著者
斉藤 寿仁 大塚 洋子 倉井 宏明 大川 真一郎
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.213-217, 2004-02-29 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

胃食道逆流症Gastro esophageal reflux disease (GERD) は比較的新しい疾患概念で, 胃液が食道に逆流し不快な症状を起こしたり, 下部食道粘膜の障害を起こす疾患である.上部消化管内視鏡検査所見で食道粘膜にびらんや潰瘍を確認できる場合には逆流性食道炎と呼称している.本疾患の重要な特徴として胸やけなどの逆流による定型的自覚症状の有無や程度と食道粘膜の障害の程度 (内視鏡所見上の重症度) とは相関しないことが挙げられる.また, 逆流による自覚症状が非常に不快となり, 患者のQOLを著しく低下する場合があること, また様々な症状を呈することから診断治療の重要さが多くの論文にとりあげられている.耳鼻咽喉科領域の症状としては咽喉頭異常感 (globus sensation), 音声障害, 慢性の咳嗽, 耳痛, 喉頭肉芽腫などがあり, Laryngo pharyngeal reflux disease (LPRD) と呼んでGERDから区別して診断することが多くなった.GERDはいろいろな科に関係する症状を呈し, 診断に苦慮する場合も多いがプロトンポンプ阻害剤 (PPI) で劇的に症状を改善できる疾患で日常診療において常に念頭におく必要があると思われる.
著者
渡邊 裕文 大沼 俊博 高崎 恭輔 谷埜 予士次 鈴木 俊明
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.561-564, 2014 (Released:2014-09-25)
参考文献数
13
被引用文献数
6 1

〔目的〕座位での腹斜筋の活動を明確にすることである.〔対象〕本研究に対する同意を得られた健常男性7名とした.〔方法〕テレメトリー筋電計MQ-8を用い,左側腹斜筋に複数の電極を配置し,座位にて側方移動距離を変化させ筋電図を測定した.座位での筋電図積分値に対する相対値を求め,移動距離による相対値の変化を検討した.〔結果〕側方移動距離の増大に対し,移動側腹斜筋群では筋電図積分値相対値に変化が認められず,反対側腹斜筋群ではこの値が全電極で増加傾向を示し,内腹斜筋単独部位とその直上の2電極で有意に増加した.〔結語〕座位で側方体重移動をリハビリテーションに用いる時,移動反対側内腹斜筋による骨盤の挙上作用に着目する必要のあることが示唆される.
著者
和気 裕之 澁谷 智明
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-41, 2016-12-25 (Released:2019-04-19)
参考文献数
10

顎関節症は基本的には身体疾患であるが,その病態は生物心理社会的モデル(bio-psychosocial model)に該当し,各患者において程度の差はあるが,心理社会的問題の影響をうける心身症と捉えることが可能である.そのため,顎関節症の患者を診断する場合,AxisⅠ(Ⅰ軸:身体的評価)とAxisⅡ(Ⅱ軸:心理社会的評価)の2軸で評価する必要がある.特に周辺群のようにⅡ軸の要因が大きい顎関節症患者を診療する時には,「心身医学的な対応」に重点を置くことが大切である.それには心身医学的な医療面接と適宜心理テストを行い,またMW分類を用いて患者を判別することで,適切な対応が可能となる.その時一部の患者はリエゾン診療をはじめとする精神科医等との医療連携が必要となる.
著者
和気 裕之 小見山 道
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.256-266, 2012 (Released:2012-09-21)
参考文献数
62
被引用文献数
2 1

