著者
杉山 康彦
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
図書館学会年報 (ISSN:00409650)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.81-92, 1959 (Released:2023-07-29)

This short essay is the brief description of the ancient Japanese history of libraries until 13 century. Instead of persuing the development of famous libraries, means and ways of people's touching with books, in other words, collections and circulations of books are particularly researched. On this base the process of library development is surveyd. Conversely speaking, from the following view point the history is observed: What part has a library taken in people's reading and as a result what relation has it had in other fields.
著者
新井 宗仁
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究で明らかになったことは、主に次の3つである。1.[α-ラクトアルブミン(α-LA)のモルテン・グロビュール(MG)状態の構造および安定性の解析]ヒトα-LAのMG状態及び巻き戻り中間体の構造と安定性を測定した結果、ヒトα-LAのMG状態は他のα-LAのMG状態よりも安定であり、かつ、より多くのα-ヘリックスを含むことが明らかになった。 2.[α-LAの変異体のフォールディング反応の解析]α-LAの様々な変異体を作成するために、ヤギα-LAの遺伝子をpSCREEN-1b(+)に組み込み、蛋白質の発現を行った。変異体を使った研究から、α-LAのフォールディング反応の遷移状態では、T29,I95,W118周辺の構造はまだ十分には形成されていないことが明らかになった。このことは、MG状態で形成される疎水性コアやCヘリックス周辺は遷移状態において構造化されていないことを示している。 3.[ストップトフローX線溶液散乱法によるα-LAの巻き戻り反応の測定]従来のストップトフローX線溶液散乱法では一次元PSPC型X線検出器を用いて測定を行っていたが、新たに開発された二次元CCD型X線検出器を用いることにより、400倍以上の感度向上に成功した。また、データの補正方法を確立した。本研究で完成した時分割X線溶液散乱法は、蛋白質のフォールディング研究のみならず、様々な研究に適用可能な優れた方法である。この方法を用いてα-LAの巻き戻り反応の測定を行った結果、α-LAは巻き戻り反応開始後数10ミリ秒以内に、平衡条件下で観測されるMG状態と同じ分子サイズと分子形状を持つ巻き戻り中間体を形成することが明らかになった。本研究の結果およびストップトフロー円二色性法による結果から、α-LAの巻き戻り中間体は平衡条件下で観測されるMG状態と同一であることが示された。
著者
安田 康晴 佐々木 広一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.641-648, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
14

目的:救急現場用感染防止衣の除菌・洗浄方法と交換時期について検討すること。方法:ナイロン系をオゾン除菌(4カ月使用想定)と洗濯機で市販洗剤を用いた洗濯後に自然乾燥(50回)させ,耐水・ウイルスバリア性をASTM・JIS,繊維断面を電子顕微鏡で,除菌剤別噴霧を3カ月間の実使用で,不織布を乾燥機で乾燥させ,それぞれ繊維劣化を確認した。結果:オゾン除菌と洗濯後の繊維劣化は有孔膜フィルムナイロン系で認められたが,無孔膜フィルムでは認められなかった。除菌剤別噴霧の繊維劣化は塩素系除菌剤で,不織布製で乾燥機による乾燥で毛羽立ちや毛玉が認められた。結論:ナイロン系・不織布製とも,洗浄は洗濯機で塩素系以外の市販洗剤を用いた洗濯後に自然乾燥させる。除菌はオゾンと塩素系除菌剤は繊維劣化を生じるため繊維劣化が生じない除菌剤を噴霧する。交換は感染防止衣に亀裂や破損,毛玉,毛羽立ちが,不織布製は汚染が認められた場合とする。
著者
小林 諭史 隅 浩紀 福田 吉治 秋枝 一基 三宅 康史
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.628-632, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
10

自傷・自殺未遂の経験は将来の自殺死亡に関連する重要な単一の予測因子である。医療機関における自傷・自殺未遂の症例登録の仕組みが必要であることは,広く指摘されている。著者らは自傷および自殺未遂に関する全国的なレジストリシステム(JA-RSA)を開発した。2021年にプロトタイプ作成,2022年度より全国の救命救急センターに参加を依頼し,各共同研究機関で症例登録を開始した。JA-RSAの特徴は,わが国初の全国的かつ継続的な自殺未遂症例登録の取り組みであり,救命救急センターへ搬送された患者を対象としている。またJA-RSAは,実効的な自殺対策の施策検討や評価にも貢献することが期待される。登録が進むことで,自殺に至る危険因子や社会情勢の変化によるリスクの同定が可能になる。現在,約60の救命救急センターがJA-RSAに参加しているが,今後は全国約300のセンターの参画を目指し,自傷・自殺未遂の実態把握と積極的な自殺対策に活用していく予定である。
著者
柴田 俊子 奥住 祥恵 篠原 有由子 森田 文子 光永 知和子 嶋本 圭 大音 清香 井上 賢治
出版者
日本視機能看護学会
雑誌
日本視機能看護学会誌 (ISSN:24333107)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.28-31, 2023 (Released:2023-11-22)
参考文献数
3

