著者
山田 芳則 佐藤 友徳 山田 朋人 南雲 信宏 藤吉 康志 牛尾 知雄 原 旅人
出版者
気象庁気象研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

観測や数値モデルによる研究から、大雪や突風をもたらすような降雪雲に関して多くの知見が得られた。観測では、Kuバンドレーダーによって対流スケールでの降雪雲の3次元構造の時間変化を高解像度で捉えた。マルチドップラーレーダー解析から大雪時の降雪雲内のメソβ~γスケールの気流構造の特徴が明らかになり、山地の地表面での鉛直流を含む解析により札幌での大雪には雲と地形との相互作用の寄与が示唆された。数値モデルでは降雪予測を改善するバルク雲微物理モデルを開発した。大雪や突風を伴うことがあるメソαスケールのポーラーローについて過去30年間の冬の領域モデル実験から、この低気圧の発生や発達に寄与する過程を解明した。
著者
久保 哲夫
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

最大加速度値の大きな強震地震動の動特性と高加速度の地震動が建築構造物に入力する際の時間差を考慮した場合の時間差に対する応答の変動について、高加速度強震地震動データベースを作成し、数値解析によって弾性・弾塑性の応答の低減効果を定量的に評価した。大きな最大加速度を有する地震動は短周期成分が卓越する傾向を有すること、ならびに建築構造物の応答では入力の時間差を大きく取るほど応答が低減する傾向が認められた。
著者
井上 史雄 宇佐美 まゆみ 武田 拓 半沢 康 日高 水穂 加藤 和夫 今村 かほる
出版者
明海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究では、日本海側に分布する諸方言の地理的年齢的動態に着目して、総合的な実態調査を行った。線状の地域で年齢別にことばを調べて図化する「グロットグラム」(地理×年齢図)の手法は、日本方言学が独自に開発した、世界に誇るべき新技法である。本研究では、共同の現地調査により、日本海側のことばの動きを明らかにし得た。第1年度は、異なった機関に属していた研究者が、多様な研究手法を統一する手法について打合せを行った。また、各自がこれまで実施してきた調査との連続性を図るために、各地で継続調査を行なった。また全体調査の項目選定のための準備調査を行った。各分担者の調査地域を調整し、調査時期・調査技法の統合も行った。第2年度には、日本海ぞいの多数地点でグロットグラム(地理×年齢図)のための実地調査を行った。調査員としては、分担者および方言研究の経験のある協力者(小中高の教師)や大学院生・ゼミ生が参加した。データは調査終了後すぐにコード化した。各分担者のデータを統合し、配布した。第3年度には、グロットグラムのための実地調査を継続し、計画地点のデータを得た。分担を決めて、グロットグラムの図を作成した。集計に各分担者のもとのパーソナルコンピュータを利用することにより、グロットグラムも迅速に作製できた。日本海側各県で新方言・気づかない方言の使用状況に顕著な地域差がみられた。以前の調査の結果と対比することにより、太平洋側との様相の違い、東京からの影響の違いなどを確認できた。関連テーマの資料を合わせて年末に報告書を作成し、国内の方言研究者、言語変化の研究者に配布した。これにより、今後の関連調査の解説に役立つことと期待される。また成果の一部は夏の方言学国際会議(カナダ)で発表した。
著者
茂木 清夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.395-417, 1969-06
被引用文献数
3

一つの地震の発生は,多かれ少なかれ,地殻応力の解放と地殻の構造状態の変化(破壊)をもたらし,その後の地震活動に何らかの影響を与えるものであり,とくに大きい地震ではその影響が著しいはずである.従って,地震活動の本質は,単に定常的なものとしてではなく,時間的.空間的に変化しつづけるものとして,動的な取扱いによって明らかにされると思われる.このような観点から,前回の報告にひきつづいて,最近の日本及びその周辺の地震活動にみられる時間的・空間的規則性を論じた.その結果を次に要約する.
著者
茂木 清夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.395-417, 1969-06
被引用文献数
3

一つの地震の発生は,多かれ少なかれ,地殻応力の解放と地殻の構造状態の変化(破壊)をもたらし,その後の地震活動に何らかの影響を与えるものであり,とくに大きい地震ではその影響が著しいはずである.従って,地震活動の本質は,単に定常的なものとしてではなく,時間的.空間的に変化しつづけるものとして,動的な取扱いによって明らかにされると思われる.このような観点から,前回の報告にひきつづいて,最近の日本及びその周辺の地震活動にみられる時間的・空間的規則性を論じた.その結果を次に要約する.
著者
長友 康行 高橋 正郎 古賀 勇 Oscar Macia
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

