著者
加藤 修 カトウ オサム Kato Osamu
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.495-502, 2013-03

本稿では,筆者の長年の制作活動や,2001年に文化庁芸術家派遣制度でニューヨークに滞在していた際に,現地で9.11を経験し体得した観点から,表現活動や作品の持つ意味,アートプロジェクト・ワークショップの意義,その社会的役割について考え至った内容を記述している。現在,大学の普遍教育教養展開科目「アートをつくる」を母体として,大学生スタッフとともに継続的に展開している複数のアートプロジェクトをはじめ,その1つである「旗をつくる-住みたい国を考える」に特に焦点を当て,2011年7月より同タイトルで5回繰り返してきた内容を振り返り,それぞれを比較しながら,それらがどのような意義と目的をもって結果を導いたのかを検証する。そして,それらが「継続」により生まれた人と人との関係性に基づくものであり,継続を可能にしたシステムの確保による内容の洗練とスキルアップの成果であることを確認している。
著者
Nguyen Van THUAN Satoshi KISHIGAMI Teruhiko WAKAYAMA
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
Journal of Reproduction and Development (ISSN:09168818)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.20-30, 2010 (Released:2010-03-05)
参考文献数
136
被引用文献数
35 96

It has now been 13 years since the first cloned mammal Dolly the sheep was generated from somatic cells using nuclear transfer (SCNT). Since then, this technique has been considered an important tool not only for animal reproduction but also for regenerative medicine. However, the success rate is still very low and the mechanisms involved in genomic reprogramming are not yet clear. Moreover, the NT technique requires donated fresh oocyte, which raises ethical problems for production of human cloned embryo. For this reason, the use of induced pluripotent stem cells for genomic reprogramming and for regenerative medicine is currently a hot topic in this field. However, we believe that the NT approach remains the only valid way for the study of reproduction and basic biology. For example, only the NT approach can reveal dynamic and global modifications in the epigenome without using genetic modification, and it can generate offspring from a single cell or even a frozen dead body. Thanks to much hard work by many groups, cloning success rates are increasing slightly year by year, and NT cloning is now becoming a more applicable method. This review describes how to improve the efficiency of cloning, the establishment of clone-derived embryonic stem cells and further applications.
著者
林越正紀 清水 徹 松原 仁
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.661-667, 2013-06-15
被引用文献数
1

インターネット上のサーバやクラウドによる大規模データ処理と,センサやアクチュエータを制御するセンサ端末をネットワークで結合したいわゆるサイバーフィジカルシステムが,次世代の組込みシステムが目指す姿である.このようなシステムの開発では,センサからインターネットに実時間で流し込まれる社会環境や自然環境のデータを処理することで,いかに高度なサービスを実現するかが1つの課題である.あわせて,センサネットワークの構成要素であるセンサ端末においては,年100億台規模の生産量を有しており,これらをいかに低電力化して,システム全体をグリーン化するかがもう1つの課題である.本稿では,センサ端末の低電力化に向けて,センサでの環境データ取得の特徴を活かしたノーマリーオフコンピューティング制御による低電力化の実現性を示すとともに,このようなセンサ端末の応用例としてオンデマンド型バスのバス停への適用検討とそのシステムレベルでの低電力化の可能性について議論する.
著者
佐藤 雅美 斎藤 泰紀 遠藤 千顕 薄田 勝男 高橋 里美 菅間 敬治 佐川 元保 永元 則義 藤村 重文
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.638-642, 1993
被引用文献数
15 5

悪性中皮腫11例を対象に進展再発様式を検討したその結果, 血行性転移のみの例は無くリノハ行性転移のみの形態をとった例か4例, 血行性およひリノハ行性転移か4例見られたまた術創, 穿刺部位の播種か各1例, 腫瘍か臓側胸膜に浸潤したために発症したと考えられる気胸か4例見られた組織学的に肺門肺内リノハ節を検索しえた3例すへてに転移かみられた肉眼的に完全に切除されたと考えられた症例ては1例を除くと初再発部位は縦隔リノパ節, 術創, 術側胸水と局所再発の形態をとり全例6ヵ月以内に再発していたこれらの事より悪性中皮腫に対しては肺門, 縦隔をも加えた系統的なリノハ節郭清や術中の胸腔内洗浄, 術衣, 手術器械の交換なとを考慮すへきと考えられたまた高齢者の気胸症例ては本疾患を念頭におくへきと考えられた
著者
大河 雄一
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

