著者
荒木 貴代 佐藤 敏 川上 哲史 岡本 果南 小幡 弓真 近藤 剛規 高島 幹展 真田 祥太朗 村上 弘城 出口 智宙 高瀬 恒信
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.380-385, 2023-10-20 (Released:2023-10-20)
参考文献数
20

肋骨骨折端によって遅発性に気胸を繰り返した胸部外傷の1手術例を経験したので報告する. 症例は38歳男性. 転落事故による右第7-11肋骨骨折で安静入院した. 肝損傷, 右副腎損傷は保存的に軽快したが, 第9病日, 遅発性に右気胸を生じ胸腔ドレナージを要した. 気胸は改善し外来通院していたが, 第75病日, 第97病日と右気胸を繰り返した. 右第9肋骨骨折端による肺損傷・気胸と判断し, 第111病日に胸腔鏡補助下肋骨骨折端摘除術を行った. 下位・浮肋骨骨折では, 肋骨骨折端が(1)鋭利な形状, (2)胸腔内臓器と接する, (3)胸壁接線に対する鋭角が25度以上である場合は, 予防的摘除を含めた積極的治療を考慮してもよい.
著者
池田 敬
出版者
「野生生物と社会」学会
雑誌
野生生物と社会 (ISSN:24240877)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-85, 2023 (Released:2023-11-09)
参考文献数
27

Sika deer populations must be reduced to control their distribution expansion and decrease damage to agricultural crops and ecosystems. However, due to aging hunters, wildlife managers need to capture deer efficiently. Considering these aspects, capture by feeding has been proposed, but there is no information on the attractiveness of mineral salts to male or female deer. Therefore, we conducted feeding experiments from May to September 2019 to evaluate the attractiveness of mineral salt based on sex. Our results showed that the feeding frequency of mineral salts was higher than that of the other three baits, and the feeding frequency in female deer was higher than that in males. By contrast, we found no differences in the staying time of mineral salts between male and female deer, and the feeding frequency of mineral salts for males increased with time from the start of the attraction. Therefore, mineral salts may sufficiently attract male and female deer, especially during the initial phase of attraction, and may selectively attract females later. To efficiently attract females using mineral salts, it is necessary to know the herd composition in the target area and verify their attractiveness of mineral salts.
著者
孫 旻愷
出版者
千葉大学
巻号頁・発行日
2015

学位:千大院園博甲第学52号
著者
南雲 直二
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.240-245, 1994-08-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
39
被引用文献数
3 3

Normative data on intelligence in adults with Down syndrome was collected on 93 males and 80 females, aged 16 years and above, who had been given the Suzuki-Binet Intelligence Scale. Both the male and female groups showed bimodal curves in the distributions of IQs. Only for the low IQ groups, the distributions were defined by binomial distributions. The mean ages of starting to walk for the low IQ groups were six months or more later than those for the high IQ groups. However, no significant differences were observed in birthweights, terms of pregnancy, and ages between the two groups. In addition, significant sex differences were found in mean IQs, females scored higher in both the two groups.
著者
池本 和大 井上 雅之 山本 正顕
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和2年度大会(オンライン)学術講演論文集 第5巻 熱負荷・外皮性能・シミュレーション 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.57-60, 2020 (Released:2021-10-28)

従来、中高層集合住宅で用いることのできる耐風圧、防火等の各種性能基準を満たすサッシはアルミサッシしかなかった。しかし、ZEH-Mの普及を想定し、中高層集合住宅で採用可能なアルミ樹脂複合サッシが開発された。本研究では、集合住宅におけるZEH-M仕様を想定し、多くの導入が想定されるアルミ樹脂複合サッシと二重サッシの防露性能評価を行なう。追加実験として、一般住宅でも採用が見込まれる二重サッシを一般断熱仕様のRC躯体に設置し、同様に防露性能評価を行なう。
著者
金子 直之 柚木 良介 瀧 りえ 中込 圭一郎
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.46-59, 2023-05-01 (Released:2023-05-01)
参考文献数
107

