著者
加井 久雄
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は,原則主義に基づくIFRSの影響が日本企業の単体財務諸表に影響を与える影響を連単分離によって遮断しようとしても上手くいかない条件を数理モデル分析によって明らかにした。具体的には,原則主義であるがために経営者が利益操作を行ないやすいならば,相対的に利益操作されにくい単体財務諸表を投資家は利用することや,子会社を使った親会社の利益管理が容易であるほど,株主と経営者の利害対立の緩和に連結財務諸表の方が有用であることなどを厳密に示した。これらの成果を学会などで報告すると共に,学術誌にも公表した。
著者
武田 将明
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

18世紀初頭、英国小説は、匿名を用いて実録の体裁を取ることで、娯楽的なロマンスから現実的な文学様式を新たに作り出すことに成功した。しかし、事実によって虚構性を抑圧することは、小説の可能性を狭めることにもつながった。そこで18世紀中ごろから、この新様式の特徴を損なうことなく、いかに巧みなプロットを構築するかという試みがなされ、これと同時に作者の名前が表面化する。本研究は、18世紀英国小説におけるリアリズムと物語性との相互作用を、匿名性の問題と関連づけて考察したものである。
著者
蔡 永姙
出版者
広島大学
雑誌
広島大学大学院教育学研究科紀要. 第二部, 文化教育開発関連領域 (ISSN:13465554)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.193-201, 2004-03-28

"Haru" depicts the urban life in modern Tokyo. The youths of the twenties of the Meiji era look forward to the coming of a new era with hopes and anticipation. Though caught in domestic entanglements peculiar to the old downtown of Tokyo, they somehow manage to proceed to the promising quarters of learning and enlightenment, so-called "Hongo" district which belongs to "Yamanote". Among them a character who dares to leave Tokyo is featured and that suggests the author's critical attitude toward modern Tokyo.
著者
古屋 聖児 小椋 啓 田中 吉則 桝森 直哉 塚本 泰司
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.407-410, 1997-06

北海道都市部及び東京在住の20歳代から50歳代の一般事務系サラリーマン2,839人よりえられた,自己記入方式のアンケート調査より,排尿後尿洩れの発症率,頻度,程度及び発現状況などを検討した.排尿後尿洩れの発症率は,17.1%であった.「殆ど毎日」尿洩れを経験している人は,排尿後尿洩れ経験者の14.0%を占めた.これは,全対象者の2.3%,約50人に1人の割合であった
著者
平田 貴子
出版者
川崎医療短期大学
雑誌
川崎医療短期大学紀要 (ISSN:02873028)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.47-51, 2007

現在,共働き家庭や働く女性,母子・父子家庭の増加,地域環境の変化,学校週五日制の導入などに件い,学童保育の需要が高まっている.それは,帰宅途中の子どもの誘拐や殺傷事件が報じられ,放課後の子どもの生活が安全で且つ安心な場にとの要求,また,学校が競争的な環境が強まっているがゆえに,学童保育を子どもの人間的な発達を求める機会と場として望む親も増え,質の高い保育ニーズが求められている.しかし,1997年6月に学童保育が「放課後児童健全育成事業]として法制化されかにもかかわらず,具体的な施設の最低基準等が明記されず,また,学童保育指導員の資格や専門性が不明確である.そこで,学童保育の課題を明らかにするにあたって,本校では,わが国における学童保育の歴史を整理した.
著者
灘岡 和夫 鹿熊 信一郎 中谷 誠治 茅根 創 宮澤 泰正 波利井 佐紀 秋道 智彌
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

