著者
中川 保雄
出版者
日本科学史学会
雑誌
科学史研究 第(0xF9C2)期 (ISSN:00227692)
巻号頁・発行日
vol.25, no.157, pp.20-33, 1986-05
被引用文献数
1

It has been asserted that the investigations of atomic bomb radiation effects in Hiroshima and Nagasaki were conducted in the high traditions of scientific inquiry. These scientific data has been used for the assessments of the radiation effects from nuclear wars and for the risk estimation of low level radiation. However, the investigator for acute radiation effects was the U. S. Armed Forces Joint Commission, and then the Atomic Bomb Casualty Commission was founded by the request of the Surgeons General of U. S. Army and U. S. Navy. The Japanese scientists who worked under the control of U. S. officers had been engaged in the survey after the dropping of the atomic bombs in Hiroshima and Nagasaki, which had formed a link in the chain of the survey by the scientists who had worked for development of Japanese atomic bomb. The conclusions from the investigations by the U. S. Armed Forces Joint Commission and ABCC were derived from the following underestimations: 1) Among a variety of acute radiation syndrome, only epilation and purpura were designated specific symptoms of the acute radiation injuries. Other injuries such as fatigue, fever, anorexia and vomiting and so on were excluded from acute radiation ones. 2) Data of acute deaths in relation to the distance from the ground zero were also understimated on a basis of underrating of radiation injuries. The threshold dose of 100R for acute radiation death was a result of these underestimations. 3) The threshold dose of 25R for radiation injuries was derived quantitatively from the animal experiment during the Manhattan Project and adapted to the survivors in Hiroshima and Nagasaki to deny the radiation injuries among the people who were exposed out of 2 km from the ground zero where the atomic radiation dose was estimated about 20R. But that animal experiment of the reduction of lymphocite from X-ray dose showed that there was no threshold at 25R, but the effect could be found far below the value. The important results of acute deaths and acute injuries from atomic radiation exposure in Hiroshima and Nagasaki have been based on a number of underestimations of radiation effects. These underestimations were in connection with the American nuclear strategy in those days for monopolizing nuclear weapons, preparing nuclear wars, and developing commercial uses of nuclear power. The assessments of the radiation effects from nuclear wars and the risk estimation from low level radiation, which were based on the investigations of acute radiation effect in Hiroshima and Nagasaki, should be reexamined.
著者
中川 保雄
出版者
神戸大学
雑誌
論集 : 神戸大学教養部紀要 (ISSN:02875667)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.1*-27*, 1984-03
被引用文献数
1
著者
井ケ田 良治
出版者
同志社大学
雑誌
同志社法學 (ISSN:03877612)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.101-144, 1975-06-30

資料
著者
仲澤 宏 伊藤 良樹 谷 健二 板本 和仁 土橋 英理 原口 友也 田浦 保穂 中市 統三
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.29-34, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

11歳の雌の柴犬が2ヵ月前からの頻回の嘔吐を主訴に当院を紹介来院した。初診時、ボディコンディションスコア(BCS):3/9、X線CT検査において胃の拡張と幽門部の胃壁の肥厚、内視鏡検査において幽門部の腫瘤病変が認められ、内視鏡下生検では胃腺癌が強く疑われた。内科的な入院管理の後、幽門部の腫瘤を含む遠位約1/3の胃と十二指腸を約1.5 cm切除し、ビルロート II法による消化管の再建を行った。手術によって摘出した腫瘤の病理組織学的診断は胃腺癌であった。症例は術後合併症や再発の兆候もなく、術後約7ヵ月の現在も良好に維持されており、QOLの向上のためにも、転移を示唆する所見がない症例では積極的な切除を試みることが重要であると考えられた。
著者
宮脇 慎吾 渡邊 一弘 大場 恵典 村上 麻美 藤原 博孝 山添 和明
出版者
獣医麻酔外科学会
雑誌
獣医麻酔外科学雑誌 (ISSN:09165908)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.25-28, 2011 (Released:2012-04-11)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であった会陰ヘルニアの症例(6歳、未去勢雄)に遭遇した。症例は直腸検査で会陰部に腫瘤を認め、超音波検査で腫瘤内の液体が確認された。手術時に会陰部の切開で被膜が露出し、多量の液体が排出された。摘出した被膜は病理組織学的検査で傍前立腺嚢胞と診断された。両疾患の併発は十分に考えられ、ヘルニア内容が傍前立腺嚢胞であることは稀であるが鑑別リストとして考慮する必要がある。
著者
川野 浩志 石川 剛司 圓尾 拓也 並河 和彦 信田 卓男
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.23-27, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
18

