著者
福井 幸太郎 飯田 肇 カクネ里雪渓学術調査団
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100016, 2016 (Released:2016-04-08)

はじめに 日本では、立山剱岳に氷河が現存していることが学術的に認められている(福井・飯田 2012)。カクネ里雪渓では、秋になると氷河の特徴を備えた氷体が表面に出てくることが昭和30年代に明らかにされていた(五百沢 1979)。しかし、その後約60年間観測が行われていなかった。2011年6月にアイスレーダー観測を行ったところカクネ里雪渓の氷体は厚さ40 m以上、長さ700 mと立山剱岳の氷河に匹敵する規模であることが分かった。氷河か否か明らかにするために2015年秋に測量用GPSを使用して氷体の流動観測を行ったのでその結果について報告する。 調査方法 ①ポールの移動量の観測(全5地点):9月24日にアイスドリルで表層部の積雪を貫通し氷体に達するまで穴を開け、長さ4.6 mのポールを挿入してその位置を高精度GPSで測量した。10月18日にポールの位置を再度GPSで測量し、ポールの動いた量から氷体の流動を観測した。水平方向の誤差は約1 cmである。 ②クレバス断面での氷体の観測:9月24日と10月19日に雪渓上流部の深さ6 mのクレバスに潜り、数カ所から氷をサンプリングし、現地にて密度観測や薄片の作成・観察を行った。結果 ①ポールの移動量観測の結果、雪渓の中流部では24日間で15~17 cm、上流部と下流部では12~13 cmと誤差以上の有意な流動が観測された(図1)。流動方向は、東北東で雪渓の最大傾斜方向と一致した。 ②クレバス断面での氷体観測の結果、雪渓表面~深さ1 mでは、密度が700-780 kg/m3で積雪中の気泡がつながっているためフィルンであった(図2)。深さ1~6 mでは、密度が820 kg/m3を超え気泡が独立していて氷河氷であった。考察 今回の流動観測では、24日間で最大17 cmに達する比較的大きな流動が観測された。観測を行った秋の時期は、融雪末期にあたり、雪氷体が最もうすく、流動速度が1年でもっとも遅い時期にあたる。このため、カクネ里雪渓は、1年を通じて連続して流動する「氷河」である可能性が非常に高いと言える。 年間の流動速度は、2.5 m前後と推定され、剱岳の三ノ窓・小窓氷河(3~4 m/年)よりは小さいものの立山の御前沢(ごぜんざわ)氷河(0.2~0.5 m/年)よりは大きかった。
著者
原 康之 川岸 直樹 中西 史 武田 郁央 宮城 重人 佐藤 和重 関口 悟 佐藤 成 大内 憲明
出版者
一般社団法人 日本移植学会
雑誌
移植 (ISSN:05787947)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.048-052, 2013-03-10 (Released:2014-10-03)
参考文献数
12

An indocyanine green (ICG) test is a reliable and convenient examination that has been generally used for evaluating the liver function for hepatectomy, especially in patients with hepatic cirrhosis. We routinely perform an ICG test a preoperative examination for the donor of the living donor liver transplantation (LDLT). Here we report a rare case of living donor with Gilbert's syndrome and a constitutional ICG excretory defect.A 32-year-old woman became a donor candidate of LDLT for her 7-month-old nephew with fulminant hepatic failure. Preoperative examination tests showed no abnormal values except a marked delay of ICG retention rate at 15 minutes (69.2%) and hyperbilirubinemia; total bilirubin was 2.5 mg/dl, and indirect bilirubin was 2.3 mg/dl. The patient was diagnosed as Gilbert's syndrome with constitutional ICG excretory defect but was still entitled as an appropriate living donor. Left lateral segmentectomy was performed for the donor, and there were neither perioperative nor postoperative complications. Laboratory tests of the donor showed no remarkable change during a two-year course after surgery. The recipient was discharged 87 days after the transplantation without severe complications.This case report showed that left lateral segmentectomy could safely be performed on the living donor with Gilbert's syndrome and constitutional ICG excretory defect. However, more data collections and deliberations are required to decide whether a volume extraction of grafts, i.e., right or left lobe, is applicable to this donor.
著者
久世番子著
出版者
文藝春秋
巻号頁・発行日
2012
著者
海野弘著
出版者
リブロポート
巻号頁・発行日
1988
著者
西嶋真理子
出版者
日本地域看護学会
雑誌
日本地域看護学会誌 (ISSN:13469657)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.98-105, 2007
被引用文献数
1