ターニケット (TQ) は古代から止血に用いられてきたが, その是非は戦傷医学で戦争ごとに紆余曲折してきた経緯がある. ある時は「魔王の発明」と呼ばれ, ある時は命を救うといわれたが, 常に「最後の切り札」という警告が付いていた. ところがアフガニスタン・イラク戦争で大きな変化が生じた. これらの戦争で負傷兵の治療に幾つかの至要たる改良がなされ, 救命率と救肢率の劇的な向上につながった. なかでもTQは最も重要な要素である. そして戦時の改革を市民レベルの救急医療に導入した点が重大な変化である. 現在, TQは市民レベルの外傷診療において世界中で適用される. 一方, 本邦では東京オリンピック前の2018年に「テロ災害等の対応力向上としての止血に関する教育テキスト」が出されたが, 救急隊による病院前のTQ使用に反対意見が少なくない. 本論文では古代から現状に至るTQの歴史を振り返り, その重要性と本邦で検討すべき課題を明らかにする.
著者
伊藤 秀明
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.168, pp.55-62, 2017 (Released:2019-12-26)
参考文献数
7

日本語の多様な文字体系における読字能力の評価尺度の欠如は,学習者の動機づけや課題遂行型の試験の内容的妥当性に影響を与える。しかし,この読字能力の記述化については現在まで必要性が議論されてこず,CEFRやJFSなどの言語教育スタンダードにおいても読字能力が一体何を示すのか,具体的に示されてこなかった。そこで本稿ではCEFR/JFSの拡張・精緻化の観点を前提に,CEFR/JFS の他の言語構造的能力の能力記述文を参考に熟達度別の特徴を洗い出し,今後,拡張・精緻化を図っていくための熟達度別の読字能力の能力記述文の試案の作成を行った。本稿が示した読字能力の能力記述文の試案は今後の議論の余地を残したものであるが,現在までまったく示されていなかった読字能力の能力記述文を具体的に提示することで,より詳細な読字能力の調査・記述への貢献を目指した。
著者
福田 千紘 但馬 秀政 宮崎 智彦
出版者
宝石学会(日本)
雑誌
宝石学会(日本)講演会要旨 平成23年度 宝石学会(日本)講演論文要旨
巻号頁・発行日
pp.5, 2011 (Released:2012-03-01)

昨年、含銅リディコータイトが出現し、 国際的に“パライバ・トルマリン”の定義についての議論が再燃した。これらはEDXRFの実測値において明らかに Ca>Naであり、これまでのエルバイトとは異なり、含銅トルマリンとしては初めてリディコータイトに属するものであった。 LMHCや国内のAGLにおいて慎重に議論された結果、これらも“パライバ・トルマリン”としてカテゴライズされる方向にある。本報告では、パライバ・トルマリンの産出地ごとの外観および化学的特徴を総括し、最近出現した含銅リディコータイトの詳細な化学分析の結果を紹介する。 1980年代後半に含銅トルマリンが最初に発見されたブラジルのパライバ州Sao Jose da Batalha地域のMina da Batalha鉱区のものは、鉱物学的にはエルバイトに属していたため、以降パライバ・トルマリンは銅およびマンガンを含有する青~緑色のエルバイトとされてきた。この地の青色含銅トルマリンのCuO含有量は、我々の蛍光X線分析(日本電子製JSX3600M)による実測値では2~2.9%であった。その後1990年代以降主流となったリオグランデ ド ノルテ州の2つの鉱山のうち、Mulungu鉱区のもののCuOの含有量は、0.6~1.8%で、Alto dos Quintos鉱区のものは0.5~4.9%であった。2000年代に入って発見されたアフリカのナイジェリア産の青色含銅トルマリンには、比較的CuO含有量が少なく、PbOの含有を特徴とするいわゆるタイプ_II_と蛍光X線分析ではブラジル産と化学的に識別が不可能なタイプ_I_が存在する。2005年の中頃、モザンビークのAlto Lingonha地域から産出するようになった含銅トルマリンは、比較的CuOの含有量が少なく、0.20~0.9%で淡い色調のものが多い。最近になって産出が知られるようになった含銅リディコータイトはCuOを0.2~0.6%含有しており、同時にPbOを0.1~0.2%含有しているのが特徴である。
著者
石川 良子
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.39-55,156, 2003-10-31 (Released:2016-05-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to suggest a viewpoint to understand "Hikikomori" without referring to dyscommunication between parents and children as a cause of "Hikikomori," based on narratives by members of a self-help group.In this paper, we regard "Hikikomori" as passing, and focus on information about self and interactions with others. The term "Hikikomori" does not always indicate withdrawal from communication with all others.For example, informants sometimes go out for shopping or walks, on the one hand; on the other hand, they avoid meeting almost all their neighbors, friends and acquaintances. We can consider both episodes deliberate or unintended passing, namely, in order to avoid negative reactions from others, they try to keep anonymity that means relative shortage of biographical information by managing their own discreditable information about themselves. In addition, informants can associate with their intimates if they are familiar with the discreditable information about informants and passing is not needed. However, even in this case, informants sometimes avoid associating with their intimates if the negative reactions from them can be expected. From this view, it is not very important with whom informants communicate. In conclusion, we suggest that informants avoid the situations where they recognize themselves as stigmatized individuals, which cause them moral conflicts, and that we can consider "Hikikomori", in a sense, a rational strategy to ease their own moral conflicts.
著者
齋藤 昭子 巣内 秀太郎
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.101-112, 2022 (Released:2022-10-06)
参考文献数
38

