著者
玉川 安騎男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究の主目的は、3名の海外共同研究者(C.Rasmussen(米)、A.Cadoret(仏)、M.Saidi(英))との、代数曲線の被覆の数論幾何に関する3つの共同研究(「ガロア表現」、「フルビッツ空間」、「正標数」)の進展だった。実際、3氏の訪日、玉川の渡仏・渡英などを通じて共同研究を進め、伊原の問題に関連するアーベル多様体のある有限性予想、フルビッツ空間の有理点に関するモジュラータワー予想、ガロア表現像の普遍下界性問題、正標数及びp進の遠アーベル幾何、などについて、大きな成果を上げた。
著者
中田 行重 村山 正治 下川 昭夫 平野 直己
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は個人心理臨床では十分に埋め合わせられない今日の社会病理への対応として、地域への心理的援助の枠組みを探った。研究の方法論として、地域のフリースペースやグループアプローチ、スクールカウンセリングなどにおける地域臨床実践およびインタビュー調査、地域文化・風土のローカルな視点に関する文献研究が行われた。研究により明確になったのは大きく次の4点である。第1点は西欧で始まった"コミュニティアプローチ"は日本においては、日本人の心理的風土に合わせる必要があるということである。例えば日本では子育て支援とは、コミュニケーション支援であることが明らかになったのはその1例である。第2点は、臨床心理学は西欧社会から生まれているが、自己と関係性、心理療法論において日本では西欧とは深い面で異なっていることが明らかになった。第3点はコミュニティアプローチのリーダーや心理臨床家は、個人療法家と異なり、水平アプローチという対象間の関係性を活性化する触媒として非構造化された環境における実践を行う資質が必要であることが明らかになった。第4点は日本は対人支援のためのネットワーキングとして西欧と異なるものが必要であり、それはスクールカウンセリング事業などで現れていることが明らかになった。このようにして明らかになったことは、それぞれ本課題の研究者達の日々の臨床実践で活かされており、更なる実践・研究の継続を予定している。
著者
竹澤 聡 太田 佳樹 小林 幸徳
出版者
北海道工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

転倒回避のために現実的に見合う歩行動作を提案することができた.それは、定常時における立脚中期~立脚終期までのスペクトル解析および、せん断力を求めた結果、現時点では定常時のみであるが、この値を基準とし、滑り判定を行うことは定常時かつ直進歩行であれば可能であることが示された.観測値の相関に基づき、歩き始め、歩き終わりの状態を推定もできると考えられることは重要な知見である.
著者
高橋 修平 川村 彰
出版者
北見工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

積雪地域の冬期間交通路で大きな問題である路面凍結を検知するシステムを試作開発した。検知装置は入射角45°のLED光源,天頂センサー,反射角45°センサーからなり,拡散反射および鏡面反射を求めた。スリップ事故の原因となる光沢路面は鏡面反射率から判別でき,ブラックアイスバーンは鏡面反射と拡散反射の比から抽出できた,道路上の観測は,北見市内、陸別町,国道39号山間部(石北峠)等で行い,良好な結果を得た
著者
伊藤 美由紀
出版者
東北工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

がん患者は意思決定の時期を幾度もむかえる。彼らのスピリチュアルペイン(自己存在の意味や生きる意味に対する苦しみ)について看護師を対象に調査した。時間存在喪失の苦悩では【限られた時間しかない】,【時間が有効に使えない】,【将来の時間がほしい】,【時間を終わらせたい】,関係存在喪失の苦悩では【関係を拒む】,【関係を持ちたい】,【関係を疑う】,【関係が変わる】,自律存在喪失の苦悩では【身体症状が変化する】,【変化する自分を認められない】,【将来の生活が考えられない】,【自分らしさや役割が果たせない】があげられた。
著者
斎藤 稔 岡崎 功
出版者
弘前大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は、シャペロニンが内部空洞中の基質蛋白質をフォールディングさせる機能を調べるために、内部空洞水溶液の物理化学的性質を明らかにすることであった。そのために、シャペロニン全体を水中に置き、全原子全自由度の分子動力学シミュレーションを実施した。内部空洞に基質蛋白質(α-lactalbumin)を含む系と含まない系とで同一のシミュレーションを行った。シミュレーションは、これまでになく大規模(各620ps,総原子数約110万個)であったが、数値的に安定した計算を行うことができた。シャペロニンの様々な場所における水分子の拡散係数を明確に求めることができた。空洞内中心領域、空洞内壁面領域の拡散係数はそれぞれ0.3Å^2/ps、0.1Å^2/psであった。バルクの水分子の拡散係数に比べて明らかに小さいことがわかった。このような知見は、実験による観測から得ることは困難である。内部空洞中の小さい拡散係数の水が、基質蛋白質のフォールディングに何らかの影響を及ぼすものと考えている。一方、本研究のシミュレーションでは、原子に対する束縛が一切無いために、水溶液環境でのシャペロニンの平衡構造を知ることができる。水中のシャペロニンは、初期構造(X線結晶構造)と比較して有意な対称的構造変化を示した。この構造変化は、シャペロニンが結晶中で隣のシャペロニンと接している部分に顕著であった。このような知見も、本研究によって初めて得られた新しい知見である。今後更に、シミュレーションの時間を延長し、論文にまとめる計画である。
著者
市原 美恵 ビダル バレリー
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