顎関節症の治療は,その病態や病因に関する研究や臨床経験などを基に日々発展しているが,未解明な部分も多い.本論文の目的は,顎関節症患者の心身医学的な治療の変遷をまとめることで,患者および研究者,臨床家に貢献することである.論文の検索は,医学中央雑誌,PubMedおよび出版されている書籍などを用いた.その結果,顎関節症の心身医学的な病因や,心身医学的対応に関する検討は少なく,またランダム化比較試験などのエビデンスの高い研究はほとんど認めなかった.しかし,その重要性を示唆する論文や書籍は多く,今後,さらに基礎的・臨床的な研究を進めることが,顎関節症患者の健康につながると考えられた.
著者
MASAAKI SAKURAI JUN KOHNO MAKI NISHIO KOZO YAMAMOTO TORU OKUDA KIMIO KAWANO NORIYUKI NAKANISHI
出版者
JAPAN ANTIBIOTICS RESEARCH ASSOCIATION
雑誌
The Journal of Antibiotics (ISSN:00218820)
巻号頁・発行日
vol.54, no.8, pp.628-634, 2001-08-25 (Released:2008-09-19)
参考文献数
12
被引用文献数
10 9

A new transcriptional up-regulator designated TMC-205 was discovered from the fermentation broth of an unidentified fungal strain TC 1630 by using an SV40 promoterluciferase reporter assay. Based on spectroscopic analyses, its structure was determined to be (E)-6-(3-methyl-1, 3-butadienyl)-1H-indole-3-carboxylic acid. Expression of the luciferase activity was activated ca. 2-, 4-, and 6-fold by 1, 10, and 100μM TMC-205, respectively. TMC-205 activated the transcriptional activity in a manner dependent on the presence of the enhancer element of SV40 in its promoter region.
著者
田口 康
出版者
特定非営利活動法人 産学連携学会
雑誌
産学連携学 (ISSN:13496913)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1_4-1_12, 2009 (Released:2009-12-07)

1998年の大学等技術移転促進法制定を皮切りとして,我が国は,大学の研究成果を積極的に産業に移転し産業競争力の強化に繋げていく政策を推進してきた.これにより,大学における産学共同研究等が大幅に増加するなど,我が国の産学官連携活動は大きく発展してきたが,様々な課題も明らかになってきている.大学システムの一層の改革や進化も必要だが,企業,地方公共団体等が,大学の研究成果の事業化に対するコミットを増すことが必要である.また,大学は,産学連携を通じて自らの教育・研究の高度化を図っていかなければ持続的なイノベーション創出は望めない.一人でも多くの関係者が,産学官連携の意義や目的を再確認し,行動することを望む.
著者
長谷 宏紀 遠藤 雅伸
出版者
一般社団法人 日本デジタルゲーム学会
雑誌
日本デジタルゲーム学会 年次大会 予稿集 第12回 年次大会 (ISSN:27586480)
巻号頁・発行日
pp.171-173, 2022 (Released:2023-03-20)
参考文献数
6

不愉快を感じさせるゲームがある。我々は不愉快を感じる要素を調査し、それを故意に組み込んだゲームを実装し実証実験を行った。その結果の分析より、ゲームを楽しめない要素として、不適切なルールとプレイヤーのスキル不足が抽出された。一方、不愉快であることを察知し、ルールを創発してゲームを楽しむ一面も存在した。
著者
田中 克則 景山 一郎
出版者
一般社団法人 日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.79, no.4, pp.225-230, 2006-04-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20
被引用文献数
5 2

Vehicle dynamics and tire mechanics have been independently researched in each area. Therefore, the relation-ship between vehicle performances and tire design parameters has not been theoretically constructed. This study has built up a tire design methodology, based on the vehicle dynamics and the tire mechanics. The developed tire design methodology can clarify the relation between vehicle performances, tire characteristics, tire components, and tire design parameters, and is found useful.
著者
湯浅 正洋 川邊田 晃司 江口 恵加 安部 春香 山下 絵美 古場 一哲 冨永 美穂子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成30年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.39, 2018 (Released:2018-08-30)

