著者
岩本 直子 領家 美奈 中森 義輝
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.279-286, 1997
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

東京都の環境に関係する物理的・客観的データから住民による環境の主観的評価を予測するモデルを構築する。モデルは2つの階層からなり, 第1層は, 物理的・客観的データから住民の環境に対する衛生, 快適などの個別主観評価値を予測する線形回帰モデルである。第2層は, 予測した個別評価値を統合するショケ積分モデルである。ただし, 線形回帰モデルでは個別評価値のモードを予測する。また, 主観評価データの地域性を考慮して, 数本のショケ積分モデルを構築し, それらをif-then型ファジィモデルとして統合する。各ショケ積分モデルを構築するための部分データセットは, 物理的・客観的データに基づく地域のクラスタリングにより決定する。ファジィ測度の同定は凸2次計画法による。また, ファジィモデルの前件部を多次元メンバシップ関数を用いて表現し, メンバシップ関数のチューニングにより予測モデルの精度を高める。一方, 得られたファジィ測度により地域の個性を分析し, 同定されたファジィ測度の妥当性を検討する。すなわち, 本研究のねらいは, 総合評価の予測精度を高めるとともに, 納得できるモデル構造・ファジィ測度を得ることである。
著者
頼惟勤
雑誌
Tombo
巻号頁・発行日
vol.20, pp.8-12, 1977
被引用文献数
1
著者
佐藤 園 平田 美智子 河原 浩子
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
vol.138, no.1, pp.19-32, 2008-06-25

本報は,第7報で明らかにした岡山南高等学校「家庭総合」で試みられた"保育学習のまとめとして,学校のみで1日間実施された自分の誕生時の体重とは無関係なFBP"の課題(① FBPの位置づけ,② FBの体重,⑨質問項目,④ディスカッションのテーマと進め方,⑤ FBPによる人間関係理解の意味)を検討することを目的とした。そのため,課題②③④を第 7報と先行研究の結果から設定し直し,同校の商業科「家庭総合」で FBP実践を行った。その結果,①自分の誕生時の体重の FBを用いた方が,生徒の獲得認識,特に「自己認識」が高くなった。また,今回用いた⑨質問項目と④ディスカッションのテーマと進め方により,前回よりも,カテゴリー別の生徒の獲得認識が高くなり,最終的に生徒は「これから家族や保育についてもっと学ぶ必要がある」ことを認識していたことから,① FBPは保育学習の導入として位置づける方が適切であることが示唆された。しかし,課題⑤に関しては,心理学的手法を用いて FBPによる生徒の獲得認識を更に検討していかなければならないことが,今後の課題として把握された。
著者
上地 幸市 嘉数 健悟
出版者
沖縄大学人文学部
雑誌
沖縄大学人文学部紀要 = Journal of Humanities and Social Sciences (ISSN:13458523)
巻号頁・発行日
no.22, pp.69-76, 2019-03-31

本報告は,学校と大学の協働による「教職インターンシップ実践」において学生がどのようなことを学び,どのようなことを課題としているのかを明らかにし,学生の実践的指導力の基礎を培うための基礎資料を得ることを目的とした。その結果,以下の4 点が明らかになった.1)学生たちは「教職インターンシップ実践」における学校現場での継続的な教育活動において「各教科等の授業への指導補助及び教材・教具・掲示物等の制作」や「問題を抱える生徒や別室登校生徒等,個別の生徒への支援」についての成果や課題を認識する傾向にある。2)大学での事前指導の学びと学校現場における「体験的な学び」のつながりには,大学における教科指導の在り方や生徒指導の3 機能を生かした生徒との関わり方等があげられる。3)一部の学校にとどまっている教育活動について理解と協力を得る必要がある。4)「つなぐ・つながる力」の基礎を培う体験的な学びの機会が少ないため,地域資源や地域文化と生徒をつなぐ横断的なカリキュラムの事例提供など,大学における教職課程のカリキュラムの検討が求められる。
著者
大村 明雄
出版者
日本古生物学会 = Palaeontological Society of Japan
雑誌
日本古生物学會報告・紀事 新編 (ISSN:00310204)
巻号頁・発行日
vol.1984, no.135, pp.415-426, 1984
被引用文献数
3

