著者
葛城 元 黒田 恭史
出版者
一般社団法人 数学教育学会
雑誌
数学教育学会誌 (ISSN:13497332)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3-4, pp.125-139, 2016 (Released:2020-04-21)

高等学校数学においては,科学的思考方法の習得を目指した数学教材の開発を行い,実践していくことが望ましい。オリガミクスは,日本古来の折り紙を発祥にしつつも,現在では様々な領域で発展する科学の一分野となりつつある。オリガミクスを数学教育に活用する利点は,学習者自らが様々な折り方を試行錯誤することができ,実験・検証が可能になることである。本稿では,科学的思考方法の習得を目指したオリガミクスによる数学教材の開発を目的とする。

2 0 0 0 OA 膵炎

著者
真弓 俊彦 新里 到 眞田 彩華 鍋島 貴行 宮里 和明 石川 成人 大石 基 遠藤 武尊 中園 和利 弓指 恵一 山中 芳亮 大坪 広樹 古屋 智規
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.349-356, 2016 (Released:2017-04-12)
参考文献数
24

重症急性膵炎では,多数のRCT やそれらのメタ解析で,発症72 時間以内の早期の経腸栄養が死亡率や合併症を有意に減少させることが示されている. しかし,実臨床では経腸栄養が早期に開始されていることは少なく,特に診断後48 時間以内に開始される例は非常に少ない.膵酵素の高値,腹痛,蠕動音消失,多量の胃液排出は,経口摂取の中止基準にはなっても,経腸栄養の中止基準にはならず,これらが認められていても経腸栄養を開始できる.重症急性膵炎でも早期から経腸栄養を開始することが肝要である. 従来,経空腸的な経腸栄養が施行されてきたが,メタ解析により,経空腸栄養ではなく,経胃栄養も可能かもしれないことが示唆されている.また,免疫調整栄養,プロバイオティクス,シンバイオティクスの有用性はまだ定かではない.
著者
鈴木 将充 Michael HENRY 加藤 佳孝 勝木 太
出版者
一般社団法人 セメント協会
雑誌
セメント・コンクリート論文集 (ISSN:09163182)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.148-154, 2010-02-25 (Released:2014-03-31)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

火害を受けたコンクリートは強度や耐久性などが低下し、水中で再養生することにより諸性能は回復すると報告されているが、その詳細な回復機構は未だ明らかではない。そこで本研究は、水中再養生による回復機構を解明するため、物理的観点(総細孔量、ひび割れ)および化学的観点(再水和生成物)からの検討を行った。その結果、総細孔量は加熱前の状態まで回復し、結合水量およびCa(OH)2生成量も加熱前と同程度であったが強度は完全に回復しなかった。これにより、再水和生成物と接触する部分が脆弱部を形成し、回復機構に影響を及ぼしているのではないかと推察された。
著者
石川 大輔 岩屋 隆夫
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.243-247, 2000-05-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
12

東京都伊豆小笠原諸島には, 「まいまいず井戸」と呼ばれる井戸がある.この「まいまいず井戸」は, 近世前の井戸形態の一つで, 直接, 地表部をオープンカットするという盤井である. これらの井戸は, 武蔵野台地や徳島県徳島市にも存在していることが確認されている. 本論は, 全国の「まいまいず井戸」を調査し, かかる井戸の特徴などを検証する.
著者
辻 大士 高木 大資 近藤 尚己 丸山 佳子 井手 一茂 LINGLING 王 鶴群 近藤 克則
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.383-393, 2022-05-15 (Released:2022-05-24)
参考文献数
40

