著者
林 憲吾 羽田 匡宏 大島 正寛 加藤 洋介 小竹 優範 原 拓央
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.532-535, 2017 (Released:2017-09-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は7歳,女児.前日より増悪する腹痛と発熱を主訴に当院小児科を受診し,急性虫垂炎の診断で当科に紹介となった.腹部CTでは,腫大した虫垂内に歯牙様の形態をした石灰化を伴う構造物を認め,歯牙迷入による急性虫垂炎を疑い同日単孔式腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.虫垂に穿孔はなく蜂窩織炎性虫垂炎の所見であり,型通りの虫垂切除術を施行した.摘出標本を開放すると9mm程度の歯牙を内部に認め,病理学的には壊疽性虫垂炎の所見であった.術後経過は問題なく,術後4日目で退院となった.異物による急性虫垂炎は比較的稀であり,その頻度は0.2~0.75%と報告されている.異物としては魚骨や義歯,種子などが多く,乳歯が誘因となった報告は検索した範囲では認めなかった.義歯や歯牙による異物性虫垂炎は穿孔しやすいという報告もあり,本症のように誤飲した歯牙が原因と思われる小児虫垂炎症例は速やかな手術が望ましいと考えられた.
著者
福居 篤子
出版者
名城大学
巻号頁・発行日
2008

博士論文
著者
大熊 信行
出版者
高岡高等商業學校研究會
雑誌
研究論集
巻号頁・発行日
vol.1, pp.231-282, 1929-03-05
著者
大野 忠夫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.1-1, 2017 (Released:2017-01-01)

2016年7月1日,筆者は知り合いの医師から「オプジーボは,処方医師に専門医資格を求められるなど,未だ使用にハードルが高い薬であるため,自由診療であっても,あるいは自由診療だからこそ,今回の適用外使用は見合わせよう,ということになりました.」というメールを受け取った.直前の6月4日にシカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)では(ASCOの間はがんにかかるな,という冗談があるほど,全米のがん治療医が参加する主要学会),オプジーボのような抗体医薬によるがん免疫療法は,もはや臨床現場でも選択肢の1つとして当たり前の治療法になっており,既に話題のピークを過ぎていた.本抗体の劇的な効果がもともとは国内(京都大学)で発見されたにもかかわらず,がん治療の臨床現場レベルになると,我が国は遅れをとってしまっている.既に,「抗PD-1抗体(ペムブロリズマブ)がPD-L1高発現の進行性非小細胞肺がん患者に対するファーストライン治療として,無増悪生存期間および全生存期間において化学療法に対する優越性を示す」(2016年6月28日,https://bio.nikkeibp.co.jp/atcl/release/16/06/28/02114/)という現実が目の前に来ているのだが・・・.日本でもまもなく,「ファーストラインでがん免疫療法を行う」という意味を,医師は患者に説明しなければならなくなるであろう.しかし周知のように,がん免疫療法は手術・放射線・抗がん剤に継ぐ第4の治療法と期待されながら,実際には大学病院も含めて国内のごく普通の臨床現場では,未だに「まだ分からない治療法」なのである.すなわち,国内で承認済みの免疫チェックポイント阻害剤にとどまらず,身体に広く影響が及ぶがん免疫療法の真の意義については,我が国ではごく一部の専門医を除けば,臨床現場におけるほとんどのがん治療医がまだ理解していないのである.まして,医師の処方せんをチェックする薬剤師ではどうかと言えば,(少なくとも本稿執筆時点では)全員素人だと言われても仕方がない状況なのではないか.がん化学療法とがん免疫療法の関係で言えば,「まず抗がん剤治療ありき」から,「最初からがん免疫療法を実施する(これまでの抗がん剤治療に先んじて)」へ,優先順位が逆転するという,いまや常識のコペルニクス的大転換の時代に入っているのである.また,我が国では高齢化に伴ってがん患者は増える一方であり,既に年間37万人ものがん死者がいる.だからこそ,猛烈なスピードで進化しつつあるがん治療法(特にがん免疫療法)について,ファルマシアの読者にはぜひ勉強してもらいたいと願っている.少しでも勉強すれば,誰でもがん治療の臨床現場で最先端の知識を身につけられるのである.時代に置いてけぼりにされるより,はるかに面白いのではなかろうか.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[112],
著者
大熊 信行
出版者
高岡高等商業學校研究會
雑誌
研究論集
巻号頁・発行日
vol.1, pp.199-229, 1929-03-05
著者
中川 慎介 丹羽 正美
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.137-143, 2014 (Released:2014-03-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

