著者
下川 美穂 久永 貴之 矢吹 律子 萩原 信悟 志真 泰夫
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.553-557, 2017 (Released:2017-08-23)
参考文献数
7
被引用文献数
2

当院緩和ケア病棟では,2015年1月から2017年1月の間に5例の植え込み型除細動器(implantable cardioverter-defibrillator: ICD)を有するがん終末期の患者を経験した.ICD停止について,5例中4例でせん妄や認知症により患者本人の意思決定能力がなく,1例は意思決定能力はあったが,家族が患者本人の意思確認に同意せず,5例とも家族による代理意思決定であった.ICD停止の手順は,家族と死亡の2〜21日前に話し合いを開始し,1〜5回の面談を経て同意を得たうえで,死亡の3時間〜11日前に停止した.今回の経験を通じて,ICD停止に関して①意思決定に関する医療者の経験不足,②ICDが患者に与える苦痛に関する医療者の認識不足,③話し合いにかかる心理的負担や時間的制約,④患者と家族のICDに関する知識不足,という問題点が明らかになった.がん患者のadvance care planningの一環としてこの問題に対応していく必要がある.
著者
磯 達雄
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.821, pp.96-99, 2006-04-24

日本を西から東へとたどってきた建築巡礼の旅だが、今回は緊急企画として東京・八王子の大学セミナー・ハウスへと向かった。新しい研修棟の建設に伴って、宿泊用のユニット・ハウスが解体されると聞いたからである。「ワァオ!」。本館の前でタクシーを降りると、思わず口から感嘆の言葉が漏れる。
著者
植村 研一
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.23-29, 2009

8年間も英語を学習した大学卒業生のほとんどが英語を駆使できないのは日本における英語教育の失敗である。短期間に役立つ外国語教育に成功している外国の例は驚異的である。人間の脳は言葉を聞いて自然に理解でき、話せるようになる。Bilingualの脳にはそれぞれ独立した言語野が形成されるが、これはlistening practiceから入った教育の成果であって、単語と文法を使った直訳を通した外国語学習では、何年続けても独立した言語野は形成されないし、駆使できない。日本の外国語教育の失敗の原因は脳の言語習得機構を無視した結果である。著者の効果的教授学習法を紹介する。
著者
宮内 靖史 加藤 貴雄 岩崎 雄樹 林 明聡 水野 杏一
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.210-215, 2008
被引用文献数
5

【目的】用手計測法および自動計測法によるQT間隔詳細計測の精度と問題点について検討する.【方法と結果】用手計測は, 25mm/sec, 1cm/mVで記録した通常の心電図波形を200%拡大コピーし盲検化した後, 心電図解析に熟達した循環器専門医3名が接線法を用いて行った.再現性の確認のため1週間の間隔をあけて計2回計測した.第1回目と第2回目の測定値の差は, 平均で-1~2msecとほとんどばらつきがなく, 両者の相関係数は0.96~0.97であったが, 心拍ごとの測定値の差の絶対値は, 5~7msecとやや大きかった, 一方, コンピュータ画面上でのマニュアル修正を併用した自動計測法では, 差の絶対値は1±2msecと用手計測法に比して有意に小さく, 相関係数も0.997と, 再現性に優れていた.各測定者の用手計測値と自動計測値の相関は0.94~0.96と高く, 平均値の差も-1~4msecと小さかった.【結論】マニユアル修正を併用したQT間隔の自動計測法の精度はきわめて高く, 正確性が期待できる, 一方で記録紙からの用手計測法も, 計測に熟達すれば5msec程度の精度での評価が可能である.
著者
上谷 竜士 菱田 隆彰
雑誌
マルチメディア,分散協調とモバイルシンポジウム2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.456-460, 2016-07-06

最近では口コミサイトの口コミがユーザの消費行動に影響を及ぼす度合いが強くなっている.口コミサイトに投稿された内容から対象物の印象をより詳細に得るには,対象物に対する全ての口コミを熟読し,客観的な分析を行うことが望ましいが,容易なことではない.我々は,これまでに価格 .com,トリップアドバイザー,食べログを対象サイトとし,登録されている口コミを杉本らによって提案した感情語辞書を元に解析を行い可視化するシステムの構築を行った.しかし,口コミサイトは取り扱う対象物の種類によって,ユーザが投稿する内容に偏りが生じる可能性がある.本稿では,複数の傾向の異なる口コミサイトにおいて本手法による分析によって得られる印象の分布を調査し,各サイトに適した表現方法の考察を行う.
著者
佐々木 順悠 村上 進亮
出版者
一般社団法人 資源・素材学会
雑誌
Journal of MMIJ (ISSN:18816118)
巻号頁・発行日
vol.133, no.8, pp.207-213, 2017-08-01 (Released:2017-08-31)
参考文献数
8

