著者
日高 昇平
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.31, no.6, pp.AI30-H_1-10, 2016-11-01 (Released:2016-11-02)
参考文献数
30

A long-standing dream in research on artificial intelligence (AI) is to build a strong AI, which understands and processes the input, unlike a weak AI which just processes it as programmed. Toward realization of this dream, we need a mathematical formulation on what understanding is. In the present study, starting off by revisiting Shannon’s mathematical theory of communication, I argue that it is a model of information transmission but not that of information understanding, because of its common codebook shared by the sender and receiver. I outline the steps to build a model of information understanding, by seeking possibilities of decoding without the shared codebook. Given the model of information understanding, I discuss its relationship to other known problems in AI research, such as the symbol grounding problem and frame problem.
著者
伊藤 良子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
no.34, pp.83-89, 2009

新生児期実習での看護学生の沐浴実施学習での体験の内容を分析することを目的に,A 看護短期大学3 回生16 名の自由記述式課題の内容を,KJ 法を用いて質的帰納的に分析した.その結果,沐浴実施実習については《不安》《支え》《学びと達成感》の3 カテゴリーが抽出され,不安と緊張の中で沐浴実施を行い,児の気持ち良さそうな様子やナースの助言に支えられて沐浴実施を全うし,達成感と学びを得ているという学生の学びのプロセスが明らかになった.ここから沐浴実施実習においては,学生の緊張や不安が高いこと,ナースの助言と,児に気持ちの良い事ができているという点に,学生の意識を向かわせるような教育的配慮が重要なこと,それによって学生が高い達成感を得られることが示唆された
著者
儀間 裕貴 関 耕二
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.119-124, 2019

<p>〔目的〕小学中期(3・4年生)・後期(5・6年生)における体力と学力の関連,中期から後期にかけた体力と学力の変化の関連について検討した.〔対象と方法〕鳥取大学附属小学校の児童138名を対象とした.校内で実施された新体力テスト(握力,上体起こし,長座体前屈,反復横跳び,20 mシャトルラン,50 m走,ソフトボール投げ),標準学力検査(国語・算数の全国偏差値)から結果を集計し,それぞれの計測値・点数および変化値における相関を検討した.〔結果〕体力と学力の各項目間において有意な相関を認めたが,いずれも相関係数は低かった.〔結語〕縦断データを用いた本研究では,体力と学力に強い関連性を認めず,体力と学力の発達には多くの因子が影響していることが示唆された.</p>
著者
原 辰徳 濱野 雅史 茅野 遥香 佐藤 隆臣 金木 佑介 梅田 靖 中田 登志之 青山 和浩 太田 順
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
pp.20-00192, (Released:2020-10-13)
参考文献数
23

In the context of recent servitization of manufacturing characterized by IoT, Big data, and AI, we require a data-driven front-loading design of product with service. This paper proposes a design method of service system that encourages co-creation using a structural framework called TriCyPSS (Triple Cycles for Product Service System) from the viewpoints of service chain and continuous provision among client business, my business, and partner business. This paper shows a case study according to the method’s procedure and details notations using a system modeling method called i* (eye-star). Using them, we clarify value in use brought by the service chain and continuous provision as well as data utilization and information circulation. Finally, this paper employs the method together with business planning methods and tools for practical use.
著者
櫻田 譲
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.49-73, 2013-01-17

本稿は(1)平成20年度証券税制改正が資本市場に与えた影響をイベントスタディによって検証し, (2)分析対象法人の財務状況によって当該税制改正報道がそれらの株価に与えた影響の相違を観察している。本稿で注目した同税制改正は, 個人投資家の株式譲渡損と配当所得を相殺可能としたため, 実質的に証券優遇税制として仕上がった。そこで当該税制改正情報の資本市場への投入を契機として, 高配当性向法人が好感されると考えた。なぜなら投資家は株式譲渡損を相殺するためにより多くの受取配当金の確保を必要とすることから, とりわけ高配当性向法人に注目すると考えたからである。追加の分析結果によれば, 高配当性向法人はPBRや流動比率が悪化するほど高評価され, 他方、低配当性向法人は利益成長性が悪化しても固定長期適合率が相対的に高く維持されていれば高評価されていることが判明した。なお, 本稿前段に相当する上記(1)の検討課題は, 筆者が指導する修士院生による研究成果(修士論文)の一部でもある。他方, 本稿後段に相当する上記(2)の検討課題は, 本稿執筆者・櫻田による単独作業として分析結果を導出したことを付言しておく。
著者
髙木 幸子 平松 沙織 田中 章浩
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.344-362, 2014-09-01 (Released:2015-05-12)
参考文献数
45
被引用文献数
1