1)新たな人工衛星リモートセンシング画像解析法に基づいて統合沿岸環境モニタリングシステムを一般化・汎用化するとともに,フィリピン,フィジー,サモア,沖縄における沿岸環境モニタリングを行った.そして,画像データのそろっている沖縄・石西礁湖及びその周辺陸域を対象とした過去約20年間の衛星画像(LANDSAT-TM)の解析を通して,石西礁湖内のサンゴ礁生態環境(特に海底被覆状態)の変遷と,それに対応した周辺陸域における土地利用や植生被覆状態の変遷を明らかにした.さらに,この陸域情報に基づいて,各流域からの赤土流入負荷の変遷を定量的に評価し,その結果を上記の沿岸生態環境の変遷に関する解析結果を照らし合わせることにより,周辺流域圏の土地利用形態等のあり方から見た沿岸-陸域統合型の資源管理策について検討した.2)流域からの環境負荷の定量的評価に基づいた陸域-沿岸統合型資源管理フレームの展開のために,フィジー,サモア,フィリピンにおいて,赤土流入量負荷や沿岸水質の長期モニタリング体制を構築し,従来にない長期連続データを得た.3)観光開発による生活雑排水流入などによって水質悪化と沿岸生態系劣化が著しいフィリピン・ミンドロ島北端に位置するプエルトガレラ沿岸域を対象として,同水域における物理・水質・生物環境調査や地元コミュニティーについての社会的調査を地元自治体,NGO,フィリピン大学等との共同で実施し,関連する数値シミュレーション等も併せて行うことにより,同水域における物理・水質・生物環境の特徴や水質劣化構造の実態を明らかにするとともに,「人間-沿岸生態」共存系の観点から,有効かつ持続的な環境保全策の立案にむけての検討を行った.4)サンゴ食害生物であるオニヒトデを対象として,有効な遺伝子マーカーを開発することによって集団遺伝学的な解析を行うとともに,広域的な海水流動・幼生輸送計算モデルによって幼生の広域輸送パターンを解析することによって,広域的な沿岸生態系の相互依存ネットワークの内容を調べた.この成果は重点的海洋保護区の設定に関して合理的・科学的な根拠を与えるための基礎情報となる.
著者
谷口 栄一 山田 忠史 安東 直紀
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究においては、都市物流システムについて、所要時間変動を考慮した動的経路選択モデルを開発し、それを時間指定付配車配送計画に組み込み、コスト信頼性を評価できるモデルを構築した。また危険物輸送について総走行時間および交通事故に巻き込まれたときの周辺住民への損害リスクを考慮した多目的の指定時間付配車配送計画モデルを開発した。これらのモデルを用いて安全安心、快適な都市を支える信頼性の高い都市物流システムを構築することが可能となる。
著者
戸所 隆
出版者
立命館大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

1.研究地域は中規模中心都市の前橋・高崎地域(参考として名古屋市).2.ここ数年間のオフィス・スペース拡大は著しい. その理由は次の5点に集約できる. (1)機関投資家がオフィスビルを資金運用手段として利用. (2)地価高騰が地主や不動産業者に固定資産税対策などから遊休土地へのオフィスビル建設を促す. (3)ソフト化時代に対応した新業態オフィス機能の発生. (4)OA危機設置スペースの増大とソフト化時代に対応した設備をもつオフィススペース受容の増加. (5)新オフィスビル入居による企業イメージの向上.3.都心部では既存建物の新陳代謝・立体化でオフィススペース拡大が進み, 郊外でも前橋・高崎両都市の中間地区の関越自動車道前橋I・C付近での郊外型オフィスビル建設が多い.4.関越道・上越新幹線の開通は, 一面で東京へのおフィスかつどうの集中をうながしたが, 他面で関東と信越との分岐点・結節点に位置することから新規立地をうながし, 結果としてオフィス機能の新陳代謝が進んでいる.5.郊外立地オフィスは, 域外からの新規立地と都心部からの移転立地がある. オフィスの郊外化の要因は, 次の3点に集約できる. (1)系列企業のビルオーナーからの入居要請. (2)都心部の駐車場不測. 自家用車普及率が全国一でバス等公共輸送機関の弱体化した地域では, この問題が都市構造を変化させている. (3)東京や近県との結節性から関越道I・C付近への立地移動.6.潜在的にはオフィスの都心部への立地指向は強い. しかし上記要因から郊外立地が進展している. 特に前橋・高崎地域では, 群馬銀行の郊外移転など中核企業の郊外立地が, かかる動向に拍車をかけている. このため郊外の発達に比べ, 都心の業務街形成が, 他の同規模都市に比べて弱い.7.オフィス機能の都心と郊外の差はほとんどみられないが, 郊外の場合は単独でも立地しうる相対的に大きな企業が多い.8.一般性と特殊性の明確化が今後の課題.

