著者
栗田 萌
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、近年グラフェンなどで実現されるディラック電子のようなゼロギャップ半導体において、電子相関の効果で新奇の量子相が出現する可能性を探るべくVMCを用いた計算を試みた。スピン軌道相互作用が無い場合でも、ゼロギャップ半導体の対称性が電子相関により破れて系がトポロジカル絶縁体になる可能性があり、これがトポロジカルモット絶縁体と呼ばれる系であり本研究の課題である。計算はハニカム格子系で行い、これにオンサイトのクーロン相互作用Uおよび周辺サイトとのクーロン相互作用V1,V2を導入した。その結果、今までの平均場での研究と比べてトポロジカルモット絶縁体の領域は他の秩序相に潰されてしまい、大きく制限されてしまうことがわかった。しかし、ハニカム格子上の六角形の対角線上のホッピングパラメーターをコントロールすることでトポロジカル絶縁体のオーダーパラメーターが残りそうな領域を現在見いだしている。理論的にはフェルミ速度が小さいほどトポロジカルモット絶縁体になりやすく、VMCによる数値計算の結果、フェルミ速度を従来のハニカム格子の10%程度にまで小さくすることでトポロジカルモット絶縁体が安定する領域を見つけ出すことが出来た。この研究に関する投稿論文は現在執筆中である。また、スピン軌道相互作用が存在する一般的なハミルトニアンのシュレディンガー方程式を解くための変分モンテカルロ法の開発を行った。そのベンチマークとして変分モンテカルロ法にてキタエフ模型の解を求めた。従来使われていた変分関数では、キタエフ液体の基底状態をうまく表現することができなかったため、我々は波動関数に射影演算子をかけて解の精度を上げることに成功した。24サイトおよび32サイトの模型においてエネルギー誤差0.1%程度の波動関数の構成に成功した。この研究の成果は現在Physical Review誌に投稿していて、審査中である。
著者
大山 太 小島 善和
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、大災害時に医療サービスを展開する災害医療チームが、被災地で活動する際に使用するコミュニケーション手段を、特定小電力無線レピーターによって確立するシステムを研究した。その結果、太陽光発電を利用した独立型の中継器が完成した。このシステムを使用すれば、市町村規模での活動に十分利用できることが確認できた。
出版者
日経BP社
雑誌
日経ベンチャ- (ISSN:02896516)
巻号頁・発行日
no.188, pp.26-29, 2000-05

数多くの中小企業のコンサルティングを手がけてきた細野知久税理士の事務所には、「騙された」と嘆く経営者がしばしば相談に訪れる。細野税理士は、こうした経営者に「なぜ『大丈夫だ』とあなたは考えたのか、その根拠を教えてください」と尋ねることにしている。 ほとんどの経営者は「いままで大丈夫だったから」と答える。
著者
柴崎 亮介
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

GPSに加え多数の測位衛星システムが2020年までにサービスを開始する。位置情報の重要性は一層重要になる。たとえば、自動車の走行ルートに従って課金することができれば、柔軟な料金政策が可能になるだけでなく、料金所などの建設費用、混雑費用などを削減できる。しかしながら、位置情報の重要性が向上するにつれ、偽の位置情報を利用して課金を免れるなどの「位置騙し」が行われる可能性がある。そこで認証された位置情報を既存のインフラの大幅な改良や新規開発なしに生成する方法を開発した。具体的には、我々はGPS(QZSS)信号のリザーブビットに認証レファランス信号(RAND:Referance Authentication Navigation Data)を新規に定義して挿入、送信することで、それを受信して測位を行うケースには、真正な位置であることを証明できる。これは現行のGPSの信号構成に影響を及ぼさない。それをシミュレータを利用して実証した。なお衛星を利用して実証実験は地上からの信号送出のための地上局システム改良が間に合わず、実現できなかった。
著者
三浦 秀士 津守 不二夫 長田 稔子 姜 賢求
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

粉末冶金によりヘテロ組織ネット構造を実現し,焼結合金鋼の超強靭化を図った.引張特性を調査し,最も引張特性に優れる最適な組成(6mass%Ni-0.4mass%C),焼結条件(1250℃×1h,真空)熱処理条件(960℃×30min溶体化後油焼入れ,200℃×1h焼戻し,Ar)を見出し,ヘテロ組織形態の最適化による超強靭な特性(最大引張強さ2040MPa,伸び8%)を得た.さらに,疲労強度は焼結鍛造鋼に匹敵する650MPaを示した.また組織観察の結果を有限要素法に反映してシミュレーションを行い,ヘテロ組織の優位性を確認した.
著者
宮島 啓子 吉田 仁 熊谷 信二
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.74-74, 2010 (Released:2010-04-08)
参考文献数
17
被引用文献数
5 12