【背景】牡蠣は軟体動物斧足類に属する貝であり, わが国においては, 冬が旬の真牡蠣(Crassostrea gigas)と 夏が旬の岩牡蠣(C. nippona)が知られている. 我々は, これまでに, 日本産の岩牡蠣と真牡蠣の呈味を味認識装置により明らかにしているが, 岩牡蠣の方が真牡蠣よりも旨味や塩味が高く濃厚な味わいである可能性を見出している. 一方, 一般的に岩牡蠣は大ぶりで旨味が強く濃厚な味わいであるとされるが, その科学的根拠は乏しい. そこで, 本研究では, 岩牡蠣の呈味を評価するために, その呈味特性および呈味成分(核酸, 有機酸, 遊離アミノ酸, 脂肪酸組成および塩分濃度)を明らかにした. なお, 比較対照には真牡蠣を用いた.【方法】全ての牡蠣は日本産とし, 岩牡蠣は2015年7-8月に9産地分(計27個), 真牡蠣は2015年12月に11産地分(計33個)をそれぞれ収集した. 呈味特性(味覚応答)は味認識装置により先味(苦味雑味,旨味および塩味)と後味(苦味および旨味コク)を明らかにした. 呈味成分としては, 5’-イノシン酸, コハク酸および遊離アミノ酸をHPLC法で, 脂肪酸組成をGC-MS法で,塩分濃度を簡易塩分計でそれぞれ測定した. 岩牡蠣と真牡蠣のそれぞれの項目を比較し, 岩牡蠣の特徴を評価した.【結果・考察】岩牡蠣において, すべての先味が真牡蠣よりも有意に高値を示した(P<0.05). 5’-イノシン酸およびコハク酸には差は認められなかったが, 遊離アミノ酸のうち特に苦味を呈するアミノ酸類において, 岩牡蠣で有意に高値を示した(P<0.05). 脂肪酸組成については, 岩牡蠣におけるパルミチン酸およびステアリン酸が有意に高値を示した(P<0.05). 一方で, 塩分濃度は岩牡蠣の方が低値を示した(P<0.05)が, 真牡蠣との差は1.1倍程度と大きな差ではなかった. 以上より, 岩牡蠣は真牡蠣と比べて濃い呈味であり, この理由としてはアミノ酸や脂肪酸の組成が異なることが影響していることが示唆された.
著者
清水 大地 岡田 猛
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第28回 (2014) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1M5OS05b3i, 2014 (Released:2018-07-30)

本研究ではブレイクダンスにおけるバトルというパフォーマンス場面を対象とし,ダンサーが交代して披露し合うことによって踊りに生じる変化を検討した.エキスパートのバトル映像を対象とし,領域で重要とされる「踊りの4要素」といった観点から,クラスター分析等による検討を行った.結果として,踊り方に数種類のスタイルが見られ,同一のダンサーでも踊り合いを通して踊りのスタイルが変化していったことが示された.
著者
Nobuaki Egashira Ai Nogami Katsunori Iwasaki Ayumi Ishibashi Naoki Uchida Kotaro Takasaki Kenichi Mishima Ryoji Nishimura Ryozo Oishi Michihiro Fujiwara
出版者
The Japanese Pharmacological Society
雑誌
Journal of Pharmacological Sciences (ISSN:13478613)
巻号頁・発行日
vol.116, no.3, pp.316-320, 2011 (Released:2011-07-15)
参考文献数
15
被引用文献数
32 34

In the present study, we investigated the effect of the Kampo medicine Yokukansan (YKS) on pentobarbital-induced sleep in group-housed and socially isolated mice. Socially isolated mice showed shorter sleeping time than the group-housed mice. YKS (300 mg/kg, p.o.) prolonged the pentobarbital-induced sleeping time in socially isolated mice without affecting pentobarbital sleep in group-housed mice. The prolongation of sleeping time by YKS was reversed by bicuculline (3 mg/kg, i.p.) and flumazenil (3 mg/kg, i.p.), but not WAY100635. These findings suggest that the GABAA – benzodiazepine receptor complex, but not 5-HT1A receptors, is involved in the reversal effect of YKS on the decrease of pentobarbital sleep by social isolation.