著者
梶田 武俊 千田 貢
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.259-265, 1969-06-15 (Released:2011-02-17)
参考文献数
19

AAおよびEAの分解に及ぼす(Fe3+イオンの)影響について検討し,次のごとき結果を得た。(1) AAまたはEA水溶液にFe3+を溶かしたHCl溶液を触媒液として加え,これにO2をふき込みながら反応させると,EAはAAよりも分解が速く,反応20分後に約76%の差を生じ,この差には再現性のあることを認めた。(2) AAまたはEAのFe3+イオンによる触媒酸化は,反応液のpHによって強弱があり,pHが低下するに従って分解はすみやかとなり,触媒活性は大となる。しかし触媒なしでは,たとえ反応液のpHが低下しても分解はほとんど進行しないことを認めた。(3) 共存する塩類が,AAまたはEAの分解に及ぼす影響について検討したところ,イオン濃度が高くなると,AA, EAとも幾分分解は阻害された。(4) AAまたはEAの濃度変化と残存率との関係をみたところ,両酸とも高濃度となるに従って,残存率もわずかに増加する傾向がみられた。なお,混合割合と残存率との間には,一定の濃度範囲内では直線的関係が成立することを認めた。これらの結果よりみて,この分解差を利用して,ある範囲内でAAとEAの同時定量が可能と考えられる。
著者
吉田 雅行 荻野 和功 小倉 廣之
出版者
Japan Association of Breast Cancer Screening
雑誌
日本乳癌検診学会誌 = Journal of Japan Association of Breast Cancer Screening (ISSN:09180729)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.223-229, 2013-07-20
参考文献数
2

浜松医師会は平成16年度にマンモグラフィ検診導入,精度管理の一環で毎年報告しているが,その成績と課題から,乳がん検診の医師会(地域医療)の役割を考察した。【対象と方法】従来の医師会型で初年度50歳以上・偶数年齢・視触診+MLO,2年目以降40歳代・二方向撮影を追加した。二次読影はマンモグラフィ講習会B以上2名(1名はA)の合議制とし,無料クーポン券は平成21年より開始した。結果より課題を明らかにし,医師会員のアンケート調査から医師会(地域医療)の役割を検討した。【結果と考察】受診者数は初年度3,145人,2年目6,525人,21年度は無料クーポン券で倍増した。受診率も平成20年度16.8%から無料クーポン券で30%へ上昇し,23年度37.9%だが50%には遠い。『検診に二人誘って50%(ぱー)』ポスターで受診者教育を展開している。要精検率は初年度10.1%と高いが,徐々に低下し5~6%前後を維持している。乳がん発見率は初年度0.45%,その後0.20~0.29%と概ね良好である。しかし,精検未受診率未把握率は平成21年度以降30%以上で,精度管理上問題である。医師会,行政,検診実施者間の協議会が必要である。さらなる受診率向上には,病診連携と患者の健康管理を担う"かかりつけ医"に,受診勧奨と患者家族の啓発が期待される。【結語】旧浜松市の乳がん検診の課題は高い精検未把握率と低い受診率であり,精度管理の協議会開催と医師会員の"かかりつけ医"としての受診勧奨に期待される。
著者
村越 伸行 許 東洙 西連地 利己 五十嵐 都 入江 ふじこ 富沢 巧治 夛田 浩 関口 幸夫 山岸 良匡 磯 博康 山口 巖 大田 仁史 青沼 和隆
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.236-244, 2016

【目的】一般住民における上室期外収縮の長期予後については,いまだ不明である.本研究の目的は,一般住民健診における上室期外収縮の診断的意義を調べることである.【方法と結果】われわれは1993年の年次一般住民健診を受診し,2008年まで経過を追えた63,197名(平均年齢58.8±9.9歳,67.6%女性)を解析した.一次エンドポイントは平均14年のフォローアップ期間中の脳卒中死亡,心血管死亡,または全死亡,二次エンドポイントは心疾患あるいは心房細動(AF)のない解析対象者における最初のAFの発生とした.上室期外収縮のない解析対象者と比較して,上室期外収縮のある解析対象者のハザード比(95%信頼区間)は,脳卒中死亡:男性1.24(0.98~1.56),女性1.63(1.30~2.05),心血管死亡:男性1.22(1.04~1.44),女性1.48(1.25~1.74),全死亡:男性1.08(0.99~1.18),女性1.21(1.09~1.34)であった.AFはフォローアップ期間中386名(1.05/1,000人年)に発生した.ベースラインでの上室期外収縮の存在は,AF発症の有意な予測因子であった〔(ハザード比(95%信頼区間):男性4.87(3.61~6.57),女性3.87(2.69~5.57)〕.傾向スコアマッチング解析でも,上室期外収縮の存在が交絡因子の補正後もAFの発症および心血管死亡のリスク上昇に有意に関連していた.【結論】一般住民における12誘導心電図での上室期外収縮の存在は,AF発症の強い予測因子であり,心血管死亡リスクの上昇に関連している.
著者
柳井 都古杜 阿部 和規 山田 知典 藤井 秀樹 吉村 忍
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