琉球弧の中でも西南琉球ブロック中のもっとも海溝側に位置する波照間島の琉球石灰岩について, その形成時代を明らかにするため, 74個の礁性サンゴ化石から<SUP>230</SUP>Th/<SUP>234</SUP>U年代値を求めた。その結果, 本島の琉球石灰岩は更新世後期の4回の高海水準期(おおよそ81, 000年と103, 000年前の2度の亜間氷期と, 128, 000年と207, 000年前の2回の間氷期)に形成されたことが明らかになった。本研究で得られた最古のものは, 300, 000<SUP>+</SUP>40, 000<SUB>-</SUB>31, 000年で, この年代値は, より以前の(深海底有孔虫酸素同位体比ステージ9に対比される)間氷期に現在の波照島の位置にすでにサンゴ礁が形成されていたことを示唆している。潮汐平底を構成している石灰岩から採集された5個のサンゴ化石は, いずれも10, 000年以若の年代(920±50年~6, 000±500年)を示した。すなわち, 現在島の周囲を縁取って発達している潮汐平底は, 過去数千年間にわたって形成されてきたものといえよう。このように, 波照間島の琉球石灰岩を, 西インド諸島のBarbaJos島, ニューギニアHuon半島や中部琉球ブロック中の喜界島などの更新統隆起サンゴ礁に対比することが可能になった。各段丘から採集されたサンゴ化石の年代測定結果にもとづき, Ota et al. (1982)によって8段に細分された海成段丘(T1~T8)のうち, 上位から2段目(T2)と下位の5段(T4~T8)は, 侵食面と考えられる。さらに, 彼らは地形学的手法によって, 各段丘形成時の旧汀線高度を求め, 本島が西方へ傾動していると結論した。今回, 最終間氷期に形成されたことが確証されたT3面の旧汀線高度と, 隆起運動の等速性および当時の古海水準を現在より6m高かったと仮定することにより, 本島の最大隆起速度は, おおよそ0.3m/1, 000年と計算される。以上の事実を考えあわせると, 波照間島は, 最終間氷期以降, 造構造的には圧縮場におかれてきたと思われる。
著者
成田 喜一郎 赤羽 寿夫 石川 直美 松井 孝夫 秋森 久美子 福泉 悦也
雑誌
研究集録/東京学芸大学附属大泉中学校 (ISSN:02856433)
巻号頁・発行日
no.40, pp.145-156, 1999

はじめに/1. 相互交流・相互啓発学習としての「卒業研究」/(1)事前指導/(2)各教科・各教官との連絡・調製及び促進指導/(3)事後指導/2. 「卒業研究」テーマ分析/(1)各教科・各教官から提案されたテーマ/(2)生徒が選択・決定したテーマ/(3)生徒のテーマ選択・決定の結果に関する分析/1)選択・決定の経緯/2)教科別の生徒数の割合/3)生徒の興味・関心が集中する傾向にあるテーマ/3. 相互交流・相互啓発の様相~「卒業研究・卒業制作 全体発表会」後の相互評価活動に見る~/[将来の夢につながったYR君の卒業研究・「エンジンの研究」,夢の大切さ]/[犯罪・非日常と日常とのギャップとつながりへの気づきと学びの共有化を引き起こした卒業研究]/[普段,直接目に触れることない内臓,その実物大模型によって事実への接近を深めた卒業研究]/[「文字のない絵本」という発想の新鮮さに驚かされた卒業研究]/[50期生の卒業研究への総括的コメント]/[自らの卒業研究との比較]/結びにかえて
著者
Kiyotaka Hori
出版者
Japan Mendel Society, International Society of Cytology
雑誌
CYTOLOGIA (ISSN:00114545)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.9-14, 2020-03-25 (Released:2020-03-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1 1

Athyrium christensenianum has been considered a fern hybrid of diploid sexual A. crenulatoserrulatum and tetraploid sexual A. decurrentialatum. Based on plastid (rbcL) and nuclear (AK1) DNA phylogeny, this study solved relationships between A. crenulatoserrulatum (allele A), A. decurrentialatum (B) and A. opacum (C). Relationships of the complex suggested A. christensenianum had at least five allele constitution: α, AABB (tetraploid sexual); β, AAB (triploid sterile); γ, ABB (triploid sterile); δ, ABBB (tetraploid sterile); ε, ABC (triploid sterile). In addition, this study expected the existence of undetected tetraploid sexual species which is originated from hybrid between ancestral diploid sexual A. decurrentialatum and diploid sexual A. opacum.
著者
山岡 武邦 松本 伸示 隅田 学
出版者
日本教科教育学会
雑誌
日本教科教育学会誌 (ISSN:02880334)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.25-34, 2015

本研究は,中学校理科授業における生徒の誤答に対する教師の対応発問と生徒の期待に関する分析を行うことで,指導法への示唆を導出することを目的とした。具体的には,第3回国際数学・理科教育調査の第2段階調査(TIMSS-R)ビデオスタディ95時間分の国内中学校理科授業における生徒の誤答に対する教師の対応発問を分析した。分析結果を踏まえた質問紙を作成し,2013年9月から10月に,県内公立中等教育学校1校で中学校1から3年生451人を対象に調査を実施した。その結果,次の3点が明らかとなった。(1)教師は,別の生徒を指名するよりも,誤答を述べた生徒で対応する傾向があること,(2)1年生は情緒的対応を期待する傾向があること,(3)3年生は認知的対応を期待する傾向があること。以上より,中学校段階では,学年が上がるにつれて情緒的対応から認知的対応へと移行させる支援を意識しながら中学1年で「ヒント」,中学2・3年で「説明」,中学3年で「同じ発問」という対応を行い,自力で答えさせる指導をすることが効果的であると考えられる。

