著者
丹生谷 哲一
出版者
日本史研究会
雑誌
日本史研究 (ISSN:03868850)
巻号頁・発行日
no.121, pp.1-22, 1971-09
著者
花城 和彦 玉城 昇 小杉 忠誠 嘉数 朝一 兼島 洋 斎藤 厚
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.434-448, 1998
参考文献数
25

喘息発作の出現と亜熱帯地域に位置する沖縄県地方の気象因子との関連を追求した.気管支喘息患者27例を対象とし過去2年間を, 喘息日記を用いて調査した.喘息発作の程度は, 喘息日記の記載から発作点数合計として算出した.一方, 喘息発作患者の救急車搬送頻度は, 那覇市消防局による過去3年間の調査結果を基にした.沖縄県那覇市の各気象因子が調査期間の平均値より高いか否かと, 喘息発作の発生との因果関係を, 2×2分割表にて分析した.その結果, 喘息日記の調査からは, 平均気温ならびに最低気温がそれぞれ調査期間の平均値を上回る日に喘息発作点数合計の上昇が認められた(p<0.05).一方, 救急車搬送頻度の調査からは, 平均気温および最高気温, 最低気温が調査期間の平均値を下回る日(p=0.0001, p=0.0001, p<0.0001), 平均蒸気圧が平均値を下回る日(p=0.0002), 平均海面気圧が平均値を上回る日(p=0.0016)に喘息発作が起こりやすいと推察された.さらに, 重回帰分析により, 低温の救急車搬送頻度に及ぼす影響の大きいことが示唆された.また, 台風接近にともなう気象因子の急変, 特に, 気温や気圧の急激な低下は喘息発作の誘因になる可能性が示唆された.

1 0 0 0 OA 細流抄

著者
三条西公条
出版者
巻号頁・発行日
vol.[3],
著者
久保 慎也 二宮 順一 森 信人 馬場 康之 水谷 英朗 久保 輝広 内山 雄介 渡部 靖憲 山田 朋人 大塚 淳一 猿渡 亜由未
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_487-I_492, 2016
被引用文献数
1

台風イベント時の水温躍層の破壊・再形成のプロセスに着目して,観測データの解析を行うことでプロセスの経過について検討した.水温躍層は水域内の流動に大きな影響を与え,水質問題が生じる要因にもなるため,詳細な現象の把握が求められている.そこで本研究では,台風イベント時の観測データからブラント・バイサラ振動数およびリチャードソン数を算出し,成層の安定性を評価した.その結果,密度成層期には,まず高波浪により成層の安定が崩され強風により更に不安定さが促進されるという仮説を得た.また,混合期は成層が不安定で,台風接近前からシア流の不安定が生じていて混合が生じていることがわかった.これらの結果を踏まえて,更にTS図を作成し混合期の水塊の特性を評価した.
著者
森 信人 鈴木 崇之 木原 直人
出版者
京都大学防災研究所
雑誌
京都大学防災研究所年報 (ISSN:0386412X)
巻号頁・発行日
no.53, pp.425-432, 2009

沿岸域における台風時の強風時の表層近くの強混合鉛直混合を対象に着目し,現地観測と数値計算を実施した。両者の解析結果から台風接近時に顕著な水温の低下が観測され,極浅海で生じる低温水が沖に輸送されて沿岸部の水温を低下される。海面での海面粗度やTKEフラックスを波浪のスペクトルから与えることにより,台風最接近時の水温低下が再現されている。Since major driving forces of vertical mixing processes are wind and wind wave mixing, the boundary condition of turbulent kinetic energy flux at the ocean face is formulated as cubic of friction velocity by Craig-Banner relation. It is not well verified in general conditions including wave conditions and shallow water environment. This study estimates effects of wave conditions on vertical mixing processes at the ocean upper layers in the stormy condition. The field observation was conducted during typhoon Melor in 2009. The observed water temperature distributions indicate importance of wind and wave induced mixing in the nearshore. The numerical results show that the wave induced vertical turbulent flux significantly influences on the water temperature and the current, respectively.
著者
伊藤 晶文 Ito Akifumi
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要 自然科学篇 (ISSN:03896692)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.1-8, 2007