ミニチュア・ダックスフント,オス,12歳が,鼻稜部,体幹部,足根関節部の皮膚病変,腹部膨満と多飲多尿(192 ml/kg/day)を呈して来院した。ACTH刺激試験では,投与前のコルチゾール値が12.1 μg/dl,投与1時間後が68.4 μg/dlであった。下垂体依存性副腎皮質機能亢進症(PDH)と診断し,小分割照射(毎週1回[6 Gy],合計3回[18Gy])を実施した。飲水量は徐々に減少し,約1年後には85 ml/kg/dayとなり,被毛も改善した。ACTH刺激試験では,投与前が6.3 μg/dl,投与1時間後が36.1 μg/dlであった。ACTH試験では依然高値であったが,PDHに対する低線量小分割照射は,臨床症状の改善には有効である可能性が示唆された。
著者
山岸 建太郎 関口 麻衣子
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.19-22, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
4

15週齢の雌のトイ・プードルにおいて,眼瞼および口吻の腫脹とびらんを中心とした皮膚病変と,混合ワクチン接種部位における限局性の腫脹と自壊が認められた。病理組織学的検査により,顔面は重度の毛包炎を特徴とする無菌性化膿性肉芽腫性皮膚炎が,自壊したワクチン接種部位は無菌性肉芽腫性脂肪織炎が認められた。検査結果および臨床経過から若年性無菌性肉芽腫性皮膚炎および無菌性脂肪織炎と診断した。両病変とも免疫抑制用量のプレドニゾロンによる治療が奏功した。
著者
Danny W. Scott William H. Miller Jr.
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.13-18, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
40
被引用文献数
1 2

特発性好酸球性肉芽腫の猫55症例について後向き研究が行われた。初発年齢は,症例の93%で4歳以下であった。病変は主に口唇,大腿後縁または下顎に認められ,無症候性のことが多かった。症例の70%では丘疹-結節が,また症例の30%では線状病変が認められた。症例の78%では治療は行われず,中でも予後調査が可能であった症例(67%)では症状が自然寛解し,再発も認められなかった。
著者
Koji Yasuda Danny W. Scott Hollis N. Erb
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.5-11, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
33

組織球性多核巨細胞(MHGC)は炎症性皮膚疾患に罹患した猫の皮膚生検標本において時折認められる。しかし,MHGCの出現率・出現細胞数や形態学的な型別に関する報告はない。そこで我々は,炎症性皮膚疾患に罹患した猫526例と健常な皮膚を有する33例の猫から採取した皮膚生検標本を用い,上述の点について検討した。その結果,炎症性皮膚疾患を伴う猫の7%(35/526例)で標本中にMHGCが認められた。肉芽腫性皮膚疾患におけるMHGCの出現率(32/125例)は,非肉芽腫性皮膚疾患における出現率(3/401例)と比べて有位に高値を示した(p<0.0001)。非感染性肉芽腫性皮膚疾患におけるMHGCの出現率(27/84例)は感染性肉芽腫性皮膚疾患(5/41例)と比べて有位に高値を示した(p=0.016)。MHGCの出現が見られた35例の全てにおいて,異物型MHGCが見られた。ラングハンス型MHGCが見られたのは,この35例中2例のみであった。健常な猫の皮膚ではMHGCは認められなかった。以上より,MHGCの出現数や形態学的型別には明らかな診断学的意義が認められないことが示された。
著者
古森 徹哉 宮本 智文
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