交通シミュレーションにおける入力データであるOD推定は結果を左右する指標として極めて重要である。従来OD推定は、確率論的利用者均衡配分モデル(SUE)を用いて行われていたが、近年計算機能力の向上により、交通施策の評価手段としてミクロ交通シミュレーションを用いた研究が増えている。本研究では、当該推定に伴う不確実性に関して、SUEによるものとミクロ交通シミュレーションを用いたものとの比較・検討を行う
著者
佐藤 季久恵 高屋 英知 小川 亮 芦原 佑太 栗原 聡
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.31, 2017

交通渋滞の解消における主な取り組みであるナビゲーションと信号機制御において,今回は後者について深層学習を用いる手法を提案する.これまでにもGAやマルチエージェント等による手法が提案されているが,交通状況の特徴をいかに抽出するかが課題となっている.そこで,高い特徴抽出能力を持つ深層学習と,報酬に基づいた最適な行為を学習する強化学習を組み合わせたDeep Q-Networkを用いた制御手法を提案する.
著者
杉江 英司 松岡 雅典 秋山 俊弥 三村 宏 住友 芳夫
出版者
社団法人日本鉄鋼協会
雑誌
鉄と鋼 (ISSN:00211575)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.1190-1197, 1983
被引用文献数
2

High Strength Line Pipe Research Committee in the Iron and Steel Institute of Japan has conducted five full scale burst tests with air pressure of 12.0 MPa on pipes of 48 in. in diameter and 0.720 in. in wall thickness of API. grade X 70, made with both controlled rolled steels and quenched and tempered steels. The arrestability of the pipes for the propagating shear fracture can be evaluated by Charpy absorbed energy and is not influenced by the existence of separation. The critical Charpy energy for arresting the shear fracture depends on the distance in which the crack should be arrested, and this phenomenon is well explained by solving the equation which governs the change in the crack velocity. Under the present test condition, the critical Charpy energy is 180 J for the arrest within one pipe length and 130 J for the arrest within two pipe length.
出版者
奈良教育大学自然教育演習室
雑誌
奈良自然情報
巻号頁・発行日
vol.12, 1991-06-24

ホタル/カブトエビ、ホウネンエビ、カイエビ/6月11日/春日山~若草山/ホトトギス/ビロウドハマキ/カノコガとコシアキトンボ/チョウ/プールの水生昆虫/オオムラサキ発見!
著者
庭井 史絵
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.13-24, 2016

本研究は,司書教諭や学校司書が行おうとする学校図書館利用指導の内容が,既存の教科の中でどのように取り扱われているかを明らかにすることによって,情報活用能力育成における利用指導の独自性や意義について論じることを目的とする.教師用指導書から,情報の探索と利用に関する指導内容を示す記述を抽出し,利用指導の内容と比較した結果,利用指導で取り扱う知識・技能は,「教科でも同じように取り上げられているもの」,「一部が教科でも指導されているもの」,「教科では取り扱われていないもの」の3つに分類できることが分かった.利用指導は,生徒が自ら情報を探し出すこと,多様な情報源の特徴を生かして利用すること,適切な形で記録を取ることに焦点を合わせており,教科とは異なる指導領域を有している.このような知識・技能は探究的な学習において求められていることから,学校図書館と教科が連携して情報活用能力の育成に当たることは,教育的に大きな意義があると確認できた.
著者
木村 明憲 高橋 純 堀田 龍也
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.25-36, 2016

家庭での自主学習において,児童が情報活用の実践力の育成を意図した学習支援カードを活用した.自主学習における学習支援カードの活用の状況,効果について, 1年間の調査結果を分析した.学習支援カードの活用状況について,児童が自主学習を行うノートに学習支援カードの領域及び項目の名称が記述されていた場合に,記述されている領域及び項目をカウントし,一人あたりの年間記述数の平均値を求めたところ135.4回であった.これは,年間の自主学習の実施回数の平均である111.2回を超えており,毎回のように学習支援カードが用いられたと考えられる.特に「まとめる」「集める」領域に関連する活動が多く行われた.また,児童の感想やノートの記述から児童の情報活用の実践力に高まりが見られた.こういった学習活動が年間を通して繰り返し行われたことによる効果であると考えられた.
著者
山本 亮 佐々木 直美 中島 由美 橋本 康子 伊勢 昌弘 吉尾 雅春
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.B0277-B0277, 2005

