著者
秋田 健太 森本 有紀 鶴野 玲治
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.397-403, 2021-01-15

近年,深層学習を用いた自動着色に関する研究がさかんである.カラーイラストは線画を着色することで作成されるが,着色に非常に時間がかかるため,自動着色技術によって効率化することが期待される.既存の研究の多くは,ユーザが線画の領域ごとに色ヒントを入力する必要があるため,入力が多くなる.また,カラー参照画像による既存の自動着色手法では,目のような小領域は指定どおりに着色できないことが多い.しかし,目はキャラクタイラストにおいて,非常に着目される部分であり,重要である.そこで本論文では,カラー参照画像によるキャラクタイラストの線画の顔を対象とした自動着色において,正しく目の色を反映するための深層学習モデルを提案する.本手法では,カラー参照画像の目の一部をそのまま円形の色ヒントとして,線画の目の位置に自動で与える.これにより,ユーザ入力なしで入力線画の目に参照画像の目の色を先行手法よりも正しく反映することができる.
著者
波多野 恭弘 会誌編集委員会
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.9, pp.595, 2016-09-05 (Released:2017-01-09)

物理学70の不思議地震予知はなぜ難しい?
著者
猪俣 孟
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.570-571, 1995-04-15

角膜後面沈着keratic precipitates (K.P.)は,虹彩炎や毛様体炎の炎症細胞,または組織の残滓や病原物質などを貪食したマクロファージが前房内に遊出し,それらが角膜後面に付着した状態をいう。前房内の温度は虹彩付近で高く,体表に近い角膜付近で比較的低い。そのために前房水は虹彩付近で上流し,角膜付近で下流する流れがある。これを温流thermal currentという。温流の関係で,前房内に遊出した細胞や物質は角膜後面下方に沈着する傾向がある。前房内の炎症細胞が角膜内皮細胞に付着する際には,眼内免疫反応が最も強い時期に細胞間接着因子intercellular adhe—sion molecule−1(ICAM−1)が角膜内皮細胞に強く発現し,炎症細胞が角膜後面に付着しやすい状態にある。 臨床的に,角膜後面沈着は豚脂様角膜後面沈着Inutton fat K.P.微塵状角膜後面沈着fine K.P.,色素性角膜後面沈着pigmented K.P.の3種が識別される。
著者
徳田 安春
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.299-300, 2010

医師不足の解消には医師数の増加のみでは解決できません. 守備範囲の広い「イチロー型医師」である病院総合医の養成が必須です. 1発ホームランを狙う選手は, 野球でもスタメンのうち1~2人 (4番と5番打者) で十分です. 効率よく得点を重ねるためには, 「走ってよし, 打ってよし, 守ってよし」の三拍子揃った, フットワークの軽い「イチロー」が必要なのです. 地域医療では, トップバッターとしてのER医の診療のあと, 打順2~3番の病院総合医にまかせ, 必要 (適応) に応じて, 4番打者へ特殊な治療介入を依頼すればよいのです. 学会のならず, 行政やマスメディアも, 地域医療を実践できる病院総合医として活躍している「イチロー型医師」に十分なサポートを与えてくれることを期待します. <br>現在, 全国には約27万人もの医師がおります. その1人ひとりが, 僅かでも守備範囲を広げることによっても, 全体として大きな効果を期待することができます. 臓器専門医も, 守備範囲を広げるような生涯学習によって, 基本的な疾患に対する初期対応を行うことを期待します.

1 0 0 0 自叙伝

著者
望月 信亨
出版者
古代学協会
雑誌
古代学 (ISSN:04522524)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, 1956-03
著者
秋山 裕一
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.76, no.3, pp.146-150, 1981

省エネルギーが醸造業界にとって切実な問題であることはいうをまたない。トップバッターとして多年この問題に深い関心を持たれ, 生米醸造などユニークな技術を開発しておられる秋山醸造試験所長に, まずお考えを述べていただいた。
著者
阿部 芳郎 清野 肇 木村 勝紀
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
油化学 (ISSN:18842003)
巻号頁・発行日
vol.18, no.11, pp.799-804, 1969-11-20 (Released:2009-10-20)
参考文献数
13

