著者
白戸 圭一
出版者
立命館大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2019-04-01

日本政府の対アフリカ政策は、どのような動機に基づいて発案され、実行されてきたのか。特に、アフリカ54か国の首脳と日本の首相が5年に一度(2013年以降は3年に一度)一堂に会するアフリカ開発会議(TICAD)プロセスが1993年に始まって以降の対アフリカ政策は、いかなる外部要素に影響されながら形成され、変容してきたのか。これらの疑問に応える包括的研究は少なく、日本外交研究における一種の空白域となっている。本研究では、日本の対アフリカ関連の一次資料の収集と並んで、アフリカ政策の形成・実行に関わった政策当局者(政治家・官僚)にインタビューし、日本の対アフリカ外交の発展過程を分析するものである。

1 0 0 0 視聴覚教育

出版者
日本視聴覚教育協会
巻号頁・発行日
vol.17(4), no.186, 1963-04
著者
檜作 洋平
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.079-083, 2019 (Released:2019-03-26)
参考文献数
20

Intramembrane-cleaving proteases (I-CLiPs) are a unique class of proteases, which catalyze proteolysis of target membrane proteins within the lipid bilayer. I-CLiPs are found in all kingdoms of life and are involved in various cellular processes such as stress responses, lipid homeostasis, induction of apoptosis and bacterial virulence. RseP, an Escherichia coli I-CLiP, plays a critical role in the extracytoplasmic stress response essential for bacterial survival. In this review, I will summarize the results of our recent studies on the structure and function of RseP and propose a model of the substrate recognition and cleavage by this peculiar protease.
著者
松尾 卓見 荒井 和人 斎藤 英毅
出版者
Japanese Society of Water Treatment Biology
雑誌
日本水処理生物学会誌 (ISSN:09106758)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.8-12, 1982-08-31 (Released:2010-02-26)
参考文献数
5

(1) 上田市内矢出沢川の3地点で空気中から落下するFusarium菌を調査したところ, Fusarium roseum, F.solani, F.oxysporumが多く採集され, 時としてF. monili forme, F.tricinctumも採集された。しかし第1報で河川水中から採集されたF.episphaeriaは採集されなかった。河川水中のFusarium菌は空気中から落下・流入するものゝほか底石面や底泥などでの胞子形成に由来するものも含まれるが, 河川水中のF.episphaeriaは多くは底石面や底泥などで形成されたものであろう。(2) 矢出沢川のSt.1又はSt.3の河川水に各種Fusarium菌の懸濁液を加え振とう培養 (25℃, 6日間) すると, 多少の増殖がみられた。しかし, 著しく汚染した上田市内前川の河川水では, 菌体重量は殆んど増加せず, 死滅減少を示唆するような成績がえられた。(3) 矢出沢川河川水中に寒天付着タイル又は粗タイル片を入れ各種Fusarium菌の稀釈懸濁液を加えて室内に静置してタイル面への付置・増殖を検討した。標準として供試した殺菌水道水区は各Fusarium菌とも付着増殖が著しく多かった。しかし矢出沢川の検水区 (St.1河川水と殺菌河川水, St.3の河川水と殺菌河川水) では供試Fusarium菌の種類によって著しく変動し, 一定の傾向が認められなかった。
著者
堀 素子 Motoko Hori
出版者
関西外国語大学・関西外国語大学短期大学部
雑誌
研究論集 = Journal of Inquiry and Research (ISSN:03881067)
巻号頁・発行日
vol.84, pp.57-74, 2006-09

英語の法助動詞(modals)は日本では文法事項として指導されているが、語用論的機能については英会話の中で触れられる程度で終わることが多く、真にそれらがどのような使われ方をしているかにまでは及んでいないと思われる。 本論文ではブラウンとレビンソンのポライトネス理論に基づき、ネガティブ・ポライトネスの代表とされる「慣用的間接表現」に使われる法助動詞をコーパスのデータによって分析する。特に「依頼表現」に焦点を当てて、それらの表現がもつ意味と機能を日本語の敬語と比較しながら議論する。英語母語話者は「依頼」を「フェイス侵害行為」(FTA)と捉えているために、相手の「領土への侵害」を緩和することを第一の目標として、modalsを含む慣用的間接表現を使用している。日本語の敬語にも類似の表現があるが、それは対話者間の上下関係を明示するためで、行為自体を問題としない点で、英語の敬意表現とは鋭く対立する。
著者
浅井 幸子
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.249-261, 2019 (Released:2019-10-12)

本稿は、レッジョ・エミリアの幼児教育におけるドキュメンテーションが、どのような意味で評価―アセスメントおよび/またはエバリュエーション―であるかということを、カルリナ・リナルディ、グニラ・ダールベリ、ヒッレヴィ・レンズ=タグチの議論に即して検討し、ドキュメンテーションが価値中立的なアセスメントの蔓延に対抗するツール、価値付与と意味生成を通した民主主義のツールとして位置付けられていることを示した。
著者
湯浅 勲 小島(湯浅) 明子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.165, 2006 (Released:2008-02-28)