【はじめに】<BR> 今回,脳梗塞による注意障害は徐々に改善し,院内生活では問題とならなくなったが,自動車運転において障害が表面化し,結果的には運転を断念した症例を担当した.その注意障害を,テスト上や院内生活時と自動車運転時との差について検討し報告する.<BR>【症例紹介】<BR> 46歳女性,右中大脳動脈領域の広範な梗塞により,左片麻痺・半側空間無視を呈した.発症後約2ヶ月で当院へ転院,理学療法を開始した(以下,初期評価時).発症後4ヶ月頃より1ヵ月半かけて自動車学校にて教習を4回行った.教習終了時では,Brunnstrom stage左上肢2・下肢3,感覚障害は中等度鈍麻であり,日常生活自立度はFIMにて101点で,清拭動作と階段昇降で3~4点,その他は6~7点と自立レベルであった.<BR>【注意障害の変化について】<BR> 半側空間無視:初期評価時は,線分抹消テストでの消し忘れは無かったが,院内生活において左側の部屋や人・物を見落とす場面を認めた.教習終了時には院内生活での空間の障害はみられなくなった.しかし自動車運転時は,左折時に左折した先の左車線を見落とし,大きく膨らんで反対車線に侵入する等を認めた.<BR> 選択性の障害:初期評価時は,日常動作が会話等で容易に中断される場面が多く認められたが,教習終了時の院内生活では行動の一貫性は保たれ特に問題は見られなくなった.自動車運転時では,車の発車時に周囲の確認ばかりを行い,自分でなかなか動き出せない等を認めた.<BR> 分配性の障害:Trail Making Testでは,初期評価時Part A 1分45秒,Part B 4分30秒,教習終了時Part A 1分18秒,Part B 3分5秒と改善を認めた.院内生活では,調理場面にて複数の動作を並行して行えるようになった.自動車運転時では,ハンドル操作に集中すると足でのペダル操作がおろそかになる等の場面を認めた.<BR> また,4回の教習にて運転動作の向上は認められたが,注意障害の改善はほとんど認められずに同じ失敗を何度も繰り返し,最終的に教官の判断にて運転を断念した.<BR>【考察】<BR> 方向性注意については,院内生活には身体動作や時間の余裕があり,意識付けにより代償しているが,自動車運転時では動作が重複することや時間の経過が速いことから,その代償が十分に行えないのではないかと考えた.<BR> 全般性注意については,自動車運転時は院内生活に比べ,対象とする「空間の広さ」や必要となる「情報量の増加」と,その「情報処理の速さ」が同時に要求されるために,注意障害があたかも増悪したような結果になったと思われる.<BR> これらのことより,院内だけで評価やアプローチを行うには注意機能面だけにおいても限界があり,自動車運転などのように,より実際的な場面での評価の重要性を認識させられた.
著者
Masaaki Takahashi Chie Yoshida Toshikazu Komoda
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
The Horticulture Journal (ISSN:21890102)
巻号頁・発行日
pp.OKD-076, (Released:2017-06-10)
被引用文献数
5

A light irradiation method was found to promote coloring in sweet pepper fruit (Capsicum annuum L.) harvested at the breaker stage of mature green fruit. In summer and autumn culture, heating systems are not usually used, and a large amount of uncolored fruit remains after harvest because of low temperatures and/or insufficient sunlight. We investigated the use of light irradiation to enhance the color of the fruit post-harvest and found that light intensities between 50 μmol·m−2·s−1 and 200 μmol·m−2·s−1 made no difference to the coloring rate; however, higher intensities resulted in an increase in the carotenoid content, which is responsible for the color in red sweet pepper fruit. Although temperatures of 15–25°C with light irradiation are considered to be appropriate for fruit coloring, the transpiration rate was found to increase in propotion to temperature rises, and the fruit wilted at 25°C. We also confirmed that fruit colored more than 50% by light irradiation continued getting colored in the dark at temperatures above 15°C. This combination of light irradiation and dark processing may potentially improve the ripening process efficiency and preserve the market value of fruit.
著者
岡本 隆之 山口 一郎
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.24, no.10, pp.1051-1058, 1996-10-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
25

Surface plasmons are electromagnetic waves localized and propoagating along metal-dielectric interfaces. They can be excited by a p-polarized light in an attenuated total reflection geometry. The surface plasmon resonance can be used in laser microscopy that provides two dimensional maps of refractive index and/or thickness of samples with very high sensitivity. Spatial light modulators using the surface plasmon resonance are also described.
著者
三谷 一郎
出版者
日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.156-159, 1961-05
著者
山口 政幸
出版者
専修大学日本語日本文学会
雑誌
専修国文 (ISSN:02863057)
巻号頁・発行日
no.86, pp.37-58, 2010-01