グラスマン多様体への調和写像に関する一般化されたdo Carmo-Wallch理論のさらなる一般化を定義域がコンパクトリーマン多様体の場合に達成できた。これにより、インスタントンのADHM構成法と類似の調和写像のモジュライ空間の記述が可能となった。例として、複素射影直線から複素射影空間の複素2次超曲面への正則等長写像のモジュライを記述できた。さらに、モジュライが葉層構造を持つことが示され、その葉体はケーラー商で与えられる。また、複素射影直線から2次元部分空間のなす複素グラスマン多様体への正則同変写像の分類にも成功した。いずれの場合もモジュライのコンパクト化には幾何学的な解釈が与えられる。
著者
尾崎 敦夫 古市 昌一 阿部 一裕 中島 克人 田中 秀俊
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.2810-2818, 1999-06-15
被引用文献数
5

渋滞解消のための実時間信号制御や 広域な交通網整備などの用途への活用を目指した大規模交通シミュレータを開発した. 本シミュレータは提案した時空間オブジェクトモデルを基礎にインテル社製のMIMD型高並列計算機Paragon上に開発したものである. 本シミュレータの性能評価の一環として 並列処理の単位となる粒度に関して 高性能を得る最適な粒度を求めるための負荷バランス方式の実験を行った. 負荷バランス方式は 道路網を細かく分割して 各プロセッサヘラウンドロビンに割り振る多重マッピング方式を採用した. 横浜市の中心部4km×2km四方の領域の実データを使用し Paragonの32プロセッサを用いて 多重マッピング方式を適用した場合に 約3 000台の車と約1 400の信号付き交差点を実時間実行できることが分かった. このケースでは 負荷バランスを考慮しない単ーマッピング方式と比べて約2倍の性能向上が達成できている.We developed a large scale car traffic simulator based on a Space-Time Object model. The target application of this simulator is real time traffic lights control, design of road network and so on. In this paper, we discuss issues in implementation and the performance evaluation of the simulator. We also present the results of static load balancing. Two mapping schemes have been applied for estimation of the performance of load balancing. One is a one-to-one mapping scheme, in which one sub-road is mapped onto one processor. Another is multiple mapping scheme, in which more than two sub-roads are mapped onto one processor. The simulator based on multiple mapping can simulate about 3,000 cars and 1,400 traffic lights at real time speed on 32 processors of Intel Paragon using the actual road map of a 4km × 2km area in the heart of Yokohama city. The performance of the simulator based on multiple mapping is about two times faster than that of one-to-one mapping in this case.
著者
岡本 人志 桑田 万紀子 松若 郁子 槇原 清隆
出版者
尾道大学経済情報学部
雑誌
尾道大学経済情報論集 (ISSN:13469991)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.133-143, 2005-12

企業行動のモラル化に関する取り組みのなかで、化学工業とそれに属する個々の企業のレスポンシブル・ケアが新聞等においても取り上げられるようになり、広く注目を集めるようになった。日本化学工業協会のなかに設けられた日本レスポンシブル・ケア協議会によって後押しされ、支援されて、この協会の会員である個々の企業のレスポンシブル・ケアが推進されている。経営学、特に企業倫理の研究にとって、レスポンシブル・ケアは、もっと取り上げられるべき、重要なテーマである。協議会および個々の企業が毎年発行しているレスポンシブル・ケア報告書は、貴重な資料であり、整理することなしに放置し、忘れ去られてしまうには惜しい内容をもっている。この研究ノートにおいて意図するところは、毎年発行されるフロー情報を、企業と社会との対話という側面に焦点を合わせながら、私たちにとってのストンク情報へと転換し、同一企業の継続的な比較検討および企業間の比較検討を行っていくための基礎とする点にある。
著者
屋良 朝彦 金光 秀和 本田 康二郎 増渕 隆史 松本 大理 大北 全俊 藏田 伸雄 松浦 正浩
出版者
長野県看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は合意形成やコンフリクト・レゾリューションといった意思決定の方法論を応用倫理学の幾つかの領域(医療倫理、看護倫理、科学技術倫理、技術者倫理、ビジネスエシックス、コミュニケーション論)に適用し、その適用可能性を検証することである。具体的には、年に2回、3年間で6回の研究会を開き、上記各領域の専門家である研究分担者に研究成果を発表させ、上記課題の達成状況について討論した。研究成果を本年度中に「研究報告書 合意形成研究会の活動記録」(仮題)として発行する予定である。

1 0 0 0 OA 明治新撰泉譜

著者
成島柳北 編
出版者
朝野新聞社
巻号頁・発行日
1889
著者
四宮 陽子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.198-203, 2000-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
8
被引用文献数
4

