著者
野村 博義 若見 昇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.77, no.9, pp.1241-1249, 1994-09-25
被引用文献数
28

遺伝アルゴリズムによるファジー推論ルールの新しい決定法を提案する.本手法では,入出力データに基づき,簡略ファジー推論のルールの数と前件部のメンバシップ関数を遺伝アルゴリズムを用いて決定し,ルールの後件部をデルタルールを用いて決定する.遺伝アルゴリズムは,生物の進化の法則から発想された最適化手法である.遺伝アルゴリズムをファジー推論ルールの自動チューニングに用いることで,評価関数を従来の推論誤差だけではなく,入出力データの数やルールの数を考慮した関数にすることができ,更にルールのチューニング過程において局所解からの脱出が実現される可能性が出てくる.本論文では,まず,デルタルールによるルール後件部の決定法について説明し,次に遺伝アルゴリズムによるルールの数と前件部のメンバシップ関数の決定法について述べる.そして最後に,簡単な数値例を説明し,本手法により入出力データの数やばらつきに応じたルールの決定ができることを示す.
著者
加賀谷 真澄
出版者
秋田県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究「明治に出版された渡米の手引書に関する研究」は、明治の渡米ブームに乗って海を渡った若者たち(その中でも特に私費留学生)の出身階層を明らかにし、さらに当時の社会が期待した「海外雄飛する青年像」を考察する目的で実施された。「渡米の手引書」や、それに関連する資料を調査した結果、当時の知識人や苦学生の支援団体が、経済的に恵まれない階層の若者をサポートし、米国に送り出そうとする大きな動きがあり、実際に数多くの勤労学生が海を渡ったこと、そして、西海岸より就労も修学も困難である東海岸のラトガース大学に入学していた学生(力行会出身の学生)がいたことが確認できた。
著者
池田 一二 冨田 安志
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C-II, エレクトロニクス, II-電子素子・応用 (ISSN:09151907)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.621-628, 1993-10-25
参考文献数
10
被引用文献数
39

後2世代のカレントコンベア(CCII)に電流フォロワ回路を付加した4端子対能動素子のカレントコンベア(CFCCII)を用いた電流モードバイカッドフィルタの一回路形式を提案している.提案回路は電流加算器と2個の電流積分器によって構成されている.本構成は,CFCCIIの出力端子を接地または結線する回路変更で,すべての電流モード2次伝達関数が実現できる.各フィルタは高出力インピーダンスであり縦続接続が可能である.また,各フィルタのω_0,Q_0は独立に設定でき,Q_0は受動素子の比によって決まり,素子感度も0.5以下と低い,受動素子はすべて接地形であるのでIC化に有利である.更に,CFCCIIの不完全性の伝達関数への影響を検討した結果,ω_0は主としてCFCCIIの電流変換係数の影響を受け,Q_0は不完全積分器の影響を受ける.また,フィルタの動作限界周波数はQ_0の変化の許容値で決まることを示す.実際に,各フィルタを構成し実験によって良好な動作を確認している.
著者
宮本 元 眞鍋 昇 宮川 恒 杉本 実紀 眞鍋 昇 九郎丸 正道 奥田 潔 木曾 康郎 宮本 元
出版者
京都大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

人類が200年以上にわたって創り出してきた農薬、食品添加物等の多くの化合物が、生体の内分泌系のシグナル伝達を攪乱する内分泌攪乱物質として人類の生存を脅かすことが分かってきた。新規な原理に基づいた非侵襲的かつリアルタイムに生殖毒性を評価できる技術システムを構築し、従来法とは比較できない精度で速やかに生殖毒性を評価できる先端技術を確立することで、化合物の生殖毒性を的確に評価できる未来を開拓する基盤技術を開発することが本研究の目的である。本年度は、内分泌撹乱物質とホルモン受容体の結合様式、受容体分子の立体構造変化等を解析し、環境系に存在する様々な化合物の生殖毒性をリアルタイムに評価するシステムの確立を目指して研究を進めた。麻酔下の生きている動物をNMRシグナルを定量検出できる特殊な生体NMRプローブに保定し、胎児におけるNMRシグナルを部位特異的にリアルタイムに観測して、このデータをワークステーションにて3次元立体画像データに再構築して解析できる測定アプリケーションの作成と最適測定条件の決定を行った。毒性発現機構の生殖生理学的解明のため、遺伝子工学的にオーファン受容体に様々な構造変異を誘導し、化合物と受容体の相互的結合特性をNMRにて観測して分子構造学的に毒性を予測する技術を開発している。加えて、卵母細胞を包み込んで保育する卵胞は遺伝子に制御された細胞死によって選択されているが、これを調節している細胞死受容体のシグナルを制御している細胞内アポトーシス阻害因子(cFLIP)を新たに見いだし、これを介した細胞死シグナル伝達機構を解明し、分子レベルで化合物を評価する系を開発した。
著者
木曽 康郎 森本 将弘 岩田 祐之 山本 芳美 奥田 優 本道 栄一 前田 健
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2000

