著者
遊間 義一 金澤 雄一郎
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,個人属性(親への愛着)の再犯に対する抑止効果が,非行少年たちが生活している地域社会の属性(完全失業率及びその前年との差)にどのような影響を受けているのかを,1991年に日本全国の少年鑑別所に初めて入所した少年6238名を対象として検討した。階層的母集団分割生存分析モデルを用いて解析すると,親への愛着,完全失業率,完全失業率の前年との差の主効果は,いずれも理論的な予測と一致する方向で有意となった。さらに,親への愛着と完全失業率に関する二つの変数の交互作用も有意であることが見いだされた。
著者
小島 大英
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

重症複合免疫不全症(Severe combined immunodeficiency; SCID)は、生後数か月内に肺炎・敗血症などの重篤な感染症を契機に発見されることが多い、最も重症な原発性免疫不全症である。根治療法は同種造血幹細胞移植であるが、重篤な感染症を起こしたあとの移植成績は不良である一方、家族歴に基づいて生後すぐに診断・移植を受けた症例の成績は極めて良好であることが知られている。すでにTREC測定による新生児マススクリーニングが複数の国と地域で導入されており、SCID患者を発症前に診断し治療を行う体制が整いつつあるが、日本ではまだ実現していなかった。SCID 患者はおよそ5 万に1人出生するとされ、日本では年間20 人程度出生すると推定される。本研究はこれを最初に導入する試みである。我々は、愛知県健康づくり振興事業団の協力を得て、2017年4月から愛知県で出生した新生児のうち、保護者の同意を得た新生児を対象に、全国初のSCIDマススクリーニングを開始した。2018年3月までの1年間で約2万人の新生児のスクリーニング検査を実施することができた。43人の新生児はTRECの値が基準値よりも低く、精査の対象となった。リンパ球サブセット解析、IgG、網羅的遺伝子解析による精密検査を実施した。典型的なSCID症例は期間内に発見することは出来なかったが、Digeorge症候群1例、ウィスコット・アルドリッチ症候群1例を含む、数例のSCID以外の原発性免疫不全症が発見され、早期に感染予防策を開始することができた。発生頻度から推測して、今後数年内には典型的なSCID症例も発見・診断できることが予想される。
著者
野々山 恵章 小原 收 大嶋 宏一 今井 耕輔
出版者
防衛医科大学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

新生児乾燥濾紙血のTREC (T cell receptor recombination circles)とKREC (Kappa-chain recombination excision circles) 測定で、SCID, AT, XLAなどの先天性免疫不全症をスクリーニングできること、病態解析に有用であることを示した。また、分類不能型免疫不全症がTRECとKRECの陽性・陰性で4群に分けられること4群間で重症度が異なること、病態に即した治療法を選択できることを見出した。
著者
小林 一輔 宇野 祐一 森 弥広
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集 (ISSN:02897806)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.564, pp.243-251, 1997-05-20 (Released:2010-08-24)
参考文献数
11
被引用文献数
2 3

酸性雨がコンクリート構造物に及ぼす影響を評価する場合には, コンクリートの特性を考慮した方法によって行う必要があることを指摘した. 次に, 著者らが考案した方法によって実験を行い, 酸性雨によるコンクリートの劣化機構についての知見を得た. 酸性雨の影響を受けたコンクリート構造物から採取したコアの分析を通じて上記の知見を立証した.
著者
大関 勇人
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.338, 2011