1 0 0 0 OA 滝夜叉姫

著者
白石実三 著
出版者
春陽堂
巻号頁・発行日
1931
著者
小林 麻衣 堀毛 一也 北村 英哉
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.525-534, 2018 (Released:2018-02-25)
参考文献数
22
被引用文献数
3 1

This two-part study aimed to examine the effects of temptation coping strategies on self-control when faced with a conflict between academic goals and temptations. The results of Study 1 indicated that the general use of temptation coping strategies promoted goal pursuits. Study 2 investigated whether differences in the difficulty of goal achievement had an effect on the effectiveness of temptation coping strategies. Goal Verification, Temptation Avoidance, and Goal Execution, which are subscales of the Scale of Temptation Coping Strategies in Academic Situations, were effective strategies to facilitate self-control regardless of the difficulty of goal achievement. However, Mood Changing, which is another subscale of the Scale of Temptation Coping Strategies in Academic Situations, was a strategy that did not affect self-control. These findings indicated that the temptation coping strategies were largely effective in academic situations. The implications of adaptive self-control are also discussed.
著者
西村 秀一 樋口 昇
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.734-739, 2021-11-15

【ポイント】◆現在に至る歴史的観点を知ることは重要.空気感染を認めさせるための長い闘いがあって今がある.◆いかにして空気感染が証明されてきたかを知れば,現在のCOVID-19での証明レベルの妥当性が見える.◆やっと勝ちとった空気感染の概念も,今度は固定的イメージが定着し,アップデートができないでいる.
著者
丹 亮人 岡田 謙介
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.211-225, 2020 (Released:2021-04-21)
参考文献数
26
被引用文献数
2

Cognitive diagnostic models (CDMs) are a class of statistical models that diagnose the mastery of respondents' cognitive traits, which are called attributes or skills. In the typical applications of CDMs, the Q-matrix, which represents which attributes are measured by each item, is specified by domain experts. In the case of dichotomous attributes, the impacts of Q-matrix misspecification on the classification accuracy have recently been studied; however, the case of polytomous attributes has not been reported. Therefore, in the present study, we examined how the difference between true and misspecified Q-matrix elements affects classification accuracy under four forms of attribute hierarchies. It was revealed that, in most conditions, larger difference between true and misspecified values resulted in lower classification accuracy. The impact of misspecification was the largest under the linear form of attribute hierarchy, which could be due to its smaller number of items that measure attribute levels. These results suggest that the number of items assigned to each attribute levels can be a key factor that affects the classification accuracy, especially when the degree of misspecification is large.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1904, pp.42-46, 2017-08-21

一見すれば、ただのプールだが、侮ることなかれ。水槽の大きさに合わせて、実際に建造したい船の縮小モデルを作り、水面に浮かべて「航行」させれば、大海原で船舶が受ける抵抗などを模擬できる。人工的な波を起こせばより現実に近づく。
著者
滝野 豊 松村 隆弘 二木 敏彦 川端 絵美子 星名 悠里 本田 理沙 油野 友二 柴田 宏
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.541-545, 2018-07-25 (Released:2018-07-28)
参考文献数
16

肝炎ウイルスやアルコール性肝炎,非アルコール性脂肪性肝疾患などによる慢性肝炎は線維化の過程を経て,将来的に肝硬変症を経て肝癌に至ることが知られている。肝線維化診断のゴールデンスタンダードは肝生検であるが,侵襲的な検査であることから血液成分であるヒアルロン酸やIV型コラーゲン,および生理学的な検査法が利用されている。新しい肝線維化マーカーとしてMac-2 binding protein glycosylation isomer(M2BPGi)が保険適応された。ヒアルロン酸は食事の影響を受けやすいことが知られているが,M2BPGiについての食事の影響は調査されていない。今回,M2BPGiの食事の影響を血中ヒアルロン酸値とIV型コラーゲン値の変動と比較した。ヒアルロン酸のみが食事摂取1・2時間後に食前と比べ有意に測定値が上昇した。M2BPGi値とIV型コラーゲン値は食事の影響を受けなかった。このことから,M2BPGi値測定は随時採血の検査においても正しい評価ができると考えられた。
著者
江渕 武彦
出版者
島根大学法文学部山陰研究センター
雑誌
山陰研究 (ISSN:1883468X)
巻号頁・発行日
no.6, pp.23-38, 2013-12

入会林野近代化法にもとづいて入会権を解消し、その上で生産森林組合を設立した地域が多い。しかし、かような生産森林組合において、森林からの収益が得られないため、多くの組合が解散に到っている。解散後、その森林は、当該地域において設立された認可地縁団体名義で登記される傾向にある。本稿は、島根県内の2つの生産森林組合解散事例に関する報告である。