1 0 0 0 OA 求道講話

出版者
求道講話発行所
巻号頁・発行日
vol.第1輯 求道と建現, 1923
著者
藤本 武
出版者
新潟青陵大学・新潟青陵大学短期大学部
雑誌
新潟青陵大学紀要 (ISSN:13461737)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.129-142, 2001-03-10

今日のドイツ的景観は再生と継続の思想に基づき18世紀中葉以後初めて設置された自然的文化遺産であり,自然の森再生と継続の思想は,先駆者シュトロマイヤーを受けて,18世紀カロヴィツと後継者たちによって,タキトウスの「ゲルマニアの森」再生を理念として基礎づけられ,19世紀ロマン派のクロプシュトックとクライストらが中心となり,この思想を祖国解放と近代的自由を目指すドイツ市民に訴え,深化発展させた思想形成の過程を第一章と第二章において論証する。この思想が現今に至るまでドイツ社会に継承されてきたことの証明を,第二次大戦直後1946年占領国イギリスのドイツ森林伐採計画に対する1947年のドイツとドイツ市民による森林保護答申,市民参加型社会による1970年代のニュールンベルク・ライヒスヴァルト保存運動と1980年代のヴァッカースドルフの森保護全国運動の三つのケースを,第二章後半,第三章と第四章に挙げて検証する。
著者
佐藤 幸雄
出版者
信州大学
雑誌
信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.55-62, 1994-08
被引用文献数
1

野辺山高原におけるハイブッシュ・ブルーベリー栽培の可能性を検討するため,5か年にわたって生育相,寒害,果実収量及び果粒重について調査を行った。1. 調査5か年間の平均発芽日は,品種によって多少異なり,4月29日~5月3日であった。また,開花日も品種によって異なり,5月28日~6月8日であった。しかし,開花期間は品種による差が少なく,およそ25日間であった。2. 収穫時期は品種による差が大きく,早生種7月下旬~8月下旬,中晩生種は8月上中旬~9月中旬以降で,平均収穫期間は短い品種で約25日間,長い品種で約50日間で,2倍の差がみられた。3. 1株当りの新梢発生数は,'ノースランド'が最も多く,最小の'ブルータ'の3.7倍であった。しかし,新梢長については,品種間で有意差は認められなかった。4. 寒害被害新梢数の割合は,'コリンズ'が最高で,ついで'ウエィマウス'及び'コビル'も高かったが,'ジャージー','ノースランド'及び'ブルーレィ'は比較的低かった。寒害被害新梢長の割合についても同様の傾向がみられた。5. 果実収量は年次変動が極めて大きく,1986年は収穫皆無に近かったが,1988年にはかなりの収量が得られ,とくに'ノースランド'では,1株当り平均7㎏以上に達した。しかし,'コリンズ','ウエィマウス','ブルータ'及び'アーリーブルー'の各品種は極端に少なかった。6. 供試10品種のうち,果粒重が最も大きかったのは,'バークレィ'の約1.5gで,ついで'コリンズ'及び'コビル'も比較的大粒であった。しかし,'ノースランド'及び'ジャージー'は小粒で,いずれも1g未満であった。
著者
吉田 和哉 濱野 博史 渡辺 敏暢
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2002, 2002

不整地走行する月・惑星探査ローバーにおいて, 走行中のすべり率を小さく保ち踏破性能の高い制御法を提案する。特に月面環境では地表は細かな砂(レゴリス)で覆われており, 車輪の空転によって穴を掘ってしまい, その場から動けなくなってしまう。このような状況を避けるため, 常にタイヤのすべり率を推定しつつ空転を回避する制御法を示す。また, 各車輪の荷重配分に応じた駆動制御を行うことにより, さらに踏破性能を向上させることができる。これらの制御法について, シミュレーション解析およびテストベッド実験結果について示す。
著者
石田 憲幸 高崎 俊之 石松 昌展 石田 亨
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム = The IEICE transactions on information and systems (Japanese edition) (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.39-46, 2012-01-01

