著者
田口 雄一郎 服部 新 栗原 将人 斎藤 毅 玉川 安騎男 安田 正大 平之 内俊郎
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ガロア表現のモジュライ空間の構成やその性質について研究し、幾つかの基本的な成果を得た。また、これに関連して、ガロア表現についての幾つかの結果を得た。即ち、(1)かなり一般の完備離散附値体のガロア表現のガロア固定部分空間の消滅定理(今井の定理の一般化)とその岩澤理論への応用、(2)ガロア表現の合同に関する結果とその Rasmussen-玉川型の非存在定理への応用、(3)代数体の幾何学的なガロア表現のヘッケ体が、多くの(例えば或る場合には密度1の)有限素点について、そのフロベニウスの跡で生成される事の証明、(4)ガロア表現の像のザリスキー閉包の連結成分の個数の上からの評価、等を得た。
著者
大出 春江
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.141, pp.323-354, 2008-03

本論の目的は、性と出産の社会統制が大正初期にどのように進められたのかを明らかにすることである。そのための方法としては一九一一年から一九一四年までの間に、雑誌『助産之栞』(一八九六年〜一九四四年まで刊行された月刊誌)に採録された当時の社会的事件の内容分析を行う。この時期の内容分析から重要な点を四つにまとめることができる。一つは親による子殺しという残酷な事件や不義密通といった性的逸脱の出来事を掲載しつつ、同じページに〈聖なる出産〉ともいうべき皇室の出産記事が囲みで同時に報道されていること。二つめに、陰惨で汚穢に満ちた事件の状況がリアリティをもって具体的に数多く記述されること。三つめには畸形児に対する露骨なまなざしが存在すること。四つめはこれらの記事が一九一四年末から忽然と消え、それらの陰惨な事件にかわって多胎児の誕生に対する注目、産児調節、そして人口統計が繰り返し登場するテーマとなっていくことである。これら四つの特徴は特に一九三〇年代の性と生殖の統制に関する一連の動向を考えれば十分納得できることばかりかもしれない。しかし、より具体的にどのようなメディアがどのような形で機能し、結果としてよい性と悪い性、好ましい出産と好ましくない出産、優性な子どもと劣性な子どもの振り分けが人々の意識に埋め込まれていくのか、そのプロセスと回路とを知ることができるだろう。その一翼を担ったメディアとして、この助産雑誌自体も重要であったが、衛生博覧会や児童展覧会といった装置は模型や現物を提示することで、都市の一般市民を対象に好奇や驚き、不気味さの感覚と共に正常なるものの価値を教育し、性や生殖そして健康の社会統制を進める重要な機能を担ったといえる。こうしたメディアを通じて都市から村落へ伝搬する形で、性と生殖の統制が進行し、人々の性と出産をめぐる日常生活意識が変容していったのではないだろうか。
著者
原 昌道 深田 雄一 野崎 英雄 小幡 孝之 野白 喜久雄
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.569-573, 1976-07-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
11

アルコール耐性の著しく強い協会7号酵母の変異株 (6-4-C, 26-3-C) と親株 (協会7号) を用いて総米1.2kgと20kgの仕込を行った。1. アルコール無添加で36日間清酒醪を発酵した場合, 変異株醪の酵母はほとんど死滅せず, アルコールが20%以上生成し, 粕歩合も小さかった。他方, 親株の醪は24日預より急激な酵母の死滅がみられ, アルコールの生成は18.6%で停止した。また留後20日目にアルコールが20%になるようにアル添した場合, 親株の醪では酵母は急激に死滅したが, 変異株の醪にはこのような現象はなかった。2. 変異株の発酵末期 (留後20日以降) の成分ならびに製成酒の成分は親株のそれと比較して, formol-Nが小さく, pHが低く, 酸がやや多く, ITT値が大きく, 色が薄く, ピルビン酸含量が多かった。また製成酒の貯蔵着色が小さかった。3. 変異株の酒は親株の酒に比して火落菌の繁殖が悪かった。
著者
中川 伸
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.27-31, 2017 (Released:2018-10-22)
参考文献数
17

