著者
柴原 直利 嶋田 豊 伊藤 隆 新谷 卓弘 喜多 敏明 後藤 博三 寺澤 捷年
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.43-50, 2000-07-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
20

C型慢性肝炎は高率に肝硬変症へと進展し, 自然治癒の可能性は非常に低いとされている。筆者らは, 和漢薬治療によりC型肝炎ウイルスが消失したC型慢性肝炎の一例を経験した。症例は37歳の女性。1982年の第一子出産時に輸血を受けた。1983年1月頃に全身倦怠感を自覚し, 慢性肝炎と診断され治療を受けていた。1988年に肝生検により慢性活動性肝炎と診断され, 同年5月に当科を受診した。初診時より補中益気湯・桂枝茯苓丸を併用投与し, 自覚症状は改善したが, ALT値は不変であった。しかし, 柴胡桂枝湯合当帰芍薬散投与後より徐々にALT値に改善が得られ, 加味逍遥散料に転方した1996年5月以降は正常化した。ウイルス学的検査においては, 柴胡桂枝湯合当帰芍薬散投与中である1995年3月に測定したHCV RNA定量では104 Kcopies/mlを示したが, 1998年4月以降は検出感度以下となった。
著者
髙森 寛
出版者
日本リアルオプション学会
雑誌
リアルオプションと戦略 (ISSN:21896585)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.59, 2020 (Released:2020-10-30)

本書は、その題名「投資戦略の数理モデル」が表しているように、「投資」という人間の基本的な、かつ普遍的な行為に関わる「戦略」なるものを扱い、また、その数理モデルへの水先案内をねらいとしている。 特に、投資の戦略については、近年、「リアルオプション」なる考え方が、個人の行動や、経営、経済の諸分野で、実践され、研究され、また、話題になっているが、本書は、このリアルオプションなるものを、数理的に、整合性のある体系化されたモデルとして、纏めている。
著者
青木 優里香 白髪 誠一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第67回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.372, 2020 (Released:2020-08-27)

本研究は,三次元ジグソーパズルをデザインするために必要な内部構造の定式化,使用する材料とその高精度な加工方法のアルゴリズムを構築することを目的としている。本報では,内部構造の定式化について行ったアルゴリズムの構築とプロトタイプの製作について報告している。; パズルの外形を立方体とし,それを等分割して立方体のピースを定義する。隣合うピースの接する面に対して,コネクターによって嵌合する接合面と嵌合しない接触面を市松パターンで与えることで全体の組立が可能で,かつ,全体としての一体性を確保することを目標とした。市松パターンのみでは,全体の一体性が確保できないことが明らかとなり,一部に追加の接合面を与えることで一体性を確保した。接合面におけるコネクターの嵌合方向は,各方向の面で一致させることで組立が可能となる。ただし,ピースの角部で隣合うコネクターが干渉するため,コネクターの位置の調整を行った。; 得られた三次元ジグソーパズルの3Dモデルを用いて,スタイロフォームをロボットアームで切削してプロトタイプを製作した。プロトタイプによって,全体の組立が可能であること,一体性が確保されていることを確認した。
著者
谷 誠一郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.102-112, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
84

量子コンピュータは,量子力学の原理を用いて計算を行うコンピュータであり,現在のコンピュータを超える計算能力を発揮することが期待されている.そのためには,量子コンピュータのハードウェアを効果的に使って計算を行うアルゴリズム(量子アルゴリズム)が必要となる.本稿では,これまで行われてきた量子アルゴリズム研究を概観し,課題と展望について議論する
著者
中川 栄二 石川 充 山内 秀雄 花岡 繁 須貝 研司
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.25, no.6, pp.571-573, 1993-11-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
6
被引用文献数
2

