著者
今村 洋一
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.29, no.71, pp.394-399, 2023-02-20 (Released:2023-02-20)
参考文献数
6

I clarify the operational characteristics of the Nagasaki Urban Design System and the unwritten design manners in this report. I can point out as operational characteristics that the fixed members give advice while long-term, that it is applied to both of public and private projects, that it has no guideline, that they advise after watching the site and the actual product, and that the planners who can understand this system are chosen. vertical louvers of buildings, white tones, rooftop greening and voluminous green, hiding fences, reuse of historic materials, and similar designing are unwritten design manners.
著者
沼田 宗純 高津 諭 山内 康英 中井 佳絵 目黒 公郎 伊藤 哲朗 平松 進 伊妻 伸之 赤津 善正 佐藤 勝治 二上 洋介 大関 将広 土井 祐司 田中 朝子
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.471-480, 2016-11-01 (Released:2016-11-29)
参考文献数
3

本研究は,石巻市における避難訓練の結果を報告するものである.2015 年11 月15 日(日曜日,天候:雨)に石巻市総合防災訓練において,各避難所と災害対策本部の情報共有を支援し,効率的な避難所運営を実施することを目的として避難所情報共有システムCOCOA を用いた検証を行った.COCOA は沼田研究室が開発している避難所情報共有システムである.本訓練により,各避難所における避難者数をリアルタイムに把握でき,効率的に避難者名簿も作成されるため要配慮者の把握も容易にできるなど,時系列的な状況変化に応じた効率的な避難所運営が実施できることが確認できた.
著者
別府 哲
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

高機能自閉症の子どもに、佐久間ら(2000)、Hobson & Lee(1998)をもとにした、自己認識の半構造化面接を行った。その自己認識の回答をカテゴリーに分類し、健常児の結果と比較検討した。その際、従来臨床的に自閉症児の問題として指摘されている、他者との関係での自己認識をあらわすものとして、人格特性としての協調性(「だれとでも仲良くできる」、あるいは「いじめられている」など、他者との親密な関係について自己認識するもの)と、人格特性としての外向性(「友だちの中に自分から入っていく」、あるいは「一人でいるのが好き」など、他者と関わりを持とうとするかどうかで自己認識するもの)を指標として取り上げた。その結果、協調性、外向性のいずれの反応を示した高機能自閉症者の割合も、佐久間ら(2000)で示された健常児における反応者の割合よりは少ないこと、一方、高機能自閉症児における発達的変化を検討すると、外向性の反応を示した者の割合は、小学校高学年から中学生になるところで有意に増加することが明らかとなった。これは、高機能自閉症児が、健常児と比較した場合、他者との関係で自己を理解することに弱さを持つが、しかし小学校高学年から中学生になるところで、その弱さを発達的に改善していくことを示すものとなった。それでは、他者との関係での自己認識を促進するためには何が必要なのか。事例研究や実践分析により、仮説として、他者との情動共有経験(感覚を含め、他者と一緒に快の情動を共有できる経験)、他者との認知的共有経験(高機能自閉症児の気持ちを大人が代弁することにより、高機能自閉症児独自の思いを認知的に共有できる経験)の重要陛が示唆された。あわせて、認知的共有経験を生み出すために、高機能自閉症児自身に、自他関係を射程にとらえた自己認識(他者と違うところもあれば、同じところもある、かけがえのない自分)を形成することの実践的意味も明らかにされた。
著者
楊 秋芬
出版者
福島大学
雑誌
行政社会論集 (ISSN:09161384)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.89-100, 2003
著者
水野 美邦
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.455-469, 1990-02-20 (Released:2014-11-20)
参考文献数
47

パーキンソン病は原因不明の神経変性疾患の一つであるが, 最近パーキンソン病にきわめて類似したモデルが作成できるようになった. その物質はMPTP (1-methyl-4-phenyl-1, 2, 3, 6-tetrahydropyridine) である. この物質は脳に取り込まれるとおもにグリア細胞の中のモノァミン酸化酵素Bで酸化されてMPP+ (1-methyl-4-phenylpyridinium ion) になる. MPP+はドーパミン取り込み部位から濃度勾配にさからって線条体ドーパミンニュー「ロン終末に取り込まれ, 高濃度に蓄積し, 選択的な黒質線条体ドーパミンニューロンの変性を起こす. われわれはMPP+がミトコンドリアのComplex Iおよびα-ケトグルタル酸脱水素酵素を阻害することを見つけ, 神経細胞変性の機序は, ミトコンドリア呼吸の障害によるenergy crisisと考えられるに至っている. MPTPモデルでの成績を踏まえ, われわれはパーキンソン病の発症機序にもミトコンドリア異常の関与があるのではないかと考え, パーキンソン病剖検脳よりミトコンドリア分画を抽出し, 電子伝達系酵素蛋白複合体活性の測定およびサブユニット分析を行ったところ, 活性はComplex IIIがパーキンソン病にて有意に低下していたが, サブユニット分析ではComplex Iの4つのサブユニットがパーキンソン病で低下していた. これらの所見は今後パーキンソン病の発症機序を研究する上で重要な所見と考えられる.
著者
甲斐 智大
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.93, no.2, pp.61-84, 2020-03-01 (Released:2023-02-19)
参考文献数
33
被引用文献数
5