The textural properties of noodles boiled and kept in a refrigerator for 0,1,2 and 4 hours and 1 day were investigated by a breaking test. The curve of the breaking stress was analyzed by difference calculus to indicate the degree of the change in hardness while chewing the noodles. The change in texture, or koshi, of the noodles after boiling could be quantitatively expressed by the change in slope of the breaking stress curve with a strain of 0.01. A multiple-regression analysis of the noodle texture was performed on the score from the sensory evaluation and the breaking test results. The breaking energy and the discrepancy in the slope of the breaking stress curve for the noodles were selected as independent variables, and the multiple correlation coefficient was 0.997.
著者
四宮 陽子
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 = Journal of cookery science of Japan (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.198-203, 2000-05-20
被引用文献数
8

生麺を調製し,ゆで後の経過時間を0,1,2,4時間および一日と変えたゆで麺のテクスチャーの特徴を,破断試験と官能検査で調べた。なお試料の水分含量は71.4±0.3%(w/w)で測定結果に水分含量の影響は無視できた。(1) 破断試験の結果,破断応力はゆで後2時間まで有意に減少したが,4時間以降の有意差はなかった。破断歪はゆで後2時間以降の減少が大きかった。破断エネルギーはゆで後の時間とともに徐々に減少した。もろさ出現率はゆで後2時間以降の増加が大きかった。(2) 破断応力変化率は,破断開始後(A)はゆで後徐々に増加した。最高値(B) はゆで直後が有意に高かった。両者の差は(B-A) は時間とともに徐々に減少し硬さは均質になった。破断直前値(C) はゆで直後が有意に高かった。B点の歪(D) はゆで後の時間経過とともに破断点から圧縮初期の方へ移動した。
著者
近藤 功 アンドレア クティチ 田中 宏征 坂野 鋭
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.573, pp.13-18, 2005-01-14

画像検索性能向上を目的とした, スティーラブルフィルタによるテクスチャ記述方法を提案する.従来のテクスチャ記述方法として, ガボールフィルタリングにより得られる画像の方向・空間周波数構造を利用したテクスチャ記述方法がある.ただし, ガボールフィルタリングにより得られる方向性は, 実用上, 特定の方向に限定される.そのため, 従来のガボールフィルタによるテクスチャ記述方法は, 方向性特徴を十分に活用できていない問題を持つ.この問題を解決するため, 我々は, 任意方向に指向性を持つスティーラブルフィルタを採用した.また, テクスチャ記述性能の向上のため, 方向に加え, 空間周波数, エッジ種類の解析を行った.予備的な実験により, 提案手法の可能性を検討した.
著者
中村 伸枝 石川 紀子 武田 淳子 兼松 百合子 内田 雅代
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究の目的は,2型糖尿病患者や肥満児を含めた小児とその親が,どのように自分の健康についての認識をもち,日常生活や健康管理行動を行っているのかを明らかにし,看護援助方法を検討することである。目的に添って2つの調査研究を行った。研究1(平成9年度):小児期発症の2型糖尿病患者および1型糖尿病患者を年齢・性をマッチさせた各20名を対象として療養行動,自尊感情,ソーシャルサポートについての自記式質問紙調査と,病気や療養行動の認識についての面接調査を行った。その結果,(1)2型糖尿病患者も1型糖尿病患者と同程度に病気の影響を受け止めていたが,1型糖尿病患者の方が,より肯定的に病気を受け止めていた。(2)外来受診,ストレス管理,禁煙,体重管理について1型糖尿病より2型糖尿病患者の方が大切であるという認識が少なかった。(3)セルフケアの動機づけは外来受診,体重増加,合併症発症により,高められていた。研究2(平成10年度):1485組の学童とその親に日常生活習慣と健康状態の実態と認識についての自記式質問紙調査を行った。その結果,(1)学童と親の日常生活習慣と肥満度には関連がみられた。(2)楽しく体を動かすことは,学童の心身両面を整えるうえで重要であった。(3)親は学童の身体面の問題はとらえやすいが,ストレスなどの心理面の問題はとらえにくい傾向がみられた。(4)学童の生活習慣が改善できない理由には,生活習慣の内容により特徴がみられた。(5)肥満度20%〜30%の軽度肥満の学童の親や,喘息など肥満以外の健康問題をもつ学童の親は,肥満を問題ととらえにくく,日常生活習慣の改善が必要であるとは考えにくいことが示唆された。本研究の成果をもとに,小学校で実施できる日常生活習慣改善プログラムを養護教諭とともに作成し,実施することを計画中である。