著者
八重樫 理称 岡田 菜月 福士 祥代 熊谷 聡子 梶原 昌五 田沼 萌 吹上 菜穂 藤崎 聡美 星 勝徳 水戸部 裕子 安川 洋生
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.23-26, 2019-11-30 (Released:2019-11-27)
参考文献数
5

今日,薬剤耐性菌が世界規模で蔓延しており,感染症に対する有効な抗菌薬が減少しつつある.私たちが生活環境で接するものには多くの細菌が付着しており,その中には薬剤耐性菌も含まれると考えられる.本調査では岩手大学教育学部に設置されているハンドドライヤーのうち10台について薬剤耐性菌の検出を行った.プラスチック手袋をした状態で送風に曝露した後,手袋の表面に付着した細菌を回収し,抗菌薬を含む培養液にて培養した.調査した10台のハンドドライヤーの内の9台について,抗菌薬を含む培養液で細菌の発育がみとめられた.この結果から私たちが日常的に使用しているハンドドライヤーの送風には薬剤耐性菌が存在することが明らかとなり,薬剤耐性菌が身近に存在していることが示された.薬剤耐性菌の出現や拡散を防ぐための教育や啓蒙に関する具体策を検討するにあたり,筆者らの調査結果を資料の一つとして有効に活用できると考える.
著者
重枝 豊
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.61, no.488, pp.211-220, 1996-10-30 (Released:2017-02-02)
参考文献数
16

The Kingdom of Champa had been located in the middle and the south region of present Vietnam and enjoyed its glory during 2 to 15 century. This study shows a result of field surveys on the Champa remains. The edifices of Champa were built by masonry construction. Main building material is brick and sandstone is used as the member of reinforcement. This study analyses its construction-technic; Brick works and Corbel structure. Both Brick works and Corbel syructures are able to distinguish into 3 types according to differece technics.
著者
青島 忠一朗
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.16-28, 2015-03-31 (Released:2018-04-01)
参考文献数
28

In the Neo-Assyrian royal inscriptions we find accounts of the past that are inserted in the form of a relative clause, that function to embellish the king's image. In this paper I discuss how the king is represented by dealing with the accounts of the past in the narrations of the campaigns. In the Neo-Assyrian royal inscriptions, accounts of the past often refer to the deeds of the king's predecessors. The king emphasizes his heroic priority by stating that no previous king had accomplished a certain achievement that he had (the so-called Übertreffungsmethaphorik). For example, the king has marched in regions that none of his forefathers had set foot in and has subjugated enemies who had threatened Assyrian territory or foreign rulers who had been unsubmissive since early times. These motifs depict the king as a capable military leader (a conqueror and protector of the land), the traditional royal portrait that goes back to the Middle Assyrian period. Moreover, a reference to the voluntary surrender of a previously unsubmissive ruler from a distant place highlights the might of a king who overwhelms without the need to do anything. The comparison to the previous kings does not always emphasize his heroic priority. By referring to the faults of his predecessors, the account represents the king as a true king and legitimates his kingship. However, from Sargon on, accounts about the past without the Übertreffungsmethaphorik appear. The most prominent theme is the king's favor to his vassals, especially his appointing them as rulers and guaranteeing them their positions. This theme highlights a new aspect of the king, that of benefactor. The expansion of Assyria from the time of Tiglath-pileser III caused tensions with the neighboring great powers. In this situation, the king treated the vassal states at the periphery more favorably than before in order to keep their loyalty. This led to the introduction of representing the ruler as a warm-hearted king.
著者
佐藤 賢一郎 水内 英充
出版者
医学書院
雑誌
臨床婦人科産科 (ISSN:03869865)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.79-87, 2006-01-10

1はじめに 現在,産婦人科領域で日常診療で行われる超音波の走査法としては経腹と経腟によるアプローチがほとんどであるが,そのほかに経直腸,体腔式,および経会陰がある.経直腸超音波は,性交未経験者や閉経後で腟腔が狭小な場合について経腟超音波の代替として行われ,経腟超音波と同様な画像が得られる.体腔式超音波は専用の細径プローブを用いて,例えば子宮腔に挿入し子宮体癌などの筋層浸潤の評価に利用できる.経会陰超音波は,子宮体部の評価よりも外陰,腟,尿道,子宮頸部の観察に適しており,そのほかのアプローチとは目的が異なる. 以前われわれは,AFS class III子宮奇形・重複腟・片側腟不完全閉鎖・留膿症例の経会陰超音波所見1)や尿道憩室例に対する経会陰超音波の有用性2)を報告した.今回は,その後のわれわれの経験も踏まえ,本邦ではあまり紹介されることがない経会陰超音波について述べたい.なお,文献的にはtransperineal sonographyのほかにtranslabial sonography,transperineal─translabial ultrasonographyと呼称するものもあるが,transperineal sonographyという記載が多いため本稿では経会陰超音波と呼称することにする.
著者
和田 精二 大谷 毅
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.37-46, 2005-01-31 (Released:2017-07-19)
参考文献数
26

