著者
竹内 康雄 田阪 茂樹 梶田 隆章
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究では、まず脱気された純水中からの極微量ラドン分離方法に関して研究を進めた。脱気水中のラドンを安定して効率よく分離するために、中空糸膜モジュールを採用した。市販されている中空糸膜モジュールを本研究用に特注で加工をし、アクリル製の円筒容器に収めてラドン検出器下部に連結した。他の水中ラドン分離手段として、異なる中空糸モジュールのマウント方法や、空気用ポンプを用いる方法も試みたが、いずれも効果的ではなかった。次に、本研究で試作された700L脱気水用ラドン検出器を用いて各種特性試験を行った。700L脱気水用ラドン検出器の水中ラドンに対する校正定数は、14.6±2.1(count/day)/(mBq/m^3)が得られた。これまでスーパーカミオカンデで使用されていた70Lラドン検出器の脱気水に対する校正定数は0.3(count/day)/(mBq/m^3)程度であったので、約40倍程度感度が向上したことになる。また、バックグラウンドレベルを考慮すると、700L脱気水用ラドン検出器の水中ラドンに対する検出限界は0.7mBq/m^3に相当する。これらの成果は論文にまとめてNIM A誌に投稿し、受理された。(2002年10月現在)一連の成果を論文にまとめた後、700L脱気水用ラドン検出器の性能をさらに向上させるため、ウラン238の含有量を約1/50に削減した新しい低バックグラウンドのPINフォトダイオードを試作した。また、検出容器内の電場を最適化することにより、空気中ラドンに対する検出効率を約2倍向上させた。今後は、電場の最適化をした容器と新低バックグラウンドフォトダイオードを用いたラドン検出器を構築し、特性および検出限界について研究を進めていく予定である。
著者
青木 義郎 佐藤 誠晃 市川 靖洋 阪井 健 田中 博
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.1141-1146, 2016 (Released:2018-01-29)
参考文献数
4

ヘッドランプへの泥や雪などの汚れは,ドライバーの前方視認性を低下させるとともに,対向車にグレアを増加させる危険性がある.この研究では,ヘッドランプが汚れた場合,対向車へのグレアや歩行者視認性にどのように影響するかを調べるとともに,その改善方法であるヘッドランプクリーナーの効果について検証を行った.
著者
山下 司 石堂 一巳 柳澤 幸夫
出版者
徳島文理大学
雑誌
徳島文理大学研究紀要 (ISSN:02869829)
巻号頁・発行日
vol.103, pp.1-12, 2022-03-31 (Released:2022-10-21)
参考文献数
71

本研究は,表面筋電図(EMG)を用い,分枝アミノ酸(BCAA)摂取の有無が持続的運動負荷中の筋疲労に及ぼす影響を検証した。健常成人10名に対し,BCAA摂取時と非摂取時の2回,50%MVC等尺性膝伸展運動を120秒間行ったときの,測定開始時から95秒後までにおける大腿直筋(RF)・外側広筋(VL)・内側広筋(VM)の積分筋電図(iEMG),平均周波数(MPF)をそれぞれ解析・算出した。結果,iEMGでは,2群間の運動負荷中の各筋活動は有意差を認めなかった。測定開始時〜5秒のMPFでは,RF,VLと比較しVMは有意に低値であり,BCAA摂取の有無による比較では,RFは測定開始時〜5秒,VLは測定開始時から65秒後までで有意差を認めた。VMはすべてにおいて有意差を認めなかった。本結果より,TypeⅡ線維割合が多い筋の場合,BCAAの摂取は測定開始時の筋疲労抑制効果があることが明らかになった。
著者
茅 暁陽 藤代 一成 柏木 賢治 郷 健太郎 豊浦 正広
出版者
山梨大学
雑誌
挑戦的研究(開拓)
巻号頁・発行日
2020-04-01

加齢黄斑変性症(AMD)は,年齢を重ねるに従って網膜の中心に位置し視力の中核的機能を担う黄斑に異常が生じ,見え方の質が著しく低下する病気である.本研究では,老齢者でも患者自らが身近なPC・携帯端末等を用いて自身の症状を手軽に検査でき,その結果に基づいて,日常生活の場面ごとに個人の視覚特性に合致したコンテンツを提示することにより,視野の歪みを軽減し,中心暗点で消失した情報を補い,患者の見え方の質,ひいては生活の質まで大幅に改善させられるような情報工学技術としてCR(Corrected/Complemented Reality)技術を確立する.
著者
李 薈
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.1273-1279, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
28

