著者
高木 潤吉 大関 悟 後藤 圭也 大石 正道 小林 家吉 藤村 義秀 本田 武司
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.128-134, 1998

Polymorphous low-grade adenocarcinoma (以下PLGA) は口腔内, 主に口蓋に発生する小唾液腺癌である。本腫瘍は比較的均一な細胞からなるが, 組織像は多彩な浸潤増殖像を呈する。今回著者らは3例のPLGAを経験したので報告する。<BR>症例1ではPLGAは右側舌下面に発生し, 症例2, 3では口蓋に発生していた。症例1では右側顎下リンパ節への転移が認められたため, 舌部分切除術および肩甲舌骨筋上頸部郭清術を行った。症例2, 3では原発巣の切除のみが行われた。症例1は術後7年, 症例2は術後4年経過するが, 再発, 転移は認めていない。症例3は術後8か月で老衰のため死亡した。これらの症例の病理組織学的所見では, 細胞は小型から中型で, 均一な円形の核を有するものの, 充実性, 管腔状, 篩状, 梁状, 小葉状構造などの多彩な増殖像がみられた。分裂像はほとんど認められなかった。<BR>免疫組織学的所見では, 症例1ではcytokeratinとS-100蛋白が一部の細胞に陽性を示し, 症例2, 3ではcytokeratin, S-100蛋白, vimentin, actinが陽性を示した。carcinoembryonic antigenとepitherial membrane antigenは3症例とも陰性であった。
著者
吉田 哲雄
出版者
岩波書店
雑誌
科学 (ISSN:00227625)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.226-227, 1966-04
著者
松尾 奈々 村田 伸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.32 Suppl. No.2 (第40回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1103, 2005 (Released:2005-04-27)

【目的】利き手についての研究は散見されるが、利き足についての研究は少ない。今回、左右どちらの足を多く使用するかの調査を行い、下肢周径と下肢筋力、片足立ち保持時間を測定し、その関係を検討する。さらに簡易な利き足決定法について検討することを目的とする。【方法】健常成人25名(男性6名、女性19名、平均年齢21.2±3.16歳)を対象とし、利き手、利き足の自己認識について、また、上下肢ともに左右どちらを多く使用するか(下肢:蹴り足と踏切り足)のアンケートを「右」「左」「どちらともいえない」で回答してもらった。次に、利き手、利き足との相関を検討するため、上肢周径は伸展位上腕骨内側上顆10cm上、下肢周径は背臥位膝関節90°屈曲位で膝関節外側裂隙10cm上を計測した。握力測定はデジタル握力計(日本国竹井機器工業製)にて立位体側下垂位で実施し、大腿四頭筋筋力測定はハンドヘルドダイナモメーター(POWER TRACKII COMMANDER)にて端坐位膝関節90°屈曲位の等尺性最大筋力を測定した。閉眼での片足立ち保持時間は両上肢体側下垂位にて測定した。統計処理は、利き手と非利き手、利き足と非利き足の比較については対応のあるt-検定、測定項目間の関係についてはピアソンの相関係数を用いて比較検討した。【結果】1.アンケート結果:23名(92%)が利き手を右と答えた。また、利き手を右以外と答えた2名はボールを投げる手が左手だった。下肢について17名(68%)が利き足を右と答えた。また、22名(88%)が蹴り足を右と答えた。蹴り足と踏切り足が同側の者は10名、対側の者は9名いた。 2.計測結果:利き手と非利き手について測定値を比較すると、上肢周径、握力ともに有意差が認められた。下肢では、蹴り足と非蹴り足、踏切り足と非踏切り足との比較において、すべての項目に有意差は認められなかった。【考察】今回、下肢周径、大腿四頭筋筋力、閉眼での片足立ち保持時間の計測から、簡易に利き足を決定することができるか否かの検討を行ったが、測定した全ての測定値に有意差は認められなかった。アンケートにより、蹴り足を利き足と認識している人が多かった。踏切り足、蹴り足はそれぞれ、支持足、機能足と表現され、機能的に多く使用される機能足を利き足とされている。これらは対側の下肢であることが多いとされているが、今回の結果では同側の下肢を支持足、機能足として使用している対象者も認められた。以上の結果から、上肢については利き手と認識している方が能力的、形態的にも優れていることが明らかにされたが、下肢については明確にされなかった。これは、下肢機能に左右差がないことで、歩行を中心とした下肢の体重支持機能を効果的にしている結果かもしれない。
著者
松浦 信夫 竹内 正弘 雨宮 伸 杉原 茂孝 横田 行史 田中 敏章 中村 秀文 佐々木 望 大木 由加志 浦上 達彦 宮本 茂樹 菊池 信行 小林 浩司 堀川 玲子 菊池 透
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.427-434, 2008 (Released:2009-05-20)
参考文献数
25