本研究は,保健師に求められる地域看護診断(地域の保健ニーズをアセスメントし,計画策定)のできる能力の基礎を備えた保健師教育の基礎資料とすることを目的に,地域看護実習の中で学生が地域看護診断の展開過程をどのように学習しているかを分析した.方法は,E大学4年次学生22名のうち書面で同意が得られ,現地オリエンテーションが実習期間中に行われた10名の実習日誌に記述された内容から,地域看護診断の学習過程について分析した結果,以下のことが明らかになった.1.現地オリエンテーションでは,保健所・市町の組織,保健事業,保健師活動等から地域に必要な保健サービスについて学習している.初回地区踏査では自然環境や交通・人々の集まり等から人々の暮らしぶりを実感している.2.2事例4名の実習日誌の経時的分析から地域看護診断の学習過程は,<地区や人々の実像が見える><テーマに関わる対象が見える><データを関連づけて分析できる><健康課題を抽出し,背景・地域の強みがわかる><計画策定のアウトラインがわかる>の5段階の学習過程を辿っていることがわかった.地域看護診断の過程でデータの分析は,地域を大づかみに把握した後,データを焦点化し,統合化する思考過程が推測された.以上のことから,地域看護診断の展開過程における学生の学習過程が明らかになり,それぞれの段階に応じた支援の必要性が示唆された.
著者
川本 竜彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

水に富む流体と(1)堆積岩、および、水に富む流体と(2)高マグネシウム安山岩との間の臨界終端点を決定した。その結果、(1)火山フロントの下のスラブ直上では、沈み込む堆積岩層からマントルに付加される流体は、たっぷりとケイ酸塩成分を溶かし込んだ超臨界流体で、(2)マントルウェッジ内を上昇する高マグネシウム安山岩質成分を溶かし込んだ超臨界流体は、マグマと水流体に分離しマントルとそれぞれ反応し、2種類のマグマを作る仮説を提案する。
著者
村西 良太
出版者
東京大学社会科学研究所
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.35-56, 2014-03-31

特集 「グローバル化と公法・私法の再編」多国間の政策決定に際して、その民主的正統性を確保するために、国内議会に事前の承認権を留保するしくみが考えられる(議会留保)。こうして「議会」に付与された決定権は、常に「本会議」じしんによって行使されなければならないか、それとも「委員会」にゆだねる手法も一考に値するのか。いわゆるグローバル化の進展にともなって、政策決定の迅速性または秘匿性がいっそう強く求められるなかで、この問題は現実的な意義を獲得しつつあるように思われる。ドイツの議論―なかんずく連邦憲法裁判所の判決―に範を求めるならば、一方には全国民の代表たる全ての議員に等しく認められるべき議事参画権、もう一方には議事手続や内部組織の自律的な形成を内容とする議会の自己組織権が位置しており、両者の要請をいかに両立させるかが問われることとなる。本稿は、委員会に対する決定権の移譲を例外的場合に留めようとする連邦憲法裁判所の構想を原則的に共有しつつも、「本会議」と「委員会」それぞれの構造的特性に即した両者の協働可能性を探る試みである。In diesem Beitrag geht es um die Arbeitsverteilung innerhalb des Parlaments. Es handelt sich namlich um die Zulassigkeit und Grenze der Ubertragung der Parlamentsbefugnisse von Plenum auf Ausschusse. In Deutschland vor allem bei eilbedurftigen oder vertraulichen Entscheidungen, die oft mit Globalisierung verbunden sind, kommt dieser Frage eine erhebliche Bedeutung zu. Das Bundesverfassungsgericht geht einerseits davon aus, dass plenarersetzende Entscheidungen durch Ausschusse nur in begrenzten Ausnahmefallen moglich sind. Den Grund dafur bilden die Statusrechte jedes Volksvertreters. Andererseits ist das Parlament aber befugt, innere Teilorgane selbst zu gestalten, um seine Arbeitsfahigkeit sicherzustellen. Im Rahmen dieses Selbstorganisationsrechts raumt dem Parlament das Bundesverfassungsgericht einen weiten Ermessensraum ein. Hier stellt sich eine Frage nach der Ausgleichung zwischen der parlamentarischen Geschaftsordnungsautonomie und dem Prinzip der Beteiligung aller Abgeordneten an den Entscheidungen des Parlaments. Es scheint mir angebracht zu sein, ein zusammenwirkendes Verhaltnis von Plenum und Ausschusse mit Rucksicht auf ihre Organisation, Zusammensetzung, Funktion und Verfahrensweise zu suchen.
著者
間瀬 清美 原田 妙子 小町谷 寿子 石原 久代
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.219-228, 2003