本研究では満鉄の鉄道付属地獲得した20世紀初頭から「奉天工業土地株式会社」の創設した1935年まで鉄西工業区成立の経緯を明らかにした。満州事変前、鉄西工業区は満鉄付属地拡張計画の一部であり、土地取得困難のため、満蒙毛織会社工場のみが設立され、鉄西工業区の起点と言える。満州事変後、満鉄による鉄西工業区の土地買収は失敗した。関東軍と満鉄は三つの方案を順次に作成し、鉄西工業区に関する土地買収方法、経営管理方式を決定した。満鉄は満鉄既買収地以外の土地買収を奉天市政公署に依頼した。法律上の便宜、満鉄主導権と奉天市協力の実現を図るため、満鉄と奉天市政公署共同出資の「奉天工業土地株式会社」が成立した。奉天工業土地株式会社の成立は、鉄西工業区設立時の土地買収問題を解決でき、将来工業区運営にあたる満鉄主導の行政、さらに治外法権撤廃後の満州国奉天市政公署による一元的行政を実現するために条件を作った。
著者
福田 友子
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

中古車貿易は移民企業家が積極的に参入してきたニッチ産業であり,特に日本を起点とする右ハンドル中古車貿易においては,パキスタン人移民企業家が市場を牽引してきたことが知られている.本研究課題では,パキスタン人移民企業家が世界各地に形成した貿易拠点においてしばしば見うけられる,移民企業家の多民族/多国籍ネットワークに注目した.エスニック・ビジネス研究において基本原理とされてきた同胞ネットワークの活用とは様々な点で異なる,多民族/多国籍の移民企業家が連携したビジネス・ネットワーク構築の仕組みを明らかにした.
著者
後藤 輝男
出版者
公益社団法人 日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.16, no.169, pp.809-818, 1967-10-15 (Released:2009-06-03)
参考文献数
97
著者
竹内 薫
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.27-31, 2002-06-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2
著者
山田 裕巳 Yamada Hiromi
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2003-03

制度:新 ; 文部省報告番号:乙1773号 ; 学位の種類:博士(工学) ; 授与年月日:2003/3/6 ; 早大学位記番号:新3561
著者
伊丸岡 俊秀
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第5回大会
巻号頁・発行日
pp.139, 2007 (Released:2007-10-01)

本研究では,単語の意味から想起される色が探索効率に与える影響を,単語の視覚探索課題を用いて調べた.実験では,色を想起しやすい語10語(色想起条件;例えば“空”)と想起しにくい語10語(色非想起条件;例えば“心”)を用いた.全ての単語には課題とは関係のない色がつけられていた.探索目標となる単語は,事前に被験者ごとに調査しておいた単語から想起される色(“空”ならば薄い青)あるいは,赤・青・緑・黄・橙・白のいずれかで彩色され,妨害項目は目標項目の輝度にマッチした別々の色によって彩色された.実験の結果,想起条件に関わらず,想起した色がつけられた目標に対する探索効率が他の色が着けられたときに比べて良くなることが示された.目標が想起した色ではない色で彩色されたときの効率低下は色想起条件で大きく,単語によって想起された色と実際に単語に着けられた色との不一致が今回見られた効果の原因であると考えれる.
著者
吉川 和男 小林 航 島崎 康信 下村 博之
出版者
一般社団法人 日本写真測量学会
雑誌
写真測量とリモートセンシング (ISSN:02855844)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.258-261, 2021 (Released:2022-11-01)
参考文献数
4

The 2018 Hokkaido Eastern Iburi Earthquake brought about great numbers of landslides in the broad area of the eastern Iburi region, Hokkaido, especially Atsuma town. As emergency disaster response to the earthquake, PASCO Corporation carried out 1) taking oblique aerial photographs, 2) automatic extraction of landslides using optical satellite imagery (SPOT6), 3) detection of surface deformation with DInSAR analysis and 4) field surveys based on DInSAR analysis. This paper introduces the analysis of extraction utilizing optical satellite images with deep learning, which has been actively studied in recent years.
著者
野口 悟司 相木 一輝 藤井 雄介 藤原 道隆
雑誌
第96回日本医療機器学会大会
巻号頁・発行日
2021-12-10