目的 地域診断により要介護リスクを抱えた高齢者が多く居住する地域を特定し,モデル地区として重点的に通いの場の立ち上げや運営を支援することで,地域レベルの指標が改善し地域間の健康格差が縮小するかを検証することを目的とした。方法 神戸市と日本老年学的評価研究は,要介護認定を受けていない高齢者を対象に全市で実施したサンプリング郵送調査データを用い,市内78圏域(1圏域≒中学校区)の地域診断を行った。複数の要介護リスク指標で不良な値を示し,重点的な支援が必要と判断された16圏域を2014~19年度にかけてモデル地区として指定し,市・区・地域包括支援センター・研究者らが連携して通いの場の立ち上げや運営を支援した。さらに,4回(2011, 13, 16, 19年度)の同調査データ(各8,872人,10,572人,10,063人,5,759人)を用い,モデル地区(16圏域)と非モデル地区(62圏域)との間で,中間アウトカム9指標(社会参加3指標,社会的ネットワーク2指標,社会的サポート4指標)と健康アウトカム5指標(運動器の機能低下,低栄養,口腔機能低下,認知機能低下,うつ傾向)の経年推移を,線形混合効果モデルにより比較した。結果 2011,13年度調査では,全14指標中13指標でモデル地区は非モデル地区より不良な値を示していた。その差が2016,19年度調査にかけて縮小・解消し,年度×群の有意な交互作用が確認された指標は,中間アウトカム4指標(スポーツ・趣味関係のグループ参加,友人10人以上,情緒的サポート提供),健康アウトカム3指標(口腔機能低下,認知機能低下,うつ傾向)であった。たとえば,2011年度の趣味関係のグループ参加はモデル地区29.7%/非モデル地区35.0%であったが,2019年度には35.2%/36.1%と地域差が縮小した(P=0.008)。同様に,情緒的サポート提供は83.9%/87.0%が93.3%/93.3%(P=0.007),うつ傾向は31.4%/27.2%が18.6%/20.3%(P<0.001)となり,差が解消した。結論 地域診断により要介護リスクを抱えた高齢者が多く住む地域を特定し,住民主体の通いの場づくりを重点的に6年間推進することで,社会参加やネットワーク,サポートが醸成され,ひいては地域間の健康格差の是正に寄与したことが示唆された。
著者
東泉 裕子 水島 諒子 小板谷 典子 黒谷 佳代 西平 順 山本(前田) 万里 瀧本 秀美
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.368-382, 2022-05-15 (Released:2022-05-24)
参考文献数
56

目的 ストレス,メンタルヘルス,睡眠,疲労に関わる軽度な不調(軽度不調)は,それぞれが密接な関係にあるとともに,それらの悪化が生活習慣病等を惹起することが報告されている。客観的な健康指標との関係性が明らかな軽度不調を明らかにすることで,質問票による健康状態の予測が可能になると考えられる。とくに,日常的にストレスを感じる者の割合の高い日本人を対象とした疫学文献を用い,軽度不調に関する質問票と健康指標との関連についてシステマティックレビューを行い,軽度不調の尺度開発に必要な調査票の項目の検討を行うこととした。方法 軽度不調に関する先行研究のキーワードを基に「自律神経系」,「睡眠障害」,「精神およびストレス」,「疲労」についてPubMedを用いて研究論文を検索した。抽出された研究論文は,以下の包含基準(日本人健常者集団を対象に含んでいる,対象集団の特徴について記載がある,研究デザインが分析疫学研究,介入研究およびシステマティックレビューである,軽度不調を質問票で評価している,軽度不調と健康指標との関連を検証している,日本語または英語で書かれている)に沿ってスクリーニングし,10件を採択した。結果 採択論文10件中1件がコホート研究,3件が症例対照研究,6件が横断研究であり,研究対象者は成人期の労働者が5件と多かった。ストレスに関する質問票を用いた報告6件のうち3件で,睡眠に関する報告7件のうち4件で,包括的な健康状態に関する報告2件のうち2件で,それぞれの軽度不調と健康指標との間に統計学的に有意な関連が報告されていた。調査票による仕事に関連するストレス反応の増加は,健康指標の「うつ病発症リスク(オッズ比2.96(信頼区間:1.04-8.42))」の増加と関連していた。また,睡眠の質の低下は「自律神経指標の変化」,「併存疾患の数およびうつ病の比率」および「労働時の傷害のリスク」の増加と関連していた。加えて,健康度スコアは「自律神経指標」との関連が認められた。結論 これらの結果から,軽度不調の評価に必要な質問票には「ストレス」,「睡眠の質」,「包括的な健康状態」に関する質問が必要であることが示唆された。一方,バイアスリスクに適切に対処した研究が限られていることから,今後,コホート研究や介入研究において,本研究で整理した質問票と健康指標との関連について,前向きに検討する必要がある。
著者
三須 建郎
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.56, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
12

【要旨】抗アクアポリン4(aquaporin 4:AQP4)抗体が発見されて以後、細胞表面抗原に対する抗体を検出することに重点が置かれる大きなパラダイムシフトがあったといえる。そのようななかで、わが国でも非ヘルペス性の自己免疫性脳炎のなかから最初に発見されることになったのが NMDA 受容体抗体関連脳炎である。以後、辺縁系脳炎において LGI1 抗体や AMPA 抗体などつぎつぎと自己抗体が報告されるにいたっている。これらの自己抗体は髄腔内で持続的に産生されることが知られ、病理学的に異所性リンパ濾胞を形成する形質細胞から持続的に産生されていることが明らかになっているが、AQP4 抗体のような補体介在性の細胞傷害はまれであり、NMDA 受容体抗体は抗体介在性に内在化させることで病原性を発揮するほか、LGI1 抗体はシナプスにおける蛋白結合を阻害することで、てんかん発作を誘発する。
著者
遊磨 正秀 小野田 幸生 太田 真人
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.142-149, 2021-05-20 (Released:2021-05-28)
参考文献数
21
被引用文献数
3 1