小児において適応が認められていない,経口血糖降下薬メトホルミンの有効性,安全性を評価するために,臨床試験を行った.47名が試験に登録され,38名が試験を終了した.HbA1c値を指標とした主要評価項目では38名中30名(78.9%)が有効と判定された.HbA1c値,空腹時血糖など7項目を指標とした副次評価項目を経時的に比較検討した.試験開始前に比し12週,24週終了時でのHbA1c値,空腹時血糖は有意に低下した.乳酸値を含めた臨床検査値に異常なく,有害事象は47例中16例に,副作用は1例に認めたが,試験を中止するような重篤なものは認めなかった.
著者
新井 康平 梶原 武久 槙下 伸一郎
出版者
日本原価計算研究学会
雑誌
原価計算研究 (ISSN:13496530)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.58-67, 2012

本論文では,スタートアップ企業における予算管理システムの有効性について,経験的な調査を実施している。先行研究が限られたサンプルでしか調査を実施していないことに対して,本論文では,ひろくスタートアップ企業からデータを収集した。結果として,スタートアップ企業における予算管理システムの採用は早期の黒字化に有意に影響するという証拠を得た。
著者
佐藤 幸雄 熊代 克巳
出版者
信州大学農学部
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.p61-69, 1985-12

セイヨウナシの葉やけ発生要因と考えられる気孔運動機能の鈍化が,他の果樹にも認められるかどうかを知るため,ナシ,リンゴ,モモ及びブドウを用いて,葉の比較蒸散量及び蒸散抵抗を調べた。得られた結果の概要は次のとおりである。1.葉齢の進行にともなう気孔運動能の鈍化は,葉やけの発生しやすいナシ「バートレット」が最も著しく,6月下旬にすでにその微候が認められ,7月中旬から急速に進行した。しかし葉やけの発生が認められないモモ「缶桃5号」は,8月下旬においてもなお気孔の運動機能が鋭敏であった。ブドウ「コンコード」は,8月上旬以降に機能鈍化が認められたが,「バートレット」ほど顕著ではなかった。またリンゴ「ふじ」も8月上旬以降に機能鈍化の微候を示したが,その程度は比較的軽かった。2.ナシの品種別比較では,「バートレット」の機能鈍化が最も著しかった。「新水」は7月中旬に「バートレット」と同程度の機能鈍化を示したが,それ以降はさほど進行しなかった。また「幸水」は,8月中旬以降に急速に機能鈍化が進行し,9月上旬には「新水」とほぼ同程度となった。3.夏季の高温乾燥条件下における着生葉の蒸散抵抗は,「缶桃5号」が最も高く,次いで「ふじ」,「コンコード」,「幸水」,「新水」,「バートレット」の順に低下し,「バートレット」が最低であった。またいずれの果樹も新梢の基部葉は先端部葉に比べて低かった。4.葉やけ発生率と気孔の運動機能との関係をセイヨウナシについて調べた結果,発生率の高い品種ほど機能鈍化が著しい傾向がみられた。しかし「プレコース」のみは機能鈍化が著しかったが,葉やけ発生率は低かった。
著者
Yoshiho IKEDA Jaswar
出版者
THE JAPAN SOCIETY OF NAVAL ARCHITECTS AND OCEAN ENGINEERS
雑誌
関西造船協会論文集 (ISSN:13467727)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.238, pp.238_215-238_224, 2002 (Released:2004-02-27)
参考文献数
9