1951(昭和26)年の松下幸之助の米国視察を機にわが国初の企業内デザイン部門が松下電器産業に設立されたこと, 帰国早々「これからはデザインの時代」と彼が語ったこと, 真野善一が初代課長として採用されたこと等はデザイン界ではよく知られた事実である。しかし, どのような経営的な視点からデザイン部門設立を決定したか等についてはあまり詳しく知られていない。本研究において, 幸之助という希代の経営者の米国視察等に関わる関連情報を調査することで, デザインがビジネスに極めて大きく関わり, 製品の価格をデザインでコントロールできると喝破した, その幸之助の経営的な先見性を確認できた。同時に, 工芸指導所や少数の企業にデザイン活動がすでに始動していた事実も確認できた。
著者
込山 悠介 林 正治 加藤 文彦 大向 一輝 山地 一禎
雑誌
研究報告セキュリティ心理学とトラスト(SPT) (ISSN:21888671)
巻号頁・発行日
vol.2019-SPT-35, no.18, pp.1-7, 2019-09-12

オープンサイエンス推進に向けての政策的な動きが,国際的に活発化している.公的研究資金を受けた研究成果としての論文は原則オープンアクセスとすることに加え,そのエビデンスとなる研究データについても積極的に公開することが,研究者やその所属機関に求められている.国際的な研究データ流通の観点からも標準化された研究データ基盤の整備は必要不可欠だが,研究者の着想から論文執筆に至る研究ライフサイクルを一貫して支援し,研究公正も実現する汎用的な研究データ基盤を,国内全土の学術機関から利用できるよう設計にし,さらに階層構造化された共通規格上で専門分野のIT基盤構築を支援するフレームワークは十分に成熟されていない.本研究では,研究者と所属機関が研究データを管理・共有し,さらに研究データを検索可能なように公開することで研究推進を支援するオープンサイエンスのための共通基盤(NII Research Data Cloud: NII RDC)を開発することを目的とした.NII RDCは,研究データのライフサイクルに沿って,研究データを管理・公開・検索するための三つの基盤から構成される.研究データの扱いに関する分野特異性を考慮し,管理と公開のための基盤は,拡張性と柔軟性を満足するアーキテクチャを採用した.研究促進のみならず,特に研究機関として必要とされている研究公正にも対応できる機能を有する.検索機能は,多角的な研究成果の再利用が促進されるように,分野融合型の大規模な学術知識情報をもつ基盤として構成した.システム的な側面に加え,本格的な運用に向けてのサービスの段階的な実証実験の結果についても報告する.なお,NII RDCのソフトウェアの最新版はGitHub上でオープンソースソフトウェアとして公開している(http://github.com/RCOSDP).
著者
山内 美香 杉本 利嗣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.870-877, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
9

Ca代謝異常はよく経験する電解質異常であるが,測定するまで気づかないことが多い.血清Ca値は厳密に調節されているため,軽度の異常でもCa代謝調節機構の異常を考えるべきである.Ca,P,ALB,PTH,1,25 (OH)2D3値などの測定により鑑別診断は比較的容易である.PTH値から原因が副甲状腺か否かを判断し,頻度の多い原因を念頭に鑑別する.高Ca血症は原因疾患の治療,骨吸収抑制薬による治療,低Ca血症は活性型ビタミンD製剤による治療が主となる.
著者
新井 英一
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

骨粗鬆症は高齢化社会が進む現代にて、寝たきりや他の合併症を誘発する極めて問題となる疾患である。なかでもその治療薬として使用されているビタミンDは腸管からのカルシウム吸収促進および骨での石灰化を促進させる栄養素である。本研究では、ビタミンD受容体(VDR)遺伝子の腸管特異的発現に対するエストロゲンの作用について検討を行ってきた。前年度、腸管での大腸癌由来上皮細胞株(Caco-2)内にエストロゲン添加によるVDR mRNAの発現が増加したことを報告したが、VDR遺伝子5'-転写調節領域におけるエストロゲンの応答領域は同定できなかった。本年度はVDR発現を増加させるエストロゲンの間接的な機構の存在が考えられたため、ホメオボックス遺伝子であるCdx-2の5'-転写調節領域のクローニングを行い、これを含むリポーターベクターを作成し、さらにCaco-2細胞に導入後、エストロゲンの添加による転写活性をルシフェラーゼアッセイにより解析した。その結果、エストロゲン添加によるCdx-2の発現が有意に上昇する事が見出された。そこで、現在種々の異なったサイズのCdx-2遺伝子5'-転写調節領域を含むリポーターベクターを作成し、この領域におけるエストロゲン応答配列の同定を行っている。以上のことより、腸管でのVDRの発現はCdx-2のみならず、エストロゲンによるCdx-2を介した二重支配の調節を受けることが示唆され、さらに閉経後骨粗鬆症患者では、エストロゲンの欠乏により、腸管でのVDRを介したカルシウム吸収の低下を引き起こしていることが考えられた。今後はこのような閉経後の患者におけるカルシウム吸収を上げるような食品ならびにエストロゲンに変わる吸収促進機構を解明する必要があると思われる。
著者
Taiki Kuribara
出版者
FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
雑誌
Trends in Glycoscience and Glycotechnology (ISSN:09157352)
巻号頁・発行日
vol.32, no.185, pp.E31-E34, 2020-01-25 (Released:2020-01-25)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