本稿では多様化する認可保育所の設置主体間の保育士確保戦略について考察することで,保育サービス供給に関わる規制緩和が保育サービス供給の偏在にいかに影響しているのかを明らかにした.東京都内において古くから保育サービスを提供してきた社会福祉法人は,制度的に公的機関から優遇を受けており,養成校や地域との結びつきの中で,優先的に保育士を確保することができていた.一方,規制緩和によって新規参入が認められた株式会社法人は,保育士採用に関する養成校とのネットワークから排除されているため,採用コストをかけ,地方からも保育士を採用することで施設を増設させていた.このことは,地方出身保育士などによって保育サービスの拡充が図られていることを示している.こうした保育労働市場の構造はニーズに合わせた新規施設の立地を阻害する側面を有しており,単一の制度の中でのサービス供給を可能とすることが望まれる.
著者
高野 孝子
出版者
一般社団法人 日本環境教育学会
雑誌
環境教育 (ISSN:09172866)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.2_27-37, 2013 (Released:2015-10-20)
参考文献数
53

While ‘place’ has been a center of attention in many disciplines, the Japanese words equivalent to the concept of ‘place’ is multi-faceted and controversial. This paper overviews the discussion around the concepts of ‘place’ in literature as well as Japanese terms which may translate as ‘place’ and ‘community’. The discourse around place-based education (PBE) is examined, and the 100-year history of the movement of the similar concept in Japan is outlined. It discusses the meaning of PBE in the context of globalization, and encourages Japanese practitioners and researchers in outdoor and environmental education to explore the perspectives of place as many ‘relationships’ linked to education for sustainability at the current time of high social, economic and environmental instability.
著者
前田 照夫 續木 靖浩 磯部 直樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

現在中国全土におけるジャイアントパンダ(パンダ)の生息数は約1,000頭,この数は年々減少しており,やがては絶滅の可能性がある。このパンダ絶滅を回避するため,本研究は,パンダの人工繁殖に関する現在の問題点を整理し,パンダの人工繁殖に関する国際学術研究(日中共同研究)の企画を行うことを目的として,パンダの人工繁殖に取り組んでいる日本および中国における代表的な施設を調査した。その結果,(1)自然交配における雄と雌の相性と自然交尾不成立の問題(2)精液採取法の問題(3)精液の凍結保存法の問題(4)雌の発情鑑定の問題がパンダの人工繁殖における重要な点であると考えられた。先ず(1)に関して,複数の雄雌を飼育している場合でも,自然交配がうまくいかず,ましてや1ペアしか飼育していない動物園等の施設では自然交尾が成立する可能性が極めて低く,人工授精の必要性が明確となった。(2)については,現在雄に麻酔を施し,電気刺激法で精液を採取する方法が採用されているが,今後は人工膣を装着した犠牝台の改良も含め,雄にストレスを与えない形での精液採取法の開発が必要であると考えられた。(3)については,依然として古典的な精液保存液が使用されており,斬新な凍結保存液の採用が必要であると考えられた。(4)に関して,雌の発情回数が極めて少なく(通常1年間に1あるいは2回)また,交尾可能な発情期間が短い(2日程度)ため,自然交配あるいは人工授精適期が判断できないところに問題であることが明確となり,性ホルモンのアッセイを含め今後の改良が期待されている最大の問題点であると考えられた。以上の調査結果を基に,国際学術研究の企画書(科学研究費補助金(海外学術調査)を含む)を準備し,応募する予定である。
著者
小山 浩司 一場 友実 古島 弘三 菅野 好規 新津 あずさ 小太刀 友夏 新納 宗輔 上野 真由美 足立 和隆
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.78-83, 2023 (Released:2023-02-15)
参考文献数
39

〔目的〕スパインマットが胸郭拡張差および呼吸機能・呼吸筋力に与える影響を明らかにすること.〔対象と方法〕健常成人男性30名(年齢20.2 ± 1.6歳)とした.介入方法は,対象を背臥位とし,スパインマットを胸椎部に挿入した.測定項目は,脊柱アライメント,胸郭拡張差および呼吸機能・呼吸筋力であった.〔結果〕介入後に胸椎後弯角度が有意に減少した.また胸郭拡張差は有意な増加を認めた.呼吸機能は最大吸気量が,呼吸筋力では最大吸気圧に有意な増加を認めた.〔結語〕スパインマットの使用により,胸郭拡張差,最大吸気量および最大吸気圧は増加する可能性が示唆された.
著者
川原 一郎 小川 由夏 塩崎 絵理 原口 渉
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.11097, (Released:2023-02-15)
参考文献数
39
被引用文献数
2

