著者
岡 恵子
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.119, no.12, pp.2323-2327, 2009-11-20 (Released:2014-11-28)

昆虫による皮膚疾患には刺咬症,体液による接触皮膚炎,真性皮膚寄生などがある.刺咬症は吸血時に口器から注入する唾液や,毒針(毛)から注入する毒に対するアレルギー反応で,口器や針の物理的刺激や唾液や毒の薬理作用が複合して発症する.原因となった虫が特定できない場合が多く,皮疹の性状,分布,発症時期,場所などの臨床症状から原因虫を推定して診断し,昆虫の生態を理解したうえで生活指導をする必要がある.
著者
伊藤 伸泰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.478-487, 2012-07-05 (Released:2018-03-02)
参考文献数
61

物理学が無限大の代名詞として扱ってきたアボガドロ数に,計算機の発達により手が届きはじめている.1秒間に1京演算以上を実行するという10PFLOPS以上の性能を持つ計算機によってである.こうした「アボガドロ級」計算機を活用すれば,ナノスケールからマクロスケールまでをこれまで以上にしっかりとつなぐことができると期待される.比較的簡単な分子模型を多数集めた系の計算機シミュレーションによる研究の結果,熱平衡状態および線形非平衡現象の実現と解析は軌道にのり,さらに1,000^3個程度の系を念頭に非線形非平衡現象へと進んでいる.非線形非平衡状態を解明し飼い慣らした次に期待されているのは,生物のような自律的に機能するシステムをナノスケールの計算で得られた知見に基づいて解明し自在に作り出す技術を確立することである.そのためにはアボガドロ級の計算機で実現する10,000^3個程度の系のシミュレーションが強力な手段となる.この可能性を検討する「アボガドロ数への挑戦」が,現在,進行中である.
著者
村山 泰啓
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.211-218, 2010 (Released:2010-10-20)
参考文献数
35

Noctilucent (night-shining) cloud (NLC), which is often called polar mesospheric cloud (PMC) also, consists of water-ice particles with approximate radii of 10–50nm, usually being formed in the polar summer mesopause region (82–85km altitude). Ground-based visual, lidar, and radar observations and space missions as well as model/theoretical research have been carried out to clarify the NLC/PMC's climatology, characteristics, and formation mechanisms, extending the observations to mid latitudes in both hemispheres. The influence to global warming is controversial to some extent, while a significant correlation between 11-year solar cycle to NLC variation is suggested. Through the radar studies of “polar summer mesosphere echo (PMSE)”, the NLC particles' important role has been recently stressed, leading to new “dusty plasma” sciences in the weakly-ionized upper atmosphere.
著者
江口 徹
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.774-775, 2001-10-05 (Released:2019-04-12)
参考文献数
2
著者
高橋 由利子 市川 誠一 相原 雄幸 横田 俊平
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.26-33, 1998-01-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

そばアレルギーは蕁麻疹, 喘鳴, 呼吸困難などアナフィラキシー型の反応を呈する頻度が高く, 注意深い対応が必要である疾患であるが, その羅患率は明らかではない.今回横浜市の全小学校341校の養護教諭にアンケート調査を行い, 回答のあった166校, 92680名の児童について, 学童期のそばアレルギー羅患状況を検討した.同時に調査したアレルギー疾患の羅患率は, 気管支喘息5.6%, アトピー性皮膚炎4.2%, アレルギー性鼻炎3.1%, アレルギー性結膜炎1.6%, 食物アレルギー1.3%であった.これに対しそばアレルギー児童は男子140名, 女子54名, 計194名で, 羅患率は0.22%であった.症状は蕁麻疹が最も頻度が高く(37.3%), ついで皮膚〓痒感(33.3%), 喘鳴(26.5%)で, アナフィラキシーショックは4名(3.9%)が経験しており, 卵・牛乳アレルギーより高率であった.また, 学校給食で7名, 校外活動で1名の児童がそばアレルギー症状の出現を経験していた.養護教諭を中心とした小学校児童のアレルギー歴の把握が積極的に実施されている実態が明らかになり, これによりそばアレルギーは稀な疾患では無いことが明らかになった.学校生活においても十分な予防対策を講じる必要がある.
著者
Meirong Wang Juan Qi Yujuan Liu
出版者
International Research and Cooperation Association for Bio & Socio-Sciences Advancement
雑誌
Drug Discoveries & Therapeutics (ISSN:18817831)
巻号頁・発行日
pp.2023.01022, (Released:2023-06-16)
参考文献数
30
被引用文献数
1

The coronavirus disease 2019 (COVID-19) vaccines have been shown to be effective in protecting people from severe disease progression, hospitalisation and death. However, a wide range of side effects have been reported worldwide. New onset or flare-up of autoimmune hepatitis (AIH) is an extremely rare adverse event following COVID-19 vaccination, with the majority of cases presenting with mild symptoms. Unfortunately, there have been cases of fatal complications. In this mini-review, we have summarised the clinical characteristics of a total of 35 currently reported cases of AIH after COVID-19 vaccination and suggest that patients with autoimmune diseases may be at higher risk of developing AIH after vaccination.
著者
野田 尚史
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.158, pp.4-18, 2014 (Released:2017-02-17)
参考文献数
12
被引用文献数
2