Several works have been reported of the concentration of oleyl oleate from sperm oil. But the oleate oleyl concentrated from sperm oil is so unstable due to the presence of highly unsaturated components that the application of oleyl oleate is limited. It is therefore, necessary to reduce these highly unsaturated components in the oleyl oleate concentrate. The authors attempted to decrease the amounts of polyunsaturated components in sperm body oil by two procedures. The one was to thermally polymerize sperm oil in the presence of active earth, and the other was to hydrogenate the oil selectively with Cu-Cr catalyst under atmospheric pressure. The oleyl oleate was concentrated from thus treated sperm body oils and untreated oil through molecular distillation and fractional crystallization. A.O.M. stabilities of these oleyl oleate concentrates were determined according to the A.O.C.S. analytical method. The oleyl oleate concentrate obtained from thermally polymerized sperm body oil was most stable, while the oleyl oleate from untreated sperm oil was unstable most.
著者
岩切 雄二 大塚 正義 柏本 昭信
出版者
公益社団法人 自動車技術会
雑誌
自動車技術会論文集 (ISSN:02878321)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.265-270, 2017 (Released:2018-05-15)
参考文献数
8

入口旋回抑制板が自動車用ターボチャージャの遠心圧縮機性能に及ぼす影響を調査した.入口旋回抑制板により,最高効率とチョーク流量を維持しつつ,ほぼ全ての運転条件でサージ限界流量が低減できる事を実験で示した.また,流れの数値解析(CFD)によりサージマージンが拡大するメカニズムを解明した.
著者
上島 弘嗣
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.17-22, 2007 (Released:2007-03-03)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4
著者
板谷 敏正 小松 幸夫
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.74, no.643, pp.2063-2069, 2009-09-30 (Released:2010-01-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The number of enterprises that offer the Property management business as the real estate investment maket for recent years grows up increases. A corporate number that was 100 companies in 2002 reaches about 450 companies according to the investigation in 2008. This research investigates the amount of the business of the property management business in the real estate for the investment and the actual condition of the work contents. And, the structure of corporate profits of the property management business is clarified and the evaluation approach of the business is examined.
著者
金子 正大 南川 哲寛 谷口 英史 山田 恭弘 中村 潤 沖原 宏治 中内 博夫
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.44-47, 2016-01-15 (Released:2017-01-27)
参考文献数
10

精巣鞘膜悪性中皮腫の一例を報告する.93歳,男性.主訴は有痛性の右陰嚢腫大.石綿暴露歴なし.超音波検査およびMRI検査にて右陰嚢水腫の診断.陰嚢水穿刺細胞診にて,中皮細胞を認めるも異型性に乏しく明らかな悪性所見を認めず,classIIIaであった.右陰嚢水腫根治術を施行したところ,切除標本の組織診断にて上皮型の精巣鞘膜悪性中皮腫を認め,追加治療としてdartos筋膜を全周性に付けて右高位精巣摘除術を施行した.術後6カ月時点で再発を認めない.精巣鞘膜悪性中皮腫は稀な疾患で,術前の正診率は低い.急速増大する血性の陰嚢水腫や精巣固有鞘膜から生じた腫瘤を認めた際は悪性中皮腫の可能性を考慮すべきである.予後不良の疾患であり,二期的手術となっても高位精巣摘除術を行う必要がある.
著者
服部 尚子 朝比奈 昭彦 渡辺 孝宏 白井 明 鑑 慎司 渡辺 玲 岸 晶子 大原 國章
出版者
特定非営利活動法人 日本レーザー医学会
雑誌
日本レーザー医学会誌 (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.27, no.4, pp.270-279, 2007-01-15 (Released:2008-01-15)
参考文献数
26

可変式ロングパルスダイレーザー(Vビーム®,595nm-long pulsed dye laser with adjustable pulse duration (ALPDL))は波長595nm,最大出力40 J/cm2のパルスダイレーザーであるが,パルス幅が可変(0.45ms~40ms)で,ダイナミック・クーリング・デバイス®とよばれるテトラフルオロエタンガス(-26.1℃)による皮膚冷却装置を付属していると言う特徴を有する.従来型の機種より波長の長いことから,より深くまでレーザー光が到達し,長いパルス幅,大きい出力により,より少ない副作用で,より大きな血管をターゲットとできる.ALPDLは5種類の円形のハンドピースと3x10mmの矩形のハンドピースを装着することができる.色素斑用ハンドピースは,患部の血管を障害することなく,老人性色素斑等の色素性病変を治療可能としている.ALPDLは,単純性血管腫,苺状血管腫,毛細血管拡張症,老人性色素斑,ウイルス性疣贅, 瘡,肥厚性瘢痕/ケロイド,乾癬,光老化等,様々な病変の治療に利用され,有効であるとの報告が示されている.ALPDLのこれらの疾患への治療可能性について報告する.
著者
並松 信久
出版者
京都産業大学日本文化研究所
雑誌
京都産業大学日本文化研究所紀要 = THE BULLETIN OF THE INSTITUTE OF JAPANESE CULTURE KYOTO SANGYO UNIVERSITY (ISSN:13417207)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.198-150, 2020-03-31