【はじめに】<BR>今回,当訪問リハにて脳出血重度左片麻痺,高次脳機能障害を呈した症例を担当する機会を得た.本症例では基本動作,移乗動作獲得と共に生活範囲の拡大を目指した.その経過について若干の考察を加えて報告する.<BR><BR>【症例紹介】<BR>58歳男性 脳出血後遺症(左片麻痺) 要介護3 高次脳機能障害像(左半側空間失認,易疲労性,易怒性,注意障害等)が認められる.キーパーソン.妻 2009年10月発症. 2010年6月自宅退院後,訪問リハ開始.<BR><BR>【初期評価】<BR>左片麻痺(Br.Stage上肢・手指I下肢II)感覚は表在・深部覚ともに重度鈍麻.机上テストは異常なし.動作時の左上下肢の忘れ著明.注意の持続困難や易怒性等が見られる.Barthel Index35点.<BR><BR>【経過】<BR>2010年6月,訪問リハ開始(週2回).ポータブルトイレ・ベッド等の移乗時転倒頻回.基本動作も介助量多い.基本動作,移乗練習中心にアプローチ開始.妻にも介助方法を指導した.<BR>易疲労性や注意持続困難のため,こまめな休憩や動作の反復練習を行った.動作時の左上下肢の管理や車椅子のブレーキのかけ忘れが見られたため,簡単な言葉で口頭指示するよう工夫した.その結果徐々にブレーキのかけ忘れが軽減,転倒の頻度減少.移乗動作が監視レベルに改善し,活動範囲も拡大した.<BR>2010年8月,ケアプランの見直しを行ない訪問リハの頻度を減らし1時間以上2時間未満の通所リハを導入した.<BR>2011年1月,車椅子ブレーキのかけ忘れはほぼ改善.左上下肢の管理も良好となる.その後再度ケアプランの見直しを行ない現在は週1回の訪問リハビリ.週4回のデイサービスを利用中である.四点杖歩行軽介助で10m可能.Barthel Indexは60点に向上.<BR><BR>【考察】<BR>本症例は重度の麻痺,高次脳機能障害の影響もあり動作獲得に時間を要した.具体的には,動作の反復練習や声かけなど中心にアプローチを行なった.また,同時に家族指導も行ないコミュニケーションを図った.この取り組みが移乗動作の改善・左側への注意力向上及び在宅生活の安定につながったのではないかと考える.<BR>生活の安定と共に,ケアプランの見直しを行い活動範囲の拡大を目的に通所リハを導入した.その結果,定期的な外出の機会増加や一定のリズムで生活を送ることにつながった.高次脳機能障害に対しては身体機能面のみでなく生活環境についてもアプローチを行う事が大切であると考える.<BR> 本症例は50代と年齢も若いため在宅生活の拡大を図るとともに社会参加の拡大も今後の課題である.今後も生活動作のアドバイスや家族指導などを継続して行ない生活をサポートする必要があると考える.
著者
石﨑 耕平 水田 宗達 清宮 清美
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】当指定障害者支援施設は,障害者総合支援法に基づき理学療法士(以下,PT)が関わりながら就労を支援している。通勤の自立は就労の可能性を高める要素であるが,通勤は各々の環境や条件が異なるため,動作能力のみの評価では不十分である。今回,車椅子片手片足駆動での通勤手段を獲得した症例を通して,通勤手段の獲得におけるPTの役割について検討する。【方法】症例は脳出血により右片麻痺を呈した40歳代男性。入所時における発症からの期間は313日であった。身体機能は,下肢Brunnstrome Recovery StageIII,感覚障害は中等度鈍麻であった。高次脳機能は,記銘力低下,注意の分配・転換の低下,遂行機能の低下,易疲労性がみられた。失語症は軽度で日常会話は可能であった。動作能力は,基本動作は自立,Berg Balance Scale46点であった。ADLはすべて自立していた。【結果】通勤経路として,自宅から自宅最寄り駅までは1.3km,横断歩道は1ヶ所,段差は2cm以内であった。自宅最寄り駅から職場最寄り駅までは電車を利用し乗り継ぎが必要であった。職場最寄り駅から職場までは200m,横断歩道は1ヶ所,段差は2cm以内であった。本症例の歩行能力は,T字杖および短下肢装具を使用し,10m16秒,連続歩行距離1km,10cmの段差昇降は自立,施設内および横断歩道を利用しない範囲での自宅周囲の歩行は自立していた。通勤手段を歩行にて検討した結果,記銘力の低下はみられるが経路の記憶は可能,自宅および職場から各最寄り駅までは横断歩道を利用しない経路を設定することでその区間の歩行は可能であった。しかし,電車の利用はフレックス通勤であったとしても,ある程度の混雑が予想される。本症例においては電車乗降の流れにのる歩行速度や,満員電車内でのバランスが不十分であるうえ,注意の分配・転換の低下から周囲の状況把握と自身の安定性の双方を保つことは困難であるため,歩行での通勤は困難と判断した。会社側はどのような手段であれ通勤できれば復職は可能という状況であったため,通勤手段を片手片足駆動での車椅子にて検討した。車椅子走行能力は,駆動速度10m6秒,連続走行距離1km以上,段差昇降3cm以内,スロープ昇降8°以内であった。満員電車内でのバランスは担保されており,電車乗降は駅員の介助を受けることで歩行時の問題点は解決した。走行時の問題点として,環境に応じた状況判断が困難であること,不整地走行や努力走行時に麻痺側膝伸展パターンによりフットサポートから足部が落下しやすいことが挙げられた。入所から4ヶ月目に公共交通機関の利用練習を2回実施し,5ヶ月目で電車とバスを利用しての施設と自宅間の移動は自立となり,耐久性向上を目的に施設と自宅間の移動を段階的にその頻度を増やしていった。なお,妻の希望により自宅から最寄り駅間は自家用車での送迎となった。車椅子は介護保険レンタル対応で,妻による積み込みが可能な重量,足部が落下しないフットサポートの位置と滑り止め,不整地走行時に痙性が誘発されないためのクッションキャスター,屋外での段差を考慮したキャスター径を検討して選択した。靴は約3週間で踵が擦り減るため,ソールに硬質の素材を貼り,点でなく面で受けるように歩行に影響が出ない範囲でカッティングした。頻度は週末を挟んでの片道,往復,同日内での往復,週2回と徐々に増やし,7ヶ月目にて週3回通勤時間帯で可能となった。8ヶ月目に職場最寄り駅から職場間の練習を実施した。12ヶ月目で試し出勤を開始し,15ヶ月目で復職に至った。【考察】本症例において,動作能力と通勤経路の適合を検討した結果,設定した通勤経路を車椅子にて走行する動作能力自体は備えていたが,高次脳機能障害により環境から判断して動作を選択する能力が不足していた。そのため,実際の通勤経路にて,どの経路を走行すれば良いか,各段差やスロープにてその状況に合わせて動作方法を指導し,経験を積む必要があった。さらに,週5日通勤可能な耐久性には至っておらず,疲労による歩行の安定性への影響や作業およびパソコンの授業への影響を確認しながら,PTが通勤練習回数を調整する必要があった。また,使用物品を検討することが通勤手段獲得への一助となった。【理学療法学研究としての意義】通勤手段の獲得における理学療法士の役割は,動作能力を的確に評価し,高次脳機能や環境要因,本人および家族の理解を踏まえて適合させていくことである。また,実際の環境にて練習することでより確実なものとなる。
著者
Kenichiro Sato Tatsuo Mano Atsushi Iwata Tatsushi Toda
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
BioScience Trends (ISSN:18817815)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.139-143, 2020-04-30 (Released:2020-05-21)
参考文献数
19
被引用文献数
3 32