本研究は、受胎産物と子宮内膜との相互作用の解析を行い、(i)免疫担当細胞の特異性、(ii)子宮内サイトカインネットワーク、(iii)MHC発現の特殊性、(iv)補体調節因子、等の4点の変化を中心に複雑な母子境界領域の免疫応答機構と胎盤特異的情報との関連を総括的に捉え、胎盤の免疫抑制機構への環境因子の毒性的影響を明らかにし、適切なモデル動物を見いだすことであった。目的達成のため、生殖能力に多少なりとも問題が見られた多種多様なマウスモデルを使用した。これらと内分泌撹乱物質により生殖能力の低下(流産を含む)を見せたマウスと比較検討の結果、胎盤形成期に流産が誘起されたものは、両者の間で驚くべき相似性を見せた。すなわち、胎盤迷路部の発達不全、脱落膜の異常、ラセン動脈の異常、間膜腺の発達不全である。特に、迷路部の非化膿性炎症(胎子間葉組織肥大)、栄養膜巨細胞の分化異常、脱落膜細胞のアポトーシス不全、ラセン動脈血管内皮および中膜の肥厚、子宮NK細胞の異常、であった。これらは内分泌撹乱物質のエストロゲン様活性が局所的に、あるいは限局的に働いた結果と考えられた。一方、サイトカインや成長因子およびそれらのmRNA発現は、むしろ内分泌撹乱物質により生殖能力の低下(流産を含む)を見せたマウスで上昇するなど、まったく異なった。これらは内分泌撹乱物質のエストロゲン様活性が局所的に、あるいは限局的に働いた結果、母子境界領域で重要な免疫応答を担当する細胞(特に子宮NK細胞)にサブセットの変化を含めて、質的変化が誘導されたことを示唆した。今後の課題として、これまでの成果を基に絞り込んだ各因子を、胎盤および子宮内膜の各構成細胞株から作成した再構築組織様塊(オルガノイド)に導入し、これに生理活性を与え、妊娠現象を母子間免疫と胎盤特異情報との相互関連からブレークスルーさせたい。
著者
春日井新一郎
雑誌
土肥誌
巻号頁・発行日
vol.13, pp.669-822, 1939
被引用文献数
3
出版者
日経BP社
雑誌
日経アーキテクチュア (ISSN:03850870)
巻号頁・発行日
no.940, pp.66-71, 2010-12-13

2014年春、東京・大手町に完成する超高層ビルの足元に、約3600m2の"森"が出現する。その生育状況や管理方法を事前検証するため、約50km離れた千葉県君津市で、3年間にわたる実験が始まった。 「大手町の森」。東京建物が大成建設と開発する複合ビル「(仮称)大手町1-6計画」の外構計画の名称だ。
著者
見上 彪 前田 健 堀本 泰介 宮沢 孝幸 辻本 元 遠矢 幸伸 望月 雅美 時吉 幸男 藤川 勇治
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は猫に対する安全性、経済性、有効性全てに優れる多価リコンビナント生ワクチンを開発・実用化することである。以下の成績が得られた。1.我々は猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)のチミジキナーゼ(TK)遺伝子欠損株(C7301dlTK)の弱毒化とそのTK遺伝子欠損部位に猫カリシウイルス(FCV)のカプシド前駆体遺伝子を挿入した組換えFHV-1(C7301dlTK-Cap)の作出に成功した。C7301dlTK-Capを猫にワクチンとして接種した後にFHV-1とFCVの強毒株で攻撃したところ、猫は両ウイルスによる発病から免れた。しかし、FCVに対する免疫応答は弱かった。2.そこで、更なる改良を加えるために、FCVカプシド前駆体遺伝子の上流にFHV-1の推定gCプロモーターを添えた改良型組換えFHV-1(dlTK(gCp)-Cap)を作出した。培養細胞におけるdlTK(gCp)-Capのウイルス増殖能はC7301dlTKとC7301dlTK-Capのそれと同じであった。dlTK(gCp)-CapによるFCV免疫抗原の強力な発現は関節蛍光体法及び酵素抗体法にて観察された。加えてdlTK(gCp)-Capをワクチンとして接種した猫は、C7301dlTK-Cap接種猫と比較した場合、FCV強毒株の攻撃に対してその発症がより効果的に抑えられた。3.猫免疫不全ウイルス(FIV)のコア蛋白(Gag)をコードする遺伝子をFHV-1のTK遺伝子欠損部位に挿入したC7301ddlTK-gagを作出し、In vitroでその増殖性や抗原の発現を検討した。この2価ワクチンは挿入した外来遺伝子の発現産物が他の蛋白と融合することなく、自然の状態で発現するように改良されたリコンビナントワクチンである。培養細胞での増殖性は親株であるC7301とほぼ同じであり、イムノブロット解析により、C7301ddlTK-gagは前駆体Gagを発現していた。
著者
安田 豊
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
1984-01-23