WikipediaはWeb上における有用な百科事典である.しかし,Wikipediaの記事数は言語によって大きく異なり,地域によってWikipediaを活用できる度合にも差が生じている.言語による知識の偏在を是正するために,Wikipedia記事を翻訳する活動がWikimedia財団とボランティアによって行われている.しかし,翻訳の際には,翻訳先言語に適した用語や表現を選択する必要があり,またそのためには,翻訳元言語の記事内容を十分に理解し翻訳を決定するための議論が必要である.この議論は,典型的には翻訳元言語と翻訳先言語を用いた2か国語(一般には多言語)による議論となる.その際,機械翻訳によって多言語の議論を支援することができるが,「翻訳されるべきでない部分まで翻訳される」「メッセージが往復することによって同一箇所が複数回翻訳される」といった問題が発生する.本論文ではそれらを解決する方法として,翻訳を行うべきでない部分の的確な選択と,その部分を説明する翻訳情報を付加するアルゴリズムを提案する.また,このアルゴリズムを実際にWikipediaの掲示板であるLiquidThreadsに実装し,効果の推定を行ったのでその結果を報告する.
著者
太田 諭之
出版者
静岡大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

DTM(DeskTop Music)は,MIDI(Musical Instrument Digital Interface)によってコンピュータに音程(音高),音の長さ,音の大きさをユーザが指定して入力することにより音が発音され,曲を演奏する仕組みである。このDTMで楽曲を演奏させヴァイオリンの演奏者と合奏する事によりヴァイオリンの演奏者は定まった音程とリズムを習得することがより容易になるのではないかと考え,DTMを用いた演奏支援を提案した.ある楽曲をMIDIで演奏させた音と本物のヴァイオリンの音のFFT解析を行い,音の違いを調べた.実際の楽器G(ソ;開放弦)を弾いた波形は,スペクトログラム上の解析によりMIDI音源のヴァイオリン音に比べて倍音がより多く出ていて,音色が豊かである事が分かった.ヴァイオリンの個人レッスンを受けて1年の筆者(2010年04月現在)は,過去に一度も演奏していない楽曲をDTMで演奏させ,一通り聴いてパソコンの演奏と合わせた時とDTMを全く用いない練習において楽曲の演奏の習熟度に違いが見られるか実験を行った.録音機と再生機(ヘッドフォン)は,音楽業界でモニタとして使用される事が多い機器を使用し,音質に考慮した.それにより,実際の楽器とMIDIで発せられた楽器音を,厳密に比較し練習の際に注意すべき点と活用できる点を調べた.MIDIを用いた時と用いないときのヴァイオリン奏者の演奏を,短い曲で一フレーズを弾き,音程をFFTで分析する.又,テンポをMIDIの演奏とずれていないか,FFT解析を利用してチェックした.実験結果は,MIDIの伴奏及び主旋律の演奏支援に並行して,練習の回数を重ねていくと音程とテンポの改善が見られた.模範演奏を1回演奏前に聴くとテンポの間違いが少なくなった.音程の高低を録音で聴き直すと改めてよく分かり次回の練習の課題とした.更に,演奏時にピアノの伴奏が有ると,音をイメージしやすくて楽器を弾きやすく音程とテンポの乱れが,伴奏なしの練習よりも改善された.一方で,シーケンスソフト(パソコンで楽譜を表示させるソフト)を用いるときは,通常の楽譜に記載されている強弱記号や発想記号などが表示されないので練習する際,注意が必要である.今回の実験に対する,プロヴァイオリニストニストのご意見を頂戴した.「初心者の演奏者には使用できる方法ではないか」とのことです.今後,筆者はこのDTMを用いた演奏家支援でアマチュア・オーケストラでの楽曲演奏に応用できるか引き続き,検証を行っていく予定である.
著者
酒木保
雑誌
芸術療法
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.55-61, 1990
被引用文献数
3