目的:A病院における夜間・休日の救急患者電話対応の業務の統一化を図るためにマニュアルを作成し評価を行う。 方法:調査期間:2020年3月~ 7月 対象:看護師が電話対応をした66件 方法:電話対応アンケートに記載されたアンケート内容を収集分析。 結果:電話総数66件のうちマニュアルを参照しなかったのは57件(86%),マニュアルを参照したのは9件(14%)だった。この9件の内訳は手術後の症状3件,アトロピン硫酸塩水和物に対する副作用2件,病状2件, ボトックス®注射1件,クレーム1件だった。 考察:マニュアルを作成することにより病棟では関わらない処置の確認や医師への連絡が簡便になり,病棟看護師の電話対応の統一や看護師の不安の軽減に繋がった。夜間や休日は病棟看護師に他部署の役割が求められる為,定期的にマニュアルの見直しや,追加修正等を行う必要がある。
著者
窪田 悠一 原田 勝孝 伊藤 岳
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究は、歴史事象の現代社会における影響を考察の対象とし、超長期的因果関係の分析 に基づく新たな実証的社会科学研究を提唱することを目的とする。特にここでは、戊辰戦 争における戦闘や暴力の遺産が現代日本政治経済に与える影響について実証データを収集 しながら考察する。この目的のために本研究では、a) 戊辰戦争における戦闘・暴力の発生 メカニズムの解明、b) そうした政治暴力と現代市民の政治意識・行動、また経済活動の関 係性の分析を行う。
著者
山崎 賢也
出版者
富山救急医療学会
雑誌
富山救急医療学会 (ISSN:21854424)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.4, 2021-09-04 (Released:2021-11-17)

現在、高岡市消防本部に登録されている救急救命士は、救急振興財団の救急救命研修所を修了した救急救命士(以下「研修所救命士」という。)と、大学・専門学校による救急専門課程を修了した救急救命士(以下「学校救命士」という。)の2つの教育課程を経てきた者が救急救命士として勤務している。それぞれの救急救命士は資格取得までの過程が異なっており、研修所救命士は、2,000時間又は5年以上の現場経験を積んだうえで救急救命士になるのに対し、学校救命士は教育課程の中での資格取得のため、病院実習や同乗実習の機会はあるが、総じて現場経験が浅いのが現状であり、新任の学校救命士が現場活動をするうえで、研修所救命士との知識や技術、現場経験の差から不安を感じている者もいると思われる。 今回、学校救命士が抱える現場活動への不安の要因についてアンケート調査したところ、研修所救命士との現場経験の差や生体への観察技術に差を感じているという結果となった。 本市では、平成28年から救急隊員生涯教育制度により就業前病院実習までに知識、技術の確認を行うようになっており、学校救命士と研修所救命士とでは、知識、技術的な差は救急隊員生涯教育によって補えていると考える。 このことから、生体への観察技術を身に着けていくためには、生体を使った実測訓練を取り入れるなど、現場に即した訓練を実施することが必要だと考えられる。 また、出動後に現場活動の振り返りを常に実施することで、隊員間のコミュニケーションを促進させるとともに、知識の向上を図ることで、少ない現場経験の差を埋めていく必要があると考察する。
著者
大林 太朗
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究の目的は、関東大震災(1923年)からの復興に向けた日本のスポーツ界の対応を明らかにすることであった。文献資料(文書、雑誌、新聞等)の収集・分析を通して、震災直後に大日本体育協会(現在の日本スポーツ協会・日本オリンピック委員会)が帝都復興院・東京市当局に対して提出した「願書」の内容や、各大学の運動部学生による復興支援活動・チャリティマッチの記録、さらには上野公園における被災者(主に避難民)を対象とした「慰安運動会」の内容と文化的特徴が明らかとなった。
著者
佐々木 広一 安田 康晴
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.622-627, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
12

背景:近年,オゾンによる新型コロナウイルス不活化の研究が報告され,救急車内の環境表面などの殺菌のためオゾン発生器を導入する消防本部が増加している。しかし,救急車内でのオゾン拡散が均一となっているかは明らかにされていない。目的:救急車内のオゾン拡散状況を把握すること。方法:救急車内にオゾン発生器を設置し,救急車内の前部・中央部・後部でオゾン濃度を測定した。また,培養した細菌の死滅化を目視確認した。結果:オゾン濃度は各測定箇所での濃度差が認められ,機器が表示する濃度よりも,前部では低く,中央部と後部では高い濃度となった。菌の死滅化においても前部で残存が多く認められた。結論:有効CT値に未到達の箇所や過剰な濃度になっている箇所があり,車内拡散の不均一性が示唆された。殺菌できていない箇所がある可能性があり,オゾン殺菌によるメリット・デメリットを考慮し,効果的かつ安全性を確保したうえで適切に使用する必要がある。
著者
大津 直子
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.32-45, 2015-11-15 (Released:2016-11-15)

