っていると考えられる。これに対して、過去記憶と照合して物体知覚における連合的文脈処理を担う機構、物体奥行き文脈処理を行う機構、空間奥行き文脈処理を行う機構は、刺激状況によって動的に働く。
著者
安井 湘三 鈴木 宏昭 下薗 真一
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

我々が開発したCSDF構造刈り込みの手法は、脳機能の本質に迫るとされる冗長削減原理の一形態と考える。本基盤研究では、この手法を洗練・改良した上で以下のような応用を行い、当初の目標は概ね達成されたものと考える。(A)アナロジー類推プロセッサアナロジーは認知科学、心理学、科学史、AIなどで研究されてきた。アナロジー類推を行う我々のニューロプロセッサは比較的シンプルで、そこでは抽象化内部モデルおよび具体⇔抽象の結合がCSDFの働きで自律生成されるという独自のものである。内部モデルへの引き込み等が起こることで、複合アナロジーや追加アナロジーの学習パラダイムにおいても有効であることが確認された。(B)独立成分分析(ICA)ICAもしくはBSSとは、混合された複数未知信号を分離抽出するという新IT技術である。我々の方法は、情報理論に基づいた従来法とは根本的に異なる。センサー信号を入力するオートエンコーダに恒等写像学習を行わせ、同時に、デコーダ部にCSDFを施す。すると、CSDFに抗して生き残った隠れ素子が源信号を再生する。また、デコーダ行列は混合行列を再生するので、デコーダ部は外部世界(源信号-センサ)の内部モデルとなる。従来法と比べて適応性・ロバスト性に富むことが特長で、音声や画像の実データを使った実験においてもある程度の成功を収めた。
著者
大野 旭
出版者
静岡大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、中国・内モンゴル自治区に居住するモンゴル族遊牧民の定住化過程における文化変容の実態をフィールド・ワークを通して明らかにしようとするものである。本年度は主として同自治区西部のオルドス地域と首府呼和浩特市周辺で現地調査を実施し、その成果を公開した。1.定住化においこまれた最大の原因は放牧地の狭小化に求められよう。清朝の政策転換にともない、19世紀末から大量の漢人農民が内モンゴルに入植し、草原を占領して農耕地に改造した。それと同時にモンゴル族の方は家畜を失い、農民に変身していった。こうした歴史的な出来事を「19世紀末におけるモンゴルと漢族関係の一側面」、「19世紀モンゴル史における<回民反乱>」にまとめ、公開した。2.社会変動期において、モンゴル人はなにを考え、どのように行動してきたかを示す資料として、手写本(古文書)がある。手写本の内容は哲学、文学、天文学、医学など多分野に及んでいる。このような手写本を民間から収集し、著書Manuscripts from private collections in Ordus, Mongolia(2)-the Ghanjurjab collectionのかたちで発表した。今後は、現地調査で収集した資料と、世界各国の文書館に保存されているモンゴルの社会変容に関する档案資料とを併せて、モンゴル族の社会変容を歴史人類学の視点から一層綿密に解明していく予定である。
著者
前島 渉
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究で対象とした地層はインド、オリッサ州およびジャールカンド州の石炭-ペルム系タルチール累層、オリッサ州の白亜系アトガー累層、西南日本の新第三紀山陰-北陸区に属する糸生累層および国見累層である。このうちオリッサ州のタルチール累層、アトガー累層および国見累層で重要な成果を得た。タルチール累層の研究では、石炭紀末からペルム紀にかけてのゴンドワナ氷床の衰退と消滅の初期段階において急斜面性ファンデルタが形成され、その過程で氷河の崩壊や山間の氷河湖の決壊が頻繁におこり、高流速かつ浅水深の大規模なシート洪水流が頻発して、射流領域での堆積作用がおこったことが明らかとなった。このようなシート洪水流堆積物には反砂堆起源の中〜大規模な斜交層理がよく保存されている。アトガー累層については、上部扇状地堆積物中に認められる側方への連続性のよい塊状砂岩や弱く成層した礫まじり砂岩がシート洪水流堆積物であると考えられ、礫まじり砂岩の成層構造がシート洪水流内で常流と射流の両領域が繰り返すことによって形成されていったことを明らかにした。国見累層では、扇状地堆積物中の特に下部扇状地起源と考えられる地層に、反砂堆起源の斜交層理をともなう射流領域のシート洪水流堆積物がよく発達しており、河川流の作用よりはむしろシート洪水の作用の方が卓越したため射流領域の堆積物の地層への保存ポテンチャルが高くなったと考えられる。これは扇状地面の傾斜が交差点近傍で急変し、傾斜が一気に低下することによって河川流の運搬能が急速に衰えて粗粒砕屑物の堆積が一気に起こり、そのため河川チャネルが激しく分岐して浅化してついにはチャネルの形態をも失ってしまったためとみなされる。そのため洪水時には下部扇状地を広くおおうような高流速・浅水深の射流領域のシート洪水がひんぱんに発生したと考えられる。
著者
福澤 利江子
出版者
甲南女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