非ニュートン性流体中の連続的な気泡の上昇・破裂に伴う音波を調べる室内実験を行い,音波発生の時間間隔,波形,前兆信号,それらを支配する記憶効果やフィードバック機構を明らかにした.また,浅間火山に空振観測システムを設置し,研究機関中である2009年2月に発生した噴火,及び,その後の火口活動をとらえた.独自の計測方法や解析方法を試み,微弱な空気振動から火口活動の発生を検知できるようになった.
著者
杉浦 藤虎 伊藤 和晃
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

ロボコン経験者向けに特化した,自律移動型サッカーロボットの設計と研究開発を基本とした低価格な創造性開発実験セットを構築した.その上で,ロボットおよびシステムの性能評価と実験に参加した学生の創造力の向上の度合いを定量的に評価した.システムの性能は,ロボカップジャパンオープン2006年3位,2007年準優勝,ロボカップ世界大会2006年決勝トーナメント進出ベスト12,同2007年ベスト8の成績から判断して十分に高いと考えられる.創造性開発実験の4つのテーマとして行った内容を以下に示す.1.画像・通信に関して,2台のカメラによるグローバルビジョンシステムとした.画像処理の認識・検索処理の際,全画面でなく,マシンやボール周辺のみの部分解析を行うとともに,高性能無線機の導入により処理の高速化を図った.2.電子回路に関して,処理能力向上のため,ロボットに搭載したCPUを16ビットマイコンに変更した.ホイールの空転を防ぐための加速度センサを追加し,さらにキック力を容易に制御するためトリガーデバイスをリレーからFETに変更した.受信回路における誤り訂正回路,電磁ソレノイド用充電回路などを設計,作製した.3.戦略プログラムの作成に関しては,観測ノイズを低減するためのカルマンフィルタや動力学ソフトを導入した.またパスプレーに対応する協調動作,シミュレーションなどのプログラムを開発した.4.ロボット製作に関しては,メカナムホイールを使用したキーパー専用ロボット,全方向移動ホイール,ドリブル機構,キック機構,およびボール速度測定装置などを作製,改良した.以上の作製を通して実験に参加した学生の創造力や技術能力を定量的に評価した.その結果,サッカーロボットを用いた実験に参加する前と比較して,参加者の創造力,思考方法や問題解決能力は,顕著に向上することなどが示された.
著者
太田 麻衣子
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

1.各国から越研究者が参加した中国柯橋・越国文化高峰論壇にて「越都琅〓新考:兼論越在淮北地区的発展」を口頭発表、改訂稿「越〓都琅〓新考」を『中国柯橋・越国文化高峰論壇文集』に掲載した。本論文は越研究において長年の懸案である越の琅〓遷都および准北進出について、近年の考古調査に基づきながら新説を提示したものであり、以下の事を明らかにした。(1)従来『史記』は越の准北進出を否定しており、越の琅〓遷都を伝える『越絶書』等の記述とは矛盾すると考えられてきたが、実際には『史記』は越の淮北進出を否定してはおらず、『越絶書』等の記述とも矛盾しない(2)越の准北進出は考古学的証拠からも裏付けられる(3)ただし琅〓遷都自体は虚構である可能性が高く、少なくとも従来最も有力視されてきた山東省〓南市の琅〓山一帯に遷都したという説は、考古学的証拠より否定される(4)張志立氏らの考古調査により、准北における越に拠点は江蘇省連雲港市錦屏山九龍口古城にあった可能性が最も高い(5)准北に進出したあとの越は、無彊死後も淮北に存在し続け、最終的には戦国後期、考烈王期の楚に併呑される。2.指導委託により上海・復旦大学歴史地理研究中心の李暁傑教授に師事し、歴史地理学を学ぶと同時に、独自に各地でおもに楚・越にかんする史料調査を行なった。調査した博物館・遺跡・研究機関は以下のとおり。湖南省博物館・馬王堆漢墓三号墓坑・長沙簡牘博物館・湖北省博物館・武漢博物館・武漢大学・随州博物館・曾公乙墓遺址・襄樊市博物館・荊州博物館・楚紀南故城・荊門市博物館・宜昌博物館・南京博物院・上海博物館・蘇州博物館・蘇州科技学院・印山越王陵・越国文化博物館・紹興博物館越王城分館・良渚博物館・浙江省博物館
著者
室井 寿明
出版者
一般財団法人運輸政策研究機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