沖縄県那覇近海で採集した有棘目動物オニヒトデの棘の凍結乾燥粉末について、魚毒活性を指標に溶媒分画、従来法による各種クロマトグラフィ-並びに購入設備を駆使して毒成分の精製を行い、メタノ-ルエキスより1種のステロイドオリゴ配糖体サルフェ-ト(20S-thorasterosideA)及び、2種のアルキルグリセロリン脂質(sn-1-0-hexadecylglycerol-3-phosphorylcholine,sn-1-0-octadecylglycerol-3-phosphoryl-choline)の単離同定に成功した。これら3種の化合物はいずれも強い溶血作用を有し、従来不明であったオニヒトデ棘の溶血毒はこれら3種の成分に起因することが判明した。次に、上述棘粉末の水エキスについて購入設備を駆使したゲル濾過によるクロマトグラフィ-を繰り返し、in vitroで細胞毒性を示す2種の蛋白質(Protein I 並びに Protein II)を得た。Protein Iは最終的にμBondasphereを使用したHPLCで精製した結果、分子量は約14650であり、アミノ酸分析により、Asp_<17>・Thr_<11>・Ser_8・Glu_<15>・Pro_5・Gly_<18>・Ala_9・Val_<12>・Met_2・Ile_7・Leu_6・Tyr_2・Phe_7・Lys_<14>・His_1・Arg_2の16種のアミノ酸組成を明らかにすることができた。また、N末端配列分析の結果、末端より25種のシ-クエンスが判明した。この結果をもとにGENASを用い、既知蛋白質との比較を行ったが、類似シ-クエンスを示す酢蛋白質は検索されず、新規蛋白質と考えられた。Protein Iはin vitroで選択的細胞毒性を示す結果を得ており、現在1次構造解析が進行中である。Protein IIについては、まだ、単離には至っていないが、SDS-PAGEで分子量約8万と推定され、マウスに対しては未精製ながらも強い致死作用を示すことから、Protein IIがオニヒトデ棘毒成分のマウスに対する致死毒の本体であることが推察された。
著者
川出 光生 原田 栄津子 西岡 宏樹 目黒 貞利
出版者
日本きのこ学会
雑誌
日本きのこ学会誌 : mushroom science and biotechnology (ISSN:13487388)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.75-79, 2009-07-31
被引用文献数
1

本研究では,杏仁様の香気を有するチリ産の食用きのこG.gargalの人工栽培を目標に,チリ国内で採取した13菌株の中からブナおが粉・フスマ培地での子実体形成にもっとも適した菌株を得ようとした.まず,寒天培地を用いた菌糸伸長の比較により,13菌株から菌糸伸長とコロニーの形態が良好であったIWADE-GG007,GG006,GG008,GG010およびGG000の5菌株を選び,この中からブナおが粉・フスマ培地でも菌糸伸長が良好であったIWADE-GG010,GG006,GG000の3菌株を選んで子実体形成試験を行った.これら3菌株はすべてブナおが粉・フスマ培地で子実体を形成し,傘の形態,および傘の色に各菌株の特徴がみられたが,子実体収量が多い菌株はGG010とGG006の2菌株であった.本研究により,国産のブナおが粉を用いた菌床栽培によるG.gargalの人工栽培が可能であることが明らかとなり,商業生産への可能性が示された.
著者
川崎 良孝
出版者
京都大学大学院教育学研究科生涯教育学講座
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.5-36, 2011-03