HIV感染に対するMen who have sex with men (MSM)の脆弱性は、広く知られるようになったが、社会的立場の弱さから必要なサービスへのアクセスが制限されている。そこで、青年海外協力隊(当時)2名で、MSMを対象とした性感染症予防のためのコンドーム使用を促進するワークショップを立案した。ヘルスビリーフモデルを参考に、コンドーム使用のメリット(感染予防)がデメリットを上回れるよう、性感染症の脅威やコンドーム使用の有効性を認識し、正しい使用方法の習得を促す内容とした。肛門性交などMSMの性行動を考慮した内容にし、ファシリテータはMSMの自助グループのメンバーが担った。  ケニア共和国キリフィ郡で2013年11月から2014年2月にかけて、2時間の1回完結型のワークショップを全13回実施した。会場は、MSM自助グループの活動拠点である公立病院を使用した。スノ—ボールサンプリング法でリクルートし、合計170名が参加した。介入前後で実施した自記式の質問紙調査の結果(有効回答数139)、参加者の平均年齢は26.6歳(SD±6.69)、性自認は男性133名、女性6名で、性指向はゲイ33名、バイセクシャル90名、その他15名、未回答が1名だった。ワークショップの実施前後で、対象者の自尊心、安全な性行為への意思と知識の各平均点が、それぞれ0.83点(p=0.0123)、0.75点(p=0.0006)、0.33点(p=0.0024)上昇した。参加者の感想からは、単に研修内容が身になった、知識を得たというものばかりでなく、MSM向けに用意されたワークショップであることを理解し、「私たち」のコミュニティにとって利益のあるものと受け取った参加者も確認できた。  今回の介入では、170名と多くのMSM参加者を得ることができ、参加者の自尊心・安全な性行為の意思・知識を高めることができた。本介入で多くの参加者を得るために行った工夫は、1)MSMにとって安心安全な環境づくりをすること、2)ピアファシリテータの協力を得ること、3)MSM同士で声を掛け合うスノーボールサンプリング法で参加者をリクルートすること、4)参加日程の選択肢を多く作ること、そして5)MSMの特徴的な性行動(肛門性交など)を踏まえた内容にすること、である。本介入で得られた知見が、他地域においても参加者獲得の一助になると考える。
著者
小坂 光男 大渡 伸 松本 孝朗 山下 俊一
出版者
長崎大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

【緒言】暑熱順化の形成過程における個体レベルの反応は急性の神経性・亜慢性の内分泌性調節変化に引き続いて器質性変化の誘発がある。この器質性変化と言えども細胞レベルにおいては温度刺激後の比較的早期に誘起される可能性は否めない。温熱生理学的手法に加えて、昨今、がん温熱療法のハイパ-サ-ミア分野で脚光を浴びている温熱感受性・熱耐性に関連の深い熱ショック蛋白(Heat shock proteins:HSPs)の誘導の有無を検索し、暑熱負荷時の生体反応、特に暑熱順化機序を個体および細胞レベルで解析・究明することを研究の目的としている。【方法】ナキウナギ、ラット、家ウサギに熱ショック(直腸温:42℃,15分)や寒冷ショック(直腸温:20℃,30ー120分,平成2年度はさらに筋肉・脳温を42℃,15分間加温負荷)を加え、各種体温調節反応を記録、動物は20時間後 10%SDSーPAGEによって、肝・腎・脾・副腎・脳・筋肉の各組織のcytosol fractionに新しい蛋白質(HSPs)の誘導の有無を検索、一部、HSP 70抗体によるWestern Blotting法によって詳細な分析を加えた。【結果】1熱ショック負荷方法(直腸温42℃に到達時間20ー30分が至適)で多少結果に差異が生じるが、2家ウサギで肝の cytosol fraction に 68KD の HSP の誘導、3ラットでは殆んど全組織で HSPs 70KD の誘導、4ナキウナギでは5例中1例において肝ーcytosol frction で 70KD 誘導、他の組織では HSPs の誘導困難、5寒冷ショックによる Cold shock protein(CSP)の検出に関してはラットの肝の cytosol fraction で 32KD の蛋白質が寒冷ショックによって消失する1例を観察している。6すべての動物の筋肉および脳のcytosol fraction で HSP の誘導はやや困難であるが、熱ショック負荷方の改善筋および脳(被殼)温度を42℃,15分間、直腸温43℃によって陽性の結果を得ており、今後更に検討を行う。【まとめ】熱耐性に関連の深い熱ショック蛋白(HSPs)が暑熱負荷20時間以後には細胞内に誘導される本研究結果は暑熱順化機序解明に光明を与える快挙である。
著者
小長谷 幸史 小田島 大 山家 真奈美 高橋 悠斗 古俣 真夕 重松 亨
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.425-435, 2022-11-30 (Released:2022-11-30)
参考文献数
21