鹿児島県志布志砂丘では,台風0416号,0418号,0514号接近時に後浜上限を超えて砂丘まで達した波(越波)による堆積物と地形変化が観察された。本研究では,地形測量,堆積物の観察および粒度分析を行い,2004年および2005年の越波堆積物の分布,粒度組成,単位面積当たりの体積を明らかにし,越波イベント発生時における砂丘の地形変化と各イベントの差異を考察した。さらに言皮浪および気象資料からイベント発生条件を検討した。イベントが発生すると言毎岸林の立地する区域において,越波堆積物の定着により砂丘表面の起伏が埋められて平滑化が進む。調査地(100㎡)におけるイベント当たりの越波堆積物の体積は約7-8㎥であった。台風接近時の最大有義波高が6m以上,かつ台風の経路が調査地の西側であることがイベント発生条件と考えられた。この条件を満たす台風は1980年以降8個あり,1993年から2005年までに7個の台風が来襲している。
著者
多紀永寿院安元 著
出版者
半田屋出版部
巻号頁・発行日
vol.下巻2, 1918
著者
友清 衣利子 内田 孝紀 前田 潤滋
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.205-210, 2006

2004年の台風23号は九州に上陸しなかったものの,九州北部に強風をもたらし台風経路から300km以上離れた佐賀県小城市に構造物被害が集中した。被害が当地に集中した要因として,小城市北部に位置する天山山系の地形形状の影響が考えられる。また,大気の安定度が強くなった場合には,いわゆる「おろし風」が吹いて山麓周辺でさらに増速する可能性がある。本報では,台風0423号時の強風分布状況を検証するために風速場シミュレーションを行い,周辺地形が小城市周辺の風況に及ぼす影響を検討した。数値計算で実際の風の乱れの強さを再現することは困難であるが,中立状態であれば平均風速分布が実際の風観測記録とやや対応すること,大気安定度を変化させると小城市で強風発生領域が局所化することが分かった。大気の成層状態を把握することは困難であるが,台風接近時には大気が安定状態となって小城市の一部地域でおろし風のような強風が吹いた可能性を示した。
著者
井原西鶴
出版者
森田庄太郎
巻号頁・発行日
vol.[4], 1686
著者
ラウアー ジョー
出版者
広島大学
雑誌
広島外国語教育研究 (ISSN:13470892)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.19-34, 2002-03-31

近年のマルヂメディアの発展は学生の英語文法能力の向上にとって非常に大きな可能性を提供している。レスポンスの早いインターネット上のリンク,音声認識,ビデオ,画像,ディジタル録音などの技術は英語教育に統合されつつあり,学生がより早く,より少ない努力で学習するという理想に到達することも夢ではないかもしれない。こうした技術は,スピーキング(Eskenazi, 1999; Coniam, 1999),リスニング(Umino, 1999; Brett, 1997),語彙獲得(Cummins, 1998; Grace, 1998)そしてライティング(Liaw, 1998; Braine, 1997)などの英語教育の様々な分野に応用されつつある。しかし,日本人の英語文法の学習を助けるようなマルチメディア教材は市場において決定的に不足している。また,高品質なマルチメディア英語文法学習教材の開発のための基礎として役立つと思われるが,学生の文法能力の教室における調査の量も十分とは言いがたい。文法の能力が言語の習熟にとってもっとも決定的な観点である(Bardovi-Harlig, 1999)ということ,また文法についての明示的な指導が学生にとって役立つ(Ellis, 1998)ことが知られているにも関わらず,文法に関連した調査と教材の不足は現として存在しているのである。本研究の目的は,1)マルチメディアが英語文法学習の現状にどのように貢献しているかを改めて調査すること,および2)日本人大学一年生の英語文法能力を記述することの2つである。大学一年生の英語文法能力に関しては,いくつかの重要な結果が得られた。たとえば,マルチプルチョイステストの際に,学生は,主語+動詞(be動詞以外)+補語(現在分詞・過去分詞)や分詞構文の同定が苦手である。それに対し,lt+be/seem+thatで始まる節,および名詞句や名詞節の代用として使われる代名詞のitなどの文法構造はかなりよく認識している。これらの発見はマルチメディア教材の設計と開発の際の基礎として役立つものとなろう。
著者
大泰司 紀之 戸尾 〓明彦
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳動物学雑誌: The Journal of the Mammalogical Society of Japan (ISSN:05460670)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-11, 1974-02-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
19