新制・論文博士
著者
西村 竜一 三宅 純平 河原 英紀 入野 俊夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.103, pp.13-18, 2007-10-19
被引用文献数
16

提案する w3voice システムは、Web システムに対して、音声による入力インタフェースを拡張する。Java アプレットと CGI プログラムから構成し、通信プロトコルには、HTTP POST method と Redirection response を応用した実装を行った。このため、事前に特別な専用プログラムのインストールを要求せず、普段の Web ブラウザをそのままで使うことができる。また、音声認識、対話、ボイスチェンジャ、掲示板等の音声 Web アプリケーションを作成し、Web サイトで公開した。本研究は、家庭や職場等での音声インタフェースの利用環境を調べることを目的とする。そのために、利用者からの入力発話を蓄積し、分析をはじめている。約7ケ月で一日 47.6個、合計で 8 412 の入力を得ることができた。本稿では、提案システムの概要を述べ、収集データの発話時間及び SNR に関する調査結果を報告する。We have developed a speech input method called "w3voice" to build practical and handy voice-enabled Web applications. It is constructed using a simple Java applet and CGI programs comprising free software. The mechanism of voice-based interaction is developed on the basis of raw audio signal transmissions via the POST method and the redirection response of HTTP. We have released a number of w3voice applications on our website for public uses. The system also aims at organizing a voice database obtained from home and office environments. We have succeeded in acquiring 8,412 inputs (47.9 inputs / day) over a period of seven months. This report describes an overview of the proposed system, and results of analyzing collected inputs to observe utterance lengths and SNR.
著者
関口 博之 杉本 直三 英保 茂 花川 隆 浦山 慎一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.126-133, 2004-01-01
被引用文献数
13

MRAにおける血管領域の信号強度は血流量を反映するため,細い血管ほど輝度が低くなる.また細い血管ほどパーシャルボリュームの影響を強く受け,その輝度は更に低下する.このためMRAの血管輝度は広い範囲にわたり,単純なしきい値処理ですべての血管を抽出することは不可能である.血管輝度のレンジの広さはリージョングローイングによる抽出手法においても大きな問題となり,拡張条件を血管の位置や輝度に応じて動的に変更するといった対処法が必要になる.しかし一般的なリージョングローイングでは複数の血管内で拡張が同時に進行するため,各拡張点に異なる拡張条件を適用することは難しい.これを解決するために,血管を各枝単位に抽出する,枝単位リージョングローイングを提案する.枝単位リージョングローイングでは拡張条件の局所的な最適化だけでなく,拡張の途切れ先への再接続も容易に行えるため,抽出精度の更なる向上が期待できる.本手法を頭部MRAデータ5例に適用したところ,すべての例について抽出誤差が従来手法に比べて減少することを確認した.本論文では上記の抽出手法,並びに,客観的評価を行うために今回開発した,投影像を利用した数値評価法について述べる.
著者
城戸 尚治 兼板 佳孝 尾崎 米厚 谷畑 健生 神田 秀幸 大井田 隆
出版者
NIHON UNIVERSITY MEDICAL ASSOCIATION
雑誌
日大醫學雜誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.428-435, 2012-12-01