琵琶湖流入河川においては瀬切れが頻発している.その一つである安曇川の下流部に伏流時水位をも計測できる低水位対応型水位計を設置し,2005-2008年に記録した河川水位から瀬切れの発生状況を把握した.安曇川下流部においては5月から12月まで様々な時期に瀬切れが生じていた.瀬切れ時の河川水位と降水量,農業用水取水,琵琶湖水位との関係を検討した結果,農業用水の取水や琵琶湖の低水位が関与していることが示唆された.琵琶湖と流入河川を回遊する魚類等の保全のためにも,低水位環境をモニタリングができる水位計ならびに流量監視カメラの設置が必要であることに加え,農繁期・農閑期および治水期・非治水期の各季節における河川・琵琶湖における水管理の再検討が必要である.
著者
宮津 寿美香
出版者
人間環境学研究会
雑誌
人間環境学研究 (ISSN:13485253)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.105-113, 2010 (Released:2010-12-29)
参考文献数
31
被引用文献数
3

This study aimed to observe infants' production of pointings during the preverbal vocal period at a nursery school. Participants were four 1-year old children (one boy and three girls). The characteristics on infant production of pointing were classified into seven categories ("a. attention getting", "b. place and direction", "c. naming", "d. demand", "e. question", "f. explanation", "g.imitation"), and of those which were inapplicable to any other categories were classified into the category of "h. others". The main results were as following. First, in the nursery school, the frequency of pointing increased as children developed. Second, by comparing the average frequency of infants' pointing manipulated "in infant-adult (nursery teacher) interaction" and "in peer interaction", the frequency of pointing "in peer interaction" was significantly more than that "in infant-adult interaction". Third, the ratio of infants' pointing, categorized into "f. explaination" was high, both "in infant-adult interaction (36 %)" and "in peer interaction (31 %). Although the ratio of infants' pointing "in infant-adult interaction" was high in "d.demand" (20 %) , and in "e. question" (14 %), the ratio of pointing "in peer interaction" was high in "h. others" (23 %), and in "g.imitation" (17 %). Moreover, the ways of pointing gestures were different among these categories. These findings suggest that children's intention to produce pointing, should be considered to be different, depending on whom they tried to interact (adults and peers). Finally, because there were some distinctions among infants' pointing categorized as "h. others", further categorization was done, and classified into three categories ("instructive pointing", "greeting/confirmation", and "pointing toward imaginative objects").
著者
岩田 敏也
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.67, no.552, pp.295-302, 2002-02-28 (Released:2017-02-04)
参考文献数
22

The aim of this research is to clarify the characteristic of the design and construction of beam svstetn in the main halls of the Esoteric Buddhist temple in TOKAl district in the Edo period. The conclusions are as follows. 1) There are some common distinctions of the beam svstem in "Gejin" (the outer chamber) of the Buddhist halls in this district in the Edo period, by which these Buddhist halls can be classified. 2) Some Buddhist halls adopted the Rainbow-beam of 3-pillar spans in the lengthwise direction of it, especially in the eastern part of MIKAWA and TOTOUMl areas. 3) These beam systems has developed still more in the Edo period, inheriting technical skills from the Medieval period. It has become more comnlicated with gigantic beams, in structure.
著者
谷村 健 濱田 明美 鬼束 楠里 野崎 直樹 甲斐 孝憲 小川 喜八郎
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.56-64, 2005-01-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