末梢と中枢を隔てる血液脳関門(blood-brain barrier:BBB)は,単に物質の移動を制限する関門として機能しているだけではなく,機能的なneurovascular unitを形成し,神経・グリア系と相互作用を行っていることが指摘され,脳血管障害だけでなく中枢性疾患におけるBBBの役割も注目されている.また,BBBは中枢神経作用薬にとっては,越えなければいけない障壁であり,薬物の脳内移行性を決定する重要な関所である.薬物の脳内移行性検定やBBBに関する基礎研究のために,培養細胞を用いたin vitro実験が広く行われている.不死化脳毛細血管内皮細胞株はその均一性や簡便性から,BBB研究に広く用いられているが,生体内における細胞の機能を比較的保持する初代培養脳毛細血管内皮細胞を用いた研究も重要である.BBBは脳毛細血管内皮細胞だけで構成されるのではなく,周囲のペリサイトやアストロサイトがBBB機能維持に関与している.本稿では,これら3種類のBBB構成細胞の初代培養方法と,インサート膜を用いた共培養方法を紹介する.作製したBBBモデルは薬物の脳内移行性やBBBに関する基礎研究などに活用できる.
著者
桃木 芳枝 中谷 素之
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.101-111, 2016
被引用文献数
1

<p>本研究では性役割意識が認知スタイルを介してメンタルヘルスに与える影響を検討した。調査は認知スタイルを測定する共感とシステム化の尺度,Bem性役割尺度(BSRI),およびメンタルヘルスを測定するHopkins Symptom Checklistに基づいた尺度を用いて大学生981名を対象に質問紙法で行った。先に,共感・システム化の各下位尺度の特徴を明らかにした。階層的重回帰分析の結果,性役割意識とメンタルヘルス間で認知スタイルが媒介変数として機能していることが示唆された。男女ともに,性役割意識は認知スタイルに正の影響を与えた。男性性と女性性によって媒介された共感は,有意に良好な影響をメンタルヘルスに与えた。さらに,女性では男性性,または男性性と女性性に媒介されたシステム化はメンタルヘルスに悪影響を与える可能性を示した。すなわち,女性だけに性役割が関わるシステム化の在り方に多様化がみられた。</p>
著者
高橋 雅人 Masahito Takahashi
出版者
神戸女学院大学女性学インスティチュート
雑誌
女性学評論 = Women's studies forum (ISSN:09136630)
巻号頁・発行日
no.31, pp.133-153, 2017-03

本論文は、プラトン『法律』には女性性を評価する視点があることを論証しようとするものである。そのために、まず一節でプラトンの『法律』でクレイニアスの求めに応じてクレテ島に建設されることになるマグネシアにおける女性の主に政治との関わりについて確認する。ついで二節において、『法律』における結婚の意義について『国家』の妻子共有論と比較しながら考察する。三節ではプラトンの女性の「本性」観を検討し、女性性と節制との関係を明らかにした上で、『法律』が節制を重んじる対話篇であることから、プラトンが女性性を重視していることを明らかにする。
著者
鶴木 眞
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.3-17,266, 1997-07-31 (Released:2017-10-06)

"Post 1989" meant in Europe, the breakdown of the structure of the cold war and the end of communist and socialist systems. The same term meant quite differently in East Asia, however. In June of 1989, the Tiananmen massacre took place in China. After the dissolution of the Soviet Union, the scholars of contemporary international relations had to ask themselves why they could not predict the dissolution of the Soviet Union. The paper surveys the theoretical development in the research of political communications brought about by the "post 1989" political situation. This development is not unrelated to the reexamination of theories in the field of international relations. The methodological development in the studies of political communications paved a way for new paradigms.
著者
伊藤 陽一
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.18-33,266, 1997-07-31 (Released:2017-10-06)