In late March and early April 2020, the antimalarial drug, chloroquine, has been approved as an emergency treatment for the coronavirus disease 2019 (COVID-19) in the United States and in Europe. Although infrequent, neuropsychiatric symptoms have been reported in patients who received chloroquine for the treatment of malaria or autoimmune diseases. In this study, aiming to investigate these adverse events (AEs) using a large self-reporting database, we conducted a disproportionality analysis for the detection of neuropsychiatric AE signals associated with the use of chloroquine (or hydroxychloroquine), reported to FDA Adverse Event Reporting System (FAERS) database between the fourth quarter of 2012 and the fourth quarter of 2019. We included 2,389,474 AE cases, among which 520 cases developed neuropsychiatric AE following the use of chloroquine. Adjusted reporting odds ratio (ROR) for the development of each of the neuropsychiatric AEs following the use of chloroquine was calculated using a multilevel model: exposure to chloroquine was associated with a statistically significant high reporting of amnesia, delirium, hallucinations, depression, and loss of consciousness, (lower 95% confidence interval of the adjusted ROR > 1), although the degree of increase in their ROR was limited. There was no statistically significant high reporting of any other neuropsychiatric AE, including suicide, psychosis, confusion, and agitation. Current pharmacovigilance study results did not suggest any potential link between the use of chloroquine and an increased risk of suicide, psychosis, confusion, and agitation, which would be informative during the emergency use of chloroquine for the treatment of COVID-19.
著者
地質調査所 原子燃料公社
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.14, no.63, pp.1-10, 1964-02-29 (Released:2009-06-12)
参考文献数
12