本稿は、『猫と庄造と二人のをんな』の執筆と、当時取り組んでいた『源氏物語』の翻訳とが、相互に影響を及ぼしあう関係であることを明らかにした。この(猫と)作品は、「若菜上・下」巻、言い換えれば『源氏物語』第二部世界に影響を受けてきたと言われてきた。だが小説の執筆と源氏訳との進捗状況を確認すると、直接の影響は「帚木」巻から受けたと推察される。なぜなら雨夜の品定めにおける左馬頭と二人の女とのエピソードが小説の筋書きに反映されていると考えられたからである。さらに単行本収録段階で本文を削除した点についても言及した。一方、國學院大學蔵『谷崎源氏新訳草稿』から、小説の執筆が第二部世界の訳出に影響を及ぼした可能性についても言及した。
著者
鈴木 良弥 川隅 里奈 関口 芳廣 重永 実
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.51, pp.21-26, 1995-05-25
参考文献数
6

話し言葉中では助詞の省略,曖昧な発声などが頻繁に起こる.従って,話し言葉の認識や理解を行なうには助詞の推定を行なう必要がある.我々は朗読文用連続音声認識システムをすでに作成しているが,そのシステムの助詞推定能力を人間と比較した.まず,話し言葉(対話文とスピーチ)中の各助詞の出現回数などを調べた.その結果,良く使われる助詞は対話文でもスピーチでもほとんど同じであることがわかった.また認識システムの出力と学生73人にアンケートを行なった結果とを比較した.実験により,学生が作成した文の約94%をシステムが生成し,システムが作成した候補文の約3%を学生が作成したことを確認した.We are trying to make our speech recognition system to correspond to spoken dialogue. First, we investigated the frequency of each particle in some dialogues and speeches, and we registerd 29 frequently used particles to our system. Second, We sent out a questionnaire to 73 students in order to compare with the performance of estimation of particles by the linguistic processor (case structures, syntactic rules, and so on) of our speech recognition system. According to the comparison, our system can generate most of sentences which students can think out.
著者
寺田 寅彦
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究はヨーロッパで出版された英語教科書のイラストや写真の役割を検討したものである。外国語習得にイラストが有益であるのは、なによりも見て美しく、また文化的背景を学習者に提示するからである。今日出版されている英語教科書のほとんどがカラーイラストの入ったものである所以である。しかしながら、書かれていることと一致しないイラストや、情報過多ともいえるイラストが入っていることがある。それらは歴史的・政治的背景により、テキストの内容ではなく、ナチス・ドイツのスローガンのような政治的メッセージの内容を示しているのである。単なる語学学習が政治的道具に使われることを、本研究は明らかにしている。
著者
金子 健二 金広 文男 森澤 光晴 三浦 郁奈子 中岡 慎一郎 原田 研介 梶田 秀司
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.28, no.7, pp.853-864, 2010 (Released:2012-01-25)
参考文献数
42
被引用文献数
7 6

The development of cybernetic human HRP-4C is presented in this paper. The word “Cybernetic Human” is a coinage for us to explain a humanoid robot with a realistic head and a realistic figure of a human being. HRP-4C stands for Humanoid Robotics Platform-4 (Cybernetic human). Standing 158[cm] tall and weighing 43[kg] (including batteries), with the joints and dimensions set to average values for young Japanese females, HRP-4C looks very human-like. This paper introduces the project overview, the design process, mechanical features, and electrical features with specifications of HRP-4C.

1 0 0 0 OA 笑いと宗教

著者
柏木 哲夫 釈 徹宗
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.95, no.Suppl, pp.9-16, 2022-03-30 (Released:2022-06-30)
著者
滝沢 誠 菊地 吉修 渡井 英誉 佐藤 祐樹 笹原 芳郎 笹原 千賀子 田村 隆太郎 戸田 英佑
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究では、伊豆半島における前期古墳の調査をつうじて、半島基部に形成された古墳時代前期の政治拠点と東日本太平洋岸域における広域的なネットワークとのかかわりについて検討した。あらたに確認された瓢箪山古墳(前方後円墳)の発掘調査では、同古墳の立地や墳丘構造が伊豆半島の基部を横断する交通路を強く意識したものであることを明らかにした。また、同古墳が築かれたとみられる古墳時代前期後半には、周辺域において集落規模の拡大や外部地域との交流が活発化する状況を把握することができた。これらの成果をふまえ、古墳時代前期後半には、伊豆半島基部の交通上の役割が高まり、その拠点的性格が顕在化したものと結論づけた。