分子生物学など幅広い分野で用いられているポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は,現在では高等学校の生物の教科書にも記載され,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査で用いられていることにより社会にもPCRが広く認知されるようになった。高等学校の生徒に対してPCRの原理と応用に関する質問紙調査を行った結果,ほぼ全員PCRという言葉を知っていたが,SRAS-CoV2の検査に関すること以外の記述はほとんどなかった。この生徒に対し大学と連携によるPCRの実験を伴った授業を行った。授業は通常の授業時間のなかで説明,PCRの操作,電気泳動を含めて2校時内に行うものとし,PCRは3台の温度の異なるウォーターバスを用いて生徒が反応液の入ったPCRチューブを移動させる“手動PCR”の方法で行った。PCRは原核細胞の16SリボソームRNA遺伝子のほぼ全域の約1500 bpの部分を標的とし,試料は納豆から分離したBacillus subtilisの菌体およびそのDNA,納豆の粘りを用いた。1校時目に全体の説明とPCRの反応操作を行った。PCRの条件は初期変性2分間の後,94°C 20秒間56°C 20秒間72°C 20秒間の25サイクルで行った。2校時目にPCR後の反応溶液を電気泳動に供した結果,9班中2班で目的のPCR産物が得られていた。本実践では感染症対策を十分にとって行うことができた。授業後の課題の設問への解答にはPCRの原理や検査以外の応用の記述がみられるようになった。本実践により通常の授業時間の2校時と課題による時間外学習によりPCRについて学ぶことができる生徒実験が構築できる可能性が見出された。
著者
蘇 席瑤 林 恒立
出版者
北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院
雑誌
メディア・コミュニケーション研究 (ISSN:18825303)
巻号頁・発行日
vol.71, pp.205-228, 2018-03-26

本稿では、「言語・ジェンダー研究」に関する重要文献のレビューを行う。本稿は2部構成であり、まず第1部では、重要論文の紹介を通して、海外において「言語・ジェンダー研究」がどのように発展を遂げてきたのかをまとめ、この研究分野をより全面的かつ体系的に把握する。次に第2部では、台湾の言語とジェンダーに関わる現象をテーマにした先行研究をレビューし、海外の「言語・ジェンダー研究」の概況との比較を行う。これを通して、台湾での現象が持ち得る研究データとしての価値を示唆するとともに、今後の研究の方向性を示し、台湾の言語学者とジェンダー研究者の研究に資することを望んでいる(訳注:台湾に興味・関心を持つ言語学者とジェンダー研究者を含む)。本稿でのレビューを通しての結論は次のことである。台湾のデータ(会話データ・談話資料)を扱った「言語・ジェンダー研究」の数は決して多くなく、また先行研究のテーマは範囲がやや広いとはいえ、今後の研究の発展可能性がまだ十分にある。よって、この研究分野は言語学者とジェンダー研究者が引き続き力を入れるに値するジャンルである。

1 0 0 0 OA 木船の改良

著者
小川 良平
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
造船協會會報 (ISSN:18842054)
巻号頁・発行日
vol.1922, no.31, pp.34-144, 1922-02-28 (Released:2009-09-04)
被引用文献数
1