【目的】食物繊維による大腸ガンの予防メカニズムとして、発ガン物質の吸着や希釈による腸管上皮への曝露の減少、食物繊維中のフィチン酸による鉄ラジカルのキレートあるいは胆汁酸の抱合による排泄などが考えられているが、その詳細についてはいまだ明らかにされていない。本研究では食物繊維が腸内細菌による発酵・分解によって生成される短鎖脂肪酸に着目し、ヒト大腸ガン細胞(HT-29)の増殖におよぼす影響について検討した。【方法】HT-29細胞は10%FBSを含むDMEM培地に播種し、細胞を付着させた後、培地交換をおこない実験に供した。短鎖脂肪酸はナトリウム塩を用い、蒸留水に溶かした後、最終濃度が1または2mMになるように添加した。細胞生存率はTrypan-blue法を、細胞周期はLaser Scanning Cytometerを用いて測定した。【結果】食物繊維の発酵・分解により生成される酢酸、プロピオン酸と酪酸についてヒト大腸ガン細胞の増殖におよぼす影響について調べたところ、酪酸が最も強くガン細胞の増殖を抑制した。また、その抑制は細胞周期をG2/M期で停止させることによって誘導されることが明らかとなった。一方、酪酸と同時に活性酸素の消去酵素であるカタラーゼを添加すると、細胞増殖能は回復することから、酪酸によるガン細胞増殖の抑制作用には活性酸素が関与していることが示唆された。【考察】腸内細菌による食物繊維の発酵・分解によって生成される酪酸は、強いヒト大腸ガン細胞増殖抑制効果を有することが明らかとなった。また、その有効濃度は大腸内で生理的に産生される濃度(約10 mM)以下であった。これらのことから、食物繊維による大腸ガン抑制のメカニズムに酪酸が関与する可能性が示唆された。
著者
横関,康祐
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, 1998-06-30

東京都芝給水所は,明治27〜29年に建設された地下式給水所施設であり,底版や煉瓦作りの側壁・隔壁目地材としてコンクリートやモルタルが使用されている。本構造物の解体・新設工事に伴い,我が国でも数少ない100年以上もの長年月を経たセメント系材料の物理的・化学的変質挙動を調査した。その結果,表面から70mm程度はカルシウムに代表されるセメント分の溶出に伴い,水酸化カルシウムやC-S-Hの化学的変質が進行し,表面部には強度低下が確認されたものの,入念な施工がなされていたため40mm以深では,十分な性能を有していることが確認された。.
著者
岡元 友実子 袁 守立 林 良恭 李 佳琪 鐘 立偉 安藤 元一 木村 順平
出版者
日本野生動物医学会
雑誌
日本野生動物医学会誌 (ISSN:13426133)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.17-26, 2021-03-31 (Released:2021-06-11)
参考文献数
36
被引用文献数
2

台湾の金門島に生息するユーラシアカワウソ(Lutra lutra chinensis以下,カワウソ)は,比較的長期間にわたり人為的影響を受けなかったことや豊富な人為的水環境の存在により幸運にも絶滅を免れてきた。2018年の糞便痕跡および赤外線カメラの映像に基づく調査から過去の文献同様金門島の西南部はカワウソの利用率が顕著に低いことが判明したが,その他の各エリアの利用頻度について論じるためにはより長期的なデータが必要である。さらに,2017年から2年間実施した赤外線カメラ映像に基づく行動観察から,繁殖や捕食に関する行動に加え,カワウソの人工物利用状況についても明らかになった。またカワウソに脅威を与える存在である野良猫および野良犬については未だ多くがカワウソの生息域内を行動していることが判明した。現在カワウソは台湾内の法律においても厳重に保護されており,人為的影響を殆ど受けることはない。また調査に加え様々な保全の取り組みも行われているが,その保全活動は地元自治体に委ねられており,常に楽観視することができない状態である。地元住民からは経済発展を望む声も多く聞かれ,食害も発生しているため,今後長期的に保全活動を持続するためには地域還元型のカワウソ保全システムを確立する必要がある。そして,将来的な日本の対馬におけるカワウソ保全においては,諸外国の同種の保全活動と課題を参考にし,より効果的な取り組みを行っていくことが肝要である。
著者
高野 修 辻 隆司
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.119, no.8, pp.567-579, 2013-08-15 (Released:2013-11-22)
参考文献数
44
被引用文献数
7 5

石油探鉱開発業務における三次元地質モデリングは,地質構造,堆積盆石油システム,層序,貯留層などを対象として,多分野技術統合手法によって行われている.このうち三次元貯留層モデリングでは,堆積学・シーケンス層序学やサイスミック地形学に基づく確定論的地質概念モデリングにより地質学的枠組みや拘束条件を決定し,それと坑井岩石物理学,地震探査反射波属性データを用いることによって地球統計学的確率論的モデリングを行い,三次元数値モデルを構築する.データ条件や目的に応じて,多種多様なモデリング手法の中から最も適切な手法と手順を選択することが,より現実に即した効率的なモデリングを行う鍵となる.