超高齢化社会に向かおうとしている今, 若年から高齢に至る男性の衣服着用の実態や習慣を理解しておくことは, 重要であると考える.男性の快適な衣生活に向けた基礎資料を得るため, 男性の衣服着用の現状についてアンケート調査を13歳~94歳の男性1,165名に対して実施し, 以下の結果を得た.<BR>(1) 着用衣服として下着類は, どの年代においてもブリーフよりトランクスを着用する人が多かったが, 若年層程トランクスの着用率が高かった.<BR>(2) 就寝時の服種は, 若年層はTシャツの着用が多いのに対して, 40~60歳以上では大半がパジャマの着用をしている.なお, 60歳以上では寝巻きを好む人も増え, 年層による差が大きい事が判明した.<BR>(3) 着用日数については, シャツ, ブリーフ, トランクス, ソックス類は, 夏季は殆どの人が1日, 冬季でも1日~2日で替えていたのに対し, パジャマの日数は, 1~3日の人が夏で83.2%を占め, 冬で64.4%と多く, 4日~1週間着用する人もかなり出現した.パジャマは1日の着用時間が比較的長いにも関わらず, 着用日数は長いことが判明した.<BR>(4) 衣服に対する意見として, 上着類は色, 柄, 形, ブランドなど人から見られるイメージを重視する意見が多かったのに対し, 下着類や就寝時の着衣に対しては, 着心地に対するこだわりが多かった.<BR>(5) 衣服選択については, 上着類は67.5%の人が自分で購入するのに対し, 下着類の購入は妻, あるいは女性の家族に任せる傾向が強かった.下着のコーディネートについても, 外出着, 普段着と比較して女性に任せる傾向があり, 年齢が上がるとともに多くなっている。また, 衣服の購入時に, 若年層は色・柄を重視し, 高齢者では, 着心地, 素材を重視していた.<BR>(6) トランクス着用者は上着類選びについて, 色・柄を最も重視するのに対して, ブリーフ着用者はサイズを最も重視している.また, 下着類はどちらもサイズを最も重視するが, その他の項目としてはブリーフ着用者が着心地, 素材と着装感を重視するのに対してトランクス着用者は色・柄を重視していることが判明した.
著者
シバラム V. ストランクス S. D. スネイス H.J.
出版者
日経サイエンス ; 1990-
雑誌
日経サイエンス (ISSN:0917009X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.82-88, 2015-10