舌骨は,他骨との連続性を持たず,軟部組織を介した状態の極めて特異な解剖学的な特徴を有しており,日常生活においても,位置的変化を呈する可動性を持った骨構造物である.過長した舌骨やその偏位によって,頸動脈に何らかの影響を及ぼすことも知られており,舌骨に関連した血管障害の報告は散見されるが,いまだ認知度は低く,その病態を周知させることは重要であると考えられる.3D-CTAでは,舌骨と頸動脈との決定的な解剖学的異常所見を捉えるのに有用であり,隣接,接触,圧迫,あるいは絞扼の状態を時に経験し,その解剖学的異常は脳血管障害発症の危険因子と考えられる.茎状突起から甲状軟骨まで含めた,いわゆるstylohyoid-thyroid chain複合体において,舌骨は中心的役割を果たしており,内頸動脈の走行異常を呈する症例やESUS症例においては,常に舌骨関与の可能性の有無も念頭に置き,精査する必要がある.
著者
寺尾 貴子 冨士井 睦 津田 明子 柴田 八衣子 田村 陽子
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.16-25, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
17

当院で脳卒中・脳外傷者の運転再開に向け実車前評価と実車評価を行った218名に対し,その後の運転実状についてアンケート調査を行った.運転再開可能と判断した者のうち,無事故無違反を継続していたのは59名,何らかの事故や違反を経験していたのは21名であった.2群間で実車前評価の結果を後方視的に検討し,統計学的有意差はみられなかったが,無事故無違反群は病前に比べ再開後の週あたりの運転時間が有意に短かった(p<0.05).再開後に無事故無違反を保つには,脳疲労を起こさない範囲の運転時間に留めるよう指導することや,自動車の代替となる移動手段の利用を提案することが重要であると示唆された.
著者
田中 陽一 福井 美晴
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.95-101, 2023-02-15 (Released:2023-02-15)
参考文献数
24

全人工膝関節置換術後(以下,TKA)に身体知覚異常を呈していた症例に対し,目標共有介入に加えて触圧覚識別課題を併用して実施した.約5週間の介入の結果,身体知覚異常の程度が改善し,疼痛強度も軽減した.本症例の介入結果により,TKA後には複合的な評価に基づき,評価結果から適切な治療介入を組み合わせることが有用ではないかと考えられた.
著者
Marat Airapetov Sergei Eresko Andrei Lebedev Evgenii Bychkov Petr Shabanov
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
BioScience Trends (ISSN:18817815)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.74-82, 2021-04-30 (Released:2021-05-11)
参考文献数
70
被引用文献数
19

Alcoholism is a global socially significant problem and still remains one of the leading causes of disability and premature death. One of the main signs of the disease is the loss of cognitive control over the amount of alcohol consumed. Among the mechanisms of the development of this pathology, changes in neuroimmune mechanisms occurring in the brain during prolonged alcohol consumption and its withdrawal have recently become the focus of numerous studies. Ethanol consumption leads to the activation of neuroimmune signaling in the central nervous system through many subtypes of Toll-like receptors (TLRs), as well as release of their endogenous agonists (high-mobility group protein B1 (HMGB1), S100 protein, heat shock proteins (HSPs), and extracellular matrix degradation proteins). TLR activation triggers intracellular molecular cascades of reactions leading to increased expression of genes of the innate immune system, particularly, proinflammatory cytokines, causing further development of a persistent neuroinflammatory process in the central nervous system. This leads to death of neurons and neuroglial cells in various brain structures, primarily in those associated with the development of a pathological craving for alcohol. In addition, there is evidence that some subtypes of TLRs (TLR3, TLR4) are able to form heterodimers with neuropeptide receptors, thereby possibly playing other roles in the central nervous system, in addition to participating in the activation of the innate immune system.
著者
Faith Bernadette A. Descallar Xi Yang Lester C. Geonzon Shingo Matsukawa
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
pp.FSTR-D-22-00170, (Released:2023-02-20)
被引用文献数
1

This article reviews different studies on the gelation mechanisms and network structural characteristics in polysaccharide gels at the different length scales of observation: macroscopic, microscopic, and molecular. Rheological and micro-DSC (Differential Scanning Calorimetry) measurements represent the macroscopic viewpoints on the gelation of pure kappa-carrageenan (KC), iota-carrageenan (IC) and KC⁄IC mixtures. Microscopic rheological properties observed using particle tracking experiments have been used to elucidate the formation of heterogeneous networks of KC-rich and IC-rich domains in mixed KC⁄IC gels, and facilitate observations of their aging process. Nuclear magnetic resonance (NMR) relaxation time measurements provide information on the tumbling motion and local mobility; these molecular-level experiments were presented for agar, agarose, native gellan and deacylated gellan chains. NMR diffusion measurements of gelling and probe polymers give insights to the conformational changes, aggregation and network formation, and aging mechanisms, and are presented for all studied polysaccharides.