うつ病の病態・治癒過程は発症,急性期症状,反応,寛解,再燃,回復,再発など動的なものであり,神経可塑的な変化が想定しやすい。一方,病的な状態における可塑性とは異なる正常なしなやかさである「レジリエンス」を考慮することは,うつ病の予防,軽症のうつ病の状態を考えるときに有用であると思われる。本稿では生理学的なストレス反応として惹起される視床下部─下垂体─副腎皮質系を中心として,その神経可塑性の動き,破綻,養育環境による変容などを概説する。
著者
折原 良平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能 (ISSN:21882266)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.313-314, 2021-05-01 (Released:2021-05-01)
著者
川合 慧
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, 1983-04-15
著者
岡田 美穂 林田 実 Miho OKADA Minoru HAYASHIDA
出版者
国立国語研究所
雑誌
日本語教育論集 (ISSN:13469762)
巻号頁・発行日
no.23, pp.3-15, 2007
被引用文献数
1

九州女子大学北九州市立大学日本語学習者は,存在場所を表す格助詞「に」を用いるべきところに誤って「で」を用いることがある(例:大学の中で友達がいます)。本研究では,存在場所を表す「に」の習得の様子を探るため,日本語学習者を対象とした穴埋めテスト形式の調査を行った。その結果,上の誤りは日本語レベルが「中級の下」の学習者に最も多く見られ,存在場所を表す「に」の習得は「U字型発達」を示していた。また,上の誤りは,存在場所を表す「に」と範囲限定を表す「で」との混同により生じていると考えられる。
著者
村尾 愛美 伊藤 友彦
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.177-184, 2017

<p>日本語を母語とする特異的言語発達障害児(以下SLI児)が格助詞の使用に困難を示すことが明らかになっている.このことから,格助詞の誤用が日本語のSLI児の臨床的指標の一つとなる可能性が示唆される.しかし,格助詞の自然発話および実験課題における誤用率は明らかになっていない.本研究では,SLI児の自然発話における格助詞の誤用率と実験課題における格助詞の誤用率を明らかにすることを目的とした.対象児は小学2~5年生のSLI児9例であった.本研究の結果,SLI児の自然発話の誤用率は1.5%であった.これに対して,実験課題の誤用率は53.1%であり,自然発話よりも著しく高かった.この結果から,日本語を母語とするSLI児を同定するためには,自然発話のみならず,実験課題も必要であることが示唆された.</p>
著者
佐藤 啓介
出版者
宗教哲学会
雑誌
宗教哲学研究 (ISSN:02897105)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.29-43, 2019

Empirically, we say of the "Dignity of the dead", which corresponds to the dignity of human being. On the other hand, theoretically, we don't understand why and to what degree the dead should have the dignity. This article intends to found this reason and construct the foundation for the general ethics of the dead. The strategy in this article would be called "ethics of the dead from below", which contrasts with "one from above" that emphasizes the Otherness of the dead and distance between the dead and us.<br><br>There are two difficulties in admitting the dignity of the dead; the dead is the non-being who cannot suffer; we cannot affect and recover the way of being of the dead. But, recent philosophical investigations on the harm of death are solving the first difficulty by thinking that the dead can have ontological status in the symbolic or discursive levels. The second difficulty is solving by Ichinose's thought how we would be harrowed by causal absence of the dead.These philosophical efforts would contribute to the universal and formal foundation for the ethics of the dead.
著者
米倉 功治 眞木 さおり
出版者
日本結晶学会
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2-3, pp.88-95, 2017-06-30 (Released:2017-07-01)
参考文献数
41

Electron 3D crystallography is a useful method for structure analysis from tiny and thin crystals of membrane proteins and protein complexes, which often yield crystals too small or too thin for even the synchrotron X-ray beam and X-ray free electron laser. More importantly, it can visualize the charged states of amino-acid residues and metals, as the diffraction pattern formed by elastically scattered electrons is directly related to the distribution of Coulomb potential. Here we introduce the development of this technique and structure determination with charges, and discuss further applications including a suitable treatment of electron scattering factors of charged atoms.

1 0 0 0 OA 丙寅連城漫筆

著者
小寺玉晁 編
出版者
日本史籍協会
巻号頁・発行日
vol.第一, 1919