宮崎県日向灘沿岸および沖縄県石垣島周辺海域からの焼酎用酵母の分離を試みた結果,酵母様微生物を547株分離できた。産膜が見られず,糖醗酵性試験により,良好な結果の得られた16株を選抜した。選抜菌株について醗酵試験,芋焼酎小仕込み試験を行い,醗酵経過が安定し,酒質も良好であったBlD-12株を最優良菌株とした。同菌株はS. cerevisiaeであると同定され,従来の焼酎用酵母よりも耐塩性およびアルコール耐性が高いことが示唆された。高耐塩性は海水域由来株の指標の1つになりうると考えられる。また, 2次膠の最高晶温35℃前後の条件下おいても醸酵は順調に推移し,BlD-12株は高温耐性株であることが確認された。さらに,実地規模での芋焼酎仕込み試験で従来の酵母よりも良好な醸酵経過を示したことから,ソバ等に代表される他の穀類原料においても実用化が期待できる。
著者
伊達 修一 寺林 敏 松井 浩平 並木 隆和 藤目 幸擴
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.485-489, 2002-07-15 (Released:2008-01-31)
参考文献数
11
被引用文献数
5 6

水道水を用いて作成した培養液による水耕栽培で, しばしば発生する根部褐変の原因について調査した.サラダナの根部褐変は次亜塩素酸の形態で存在する水道水中の残留塩素とアンモニウムイオンが存在する培養液でのみ発生し, どちらか一方しか存在しない培養液では発生しなかった.また, 次亜塩素酸あるいはアンモニウムイオンどちらかを含む培養液に交互に移植しても根部褐変は発生しなかった.従って, 根部褐変は次亜塩素酸とアンモニウムイオンにより生成するクロラミンにより発生するものと考えられた.さらに培養液中の残留塩素濃度の低下は, 光条件下で鉄イオンの存在により促進された.
著者
相原 嘉之
出版者
一般社団法人 日本考古学協会
雑誌
日本考古学 (ISSN:13408488)
巻号頁・発行日
vol.11, no.18, pp.171-180, 2004-11-01 (Released:2009-02-16)
参考文献数
16

飛鳥地域には謎の石造物と呼ばれる飛鳥石(石英閃緑岩)の彫刻加工石材が多く存在する。この中のひとつに「酒船石」がある。その用途・製作時期についても謎のままであるが,平成4年度にこの石造物のある丘の中腹で,奈良県天理市近郊で採石される凝灰岩質細粒砂岩切石で構築された石垣が発見された。遺跡が飛鳥宮の東方に位置し,天理市で採石される石材で石垣を構築していることから,『日本書紀』斉明2年是歳条に記載のある「宮の東の山に石を累ねて垣とす」,あるいは「両槻宮」に該当する遺跡として注目を浴びた。その後の調査でこの石垣は丘陵を取り巻くように700m以上にも及ぶことか判明してきた。さらに平成11年度には北側の谷底から亀形石槽を含む導水施設が見つかり,遺跡が7世紀から9世紀まで存続していたことがわかり,その性格についても重要な示唆を示すものとなった。これまで12年間,25次にわたる調査によって,遺跡は4つの地域に区分が可能である。これらは遺跡の範囲確認調査として実施してきたが,各地域によってその性格等が判明してきた。丘陵上の石垣はその構造からみて,防御施設よりも視覚を意識した構造であり,その中心に酒船石がある。築造時期は明言できないが,斉明朝として問題はなく,石垣の倒壊時期は天武朝の白鳳南海地震と推定できる。さらに丘陵西斜面の列石はその後改修されていることも判明した。北部地域では遺構の変遷が明らかとなり,斉明朝に造営され,その後天武朝に大規模な改修を経て,平安時代まで存続する。亀形石槽を含む導水施設は,その構造や立地から祭祀色が強く,斉明から持統朝にかけての天皇祭祀を実践した遺跡であると考えられる。一方,東部地域では,飛鳥東垣内遺跡で検出していた運河の上流部分を確認した。これまでの調査を検討すると,酒船石の丘陵東側から香具山の西側までのルートが復元でき,斉明2年是歳条にある狂心渠と対比されることになった。また,西部地域では7世紀後半から8世紀にかけての石組溝を検出し,飛鳥盆地東側の水を北へと流す基幹排水路と推定された。また,同時に出土した大量の木簡群から周辺に飛鳥宮の官衙が推定されるようになった。これらのことから酒船石遺跡は丘陵上及び北部地域が一体となって構成されており,『日本書紀』にも記される斉明朝に築造され,天武・持統朝まで継続的に使用された,天皇祭祀に関わる遺跡と考えられる。また,東部地域はこの遺跡に砂岩石材を運搬するための運河「狂心渠」を中心とした遺構群である。さらに西部地域は一部で丘陵部に関わる遺構もみられるが,主に飛鳥宮の官衙地区のひとつと推定できる。いずれにしても酒船石遺跡は律令制成立前後の天皇祭祀に関わる巨大な遺跡であり,律令国家形成過程における天皇祭祀の形態を研究する上でも重要である。