首都直下地震を想定し,首都圏における鉄道の長期途絶時における代替輸送手段としてバスによる輸送を検討するための技術的課題を整理し,またその効果について検証した.まず,鉄道は大量輸送交通機関であり,一般的にバスは鉄道と比較して輸送力が極めて小さいため,バスで鉄道を完全に代替することは困難である.しかし,バスの運用の方法によって効果的な輸送が可能になること,および首都圏は鉄道網が高密に存在するため,鉄道が被災しても他の鉄道による迂回が利用可能であれば,バスによる代替輸送手段も有効になるということが分かった.
著者
瀬川 高弘
出版者
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイエンス統合データベースセンター)
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アイスコア試料からコンタミネーションを極力排除した遺伝子分析や,生物種同定のプロトコルを確立するための解析をおこなった.南極アイスコア中に含まれるバクテリアの16SrRNA遺伝子解析をおこない,バクテリア群集構造解析をおこなった.その結果,間氷期と氷期で検出されるバクテリアの種類や起源に大きな違いがあり,南極氷床アイスコア中バクテリアを古環境指標として利用できる可能性が示された.
著者
加藤 幹郎 田代 真
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

芸術テクストの歴史に一貫した認識論的パラダイムなどありえない以上、個々の 芸術のテクスト分析をとおして芸術とイデオロギーの不連続かつ連続する複数のコンテクスト(文脈)を構築考察する以外、芸術と人間の関係をさぐる方法はない。
著者
長友 康行 高橋 正郎
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

球面から球面への極小部分多様体のモジュライ空間を記述するDo Carmo-Wallach理論の代表者による一般化を、写像のゲージ同値関係という概念を定義することにより、さらに精密化することに成功した。これにより、先行結果の別証明が与えられるだけではなく、複素射影直線から複素2次超曲面への正則等長写像の2種類のモジュライ空間を得ることができた。さらに射影的平坦写像を定義し、その性質を考察した。また、ベクトル束の切断から誘導される対称空間上の等径超曲面の部分多様体としての不変量をベクトル束の接続に関する不変量と結びつけることにより、等径超曲面の主曲率を求めることに成功した。
著者
犬塚 美輪
出版者
大正大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

指導要領の改訂以来,さまざまな言語活動が提案される一方で,それらの提案は十分に整理されているとは言えなかった。そこで本研究課題では,論理的言語力の育成という観点から言語活動の課題を整理し,教科横断的な枠組みと日常的な活動が重要であることを示した。内容理解を高め,教科横断的に実施できる言語活動の枠組みとして「説明を中心とした言語活動」を提案し,数学や文章理解課題での効果を検証した。また,日常的な言語活動を促進するツールとして「マイ・ディクショナリー」と「付箋ノート」を提案した。
著者
齋藤 淳一
出版者
東京学芸大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

本研究では第一に遺伝子リテラシー教育のカリキュラムとテキスト作りを目指した実践研究を意図した。特に生命倫理の問題を盛り込んだ統合的構成を意識し、実践と理論の両面から効果的な形で遺伝子リテラシー教育を行うためのカリキュラム作りを目指した。基礎データ収集として国際生物学オリンピックのネットワークを有効活用し、欧米、特にイギリス・アメリカ等で行われている生命倫理教育を徹底的に調査・研究して。そしてそれらの題材を日本の教育現場にマッチした形に練り直し、実験・実習と組み合わせた新しいカリキュラムを作成した。第二に現場で比較的容易に行える新しい実験教材の開発を行った。組換えDNA実験を通してバイオハザードや遺伝子組換え食品の安全性に関する問題を考察し、SNP解析についてはPCR法で、実際にALDHIIの多型を調べ、それらをもとに遺伝子診断の持つ様々な問題点を考察する教材を組み立て、最先端技術であるDNAチップを用いたSNP解析の実験を授業に導入した。第三に遺伝子教育に関する情報と設備・備品を共有するネットワーク作りを企画した。
著者
松里 公孝 長縄 宣博 赤尾 光春 藤原 潤子 井上 まどか 荒井 幸康 高橋 沙奈美
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