米国で開発・実施されたListening to Mothers質問紙の日本語翻訳と文化的改変を進めるため、プレテストを拡大した。妊娠・出産・産褥早期版では220名、産後後期・育児・就労版では翻訳と専門家による内容妥当性評価を経て130名の産後の女性より参加が得られた。妥当性、信頼性、同質性をさらに高めるため、尺度開発のプロセスは今後も続く。今回の調査結果はホームページを通じて社会へお返ししていく。
著者
糸久 正人
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

申請者は「イノベーションを追及することは競争優位の源泉になりうるのか?」という問題意識のもとに、主に製品開発プロセスの視点から先発企業(イノベーター)と後発企業(イミテーター)の企業活動について調査分析を行ってきた。前年度の成果としては、後発企業でありながら電気電子製品の分野において高いグローバルシェアを誇る韓国サムスン電子の製品開発プロセスについて分析を行い、『リバース・エンジニアリング型開発プロセス」という概念を打ち出した。これは、通常、機能設計→構造設計へと至る「フォワード・エンジニアリング型開発プロセス」に対して、日本企業などのあるイノベーティブな製品を前提に、そこから構造設計→機能設計→構造設計へとさかのぼっていく製品開発プロセスである。以上の研究成果を踏まえて、本年度は主に3つの方向性に研究を拡張した。一つ目は、上記サムスン電子とブラウン管および液晶パネルメーカーであるサムスンSDIの製品開発戦略を『製品アーキテクチャ」の視点から捉えた研究である。具体的には、藤本(2003)の「アーキテクチャの両面戦略」のフレームワークを用いて同社のブラウン管TV、液晶TV事業を中心に分析したところ、サムスン電子は技術の寄せ集め的で業界に参入し、その後、BRICsなど各市場向けにカスタマイズを行う『内モジュラー・外インテグラル戦略」を、逆にサムスンSDIは自前の技術を利用し、その後、広範囲な顧客に汎用品として販売する『内インテグラル・外モジュラー戦略」をそれぞれ志向することで高い競争力を維持していることがわかった。二つ目は、先発企業の製品開発プロセスに焦点を当てた研究である。具体的には、様々なツールをクロスさせて、3次元CADCAEなどを活用したデジタルエンジニアリング、ロバストネスを達成するタグチメソッドなどを活用して、高品質の製品をいかに早く開発するのか、という問題に対して、インタビュー調査およびアンケート調査から分析を行った。この研究成果に関しては、まだ未公開であるが、現在『組織科学』に投稿中である。三つ目は、製品開発の視点からやや離れて、効率的な生産および需要予測の方法について調査分析したものである。この視点では、現在のところ、先発企業VS後発企業という比較分析が十分でないので、この点は今後の研究課題としたい。
著者
秋山 麻実
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の成果は、以下の二点に集約される。第一に、本研究では、19世紀を中心に多数出版された宗教小冊子で扱われる死のテーマについて、その構造を明らかにした。そこには、忍苦と信仰、幸福な死を描くと同時に、残された者の喪の作業とグリーフ・ケアという側面も含まれていた。第二に本研究は、そうした小冊子が生まれてきた系譜について明らかにした。これは17世紀宗教改革後に著された多くの宗教書との関連において捉えられるべきであり、そうした大人のための宗教書と、子どものための本との内容的な一致点と相違点を明らかにした。
著者
鉄村 琢哉 本勝 千歳
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

屈曲した培養根は多数の側根を形成するというシロイヌナズナで認められた知見をもとに、バーミキュライトを添加し、ゲルライトで固化した培地を根発達培地として使用することにより、カキ栽培品種およびマンゴー実生由来のミクロ挿し穂から発生した1次根に側根を形成させることに成功した。この根発達培地は発根能力の低いニホンナシ栽培品種やマンゴー実生由来のミクロ挿し穂の発根率を向上させた。シロイヌナズナの側根形成に関わる遺伝子解析のための変異系統の作出に成功した。
著者
宇佐美 覚
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本申請研究では、rho依存性転写共役因子MRTF-Aの病的心筋リモデリングにおける役割とその分子機構に関する研究を行った。まずMRTF-Aが心筋肥大刺激により心筋細胞において細胞質から核内にrho-actin dynamics依存性に移行することを確認し、MRTF-Aノックアウトマウスを用いて、MRTF-Aが心肥大に重要な役割を果たしている結果を得た。さらに心臓ホルモンであるBNP遺伝子の発現制御領域に新たにMRTF-Aに反応するSRF結合部位を同定することに成功し、BNPが新たなMRTF-A-SRF経路の直接的な標的遺伝子であることを明らかにした。
著者
田中 仁 MOHAMMAD Bagus Adityawan MOHAMMAD BagusAdityawan
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