2019年3月に名古屋大学附属病院が国立大学附属病院として初めてJCI(Joint Commission International)に認証された.医療機器はJCIでは「施設の管理と安全性」に分離され,主な項目は,医療機器は病院全体を通して購入から廃棄まで計画に沿って管理されているか,また,すべては台帳化され適宜・適正に更新されているか,その他,すべて機器を対象にした管理体制等を審査される.我々は当審査を受審するにあたり,数々の書類や設備を整え教育を受け準備をおこなった.しかし,本審査の目的は,評価されることにより,本来の「医療の質と患者安全の提供」を具現化することで,実際に患者にとって安全な医療機器を提供の是非を再認識するに至った.それらを実施するには臨床工学技士だけの業務範疇に止まらず,診療現場の医師や看護師,事務部門の理解と協力を無くしては対応できないと判断し,当院はそれらのことを総合的にマネジメントする医療機器総合管理部を創設した.人員構成は医療機器管理責任者(医師)を中心に専属臨床工学技士に加え,管理課職員とした.主な業務として,新規購入機器の選定と更新機器の購入計画の調整と実施,医療機器に関するインシデント報告と不具合報告の同時入力のシステムを作り,事例の対応.また,創設当初から院内の医療機器の実態把握を目的に,各部署の棚卸の実施を段階的におこない,現在,50部署の内42部署を実施した.棚卸をおこなったことで,部署の器材庫などに未使用の機器もあり,実施した部署の全体像が確認できた.また,台帳上の14,000台以上に及ぶ医療機器の点検について,コメディカルだけではなく医師や看護師の協力を得るため,当院独自の機器のリスク度や管理体制を考慮し点検クラス分類をおこない,それに準じた方法を検討して実施に向けている.今回,我々は医療機器総合管理部の創設の意義と,JCIの再審査に鑑み病院全体の医療機器を対象におこなった2年の活動の経過と課題を報告する.
著者
後藤 実世 福島 庸晃 伊藤 真 飯田 しおり 河村 優磨 鵜飼 俊 佐合 健 河野 彰夫 尾関 和貴
出版者
一般社団法人 日本造血・免疫細胞療法学会
雑誌
日本造血・免疫細胞療法学会雑誌 (ISSN:2436455X)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.183-189, 2021 (Released:2021-10-20)
参考文献数
13

30歳男性。胃部不快感を契機に,脾腫,白血球増多,LDH高値を指摘され,精査の結果,非定型慢性骨髄性白血病(atypical chronic myeloid leukemia,aCML)と診断された。Hydroxyurea単独の内服では腫瘍量制御が困難であったことから造血幹細胞移植を目的として当院へ転院した。aCMLは化学療法単独での腫瘍量制御が難しく長期生存のため造血幹細胞移植の必要性が報告されており,速やかに造血幹細胞移植を行う必要があると判断した。骨髄・臍帯血バンクでは適切なドナーが得られずHLA半合致の姉をドナーとした末梢血幹細胞移植を行う方針とした。移植前の架橋的治療としてazacitidine導入後より速やかな白血球数および血清LDHの低下を認めた。Azacitidine投与開始から18日目に前処置を開始し,24日目に移植を施行した。移植後17日目に好中球生着を認めた。皮膚GVHDを発症したが外用で改善し,移植後1年現在も完全寛解を維持している。aCMLに対してazacitidine療法後にHLA半合致末梢血幹細胞移植を行い,寛解を維持している症例は稀である。
著者
長島 未央子 齋藤 和人 萩 裕美子
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.107-111, 2009 (Released:2011-05-26)
参考文献数
18
被引用文献数
1

We investigated the effect of kurozu, a brewed vinegar, on the NK cell activity and peripheral blood cells in 18 university student cyclists. They were assigned to two groups, one of 11 drinking kurozu, and the other of 7 cyclists not drinking it. The drinking group was given 30 ml of kurozu a day for 80 days. Both groups performed an equal amount of training for 80 days. The NK cell activity was significantly decreased by 80 days of training in the non-drinking group (from 71.9 ± 15.9% to 61.9 ± 11.3%) (p < 0.05), but not in the drinking group. Kurozu therefore prevent the degradation of NK cell activity by intense training, suggesting its contribution to the physical condition of student bicycle racers.
著者
石山 新太郎 山口 克彦
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集C編 (ISSN:18848354)
巻号頁・発行日
vol.79, no.799, pp.718-725, 2013 (Released:2013-03-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

Prototype remotely-operated vehicle equipped with high resolution TV monitor and underwater radiation measuring instrument was developed and actual condition of contaminated soil in the regulation pond in Fukushima was investigated. Remarkable contaminated point was observed beneath rainwater outfall of impounding reservoir(Length×Width×Depth; 112m×30m×3.5m) in the order of 3.3~5.24μSv/h. It is found that contaminated small particles in the order of 1-3mm are deposited in the polluted mud at the bottom of the reservoir and suspended by disturbance of water flow, and the contaminated zones in the order of 0.75-3.5μSv/h are distributed in a patchy fashion caused by confluent of outfall in the demarcated region(10m×10m×10m).