1.シカの袋角による体温調節作用をしらべる目的で, 袋角をもつニホンジカの環境温を0℃から33℃のあいだで変化させ, 袋角および体表各部位の皮膚温変動をしらべた。2.袋角の皮膚温は環境温の変化に追従して反応し, 5℃から36.5℃のあいだで変動した。管部や耳の皮膚温も環境温の上昇に対して鋭敏な反応を示したが, 特に袋角では顕著であり, 環境温の上昇と同時に環境温よりも急な勾配で上昇した。また, 環境温の下降時には, 袋角の皮膚温は急激な下降を示した。3.0℃の水に袋角を入れると, 袋角の皮膚温は2.5~9℃となり, 振幅1~3℃, 周期10~20分のhunting temperature reactionを示した。4.袋角に分布する脈管の走行についてしらべた結果, 袋角の血流は海綿静脈洞に連絡する経路をもつ。5.上記の結果から, 袋角には熱放散による体温調節作用, とりわけ脳温調節作用のあることが推定される。6.この袋角の体温調節作用は, 春および夏期における雄ジカの個体維持に重要な役割を果していると考察することができる。この考察は, シカ類の発展が寒冷地適応にもとづくとする仮定と矛盾しないものであり, その仮定を補強するものと考えられる。
著者
寺田 澄江
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国際日本文学研究集会会議録 = PROCEEDINGS OF INTERNATIONAL CONFERENCE ON JAPANESE LITERATURE (ISSN:ISSN0387)
巻号頁・発行日
no.27, pp.69-80, 2004-03-01

From the Ancient to the Middle age, the fundamental poetical structure progressively shifts from a linear discourse, represented by “pillow word (makura kotoba)” or “introductive word (jo-kotoba)”, to a “compositive” one, illustrated by “associated words (engo)”. This evolution in the discourse strategy takes form, in terms of waka’s versification, the establishment of a very clear double structure―splitten into kami no ku (l7syllables) and shimo no ku (14syllables)―which is related itself with the development of the short linked poetry (tan renga) in the later Heian period. This marginal poetical category, generally treated as a simple transitive form between the waka and the linked poetry, has its part in the important changes in the organization principle of the waka.Minamoto no Toshiyori, to whom the originality in the composition was his great concern, devoted himself to the short linked poetry, considering it as a sole poetical form which one can be proud of among the literary works of his time. According to Kenshô, he difined himself as follows:“I’m not a poem teller (or poem singer: uta yomi) but a poem maker (uta tsukuri). I mean, what I do is, rather than regarding fine effects (fuzei), combining exquisite words and structuring them.”I will try to clarify in what way Toshiyori’s keen concern to the originality is related with this manifesto-- a very expression of the “compositive” discourse-- and with his interest to the short linked poetry.
著者
田中 克行
出版者
公益財団法人 史学会
雑誌
史学雑誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.102, no.6, pp.1099-1134,1266-, 1993-06-20 (Released:2017-11-29)

The hanzei system as a land policy of the Muromachi bakufu is well-known and has been repeatedly investigated. However, it is less known that the original meaning of hanzei is literally "half-payment" of the tax. This meaning precedes the hanzei law promulgated by the Muromachi bakufu, and it had already appeared in the Kamakura period. During the Sengoku period, villagers in a suburb of Kyoto declared a hanzei and demanded their taxes be reduced by half. In this paper, the author investigates this type of hanzei by each of these villages and tries to regard it as one development of the yearly rice tax (nengu) reduction protests, which had been carried out by shoen-level leagues (shoke-no-ikki). The grounds for village hanzei lay in military mobilization by the bakufu. The bakufu, noticing the military forces built up by the villages (goshu), mobilized them in the suburbs of Kyoto and allowed them tax exemptions in the form of hanzei. For the villagers, who paid nengu, the hanzei exemption meant half-payment of that tax. However, even in those cases where hanzei was not permitted by the bakufu, the villagers proclaimed it anyway. For them, hanzei fell under the category of a nengu reduction. In this sense, the hanzei movement is a variation of the nengu reduction protests. Hanzei was proclaimed not only by isolated villages, but also by groups of villages over a wide area, which formed leagues called sogo or kumi. The ordinal nengu reduction protests were also regionally widespread. The hanzei movement was closely related with war mobilization and leagues calling for social justice by the government (tokusei-ikki). Hanzei was proclaimed as a part of tokusei, which was expected to be carried out with the outbreak of a war, and nengu reduction, even when not in the form of hanzei, was essentially an important part of tokusei proclamations.
著者
仙頭 佳起 鈴木 利保 祖父江 和哉
出版者
日本蘇生学会
雑誌
蘇生: 日本蘇生学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.59-62, 2014