In the present study, a new prediction method of travel demand of cruise ships is proposed in which the characteristic of each demand for choosing a tour, the characteristics of tours, and factors of expense, time, seasickness, and popularity are taken into account. In the method, firstly, potential share of each tour, which is hot spring, cruising, theme park, and traveling abroad, is determined based on age and gender by using the characteristic of each demand for choosing a tour and the characteristics of tours. The characteristic of each demand for choosing a tour is analyzed by determining weights of nine elements, which are communication, relaxing, resting, nature, feeling of free, knowledge, curiosity, luxuriant and thrilling, based on taste and behavior of each demand by using the Analytical Hierarchy Process (AHP) model from survey data of general people who want to travel. The characteristics of the tours are analyzed by determining their weights for the nine elements by using AHP model from survey data of professional people who properly understand about all the tours. Then, using the predicted potential share for cruising, the number of demand of cruising is determined by using distributions of travel demand for traveling expenses and days, and factors of seasickness and popularity. Using the predicted number of demand, an economical analysis is carried out to determine the optimum fleets based on economic margin ratio and business impact. This method is applied to the Japanese cruise market and the results are discussed.
著者
深井 尚子 多邊田 美香 弦巻 和
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.270, 2005

【目的】現在、勤労者世帯では、共働き世帯数が専業主婦世帯数を超えており、この傾向は今後も続くと予測される。04年第56回大会では、子供を持つ共働き世帯は、帰宅後の短時間に家事を集中的に行っており、自動食器洗浄機などの省力化家電の活用、掃除・育児を中心に夫と家事分担するなどの実態を報告した。今回は、必要不可欠な家事であり時間を要する「買い物行動」について「レシートを用いた調査」を行い、共働き世帯の購入日時、購入先、購入品、金額など総括的な買い物実態を明らかにした。【方法】1)レシート調査 2004.4_から_7 首都圏在住核家族39世帯(20・30代:共働き19、専業主婦 12、40・50代:専業主婦8) 2)郵送留め置き式アンケート 2004.10 首都圏在住核家族206世帯(20・30代:共働き73、専業主婦 73、40・50代:専業主婦60)【結果】共働き世帯でも全買い物回数の約9割が妻であり、夫と分担している家庭は少なかった。購入日時および金額比率から、共働き主婦は土・日曜日にまとめ買いし、平日の夕方以降に買い足すという買い物行動が多いことがわかった。買い物先はスーパーが多いものの、食料品をドラッグストアやディスカウントストアで購入したり、生協や通販などの宅配サービスを利用するなど購入先の選択肢も豊富となっている。一方、専業主婦でも夕方あるいは夜間に買い物するケースがあり、買い物時間帯の幅が広がっていると考えられる。今後も流通の変化に伴い、若年共働き世帯では、生活パターンに合わせて購入先・ツール、時間帯など買い物行動が多様化していくものと予測される。

1 0 0 0 OA 珍本全集

著者
博文館編輯局 校訂
出版者
博文館
巻号頁・発行日
vol.上, 1909
著者
野村 哲郎
出版者
日本動物遺伝育種学会
雑誌
動物遺伝育種研究 (ISSN:13459961)
巻号頁・発行日
vol.30, no.Supplement, pp.4-15, 2002-11-10 (Released:2010-03-18)
参考文献数
20