シリコン製が支配する太陽電池の市場で,「ペロブスカイト」と呼ばれる結晶材料でできた新型の太陽電池が注目されている。日本の大学で生まれた成果で,世界中の研究者が実用化を目指し開発競争に参入している。
著者
森 健太郎 松村 純 藤井 亮介 清水 砂希 宮地 諒 西 祐生 中野 希亮 米倉 佐恵 出口 美由樹 荒木 茂
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】我々は石川県で活動しているスポーツ選手を対象に身体機能チェック,セルフエクササイズの指導を平成25年4月より行っている。今年度からはGrayCookが考案したFunctional Movement Screen(以下FMS)を用い,評価した。FMSとは7つの動作パターンをスクリーニングすることにより,動きの制限や非対称性を特定し,ランク付けが可能となるもので,トレーニングを行う選手の障害リスクを予測するための指標となると提唱している。今回そのFMSで得られた結果について報告する。【方法】対象は,石川県で活動している実業団や高校部活動などの現役選手74名(平均19.5±6.5歳。男性47名,女性27名)であった。競技種目別人数はレスリング14名,ハンドボール11名,卓球7名,アルペンスキー7名,テニス6名,ソフトテニス6名,自転車競技6名,ソフトボール5名,フットサル3名,人力飛行機2名,その他水泳,バスケットボール,バレーボール,スキージャンプ,ダンス,マラソン,バドミントンが1名ずつであった。選手の運動パターンの質を評価するためFMSを実施した。FMSは選手に7つの動作をしてもらい,それぞれ0から3点で点数化する。採点基準として3点はFMSのテスト基準に沿った正しい動作パターンを行うことができる場合。2点は動作パターンを行うことができるが,代償や誤ったフォーム,アライメント不良が認められる場合。1点は動作パターンが不完全でFMSの基準に沿った動作ができない場合。ただし痛みがある場合はすべて0点となる。Gray Cookは不良なパターンがみられる1点以下の被験者は障害のリスクが高い可能性があると述べており,今回は3点と2点をリスク無し群,1点と0点をリスクあり群とした。7つの動作は,基礎的な動作パターンとして主に可動性を評価するショルダーモビリティリーチング,アクティブストレートレッグレイズの2種目,主に安定性を評価するトランクスタビリティプッシュアップ,ロータリースタビリティの2種目の計4種目を挙げており,さらに応用的動作パターンとしてディープスクワット,ハードルステップ,インラインランジの3種目を挙げている。【結果】結果①:7つの動作テストを通してリスクあり群は63名(85.1%)であり,そのうち痛みがあった選手は22名(29.7%)であった。結果②:7つの動作テストの内訳をみると,リスクあり群が最も多かったテストは,トランクスタビリティプッシュアップで40.5%。2番目はロータリースタビリティで37.8%。3番目はディープスクワットで31.1%。以下ショルダーモビリティリーチングは27.0%。ハードルステップは16.2%。アクティブストレートレッグレイズは12.2%。インラインランジは5.4%。の順であった。結果③:リスクあり群を動作テスト項目ごとにみていくと,基礎的な動作パターンの可動性の項目,安定性の項目,応用的動作パターンの項目の中では安定性の項目が62.2%で最も多かった。可動性の項目の中では,ショルダーモビリティリーチングでリスクあり群が最も多かった。結果④:基礎的な動作パターンの中ではアクティブストレートレッグレイズが応用動作パターンの中ではインラインランジで最もリスクなし群が多かった。【考察】結果①より,現在は診断名がついておらず,医療的介入を受けていないにもかかわらず,動作テストによって痛みが出る選手が29.7%おり,現役の選手でも痛みのある中,トレーニングを続けていることがわかった。さらに現在,痛みはないが将来的に障害を起こす可能性のある選手が55.4%いることがわかった。この選手たちはパフォーマンスに関しての指導は受けていたが動作の質への意識や,基本的な運動に関しては指導を受けていないため,理学療法士の個別の介入の必要性があると考えられる。結果②,③,④から体幹やコアの反射的な安定性が低下した選手が多かったことが考えられる。近年,コアエクササイズがよく推奨されているが,今回のスクリーニングでは点数が低かったテストでは肩甲帯の安定性も必要となるため肩甲帯,コア,骨盤を反射的に安定させながら動作を行う能力の低下も問題に繋がると考えられる。【理学療法学研究としての意義】スポーツ現場では筋力やスピードなどパフォーマンスの量的評価が重要視されているが,FMSは運動パターンの質を評価することにより障害のリスクを予測するものである。動作をスクリーニングすることにより,将来の障害のリスクの可能性がある選手を発見するための標準化されたテストとして有用であると考え,予防を目的とした理学療法を実施するための一助となり得るのではないかと思われる。
著者
小山 貴之 中丸 宏二 相澤 純也 新田 収
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2016, 2017