This study aims to further examine the cross-cultural differences in multisensory emo-tion perception between Western and East Asian people. In this study, we recorded the audiovisual stimulus video of Japanese actors saying neutral phrase with one of the basic emotions. Then we conducted a validation experiment of the stimuli. In the first part (facial expression), participants watched a silent video of actors and judged what kind of emotion the actor is expressing by choosing among 6 options (i.e., happiness,anger, disgust, sadness, surprise, and fear). In the second part (vocal expression), they listened to the audio part of the same videos without video images while the task was the same. We analyzed their categorization responses based on accuracy and confusion matrix, and discussed the tendency of emotion perception by Japanese.
著者
小西 真弓
出版者
豊橋創造大学
雑誌
豊橋創造大学紀要 (ISSN:1884460X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.157-179, 2012-03

サロス・コワスジーによれば,インドのナショナリストを立役者にした最初のイギリス小説『シリ・ラム』(Siri Ram, 1912年) は,イギリスの圧政に憤ったインドの青年がナシクの長官を暗殺した事件(1909年)を素材にして執筆されたと言われる.*かつてキプリングにあこがれていた著者のエドマンド・キャンドラー (Edmund Candler, 1874~1926年) にとって,イギリスのインド支配は自明の理であり,インドの独立はごく一部のナショナリストが抱いた妄想に過ぎないように思われた.しかし渡印後に,ベンガルやパンジャブのカレッジで教職につき,学生たちが命がけのテロ活動や暴力革命に魅かれる現実を目の当たりにした彼は,キプリングのようにナショナリズムの問題を一笑に付すことができず,あえて愚かなインド青年シリ・ラムがテロ活動に身を投じるドキュメンタリー的な小説を描いた.シリ・ラムは物語の結末で,原住民のために献身したイギリスの行政長官を殺害して処刑される前に自害するが,真に断罪されているのは,彼を過激なナショナリズムの「生贄」にしたスワミ(ヒンドゥーの導師)や秘密結社の黒幕たちである.一方,物語に登場するイギリスの立役者たちは,インド青年の教育に頭を痛めたり,パンジャブの村々に蔓延ったペスト対策に命がけで働く善人として描かれ,その献身ぶりを称えられている.そのためか著者はイギリス帝国主義のプロパガンディストであるとの印象は否めないが,インドにおける教育や医療の問題を通して,異文化理解の難しさや帝国主義の矛盾を問いかけている.
著者
山城 雄一郎 大塚 親哉 間島 竹二郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.507-512, 1972-01-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
11
著者
永田 治樹 藤井 美咲 北村 明久
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-15, 2000

<p>図書館活動の成果を顧客の側から考察するサービス品質は,図書館経営にとって不可欠な指標である。本論は,図書館サービスの品質をSERVQUAL(サービスの本質的な五つの局面について,顧客のサービスへの期待とサービス・パフォーマンスの認知との差を数量的に把握する)によって測定するケース・スタディである。この研究では顧客(教員・学生)だけでなく,サービス供給者である図書館職員をも調査対象とし,またSERVQUALで設定されていない設問を混ぜて調査した。収集されたデータから,調査実施館である千葉大学附属図書館の特性値が把握され,また図書館サービスに対する品質測定方法として,SERVQUAL再検討の必要性が示唆された。</p>
著者
田中 秀樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経ネットビジネス (ISSN:13450328)
巻号頁・発行日
no.100, pp.90-92, 2002-07-10