Postanesthesia care unit (PACU)を運営することにより,一般病棟での術後患者に発症しうる重篤な有害事象が減少しうるか否かを調査した。対象施設は名古屋市立大学病院とその教育連携施設2施設で診療録を後方視的に検討した。手術室退室あるいはPACU退室後12時間以内に院内救急コールが起動された症例は各施設で1-2例であった。手術件数あたりの術後院内救急コール症例数の割合は,PACUを運営する施設で0.006%,運営しない施設で0.02-0.03%と前者で低い傾向があった。PACUの運営により術後患者の一般病棟での重篤な有害事象をPACUが減少させる可能性があるが,さらなる大規模研究が必要である。
著者
藤塚 吉浩
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.63, 2007

<BR>I. 研究目的<BR> 日本列島南部では台風の進路の関係から、民家には強い風雨への備えが必要である。本発表では、多くの強い勢力の台風が通過する高知県東部をとりあげ、伝統的な民家のかたちにある強い風雨への備えについて検討する。<BR> 本報告ではまず、高知県東部の歴史的な集落の形成にかかわる自然条件と社会経済的な背景について、広域的に考察する。次に、強い風雨に備えるための伝統的建造物に関して、その機能と地理的分布の関係を考察するとともに、残存状況についても検討する。<BR><BR>II. 高知県東部の伝統的建造物の分布<BR> 室戸半島の歴史的集落のうち、戦災がなく、都市化の影響を受けなかったところでは、第二次大戦前の伝統的な建造物が残されている(図1)。<BR> 室戸半島の港は、岬付近の岩礁に建設されたものがあり、その近くに集落が形成されている。岬は三方向を海に囲まれ風を遮るものがなく、特に風が強くなるため、室戸岬の高岡や行当岬の新村のように、石垣で民家を囲っているものが多い。石垣を構成する石は大きく、より堅固になるように積まれている。<BR> 海岸からの強風を受ける小高い丘のところでは、吉良川町の丘地区のように、民家をいしぐろで囲むものが多い。いしぐろは河原の丸石などを積んだり、割石を使って、外観を整えたものもある。旧街道沿いには、丸石や割石を整然と積んで、意匠面を重視したものが多い。<BR> 旧街道沿いや市街地中心部では、建物の壁面や前面に水切り瓦の使われることが多い。これは、空間的制約から石垣やいしぐろを置けないためと、浜堤や近くにある民家が強風を緩和し、水切り瓦で壁面の浸食を防ぐことができるためである。土蔵や民家の壁面には、水切り瓦とともに、耐水性のある土佐漆喰も併用されている。<BR> 徳島県に近い東洋町の旧街道沿いでは、蔀張が多くみられる。街道に面して間口があり、空間的制約から強い風雨を効果的に防ぐ仕組みとして用いられたのである。地理的に京阪神地方に近く、交易により、蔀張の建築様式がもたらされたことも、高知県で最も東に位置する東洋町に多くみられる要因である。<BR><BR>III. 伝統的建造物の残存状況<BR> 高知県東部における、強い風雨を防ぐための伝統的な建造物の残存状況は、その性質により次の差異がある。<BR> 石垣やいしぐろは、石の採取が容易でないことや石工の減少等により、より費用の安価なブロック塀やコンクリート塀にかえられている。水切り瓦は、左官職人の減少により技術の継承は容易でないが、近年その優れた意匠が評価され、新築に取り入れられるものも少なくない。蔀張は、空調施設の導入やアルミサッシへの改修により、取り外されたり、取り壊されるものが多い。<BR> いしぐろや水切り瓦は、優れた意匠から文化財として指定されるものも多い。高岡や新村にある石垣は、文化財としての価値は十分認識されていない。蔀張は、木製のため老朽化しやすく、放置すれば消滅する危機にある。<BR> 強い風雨を防ぐ伝統的な建造物は、先人の知恵によって生み出され、風土に適する優れたものである。歴史を後世に伝える文化財として、伝統的建造物をまもり受け継ぐことは、今後の重要な課題である。<BR>