1 0 0 0 OA 重訂万国全図

著者
山路諧孝//〔作〕
巻号頁・発行日
1855

幕府暦局による東西両半球世界図。これより先、文化13年[1816]刊(推定)の、同じく暦官(天文方)であった高橋景保による「新訂万国全図」があり、約40年を経てその内容の改定が必要とされた。投影図法、副図を含む図の形式は旧図にならうが、1846年刊ゼルマニア(ドイツ)人ソルおよびハンドトゲの合作図を原拠とし、その他欧州諸図も参訂して、天文方山路諧孝の指揮下、その嫡男彰常と佐渡出身の地理学者柴田収蔵が改訂にあたった。例言に編集の次第を述べる。例言中、約100年前とする旧図(新訂…)の原拠図の年代については、今日の研究により、実際には18世紀末(約50年前)のものであることが知られている。旧図は銅版刷だが、本図は精細な木版、「合作図」にならって国境線に彩色を施す。

1 0 0 0 顔兄弟

著者
稲田昌植 著
出版者
外地評論社
巻号頁・発行日
1940
著者
秋草 俊一郎
出版者
日本通訳翻訳学会
雑誌
通訳翻訳研究 (ISSN:18837522)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.155-174, 2012 (Released:2021-11-29)
参考文献数
31

For many years now, issues raised by self-translation have been given insufficient attention in both translation and literary studies. Though recently some works like The Bilingual Text: History and Theory of Literary Self-Translation (2007) and Routledge Encyclopedia of Translation Studies (2011) have dealt with the problems of self-translation, it is difficult to systematically account for the diversity of interesting features of self-translation. One of the reasons is that self-translation often becomes “invisible” for some personal reasons of writers. This paper outlines the invisibility of literary self-translations in the 20th Century by examining some specific cases: James Joyce, Jorge Luis Borges, Isaac Bashevis Singer, Jerzy Kosinski, Andreï Makine, Marina Tsvetaeva, Nancy Huston, and Fernando Pessoa. This overview leads us to conclude that self-translation is a major topic of twentieth-century literature and such inquiry and research is essential in its applications for both translation studies and literary studies.
著者
土方 彩 宇野 彰 春原 則子 金子 真人 粟屋 徳子 狐塚 順子 後藤 多可志
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.221-229, 2010 (Released:2010-08-31)
参考文献数
30
被引用文献数
2 2

小学5, 6年生の定型発達児28名と発達性dyslexia児8名を対象に, 漢字単語の読解力に対する音読力と聴覚的理解力の貢献度を検討した. その結果, 定型発達児群における漢字単語の読解力に対して聴覚的理解力が有意に, そして音読力は有意傾向の影響力を示した. また, 読解力も音読力と聴覚的理解力の双方に対し有意に影響していた. 一方, 発達性dyslexia児群における漢字単語の読解力には音読力のみが有意に影響しており, 読解力も音読力に対して有意な影響力を示した. これらの結果から定型発達児の漢字単語の読解力には音読力と聴覚的理解力の双方が重要であり, 読解力もまた音読力と聴覚的理解力に対して影響力をもっていること, 発達性dyslexia児は音読力が低いため, たとえ聴覚的理解力が高かったとしても, その能力を読解力に対して十分に活用できていないことなどが推測された. また定型発達児群における読解力と音読力, 聴覚的理解力に関して, 一貫して心像性が有意な説明変数として抽出され, 3つの能力に対し意味の思い浮かべやすさが影響していると思われた.
著者
福中 彩子 山崎 智弘 藤原 奈央子 増田 誠司
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.90-100, 2008-02-01 (Released:2010-12-24)
参考文献数
31

高等真核生物では,タンパク質をコードするmRNAは,核内で合成され,5' 末端のキャッピング,スプライシング,3' 末端のポリアデニル化といったプロセシングを受けることで,成熟したmRNAとなる.成熟mRNAは,核膜孔を通過して細胞質に移動し,タンパク質翻訳の鋳型となる.この際,mRNAに不都合があればタンパク質をつくることなく分解される.一方,翻訳の鋳型として働いたmRNAも,最後には役目を終えて分解される.これらの過程に関わる因子と,各過程を共役する因子が同定されたことによって,mRNAの生合成から分解までの全体像が少しずつ明らかになりつつある.遺伝情報の伝令役であるmRNAが生合成されてから分解されるまでを,最新の知見を織り交ぜて紹介する.