ロシアの諸宗教を網羅的・多面的に研究した結果、宗教というプリズムを通じてロシア社会を観察することが可能であることが明らかになった。宗教の視点からは、ロシアはより広い地理的なまとまりの一部であり、キリスト教の「教会法上の領域」の観念、巡礼やディアスポラを含めて広域的な観点から分析する必要性が明らかになった。「脱世俗化」の傾向はロシアにも共通するが、その特殊な形態を明らかにする作業が行われた。
著者
吉永 努
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ネットワークを流れる通信パケットの経路をルータで予測することで高性能通信を実現する方式を提案し,ルータのハードウェア設計とシミュレーションによる評価を行った.また,ネットワークトポロジーとアプリケーションの持つ通信パターンに対する予測アルゴリズムの関係を明らかにした.予測精度は通信環境に影響を受けるが,適切な予測アルゴリズムを用いることで予測ルータが種々のネットワーク環境において低遅延通信に有効であることを実験的に確認した.
著者
橋本 光広
出版者
独立行政法人理化学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

多くの解剖学的・生理学的・分子生物学的研究によって、小脳は正中線を軸にして内側から外側方向へ左右対称の縦縞状の区画に領域化されていることが示された。そこで、小脳の縦縞状の領域は小脳における機能区分と考えられ、小脳の神経回路網の形成と小脳の機能発現における基礎的構造単位であると考えられるようになった。しかし、最も基本的な疑問である、「小脳の領域化が、いつ起こり、何によって規定されているか。」は、解明されていなかった。そこで、アデノウイルスベクターによる神経細胞の誕生日特異的遺伝子導入法を用い、小脳における縦縞状領域の形成過程を解析した。その結果、小脳の縦縞状領域化は、小脳プルキンエ細胞の発生する時期(誕生日)に依存して形成されることが判明した。アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入は、神経細胞の発生・分化、脳の機能を解析する上で大変有利である。この技術を用いれば、小脳において、ある特定の縦縞状領域に遺伝子を導入することができる。我々は、薬剤によって神経細胞を殺すことのできる遺伝子を発現するアデノウイルスベクターならびに、神経細胞の生理的活性を変化させる遺伝子を発現するアデノウイルスベクターを作製した。前者のアデノウイルスベクターを用いれば、同一の誕生日を有するプルキンエ細胞群を殺すことができる。または、後者のアデノウイルスベクターを用いれば、ある特定の縦縞状領域の生理活性を人為的に改変することができる。このように、小脳において、ある特定の縦縞状領域の機能を改変することにより、小脳における縦縞状領域の生理学的意義を詳細に解析している。
著者
松田 直樹
出版者
嘉悦大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

近年、国際的租税戦略による課税ベースの浸食の問題が新聞等でも大きく報じられている。本研究では、我が国の課税ベースの浸食に繋がる租税戦略への対抗策のあり方を模索するという観点から、最近、動きの激しい主な諸外国(米国、英国及びその他の主な欧州諸国、インド、中国等)の対抗策(特に、移転価格税制、包括的否認規定、準包括的否認規定及び出国税等)の実態、最近の再構築の方向性及びその有用性・限界などを分析した。上記の分析の結果、上記の諸国では、国際的租税戦略が、益々、活発化する中、近年、対抗策を強化する動きが顕著に認められること、採用されている対抗策には共通点も少なくないことを確認することができた。特に、包括的否認規定や出国税は、我が国では採用されていない対抗策であり、その有用性と限界については、本研究によって、かなり明確化することができたのではないかと考える。確かに、対抗策の制度設計は、各国において、多少なりとも異なっており、また、各国と我が国の税務行政を取り巻く諸環境の差異も小さいものではないことから、いずれの国のどの対抗策の制度設計が、我が国にとって、最も大きな示唆を包含するものであるのかなどを巡っては、少なからず議論の余地がある。上記のような困難性・限界はあるものの、本研究は、主な諸外国の対抗策について、他に類をみないほど包括的かつ深度ある分析を行ったものである。各国の主な対抗策の制度設計や有用性・限界等を踏まえて我が国の対抗策の再構築の選択肢の考察・比較考量を行った本研究は、活発化する租税戦略に対し、我が国の対抗策については、どのように再構築すべきであるかという問題を検討するに当たり、有用な視点を提供するものであると考える。
著者
田中 弘美 平井 慎一 陳 延偉 田中 覚 島田 伸敬 森川 茂廣 来見 良誠 山口 哲 小森 優
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

触覚情報が重要な遠隔協働タスクとして医療分野における低侵襲手術訓練を想定し,触覚フィードバックによる遠隔実地訓練を可能にする遠隔協働型超臨場感仮想環境を実現した.そのために,(1) マイクロセンサを用いた内部センシングに基づく,生体軟組織等の非一様変形パラメータ群推定法,(2) オンラインリメッシュ型インタラクティブ柔軟物シミュレーションの実装と高速化法,(3) 腫瘍や血管などの微細構造の変形と連動させた大規模ボリュームデータの可視化法を確立し,(4)遠隔3地点間で低侵襲胆嚢摘出手術と穿刺手術訓練が可能となるボリュームベース遠隔触覚協働環境システムのプロトタイプの実現し,検証実験により有効性を実証した.