<p>【はじめに,目的】近年,アスリートに対する動作スクリーニングとしてFunctional Movement Screen(FMS)が用いられている。FMSは7つの動作(ディープスクワット;DS,ハードルステップ;HS,インラインランジ;IL,ショルダーモビリティリーチング;SMR,アクティブストレートレッグレイジング;SLR,トランクスタビリティプッシュアップ;TSP,ロータリースタビリティ;RS)からなり,定義された動作指示のもとに各動作を行い,0~3点(21点満点)で点数付けされる。FMSが14点以下の場合に重症外傷の頻度が有意に高くなるとの報告から,外傷予防の観点でシーズン前にFMSを実施する意義は高い。加えて,FMSの各動作のスコアから課題を探り,修正のためのエクササイズを重点的に実施することで,外傷を予防できる可能性がある。本研究は,可動性に焦点を当てたコレクティブエクササイズの実施がFMSのスコアに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。</p><p></p><p>【方法】対象は大学アメリカンフットボール選手95名とした。学年は1年生が39名,2年生が23名,3年生が18名,4年生が15名,ポジションはOLが13名,QBが3名,WRが23名,RBが10,DLが12名,LBが14名,DBが20名だった。オフシーズン期である2016年2~3月にベースラインのFMSを測定し,4月から12週間,コレクティブエクササイズを週3回実施した後,終了時のFMSを再測定した。この間,怪我等で練習を一定期間中止した選手は除外した。FMSの点数付けは,FMS level 1のライセンスを持つ理学療法士から十分な指導を受けたスタッフが理学療法士の監視のもと行った。ベースライン測定の結果から,可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズのプログラムを作成し,選手への点数のフィードバックとともに実技指導した。統計学的分析は,FMSの総合スコアと各動作スコアについてベースライン時と終了時の差を比較するため,Wilcoxonの符号付順位検定を行った。有意水準は5%とした。</p><p></p><p>【結果】各スコアの中央値(四分位範囲)は,ベースライン時・終了時の順に総合スコアが15(14-16)・16(15-17),DSが2(2-2)・2(2-3),HSが2(2-2)・2(2-2),ILが2(2-3)・2(2-3),SMRが3(2-3)・3(2-3),SLRが3(2-3)・3(2-3),TSPが2(2-3)・2(2-3),RSが2(2-2)・2(2-2)だった。検定の結果,総合スコアとDS,SMR,SLR,TSPにおいてベースライン時よりも終了時のスコアが有意に高かった。</p><p></p><p>【結論】コレクティブエクササイズの実施により,12週間でFMSスコアの改善が認められた。FMSの各動作は相互の影響があり,可動性の低下はDSやHSのスコア低下につながることが多い。本研究では可動性の改善に焦点を当てたコレクティブエクササイズを実施したことで,可動性を主な要素とするSMRやSLRだけでなく,DSやTSPの改善にもつながったと考えられる。</p>
著者
三宅 晋司 佐藤 望 赤津 順一 神代 雅晴 松本 一弥
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.239-249, 1996
被引用文献数
1

室温のゆらぎ条件 (28~30℃: 1/fゆらぎに基づくもので, 平均45分の短周期ゆらぎと平均90分の長周期ゆらぎ) と28℃で一定の定常条件で温度制御を行い, 終夜睡眠ポリグラフおよび体表面皮膚温を測定した. さらに, 起床時に主観的睡眠感と温熱感の調査を行った. 被験者は健康な男子大学生12名で, 適応夜3夜の後, 3条件の実験を無作為の順序で行った. 睡眠時間は8時間 (11時30分就床, 7時30分起床) とし, 睡眠中はトランクスのみの裸の状態で寝具の使用も禁止した. 有効な10名についての結果では, 定常条件において stage IIの出現率が長周期ゆらぎ条件よりも多いことが示された. また, REM+徐波睡眠の全就床時間に対する割合を睡眠質の指標とした場合, ゆらぎ条件と定常条件間で有意差が認められ, ゆらぎ条件のほうがやや良い睡眠であることが示唆された. その他の各種睡眠パラメータおよび主観的睡眠感では条件間で有意差は認められなかった.
著者
斉藤 保典 小林 一樹 鈴木 剛伸 平藤 雅之 木浦 卓治 深津 時広
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-11, 2013
被引用文献数
2

圃場現場の環境情報や作物生育状況を実時間で計測し,公開と情報共有を行う圃場センシングネットワーク「アグリサーバ」を構築した.アグリサーバのセンシングノードには,気温・湿度および日射量センサ,カメラ,通信デバイス,制御回路等が含まれ,ノード管理および計測データの転送等は,全てインターネットを通じて行われた.センシングノード自体は,長野県上高井郡小布施町のブドウ,クリ,リンゴ,野菜の各圃場に設置され,平成18年度から試験運用を開始し平成20年度より本格運用を継続している.データの公開と利活用を進めるため,アグリサーバ専用のホームページ「農ライブ」を制作した.農ライブにおける農業情報の利活用法として1)IT/精密農業,2)トレーサビリティ,3)農ビジネス,4)教育,5)コミュニケーション,6)アグリツーリズム,への応用を提案し,具体的事例を示すことでその有効性を議論した.その結果アグリサーバは,小布施町の活性化にとって非常に重要な農業情報を提供することが示された.<br>
著者
東京美術学校 編
出版者
南都七大寺大鏡発行所
巻号頁・発行日
vol.観世音寺大鏡 第1冊-第5冊, 1930