This article reviews major theories and empirical findings regarding the international flows of information and culture. Specifically, it covers "gravity-integration theories, " and media/cultural imperialism theories as "grand theories, " and empirical research on the patterns and determinant factors of international flows of (news) information and (mass and quality) cultures as "middle-range theories." After reviewing many theories and introducing his own survey results, the author concludes as follows: If we see the patters of international flows of information and culture from the center-periphery viewpoint, Japan seems to belong to the "center" as far as the flows of news and popular culture are concerned, but it is still one of peripheral countries when viewed from the flows of quality (or basic) cultures.
著者
永田 利彦
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.277-285, 2012-04-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
18

神経性過食症が神経性食思不振症の一亜型として紹介されてから30年が経ち,摂食障害の臨床像,精神病理は大きく変化した.現在,多くのガイドラインが認知行動療法を最もエビデンスを有する神経性過食症への精神療法的アプローチとして推奨している.一方で精神病理の複雑化に伴って感情不耐性,完全主義,中心的な自己評価の低さ,対人関係の困難までを扱う強化認知行動療法へと移行している.また,青年期の神経性食思不振症には家族療法の1つであるモーズレイアプローチが,神経性過食症には対人関係療法の有効性が報告されている.しかし,大学病院を受診する摂食障害患者の精神病理はさらに複雑化しており,全般性の社交不安障害をベースとする症例への認知行動療法や,多衝動性への弁証法的行動療法も考慮しなければならない.
著者
山田 茂 田中 涼子 大橋 文 岩田 華苗
出版者
実践女子大学
雑誌
実践女子大学生活科学部紀要 = Bulletin of Jissen Women's University Faculty of Human Life Sciences (ISSN:13413244)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.31-35, 2017-03-10

In this experiment, we investigated the effects of mechanical stimulation and caffeine on lipolysis in the adipocyte culture cell. Caffeine (0μg/mℓ, 50μg/mℓ, 100μg/mℓ) which promotes lipolysis, was added to the culture medium (10%FBS, DMEM) respectively. Adipocytes underwent repeated mechanical irritation by Flexer cell strain unit to observe the effect on the lipolysis of mechanical stimulation. We measured glycerol in a culture medium to confirm the lipolysis. Adipocyte were stained for lipolysis responses by Oil Red O. The effect of caffeine on lipolysis was slightly observed, but a significant effect statistically was not observed. On the other hand, mechanical stimulation increased lipolysis in the adipocyte culture cells. Influences of a combination of mechanical stimulation and caffeine on lipolysis were examined. The results of these experiments, the effect of mechanical stimulation on the lipolysis was outstanding, but was scarcely effected by caffeine. That is, direct mechanical stimulation was effective in increasing the burning of fat. Further research is required on the mechanisms of mechanical stimulation to promote lipolysis in adipose cells.
著者
山極 和佳
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2005-01

制度:新 ; 文部省報告番号:甲1977号 ; 学位の種類:博士(人間科学) ; 授与年月日:2005/1/26 ; 早大学位記番号:新3904
著者
宮川 直樹 竹前 忠 小杉 幸夫 西澤 茂 難波 広樹
出版者
自動制御連合講演会
雑誌
自動制御連合講演会講演論文集 第48回自動制御連合講演会
巻号頁・発行日
pp.223, 2005 (Released:2006-01-01)

生体内情報の画像化の手段の一つとして生体内の電気抵抗分布を利用した電気インピーダンスCTがある。この実現化のために、我々は磁気を併用した方法を提案している。本法では、体表面上で測定される電位差データからコンダクタンス分布を求めるために、残差最小化法を用いている。本報告ではこのコンダクタンス分布算出において、モデル実験によってより適切な初期値や収束条件について検討している。
著者
竹前 忠 東 好宏 小杉 幸夫
出版者
一般社団法人 日本生体医工学会
雑誌
医用電子と生体工学 (ISSN:00213292)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.246-250, 2000 (Released:2011-10-14)
参考文献数
6

We realized a new electrical impedance tomography (EIT) based on the tetrapolar circuit method with the scanning of magnetic field superimposed for localizing the current distribution in biological tissues. In this method, two voltage differences are detected on two sides of the body, in which the distribution of constant current component is parallel. As the voltage difference of one side becomes zero, the eddy current component is produced by a magnetic field applied to the body from an electromagnetic core. Sustaining this state, the electromagnetic core is moved from side to side. The voltage differences at the other side measured during this movement of the magnetic field are used to estimate the resistance distribution of one dimension. As the result of a model experiment, it was confirmed that this method would be useful to realize EIT.