Mineral prices hit their ceilings and started fluctuating. It forced resource-related companies to reassess their assets. In order to secure the stable supply of resources, it is important for Japan, which is a resource-importing country, to keep an eye on the changes in strategies of resource-related companies, especially mining giants that dominate the global production of various minerals. There are some studies focusing only on risk management at an individual mine level and fluctuation in mineral prices, but few studies focus on asset management of the mining giants as an entity. The purpose of this paper is to analyze and understand the asset management strategies of the mining giants. All assets of the giants, such as mines, smelters and refineries are considered as risky assets, calculating the optimal portfolio under the “Modern Portfolio Theory”. By comparing the derived optimal portfolio with the actual one, we conclude that the mining giants' asset management strategies are almost optimal. We also found out which asset will be on sale from each company, which can be useful for Japanese companies increasing the share in overseas mines.
著者
井上 幸江 Yukie Inoue
雑誌
先端社会研究
巻号頁・発行日
pp.309-313, 2004-12-20

2004年度第1 回国際シンポジウム「高齢者のQOL とケアの質-アジア型モデルを模索して-」2004年5月6日(土)神戸国際会議場メインホール
著者
吉澤 昌恭
出版者
広島経済大学経済学会
雑誌
広島経済大学経済研究論集 (ISSN:03871436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.61-86, 2004-12

はじめに 1. 構造改革か需要創出か 1.1. 林文夫 1. 2. 吉川の林批判 1. 3. 野口VS.林 2. ウイクセル,フイッシャー,ケインズ 2.1. 間接的メカニズムとウィクセル 2.2. フィッシャーの2つの著作における3つの要因 2.3. ケインズ「有効需要の原理」と間接的メカニズム 3. マネタリスト 3.1. 岩田規久男 3.2. 野口旭 3.3. 森永卓郎 3.4. 原田泰 4. ケインジアン 4.1. 吉川洋 4.2. 小野善康 4.3. リチヤード・クー 5. 需要不足と需要喚起 5.1. 「需要不足」を組み込んでいない体系VS. 「需要不足」を組み込んだ体系 5.2. 閉じた体系としてのマネタリズム 5.3. どうすれば需要を喚起できるか?
著者
奈良 正和
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.109, no.12, pp.710-721, 2003-12-15
参考文献数
60
被引用文献数
1 4

四国南西部に分布する中新統三崎層群竜串層から,多数のLockeia siliquaria James 1879を発見した.この生痕化石は,層理に平行な断面では,長径9-22mm,短径2.5-11mm程度の楕円型あるいはアーモンド型の形態をとり,砂岩の上面では窪み,あるいは,台状の隆起部に見え,底面ではやや突出した隆起部となる.その形態ならびに内部構造の検討そして母岩の堆積相解析から,この生痕化石は,砂質網状河川システムのうち,小規模なポイントバーで形成された二枚貝類の逃避痕であることがわかった.この生痕化石は,多くの場合,高い密度で産出し,かつ,層理面上において,定向配列する.これは濾過食の二枚貝類が,一方向の流れに対して呼吸や摂餌に最適な体の向きを取っていたためと考えられる.これを応用すると,この生痕化石の定向配列から地層形成時の古流向を知ることができる.
著者
柴田 昌治
出版者
日経BP社 ; 1992-
雑誌
日経情報ストラテジー (ISSN:09175342)
巻号頁・発行日
vol.22, no.10, pp.106-109, 2013-11

もちろん、ここでいう人間性とは単なる聖人君子としてのそれではない。大きな人間集団のリーダーとして持っているべき人間性であり、チームワークの要となり得る人間性でもある。そして、機能別、事業別に分かれたビジネスや仕事の仕方に横串を通すことがで…
出版者
巻号頁・発行日
vol.182 奥州平城之図,
著者
柘植 秀樹 谷川 貴信 榊原 正登
出版者
海水誌
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.58-63, 1996

水酸化マグネシウム懸濁水溶液中に炭酸ガスを吹き込み, 半回分反応晶析を行ったところ, 反応温度60℃以上では塩基性炭酸マグネシウムが, また反応温度が55℃以下では炭酸マグネシウム3水和物が生成され, 中間の55~60℃では両者が混在した.<BR>反応の進行とともに槽内のpHは低下するが, pH8.5付近から反応が始まり, 7.8付近で反応が終了し, 炭酸マグネシウム粒子が得られる. 晶析の進行過程は, 塩基性炭酸マグネシウムでは原料の水酸化マグネシウムの表面より反応が徐々に進み花弁状粒子を生成するのに対して, 炭酸マグネシウム3水和物では針状粒子を生成し, ついには6角柱状の凝集体を得た.
著者
中村 秀明 王 桂萱 江本 久雄 宮本 文穂
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集E (ISSN:18806066)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.107-118, 2006

コンクリート構造物に発生するひび割れを予測するためには,まず始めに温度解析を行い,その結果をもとに温度応力解析が行われる.これら数値解析の精度は,入力する材料特性値によるところが大きく,正確な材料特性値を入力しなければ,正確な解析結果は得られない.本研究では,鳥の群れや魚の群泳など群れを成して移動する生物の行動パターンを最適化に応用した Particle Swarm Optimization (PSO) を用いて,現場での温度計測結果から熱特性値を推定する熱伝導逆解析手法を提案した.PSO による逆解析で求めたれた熱特性値は,一般的に用いられている値とは若干異なっているものの,複数の熱特性値が比較的容易に同定できる.