実店舗を持つチェーン店などでは、電子クーポンと携帯メールを組み合わせ、来客促進に活用するケースが急増しています。今回は携帯メールを"会員証"として活用するファーストキッチンの例を紹介します。田中秀樹富士通総研 M&Mコンサルティング事業部 シニアコンサルタント チェーン展開のファストフード店における来店促進の手段として、携帯メールが注目されている。
著者
嶋津 武
出版者
日本動物分類学会
雑誌
動物分類学会誌 (ISSN:02870223)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-18, 1995
参考文献数
41
被引用文献数
1

日本産淡水魚類から,二生虫の1属であるGenarchopsis OZAKI,1925(Derogenidae:Halipeginae)に属するG.goppo OZAKI,1925,G.anguillae YAMAGUTI,1938,G.fellicola sp.nov.および2群の未同定吸虫を記載した.これらについて,博物館標本,宿主,産地および生活史に関する資料を掲げた.新種のG fellicolaは,諏訪湖(基準産地)や潮来で,ハゼ科のウキゴリ(基準宿主),ヨシノボリおよびヌマチチブの胆嚢から得られたもので,G.goppoによく似てはいるが,胃ではなく胆嚢に寄生すること,吸盤比がより小さいこと,子宮末端部がより短いことなどで異なる.G.gigi YAMAGUTI,1939はG.goppoのシノニムと看做した.関連する科,亜科および属の標徴を改定した.
著者
大古 拓史 野々垣 政史 梶原 史恵 大川 裕行
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.112, 2007

【はじめに】 臨床実習 (以下実習) は,学内で学んだ様々なことを臨床現場で実際に実践する重要な科目である.実習を目前に控えた学生は,実習に対し大きな不安を抱いている.しかし,先行研究は,管理・教育という指導者側からの視点のものが多く,学生側からの視点のものは見あたらない.そこで,学生の実習に対する不安を少しでも解消すること,指導者に対して有益な情報を提供することを目的に実習中の実習生の身体的・精神的活動量を継続的に計測し,若干の考察を加え報告する.<BR>【方法】対象は理学療法学専攻4年実習生2名である.アクティブトレーサー (GMS社製AC-301) を使用し,実習中(7週間)のR-Rと加速度の変化を記録した.記録したR-R間隔の変動に対して周波数解析 (GMS社製MemCalc for Windows) を行い,心臓交感神経・副交感神経活動を観察し精神的活動量の指標とした.加速度は, x,y,z,3方向の合成加速を身体的活動量の指標とした.また,コントロールとして,各被験者の日常生活においても同様の計測を行った.各データ(心拍数,加速度,心臓交感神経・副交感神経活動)は,週単位の平均値を求め比較・検討を行った.なお,本調査は星城大学倫理委員会承認の元に行われた.<BR>【結果】被験者に共通して実習前半は後半と比較して高い心拍数を示した.後半のうちでも7週目の心拍数は高値を示した.交感神経活動は各被検者ともに1,2週目が高く,4週目が最も低かった.逆に副交感神経活動は4週目が最も高く,1,2週目は低かった.また,4週目の交感神経活動は,コントロール群の日常生活レベルに近い値を示した.身体的活動量は実習前半に比べ後半に高値を示した.さらに7週目は6週目に比較して有意に高値を示し,上昇し続ける傾向にあった.<BR>【考察】実習生は実習前半には精神的活動量が身体的活動量を上回る,いわゆる精神的過緊張状態にあり,実習中盤には精神的過緊張が緩み,日常生活での交感神経活動レベルに一致する.そして実習後半にやっと身体的活動量と心拍数が一致することが分かった.実際,実習4週目頃に実習指導者から「気の緩み」を指摘された事実も上記解釈を裏付けるものとなっていた.即ち,実習中盤は精神的緊張が緩む時期であり,実習中で最もミスが起こりやすい時期であると考えられる.実習生はもちろん,実習指導者にとっても注意が必要な時期である.実習生は,実習前半の精神的過緊張状態を少しでも緩和できるように,実習前に知識・技術を高めておく必要がある.実習指導者は,実習前半の実習生の精神的過緊張状態緩和に配慮し,実習半ばでの精神的緊張低下「気の緩み」に注意する必要がある.これらの情報を実習生,指導者双方が意識することでより効果的・効率的に実習をすすめることができる.