わが国では高度経済成長期において、食生活や食文化が大きく変化した。日本に限らず、諸外国においても経済成長期に食生活が変化することは、すでに多くの研究で明らかにされている。それは主に穀物中心の食生活から、肉類や蔬菜・果樹などが多くなる食生活に変わると説明されている。さらに、この過程では多種多様な食材が入ってくると説明される。しかし、この説明によって食生活自体の変化はわかるものの、食材を供給している農業との関連がなければ、変化の要因はわからない。つまり、食生活という需要面だけでなく、農業という供給面の変化を関連させて説明する必要がある。 そこで本稿は、高度経済成長期における食生活と農業との関連に注目し、わが国の食生活を含む食文化の特徴を明らかにした。戦後、わが国はアメリカ型食生活の強い影響を受けると同時に、食のインスタント化が進んだ。その一方で、食料不足を解消するために、農業の改良が進み、コメの増産が達成された。これらはほぼ同時並行に進んだ結果、万国博覧会をきっかけとする食のファッション化がもたらされると同時に、コメ余り現象が生じた。そして飽食時代に突入するとともに、再びアメリカの影響によって日本型食生活の見直しが進んだ。これらの動きは、わが国で明治期から続いていた食のフュージョン化が強化されたものといえる。現在、この食のフュージョン化は新たな問題を抱えている。
著者
土井 利忠
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.30, no.10, pp.1000-1001, 2012 (Released:2013-01-25)
参考文献数
3
被引用文献数
2 2
著者
坂 幸夫
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.155-171, 2016-07

第1に,三菱ふそうバス製造労働組合に注目したのは,この組合が,会社・親企業の「外部労働依存政策の強要」に抗して,「正規社員の採用を基本としたものづくり企業」に拘だわり,ストライキを背景とした労使交渉を通じて,多くの非正規労働者を正規労働者へと,昇格させる人事を実現させた事にある。これは後に見る広島電鉄の場合と同じである。第2に,この組合と会社間では,「年齢別最低賃金に関する労使協定」が締結されている点である。これらは富山県内のみならず,全国的にみてもあまり例のない事である。第3に,この組合は,2013年の春闘で,116日間にも及ぶ5波・延べ22.92 時間の時限ストライキ突入を含む,4ヶ月の長期の闘かいを組織したことにある。この時,「本来の賃金闘争」に加えて,「外部労働」(派遣労働)のあり方」や「職場の適正人員確保」も一大争点として闘ったことである。この中で,労使交渉は,後述する親会社と外資の介入・指導下での交渉・闘いとなり,窮地に立った会社側が当事者機能を失し,富山県労働委員会へのあっせん申請を組合に申し出るなど,第3者機関をも巻き込む,近年にない闘いとなった。闘いの結果は,ⓐ「56歳未満労働者の賃金増額200円」の賃金上積みとともに,ⓑ直接社員・間接社員の削減で悲鳴を上げる職場の「(正規)社員採用」と,「中途採用」の実施による人員増を勝ち取ったことである。以降,この3年間,2013年の労使合意に基づいて交渉が継続され,2013年・14年の両年に亘る「大幅中途採用(社員)の実施」,2016 年の「かってない大幅な新規採用」の履行がされてきたことである。そこで他の例とは,広島電鉄の事である。広島電鉄の労働組合,正確に言うと私鉄広島電鉄支部でも,全非正規労働者,つまり全契約社員を正社員にした。これには3つの要因がある。第1に,「全契約社員の正社員化」が,組合の主導によってなされたということ。第2に,この成果が三菱ふそうバス製造(株)より大きい中規模の企業においてなされたという点である。第3に,「全契約社員の正社員化」によって,正社員の中に給与が「減額」になった組合員がいたことである。人件費総額を膨張させない前提で,経営者側を説得するには,そのような方法しか術はない。しかもこの「減額」が,労働組合自身があえて自らの犠牲を甘受して,非正規社員の労働条件の改善のために献身したという事実にある。以上の事を前提に,広島電鉄の例と対比させながら,以下各項目について述べていく。