Glycoproteins are synthesized in the endoplasmic reticulum (ER). Glycan structures on the glycoprotein function as folding, secretion, and degradation signals. Especially in the sorting step of glycoproteins, mannose trimmings of Man9GlcNAc2 (M9) mediated by α1,2-mannosidases in the ER are involved in secretion and degradation. Several glycan isomers produced through the sorting process are assumed to be secretion and degradation signals. However, it is unclear whether these mannose trimmings occurred regioselectively or randomly. To answer this question, we found selective inhibitors of the production of secretion and degradation signals, respectively. With these selective inhibitors, mannose trimming pathway analysis was carried out. The pathway analysis results indicate that two independent mannose trimming pathways exist in the ER.
著者
小野寺 誠 小泉 範高 藤野 靖久 菊池 哲 井上 義博 酒井 明夫 遠藤 重厚
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.307-312, 2014

症例は30代の女性。東北新幹線乗車中に下腹部痛が出現し救急要請となった。救急隊が病院選定を行う際に自分は医師であると話し前医へ搬送となったが,診察をめぐってトラブルとなったため当院紹介となった。救急隊からの連絡で身分証明書の提示を拒否していたこと,インターネット検索をした結果,氏名と所属が一致しないことを確認したために薬物依存の可能性を考え,前医に医師会への報告を依頼するとともに当院精神科医師による診察を依頼した。当院搬入時,下腹部の激痛を訴えており,一刻も早い鎮痛剤の投与を希望していた。患者によると,子宮頸管狭窄症の診断で海外の病院や都内大学病院で大腿静脈よりペンタゾシンとジアゼパムを静脈内投与していたと主張していた。精神科医師による傾聴後,痛み止めは施行できない旨を伝えていた最中に荷物より所持品が落下した。某大学病院や某研究機関研究員など多数のIDカードを所持しており名前も偽名であった。その直後に突然激高し,看護師の腹部を蹴り,当院から逃走した。30分後,当院より約10km離れた地点で救急要請した。搬送となった病院でセルシン<sup>® </sup>とソセゴン<sup>® </sup>を筋注したが10分程で再度除痛するよう訴えた。直後に岩手県医師会から「不審患者に関する情報」がFAXで届き,警察への通報を考慮していたところ突然逃走した。医師会を通じて調査したところ,前日には宮城県,翌日には秋田県の医療機関を同内容で受診していることが判明した。本症例を通して,救急医療機関においては,問題行動のある精神科救急患者を受け入れた際の対応マニュアルを,あらかじめ整備しておくことが望ましいと思われた。
著者
江原 勝幸
出版者
静岡県立大学短期大学部
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-10-21

最終年度は、4年間の助成期間の集大成として、地域での対応が進まない要配慮者支援という地域課題に対し、地域住民と福祉従事者等の専門職が連携して取り組む要配慮者支援をテーマとする宿泊型防災訓練の実施及びその検証を目的とするシンポジウムの開催を通じて静岡市駿河区西豊田地区における住民支え合い支援体制モデルを確立することができた。平成27年度の研究費助成採択が10月と遅れたため、27年度は研究準備期間として、地域住民や関係者との打ち合わせや活動の中心となる「西豊田学区地域支え合い体制づくり実行委員会(以下、実行委員会)」組織化の準備を進めた。平成28年度から、研究代表者を中心に月に1回の実行委員会を開催し、地域での要配慮者支援の課題や対策を協議し、要配慮者の特性や災害時に求められる配慮を学ぶワークショップや障害児・家族が参加する宿泊体験などの参加型防災教育を取り入れ、その結果に基づく実践的な宿泊型防災訓練を継続実施してきた。また、この参加型防災活動を振り返り、課題や対応を検証する要配慮支援シンポジウムも毎年開催した。宿泊型防災訓練のプログラム内容も毎年バージョンアップを重ねてきた。平成28年度は指定避難所での福祉スペースの確保・対応を実践し、平成29年度は住民の自主的な福祉避難所の開設・運営訓練の実施、そして平成30年度は平成30年3月に改訂された『静岡県避難所運営マニュアル』に即して避難所運営の運営本部及び活動班(8)を組織化した避難所開設・運営体験、数多くの障害児・者等及び家族の参加による実践的な要配慮者支援、ペットオーナのペットとの同行避難などのリアルな避難所対応を実施した。また、防災講座、宿泊体験、防災訓練などを組み込み、参加者が避難行動や避難所生活を模擬体験し、その中で要配慮者の支援や配慮を考え、地域での支え合いの仕組みの必要性を体験するプログラムを確立した。

1 0 0 0 OA 哲学概論

著者
北昤吉 著
出版者
聖山閣
巻号頁・発行日
1926