経管栄養を受け血清亜鉛値が低値であった重症心身障害児 (者) 8名に亜鉛欠乏症の治療を目的とし, 硫酸亜鉛, きなこ, ココアを投与してそれぞれの投与前後の血清亜鉛値の変化を検討した. 投与量は, 硫酸亜鉛は金属亜鉛として1~2mg/kg/日, きなこは15~259/日 (亜鉛としては0, 7~hng/日), ココアは6~129/日 (亜鉛としては0.7~1mg/日) とした. 投与前後の血清亜鉛値は, 硫酸亜鉛では45.5μ9/dl±8.1から76.5μ9/dl±4, 5に, きなこでは53.5μ9/dl±6.4から67.6μ9/dl±9.4に, ココアでは53.7μg/dl±7.2から66.4μg/dl±59にそれぞれ変化し, 硫酸亜鉛, きなこ, ココアのいずれも投与後に, より有意に亜鉛値を改善維持した. また, きなこおよびココアは硫酸亜鉛より少ない亜鉛投与量で同等の効果が認められた。さらにココアはきなこより少ないカロリーと投与回数で亜鉛値を改善維持することができた. 以上の点からこの三者の中では, ココアが亜鉛欠乏症改善剤として最も優れていると考えられた.
著者
松井 貴英
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.243-255,32, 2004-04-01 (Released:2009-12-09)

In Plato's Phaedo 74b2-3, at one stage of the argument for the theory of recollection, Socrates and Simmias agree that they have knowledge of equality itself. The aim of this paper is to answer the following two questions concerning this agree-ment : (1) What is equality itself, which they claim to know, the Platonic Form of Equality or some mathematical object different from Platonic Forms?(2) Is recollection a form of ordinary learning accessible to ordinary people or some kind of higher learning?In our approach to question (1), we deal first with 76b10-12. This passage suggests that only Socrates is capable of giving an account of Forms, including the Form of Equality, and this can be taken to imply that Simmias does not know this Form. The knowledge he has attained so far concerns only mathematical objects. This conclusion may be supported by 74c1-3, where the equality itself which Sim-mias is said to know is represented in the plural.As to question (2), Socrates says that whenever we recollect something through something like it, we necessarily recognize that the latter is defective in its similarity to the former (74a5-7), and this statement suggests that recollection is not simple concept formation, but rather a kind of higher learning, which requires reflective thought.Now in this process of recollection, where does Simmias, who doesn't have knowledge of Forms, stand? The 'Divided Line' in the Republic and the comparison with the slave boy in the Meno help us to answer this question : his state of mind corresponds to 'dianoia' in the 'Divided Line', but is nearer to 'noesis' than the slave boy in the Meno, who is supposed to have just begun his attempt to reach 'dianoia' starting from 'pistis'. Recollection is supposed to be a long and arduous process of learning in the journey toward 'dianoia' and 'noesis', starting from 'pistis'.
著者
田村 圭一
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.206-217,30, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)
参考文献数
10

Cognitivism in ethics can be divided into two branches. One is naturalism and the other is intuitionism. Intuitionism is cognitivist internalism, that is, the claim that cognitive states, i. e., beliefs, can motivate an agent to action without the assistance of desires. But cognitivist internalism faces two kinds of problems, i. e., weakness of will and accidie. In order to clear cognitivist internalism of these difficulties, we have to revise Humean motivational theory. Humeanism is the claim that beliefs cannot motivate an agent without the assistance of relevant desires. Only desires can motivate in their own right and their motivation is necessary. T. Nagel's cognitiv-ist internalism and J. McDowell's are partially committed to Humeanism, because they tacitly admit that cognitive states should necessarily motivate. J. Dancy tries to revise Humeanism. According to him, cognitive states can motivate in their own right, but their motivation is contingent.Dancy's cognitivist internalism accepts particularism, which adopts a holistic un-derstanding of the behaviour of moral reasons.Particularists reject the generalist as-sumption that a cognitive state which behaves in a given case in favour of an action should behave similarly in every case. Cognitivist internalists, therefore, can escape their traditional difficulties when they adopt particularism.
著者
石川 真紀子 清水 順也 金谷 誠久 白神 浩史 久保 俊英 中原 康雄 後藤 隆文
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.224-229, 2011-11-15 (Released:2012-10-25)
参考文献数
15