平成18年度は,本研究課題の最終年度に当たる。本年度においては,本研究の目的である授業・講義等の発話内容を用いたeラーニング教材作成システムに用いるための音声認識モデルおよび音声認識手法の検討を行った。従来より,本研究が対象とするような大学での講義などの音声は,非常に変化が激しい自然発話音声の一つであるため認識が困難であることが,他の研究などから指摘されていた。そこで本研究では前年度に得られていた知見などをもとに自然発話音声の音声認識精度の向上を図った。本年度検討した講義音声認識の手法は,音声に含まれる音素の持続時間が通常の長さとは極端に異なるものを認識誤りの可能性が高いものと見なし,これを抑制するものである。このために,発話様式の似た学術講演を対象とした大規模な音声コーパスCSJを用いて,事前に持続時間の知識を獲得し,認識対象の音声を音素持続時間の観点でスコア化し,認識結果の候補のリスコアリングにより持続時間の誤りを抑制した。この方法により,従来,持続時間の知識を用いる時,検討されていなかった発話速度や文内の位置などの言語的特徴の影響をモデルに取り込み高精度に持続時間の予測を可能とした。本提案法により,最大で4.7%の音素認識誤り削減率が得られた。これは,従来法により持続時間を考慮した場合に2.1%の改善しか得られないのと比べ,有意な改善であった。また,この成果は情報処理学会論文誌に投稿し,採録された。
著者
溝口 肇 宮武 昌史 布施 孝志
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.133, no.7, pp.700-706, 2013-07-01 (Released:2013-07-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2 2

A train scheduling method to minimize the trip time of passengers under restricted electrical energy is investigated in this paper. This method assumes that the consumed electrical energy of one railway artery, all the vehicles of which are local trains, is restricted to a certain value. The endogenous variables of this method are the running time for each interstation, the consumed energy for each interstation, and the number of vehicles. The solution depends on the Kuhn-Tucker theorem on the constraints of both the number of vehicles and the total amount of consumed energy per unit time. This method enables us to determine the running time for each interstation and the number of vehicles according to the solution, which gives priority to small changes in the running time in interstations over decreasing the number of vehicles. Numerical examples verify the effect of reducing the time increment caused by the restriction in some artery without reducing the number of vehicles. The results also imply that the effect on passengers of each energy-saving method differs for every traffic artery.
著者
蓬莱 博哉 灘本 明代 田中 克己
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.71, pp.265-272, 2003-07-16
参考文献数
13

これまで我々は,「容易に」「楽しく」「片手間に」Webコンテンツを取得するために,Webコンテンツを放送型コンテンツに変換してきた.本論文では,この放送型コンテンツをより親しみのあるコンテンツに変換することを目的とし,Webコンテンツを対話型番組に変換することを行う.本論文で提案する対話型番組とは漫才を用いた放送型コンテンツの事である.Webコンテンツを漫才に変換することにより,幅広い年齢のユーザ層にとって内容の理解を容易にするとともに,これまでWebコンテンツ取得時に必要であった能動的操作を軽減する事が可能となる.そこで,本論文ではまず漫才の形式化に取り組み,Webコンテンツから漫才形式に基づいた対話型番組に自動変換する機構を提案する.We propose a framework for transforming Web contents into humorous conversation that aims at exploring easy-to-understand and enjoyable ways to access Web contents. In this paper, we especially focus on transforming multiple Web pages into a Japanese traditional humorous talk show (Manzai). By watching and listening to a transformed Manzai content instead of reading original Web contents, users of all ages can understand the contents easily. Furthermore, since the transformed contents can be viewed in a less-clicking-more-watching style, it can reduce the positive operations (scrolling, clicking). In this paper, first, we present our framework to analyze and formulate Manzai contents. Next, we propose a way to automatically transform multiple Web pages collected under a theme into Manzai-type contents.
著者
阿久津 純 藤山 家徳
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
no.15, pp.p49-52, 1982-12