The prospecting for nuclear raw material resources in our country was undertaken in 1954 by the Geological Survey of Japan. Based upon the geological consideration, the prospecting operations were carried out in the so-called "massif" region consisting mainly of granites. The first discovery of uranium mineralization in sedimentary rocks was made by a car-borne team towards the end of the year at Ningyô-tôgé in the Chugoku massif, Southwest Japan. It was confirmed by the geological research that the uranium minerals occur in conglomerates and sandstones of the Neogene Tertiary unconformably overlying the granites.The task of detailed survey for economic development was handed over to the Atomic Fuel Corporation which was established in 1956. The Corporation proceeded to trenching, geophysical and geochemical prospecting, drilling and tunnelling. As the result of these operations, three million tons of the ore reserves containing two thousands tons of uranium metal have been recognized.The uranium ores of Ningyô-tôgé are soft and porous, and the uranium minerals occurring as finegrained crystals in the matrix are easily soluble in acid. Such characteristice of the ore enable 1) to raise their grade several times as high by washing and screening, 2) to exploit by the hydraulic method and 3) to extract the uranium under the mild condition. Furthermore, it must be noted that there are almost no minerals containing elements which interfere with the refining process or possess high cross-section for neutron absorption.
著者
袴田 はるか 磯山 直也 寺田 努 塚本 昌彦
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:21888914)
巻号頁・発行日
vol.2018-EC-47, no.5, pp.1-8, 2018-03-09

覚えておかなければならない数字列を覚える際に,数字語呂合わせと呼ばれる手法がよく用いられる.しかし,既存のツールでは自分と関連のある事柄や,意味を他と関連づけた事柄はより記憶に残りやすいのに対し,そのような事柄と関連した数字語呂合わせは生成できない.そこで本稿では,語呂合わせに使われている単語間の類似度を計算することで,関連付けたい事柄との関連度に着目した数字語呂合わせの自動生成システムを提案する.実装したシステムを用いて生成された数字語呂合わせの有用性について,評価実験を行った.実験の結果,4 字程度の短い数字列に対しては,提案システムにより生成された語呂合わせが高順位となることが分かった.
著者
永井 照和
雑誌
ミツバチ科学 (ISSN:03882217)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.171-174, 2001-12-30
著者
古川 秀子 佐宗 初美 前田 清一 二宮 恒彦
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.63-68, 1969-02-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
6
被引用文献数
2 5

Sour taste is mainly associated with the hydrogen ion concentration, and to a lesser extent, with the degree of dissociation. From the results of P.S.E. determined by taste tests on nine organic acids, the sourness was more intensive in fumaric>tartaric>malic>acetic>succinic>citric>lactic>ascorbic and>gluconic acids.
出版者
山口高等学校
巻号頁・発行日
vol.明治27-31年, 1905