2011年3月11日に発生した東日本大震災津波は東北地方を中心として甚大な人的・物的被害をもたらした他に, 大規模な海浜地形変化の変化ももたらしている. 本研究では, 津波の流動モデルを用い, 東日本大震災津波による土砂移動の再現を通じて, モデルの検証, および必要に応じてモデルの改善を行うことを目的としている.今年度は研究の最終年度であり, これまでの研究の進捗を踏まえて予定通りに研究を終えた. まず, 昨年度の研究活動で選定したサイトとして宮城県東松島市における石巻海岸を研究対象とした. この海域を対象にして, 一昨年開発した数値モデルを適用し, 仮想的に海岸堤防の高さを4段階(0m, 1m, 3m, 5m)に変化させ, 津波の遡上に伴う流速値, せん断力, シールズ数などを数値シミュレーションにより求めた. モデルは水表面の計算にVOF法を使用し, 乱流モデルとしてk-εモデルを連立させることにより, 境界層の特性を数値計算に取り込んでいる. 数値計算により, 海岸堤防高さの増加に従って, 海域でのよどみ領域が拡がり, 海域における侵食が低減することが分かった. このように, 海岸堤防が堤内地での氾濫の低減のみならず, 海域における侵食をも低減できることは新たな構造物の価値としてきわめて興味深い知見である.これらの成果を, 第35回国際水理学会(平成25年9月, 中国・成都), 第12回河川土砂移動シンポジウム(平成25年9月, 京都)などにおいて発表を行った.
著者
藏田 耕作
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

骨細胞ネットワークの健全性に着目して骨リモデリング機序を調査することを目的とし,局所的なひずみや破断を与えながら骨細胞を培養できる実験系およびマウス脛骨に疲労亀裂を付与できる動物モデルを開発して実験を行った.その結果,骨基質に生じる大ひずみにより骨細胞ネットワークが損傷を受け,その周囲でアポトーシス細胞が誘導されることが分かった.これがシグナルとなり,損傷部位をターゲットとした骨リモデリングが開始されたり,骨強度低下を補償する骨形成が生じたりすることが示唆された.
著者
佐藤 満 井野 秀一
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大地震等で孤立した被災地に容易に携帯搬送でき、電力や燃料を使わずに閉鎖空間からの初期救助活動に利用できる携帯瓦礫昇揚装置の開発を行った。1t以上の瓦礫を1分以内に50mm昇揚できる仕様の外径347mm高さ90mmの昇揚機構を試作した。動力源には加熱することで大量の水素を放出する水素吸蔵合金を利用し、その熱源には酸化カルシウムと水の反応熱を利用した。試作した昇揚機構は0.2MPaという比較的低い水素内圧で1.19tの出力を発揮し、昇揚動作中に堅牢な水素気密性が保たれることを確認した。さらに140gの酸化カルシウムの反応熱によって上記の出力が達成できることを実験的に示した。
著者
木村 晶子
出版者
岩手県立盛岡農業高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、高等学校における性に関する教育を効果的なものにするため、性感染症を身近な問題として感じるためにどのような内容が効果的かを探ることであった。方法として、講義とワークショップを交えた2時間程度の性教育プログラムを2学年5クラスに実施した後、質問紙調査を実施した。性感染症を「とても身近に感じる」と答えたのは男子20.0%、女子41.8%だったのに対し、「身近に感じない」と答えたのは男子32.9%、女子24.0%であり、女子に比べ男子は性感染症に関心や危機感を感じていなかった。性感染症を身近な問題として感じられたかどうかをプログラムごとに検討したところ、「感染者数などの統計資料から性感染症の現状を知る」では男女差が見られなかったが、「ビデオ教材で実際にクラミジア感染症に感染した人の体験談を聞く」、「感染が広がる様子を擬似的に体験するゲームに参加する」の効果は、女子が男子に比べて有意に高かった。つまり、性別によって受け止め方が異なり、教育効果も異なることが示唆された。学校で性に関する指導を行う際、クラスまたは学年単位で行われることが多いが、この場合教育効果に男女差が生じる可能性がある。五十嵐(2002)は、男子は周りの人との比較によって性交を行おうとする傾向が強いこと、また斎藤ら(2006)は男子高校生の購読頻度が高い雑誌の性に関する記述が、女性誌に比べ医学的信憑性が低く興味本位な描写が多いという結果を報告している。このような現状を踏まえた男女別のプログラムを実施するか、またはプログラムに男子に対する動機付けを高める内容を組み入れるなどの工夫が必要であることが示唆された。今後は前述の工夫を施した予防プログラムの実施と評価が課題である。
著者
浅沼 幹人 宮崎 育子
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