2002年8月19-23日にフランス・モンペリエで開催された第7回WCGALP (遺伝学の畜産への応用に関する国際会議) では、Management of genetic diversityのセクションにおいて50題の研究発表が行われた。そのうちのいくつかの研究発表を中心に最新の研究動向についてまとめた。まず、集団内の遺伝的多様性を低下させる要因について考察し、分子遺伝学の技術を取り入れた遺伝的多様性の保全方法について最近の研究動向を解説した。さらに、絶滅に瀕した複数の集団 (品種) を対象とした集団間の遺伝距離の利用方法についても紹介した。
著者
高柳 誠二 守屋 和幸 野村 哲郎 道後 泰治 佐々木 義之
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.286-290, 1996-03-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

品種全体に対して種雄牛の供給という役割を持ち,閉鎖牛群として維持されてきた兵庫県黒毛和種の集団構造を明らかにするために血統分析を行った.材料としては,1960,1970,1980および1988年に兵庫県で生産された黒毛和種登録雌牛から得られた無作為抽出標本(各年次200頭)を用いた.その結果,種雄牛の多様性は1960~1970年の間および1980~1988年の間で大きく減少した.また,F-統計量についてみると,平均近交係数(FIT)および無作為交配下で期待される近交係数(FST)は年次とともに上昇したが,1980年以降はFIT<FSTとなった.したがって,集団分化に起因する近交係数(FIS)および集団分化指数は次第に減少した.さらに,集団の有効な大きさは1960年から1988年の間に262から8となった.以上の結果より,兵庫県の黒毛和種集団では,遺伝的均一化および集団の有効な大きさの縮小が生じ,近年,その傾向がさらに強まっていることが明らかになった.
著者
趙 維平
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究
巻号頁・発行日
vol.43, pp.11-41, 2011-03-31

中国は古代から文化制度、宮廷行事などの広い領域にわたって日本に影響を及ぼした。当然音楽もその中に含まれている。しかし当時両国の間における文化的土壌や民族性が異なり、社会の発展程度にも相違があるため、文化接触した際に、受け入れる程度やその内容に差異があり、中国文化のすべてをそのまま輸入したわけではない。「踏歌」という述語は七世紀の末に日本の史籍に初出し、つまり唐人、漢人が直接日本の宮廷で演奏したものである。その最初の演奏実態は中国人によるものであったが、日本に伝わってから、平安前期において宮廷儀式の音楽として重要な役割を果たしてきたことが六国史からうかがえる。小論は「踏歌」というジャンルはいったいどういうものであったのか、そもそも中国における踏歌、とくに中国の唐およびそれ以前の文献に見られる踏歌の実体はどうであったのか、また当時日本の文化受容層がどのように中国文化を受け入れ、消化し、自文化の中に組み込み、また変容させたのかを明らかにしようとしたものである。
著者
江田 哲 鈴木 円 重松 久夫 馬越 誠之 浜尾 綾 須賀 則幸 鈴木 正二 坂下 英明
出版者
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会
雑誌
有病者歯科医療 (ISSN:09188150)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.89-94, 2004

習慣性顎関節脱臼に対する外科的治療法にはさまざまな方法がある. 患者・家族・担当医らの要望, 年齢, 全身状態などを配慮して, 最適な治療法が選択されるべきである. 今回われわれは, 超高齢者の両側習慣性顎関節脱臼に対して観血的治療を行ったので報告する. 患者は91歳, 男性. 閉口不能を主訴に東邦病院歯科口腔外科を受診した. 両側顎関節前方脱臼の臨床診断にてHippocrates法による整復を行ったが, その後も脱臼をくり返した. そのため局所麻酔下にBuckley-Terry法に準じた両側顎関節前方障害形成術を施行した. 術後1か月間再発はみられなかったが, 老衰のために死去した.
著者
相川 直樹
出版者
一般社団法人日本外科学会
雑誌
日本外科学会雑誌 (ISSN:03014894)
巻号頁・発行日
vol.104, no.3, pp.280-284, 2003-03-01
参考文献数
1
被引用文献数
1