全国約 10 万人の中高生を対象とした大規模疫学調査データを用いて喫煙行動と不眠の関連性について検討を行った.調査デザインは断面標本調査とした.2004年から 2005 年にかけて全国学校総覧より無作為抽出した中学高校の在校生を対象に自記式質問調査票による調査を行い,回答に不備のなかった 102,451 人分の調査票を解析した.入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の有訴者率は,喫煙日数,喫煙本数が多いあるいはニコチン依存度が高いほど有意に高値を示した.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者に対する調整オッズ比を算出した結果,毎日喫煙する,1 日 21 本以上喫煙する,朝起きていつもすぐに吸いたくなるという群が最も高値を示し,いずれも有意な関連が認められた.これら体内のニコチン摂取量と不眠症状の関係から,喫煙行動と不眠の間に密接な関連があることが示唆された.今後,学校において喫煙防止と睡眠衛生を含めた包括的な対策が必要である.
著者
城戸 尚治 兼板 佳孝 尾崎 米厚 谷畑 健生 神田 秀幸 大井田 隆
出版者
日本大学医学会
雑誌
日大醫學雜誌 (ISSN:00290424)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.428-435, 2012-12-01
参考文献数
30

全国約 10 万人の中高生を対象とした大規模疫学調査データを用いて喫煙行動と不眠の関連性について検討を行った.調査デザインは断面標本調査とした.2004年から 2005 年にかけて全国学校総覧より無作為抽出した中学高校の在校生を対象に自記式質問調査票による調査を行い,回答に不備のなかった 102,451 人分の調査票を解析した.入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の有訴者率は,喫煙日数,喫煙本数が多いあるいはニコチン依存度が高いほど有意に高値を示した.多重ロジスティック回帰分析により非喫煙者に対する調整オッズ比を算出した結果,毎日喫煙する,1 日 21 本以上喫煙する,朝起きていつもすぐに吸いたくなるという群が最も高値を示し,いずれも有意な関連が認められた.これら体内のニコチン摂取量と不眠症状の関係から,喫煙行動と不眠の間に密接な関連があることが示唆された.今後,学校において喫煙防止と睡眠衛生を含めた包括的な対策が必要である.
著者
山根 龍一
出版者
日本大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

(1) 20世紀の日本を支配したマルクス主義思想等の実態を多角的に捉えた。(2)その上で、それらに対抗する思想大系(仏教、東洋思想、ダダイズム、アナーキズム)の所在を明らかにした。(3)戦前・戦時中と敗戦直後を、<連続>と<断絶>という観点から、複眼的に捉える視点を養った。(4)その上で、被占領下の日本でなぜキリスト教が要請されたのか、という人文諸学を横断する学際的な問いを、具体的に考察する端緒を得た。
著者
ゴラム サルワル A. K. M. 伊藤 利章 高橋 英樹
出版者
日本花粉学会
雑誌
日本花粉学会会誌 (ISSN:03871851)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.15-34, 2006-06-30
被引用文献数
3

光学顕微鏡(LM)・走査型電子顕微鏡(SEM)・透過型電子顕微鏡(TEM)により,スノキ属Vaccinium内に認められている30節のうち18節,合計37種の花粉形態を観察し,本属花粉形態の多様性の概要を明らかにした.SEMによる花粉の溝間極域の外壁模様とLMによる花粉形態計測値の類似性を基にして,各種が置かれている属内分類体系について評価した.四集粒花粉の溝間極域の外壁表面模様は,種類により微細いぼ状模様〜しわ状模様〜平滑模様と変異し,しわ状模様単位にはさらに「二次的な模様」:不明瞭〜微細で明瞭な縞模様があり,縞模様単位は更にビーズ状にくびれているものがあった.外壁模様は大きく7型に分けられ,1-3型はさらに12亜型に分けられた.花粉形態形質はスノキ属内で現在認められている節分類と明瞭に連関している訳ではなかったが,類縁関係に有意義な情報を与え,属内の分類学的な問題にも新しい見方を与えてくれた.アクシバ節のアクシバ花粉ははっきりした微細いぼ状模様(6型)を持ち花粉サイズも本属では最小であり,花粉形態形質は本種をスノキ属から分類する考えを支持する.地理分布と対応した四集粒サイズと花粉外壁模様の若干の差違が認められた.一般的に新世界産スノキ属種は花粉サイズが大きく,外壁模様は粗しわ状模様〜粗しわ状-平滑模様とまとまっている.一方で,旧大陸産種はサイズがより小さい傾向があり,外壁模様は微細いぼ状模様〜しわ状模様〜平滑模様とより広い変異を示す.