アストログリアでのグルタチオンおよびメタロチオネインの発現誘導およびその放出が,ドパミン神経特異的酸化ストレスであるドパミンキノンによるドパミン神経障害に対する抗酸化機構として重要であるであることを明らかにできた.神経・グリア培養系およびパーキンソン病モデルマウスを用いた検討により,セロトニンアゴニストがアストログリアの増殖誘導ならびにドパミンキノンセンサー分子賦活を介したドパミン神経保護作用を併せ持ったパーキンソン病治療薬となり得る可能性を示すことができた.
著者
崔 ジュン豪 中尾 節男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究ではSi-DLC膜の表面に酸素プラズマ処理を施すことで超低摩擦および高硬度を兼ね備えた膜を開発し,その摩擦摩耗機構の検討を行った.シリコン含有量の増加とともにSi-DLC膜の摩擦係数と硬さはともに減少する.酸素プラズマ処理によりSi-DLC膜の膜全体の硬度は維持したまま,摩擦係数は0.02まで低減できる.酸素プラズマ処理により,シリコン酸化物,カーボンで構成される移着膜を増やすことができ,これにより低摩擦化が実現できる.グラファイト化が進んだカーボンの移着は,Si-DLC膜の低摩擦の一つの原因である.以上の結果から酸素プラズマ処理は,Si-DLC膜の低摩擦化,シリコン添加による硬度減少の防止に有効であると考える.
著者
川瀬 光義 林 公則 金 淳植 真喜屋 美樹
出版者
京都府立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

1990年代から、基地受入の見返りとしての性格が濃厚な、新たな財政支出が増え、沖縄県内、とりわけ名護市をはじめ北部地域自治体に集中的に投じられたが、当該地域の経済状況は、沖縄県内の他地域と比べて格段の改善はみられなかった。2010年度から再編交付金事業の新規計上を見送った名護市では、他の方策で事業資金を獲得する方向が追求されていること、地元企業等においても地場産業や民需を開拓する動きがすすんでいることなど、財政・地域経済ともに基地に依存しなくても成り立つことが明らかになった。
著者
久本 雅嗣
出版者
山梨大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

赤ワインは熟成すると色が紫色から赤、レンガ色になり、味もスムースでマイルドになる。瓶内での熟成による赤ワインの成分の変動を観測するため、製造直後の赤ワインとその1年後に超高速液体クロマトグラフィー-飛行時間型質量分析装置で測定を行い、多変量解析を行った。その結果、ピラノアントシアニンやピラノアントシアニン重合体が熟成した赤ワインの熟成に貢献していることがわかった。
著者
大野 早苗 伊藤 成康 神楽岡 優昌 茶野 努 東郷 賢
出版者
武蔵大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究プロジェクトの第一の目的「国際商品価格の決定要因及び変動特性の分析」では、世界的な流動性増大を背景に商品市場への投機資金の流入が急増した2000年代以降、商品価格に対する流動性要因の影響が拡大し、また商品価格と株価との相関が上昇などの結果が確認された。また、本研究プロジェクトの第二の目的「資源保有国に対する海外資本流入の形態とその決定要因」に関して、資源価格の上昇はFDIよりもむしろ短期資金流入を促進させたり、為替変動が投機的資金流入を促し「資源の呪い」問題を悪化させる可能性が示唆された。
著者
木越 英夫 北 将樹 早川 一郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖抑制活性を持つ研究代表者独自の化合物であるアプリロニンA,オーリライド,ハテルマライド類の抗腫瘍性および腫瘍細胞増殖阻害活性の発現機構に関する研究を行った.アプリロニンAについては,人工類縁体(ハイブリッド化合物)を合成し,その生物活性を検定した.オーリライドについては,その標的分子がプロヒビチンであることを確認し,活性発現機構を解明した.ハテルマライドについては,その人工類縁体を調製し,構造活性相関を得た.