The fossil lake of Oshino, northeast of Mt. Fuji, was caused by damming up of the Oshino lava, a basaltic lava flow of My. Fuji Volcano. The lake deposits of Oshino, about 11-12m in thickness, lie at a depth of 12-25m and dated 7,150±140 years B. P. by the ^<14>C method. The geological sequence in and around the Oshino basin and the pollen flora and the insect fauna of the deposits are reported in another paper in this volume. Forty-five species of fossil diatom are identified, and the most dominant species among them is Stephanodiscus dubius which has not yet been reported from recent lakes in Japan. Other planctonic species include Cyclotella comta, Fragilaria construens, Melosia granulata, Stephanodiscus astrara and Tabellaria fenestrata. Other spiecies are all epiphytic and occupy less than 10% of total individuals.
出版者
科学技術政策研究所
巻号頁・発行日
2013-03 (Released:2013-06-17)

本報告書は、研究開発投資の経済的・社会的波及効果の測定のための手法などについての研究のうち、2000年以降に公表された学術論文等の中から関連する主要なキーワードを用い選択及び抄録を作成したもので、この研究領域における最近の研究動向の把握を目的としたものである。
著者
一木 絵理
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本研究は、詳細な環境史を時間軸に、日本列島における縄文海進像を再構築し、海進および海退による海域生態系の変化と人間活動を明らかにすることが目的である。海進・海退の地域比較を明らかにした初年度に加え、当該年度は対象地域のさらなる調査と新たな地域を加えて、海域生態系の復原および編年を明らかにすることに努めた。対象地域は(1)古本荘湾と菖蒲崎貝塚(秋田県)、(2)古青谷湾と青谷上寺地遺跡(鳥取県)、(3)上北平野と長七谷地貝塚(青森県)、(4)常呂平野とトコロ朝日貝塚(北海道)である。(1)では、菖蒲崎貝塚周辺で重要なボーリング・コアが得られ、沖積層の層序を解明することができ、本荘平野の変遷史の中で貝塚を位置づけることができた。特に縄文時代早期後半の段階で内湾奥部まで海が侵入して古本荘湾が形成され、貝塚は水深の深い海辺に形成されたことがわかった。(2)では、古青谷湾の海進および海退、平野の形成を明らかにし、さらに縄文時代後半期の浅谷形成と弥生の小海退も新たに認めることが出来た。環境史の中に遺跡を位置づけ、その特異性が明らかになった。(3)では、長七谷地貝塚周辺でボーリング・コアの採取を行い、火山灰編年と層序を対応させることができ、災害の影響と遺跡群の変遷を捉えることができた。(4)では、常呂平野とサロマ湖でのボーリング・コアの採取によって、海退の現象を追うとともに比較研究が可能となった。本研究によって、日本列島における縄文海進および海退による海域生態系の復原を行い、地域ごとの実態を年代測定を加え詳細に対応させていくことで、地域間の共通点と相違点が明らかになった。海進・海退による大きな変化期が人間活動とどのように結びつくかということは、各地域を成り立たせている基盤-地形地質や河川形態、内湾形態といった要素と切り離せず、今後も各地域においてその様相を把握し明らかにしていきたい。
著者
石田 依子
出版者
大島商船高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

かつて船員業は男子絵の領域と考えられてきたが、女性も海に出たことが記録されている。女性が最初に士官候補生として雇用されたのは1960年代後半になってからであり、その後、海運業が船員として男性を雇用することに深刻な困難を経験し始めた1990年代後半になって女性船員は再び登場することになった。これらの女性たちは機会を与えられれば女性ができることを示している。