内視鏡消毒従事者におけるオルトフタルアルデヒドへの曝露状況:宮島啓子ほか.大阪府立公衆衛生研究所衛生化学部生活環境課―目的と方法:最近,内視鏡消毒剤として,グルタルアルデヒドの代替品としてオルトフタルアルデヒド(OPA)の使用が増えてきている.我々は,消毒従事者のOPA曝露状況と健康影響を明らかにするため,内視鏡洗浄室17ヶ所において作業環境調査と質問紙調査を行った.これらの内視鏡洗浄室には,スコープの消毒に浸漬槽を用いる9ヶ所の手動洗浄室と自動洗浄機を用いる8ヶ所の自動洗浄室がある. 結果:スコープ消毒時のOPA曝露濃度は,自動群(中央値:0.35 ppb,範囲:ND-0.69 ppb)と比較し,手動群(中央値:1.43 ppb,範囲:ND-5.37 ppb)で有意に高かった.同様に,消毒液交換時も,自動群(中央値:0.46ppb,範囲:ND-1.35 ppb)よりも手動群(中央値:2.58ppb,範囲:0.92-10.0 ppb)の方が有意に高かった.消毒従事者の勤務時間中の平均曝露濃度は,手動群では0.33-1.15ppb(中央値0.66ppb),自動群では0.13-1.28ppb(中央値0.33 ppb)であり,手動群でOPA曝露が高い傾向が見られた.OPA製剤のみを使用していた女性の消毒従事者80人における消毒作業に関連した自覚症状愁訴率は,皮膚症状10%,眼症状9%,呼吸器症状16%,頭痛3%であった. 考察と結論:これらの結果は,消毒従事者のOPA曝露レベルを低減するために,自動洗浄機導入が望ましいことを示唆している. (産衛誌2010; 52: 74-80)
著者
大西 琢朗
出版者
首都大学東京
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,多様な論理の妥当性を統一的に説明しうるような「二元論的/双対的な意味のモデル」を,「証明論的意味論」の立場から確立することである。平成26年度はこの目的に照らして(1)「推論のパラドクス」に対する証明論的意味論の立場からの解明,および(2)「様相演算子としての否定」にかんする形式的研究,を行った。(1)について:推論のパラドクスとは,演繹的推論の正当性 (説得力があること) と有用性 (新しい知識の獲得を可能にすること) という2つの特徴のあいだには衝突があるのではないか,という問題である。本研究では,この問題にかんするマイケル・ダメットの議論を批判的に検討し,論文「間接検証としての演繹的推論」として発表した。そこではまず,彼の枠組みのなかでも特に「検証可能性」という様相的な概念に注目し,それが彼の議論においてほんらい意図されている役割を十分に果たせていないということを明らかにし,次に,オルタナティブな推論モデル,すなわち(二元論的/双対的な)「双側面説」をベースにしたモデルを提示し,それがダメットの枠組みの欠陥をある仕方で解消できる,と論じた。(2)について:否定演算子を,いわゆる可能世界意味論によって定式化される様相演算子と捉える研究伝統に対し次のような寄与を行った。第一に,様相としての否定を形式化するシークエント算(ディスプレイ計算)の体系を構築した。第二に,「自己双対的」な否定は「不可能性」と「非必然性」という二種類の否定的様相を同一視することで得られる,ということを明らかにした。これにより,従来の研究で構築されてきた枠組みのなかに含まれていた,いくつかの不自然な点を解消することができた。この研究成果は学会・研究会で口頭発表した後,Australasian Journal of Logicに投稿し,現在,修正の上掲載可という査読結果を得ている。
著者
芦田 徹郎
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.169-177, 1993
著者
秋元 孝文
出版者
甲南大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

科研費の給付を受けている期間中に2回の学会発表と3本の論文という形で、Scott FitzgeraldのThe Great Gatsby, Herman Melvilleの”Bartleby, the Scrivener,”Jack London のThe Assassination Bureau Ltd.についての考察を発表した。これまでにすでに発表してきた6本の論文を加えた計9本の各論をまとめる形で2018年秋に一冊のまとまった単著として出版の予定であり、本研究計画中は当該期間においてのみならず、より長期的なスパンにおいても多大な成果をあげたと言える。
著者
小笠原 法子
出版者
東邦大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

本研究は、ストーマ(人工肛門)を保有した人とその家族の「折り合い」を明らかにすることを目的とする。ストーマ保有者11名とその家族7名にインタビューを実施した。ストーマ保有者とその家族に共通していたのが「しょうがない」という言葉であった。「しょうがない」とは、他によい手段がないと思えることである。「折り合い」とは、諦め・妥協ではなく、ストーマ保有者とその家族が最も大切にしていることを守るためには他に手段がなかったと思えることである。
著者
松永 佳世子 矢上 晶子 佐野 晶代 中村 政志
出版者
藤田保健衛生大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

近年、グルパール19S(GP19S)を含む特定の洗顔石鹸の使用者に新規な即時型コムギアレルギー患者が大規模に発生し、社会問題化した。本研究では、最初に、GP19S特異IgE抗体を指標とした検査法を構築した。これは、重症度を反映し、予後評価にも有用と考えられた。また、患者血清IgE抗体を用いた免疫学手法により、小麦グルテンやGP19Sの製造工程サンプル、GP19S以外の加水分解コムギ(HWP)との結合性を評価し、GP19S特異IgE抗体のグルテンへの交叉反応が症状誘発機序であること、GP19Sの抗原性は酸加熱処理の工程で生じたこと、一部の他HWPにも類似抗原が含まれること、を特定した。

1 0 0 0 行の哲学

著者
紀平正美著
出版者
岩波書店
巻号頁・発行日
1923
著者
紀平正美著
出版者
山海堂出版部
巻号頁・発行日
1928
著者
紀平正美著
出版者
森江書店
巻号頁・発行日
1927

1 0 0 0 自我論

著者
紀平正美著
出版者
大同館書店
巻号頁・発行日
1916
著者
小早川 誠
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

外来化学療法中のがん患者の精神症状評価システム開発をめざし、看護師によるつらさと支障の寒暖計と精神科医による症状評価システムの実施可能性について検討した。外来化学療法中のがん患者130名に調査を行い、強い精神的つらさを示した38名のうち、6名が精神科医による面接を希望した。残り32名のうち、半数はその後の寒暖計調査で閾値を下回った。対象者において精神的支援の潜在的ニーズはあり、一部の対象者には介入効果があったと考えられる。