シスチン尿症は腎尿細管,小腸上皮におけるシスチンと二塩基性アミノ酸の吸収障害を本態とする疾患であり,尿路結石の頻回再発やそれに伴う腎不全への進展が問題となる。症例は,結石分析,尿中アミノ酸分析にてシスチン尿症と診断し,重曹による尿アルカリ化治療を行っていた2歳男児である。定期受診時に,顕微鏡的血尿と,超音波および腹部CTにて左水腎水尿管と左膀胱尿管移行部に巨大結石を認めた。体外衝撃波結石破砕術は適応外と判断し,開腹にて尿路結石除去術を施行し,術後は十分な尿量確保と尿アルカリ化の継続,シスチン易溶化薬剤の内服を開始した。シスチン尿症の管理においては尿路結石の再発予防が最も重要となるが,乳幼児期での十分な尿量確保や蛋白制限は困難なことが多い。本症例を通してシスチン尿症の適切な管理法について考察し報告する。
著者
Hirohisa MEKATA Mari YAMAMOTO Yumi KIRINO Satoshi SEKIGUCHI Satoru KONNAI Yoichiro HORII Junzo NORIMINE
出版者
JAPANESE SOCIETY OF VETERINARY SCIENCE
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.316-319, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
22
被引用文献数
3 11

The European Community’s (EC) Key, which is also called Bendixen’s Key, is a well-established bovine leukemia virus (BLV) diagnostic method that classifies cattle according to the absolute lymphocyte count and age. The EC Key was originally designed for dairy cattle and is not necessarily suitable for Japanese Black (JB) beef cattle. This study revealed the lymphocyte counts in the BLV-free and -infected JB cattle were significantly lower than those in the Holstein cattle. Therefore, applying the EC Key to JB cattle could result in a large number of undetected BLV-infected cattle. Our proposed hematological key, which was designed for JB cattle, improves the detection of BLV-infected cattle by approximately 20%. We believe that this study could help promote BLV control.
著者
竹内 正広 早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明 石間 衛 石川 徹也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin209, 2019 (Released:2019-06-01)

国文学研究資料館により整備されている歴史的典籍データベースを有効活用することは,人文科学のみならず,自然科学系分野を融合させた研究の展開にもつながる.しかしながら多くの研究者にとっては,それらに書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究では,ディープラーニングによるくずし字認識モデルを応用し,小型で比較的安価なシングルボードコンピュータRaspberry Piを用いて,カメラで撮影した見開きの古典籍画像から,自動で1文字ずつのくずし字領域を検出し,それらの認識を可能とする組み込みシステムを開発した.既にWWWアプリケーションとして実装されている先行研究と比較して,認識するのにかかる時間や精度はほぼ変わらず,高性能なコンピュータを用いなくても,Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータで問題なく動作することを示すことができた.これを発展させることで,研究者のみならず,スマートフォンを持ち込むことができない小・中学校や,普段モバイル機器を持ち歩かない高齢者の方々でも,くずし字に触れたいときにそれを支援するシステムを実現することができると考えられる.
著者
原 祥尭
出版者
一般社団法人 日本ロボット学会
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.286-290, 2017 (Released:2017-06-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1 3
著者
柴田 洋孝
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.4, pp.702-707, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
9
被引用文献数
3

副腎不全のうち,原発性は副腎疾患によりコルチゾールが欠乏する疾患で,続発性はACTH低値によりコルチゾール欠乏をきたす.続発性ではレニン・アンジオテンシン系が正常なためアルドステロン産生は正常であるが,原発性ではアルドステロン産生も様々な程度で抑制される.原発性副腎不全は,自己免疫性が多く,感染症,腫瘍,浸潤性疾患,副腎出血,遺伝性疾患などによる.続発性副腎不全は,ステロイド治療に伴う視床下部-下垂体系の抑制によるものが多い.
著者
安藤 啓太 青村 茂 渡邉 誉幸 中楯 浩康
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集 2013年度精密工学会春季大会
巻号頁・発行日
pp.277-278, 2013-02-27 (Released:2013-08-27)

本研究ではヴァイオリン演奏を指標に人間の高度な身体制御の解析を行い、ヴァイオリン演奏ロボットで再現することを目的としている.弓圧と弓速の推移を入力すると弦の振動をシミュレートする擦弦振動シミュレータによって弓圧と弓速のコントロールの仕方を導き出すことを目標とし,このシミュレータを用いて弦の弾き初めの際に速やかにヘルムホルツ振動に至ることができる弓速と弓圧の値を求める.