この論文では,現実のコミュニケーションという観点から「やさしい日本語」をとらえ直し,(a)と(b)のような主張を行う。 (a)「やさしい日本語」は,非母語話者にどのような日本語を教えるのがよいかという日本語教育の問題ではない。母語話者が非母語話者にどのような日本語で話したり書いたりするのがよいかという「国語教育」の問題である。 (b)母語話者が非母語話者に日本語で話したり書いたりするとき,文法や語彙など,言語的な面だけを考える傾向が強い「やさしい日本語」を意識するだけでは十分ではない。図表やイラストの使用,伝える情報の取捨選択など,情報伝達の面も考える「ユニバーサルな日本語コミュニケーション」を意識しなければならない。
著者
前田 健 水谷 哲也 田口 文広
出版者
獣医疫学会
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.88-93, 2011 (Released:2013-10-08)

最近,新興感染症の原因ウイルスのレゼルボアとして,コウモリが注目されている。コウモリから直接ヒトへの感染による新興感染症の発生は稀であるが,コウモリ由来のウイルスが家畜や他の野生動物に感染し,そこからヒトへの感染が拡大し,致死率の高い感染症となることは,ニパウイルスやヘンドラウイルス感染症,重症急性呼吸器症候群(SARS)の例に見られるように,コウモリ由来ウイルスによる新興感染症の一つのパターンかもしれない。SARSコロナウイルスの起源がコウモリ由来ウイルスの可能性が指摘されてから,コウモリからのコロナウイルス分離に限らず未知のウイルス遣伝子の分離が盛んに行われる様になった。また,遺伝子探索方法も飛躍的に進展し,種々のウイルス遺伝子のコウモリからの分離が報告されるようになった。本稿では,これらのコウモリから分離されたウイルスで新興感染症に関係するウイルスのみならず,新たに分離されたウイルスに付いても言及する。
著者
大須賀 公一 衣笠 哲也 林 良太 吉田 浩治 大脇 大 石黒 章夫
出版者
横断型基幹科学技術研究団体連合(横幹連合)
雑誌
横幹連合コンファレンス予稿集 第8回横幹連合コンファレンス
巻号頁・発行日
pp.D-2-4, 2017 (Released:2018-02-18)

In this note, we introduce our developed centipede like multi-legged robot named i-CentiPot. This robot is developed for showing our concept shown in the CREST project. In the project, we show that the existence of Implicit control is important. i-CentiPot plays a part of anchor example for our project.

42 0 0 0 OA 東京府統計書

著者
東京府 編
出版者
東京府
巻号頁・発行日
vol.大正12年, 1925

42 0 0 0 OA 東京府統計書

著者
東京府 編
出版者
東京府
巻号頁・発行日
vol.大正8年, 1925

42 0 0 0 OA 東京府統計書

著者
東京府 [編]
出版者
東京府
巻号頁・発行日
vol.大正14年, 1927
著者
武田 俊太郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.214-219, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
25

現在,世界各国で多彩な方式で量子コンピュータ開発が進められる中,異色のアプローチでひときわ存在感を放っているのが光量子コンピュータである.光量子コンピュータの近年の進展は目覚ましく,特定の計算でスーパーコンピュータに勝つ「量子超越性」が達成されたのみならず,大規模な量子コンピュータへ拡張可能な道筋も見いだされつつある.この躍進の背景には,光量子コンピュータの伝統的な方法論から脱却した新しいアプローチへの転換がある.本稿では,光量子コンピュータの近年の進展の背景を解説するとともに,その新しいアプローチに基づく我々独自のループ型光量子コンピュータの開発や応用について紹介する.
著者
斉藤 巧弥
出版者
北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院 = Graduate School of International Media, Communication, and Tourism Studies, Hokkaido University
雑誌
国際広報メディア・観光学ジャーナル
巻号頁・発行日
vol.24, pp.21-38, 2017-03-24

This paper aims to analyze reports on keikan in the Yomiuri Shimbun and the Asahi Shimbun, and shed light on how the discourse of keikan changed from the 1870s to the 1910s. Keikan means anal sex primarily between males and was illegal in Japan from 1872 to 1881. The word first appeared in the two newspapers in the 1870s and disappeared in the 1910s. In these forty years, two periods are identified through the distinct patterns that the newspapers showed: 1875-1901 and 1905-1914. In the first period, keikan was associated with violence, crime, and intimate relationships. In the second period, keikan was described as “a problem of delinquent students”, and was counted as one of their wrongdoings. The change of discourse is explained by the characteristics of the newspapers, and the multilayered nature of discourse.