アメリカ公立図書館史研究は、素朴な実証主義の第1世代、ジェシー・H.シェラ、シドニー・ ディツイオンを中心とする民主的解釈の第2世代、マイケル・H.ハリス、ディー・ギャリソン を中心とする修正解釈の第3世代を経て、1980年代後半から第4世代の時代に入った。この第4 世代の特徴は、1次史料の広範な渉猟、理論の適用や批判的解釈の重視、さらにプリント・カ ルチャーなどへの展開にある。この第4世代の研究の牽引者がウェイン・A.ウィーガンドであ り、本稿はウィーガンドの研究の視点、方法、具体的な解釈の全体を明らかにする。
著者
斎田 真也 氏家 弘裕 和氣 典二 和氣 洋美 横井 健司
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009-04-01

観察者が3次元空間内の情報処理を行う範囲を推定する方法の開発を行った。観察者に向かう移動物体に対する3次元有効視野の形状は観察者から奥行き方向に向かって樽型の形状をしていた。静止物体における奥行き探索課題のとき、両眼視差が1度以内では探索時間は手前ほど短かった。高齢者が視線を遠点から近点に移したときのターゲット検出に要する反応時間は若年者のそれより顕著に長かった。眼球運動解析から情報処理能力の向上には有効視野の拡大のみではなく視線移動の効率化や認識時間の短縮など複数の質的に異なる方略が存在した。
著者
森 知恵 西尾 雅年
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.291-296, 2005

近年,SCMを導入して経営を行っている企業において,ものづくり現場が脅かされる工場火災事故が多発してきた.そこで本研究では,この問題について,「2003年9月に起きた,株式会社ブリヂストン栃木工場火災時の生産復旧プロジェクト」を例に,SCMのリスク発生時(工場火災時)における迅速な生産復旧プロジェクトマネジメントのフレームワーク提案を研究目的とし,そのフレームワークの有効性を,PERT的期間見積もり手法を用いて検証し,その結果について報告する.
著者
伊藤 亮 山崎 浩 中谷 和宏 高後 裕 中尾 稔 藤本 佳範 迫 康仁
出版者
旭川医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

本研究における主要研究テーマは、現在地球規模で流行が深刻化しているエキノコックス症(多包虫症、単包虫症)に関する信頼性の高い免疫診断法(国際標準診断、早期診断、治癒判定法)の開発と実用化である。(1)現在、国際的に最も信頼性が高いと評価されている多包虫症特異診断抗原Em18を遺伝子組み換え抗原(RecEm18)として作成し、その過程でEm18の生化学的特性の解析がなされた。世界各国で別個に検索されてきた診断抗原の中でEm18のB cell epitope活性が最も高いことが判明した(Sako et al.2002.J Clin Microbiol 40,2760-2765)。(2)フランスとのブラインドテストによる共同研究から、RecEm18を用いる血清診断法はフランスにおける多包虫症と単包虫症を100%鑑別できることが判明した(Ito et al.2002.J Clin Microbiol 40,4161-4165)。現在、フランス、スイスにおいて認定された300例以上の多包虫症例の血清学的確認要請を受けている。(3)単包虫症の血清診断法についても遺伝子組み換えAntigen Bを作製した(Mamuti et al.2002.Clin Diag Lab Immunol 9,573-576;Mamuti et al.in prep.)。(4)血清診断上、最も交差反応が高い致死的寄生虫疾患、有鉤嚢虫症に関する遺伝子組み換え抗原を作製した(Sako et al.2000.J Clin Microbiol 38,4439-4444)。血清診断上鑑別を要する多包虫症、単包虫症、有鉤嚢虫症すべてに関する遺伝子組み換え抗原作製に成功し、国際的な評価を得た。現在、合成ペプチド抗原作製を試みている。(5)北海道を中心に、主治医から直接相談を受けた多包虫症疑診例において、Em18抗原を用いる血清検査で多包虫症と他の疾患を術前に100%鑑別し、術前確定血清診断法を確立した。国内での現行の血清検査が確定検査として機能していないことから、Em18を用いる血清検査の導入が望まれる。(6)ミトコンドリアDNA解析により、遺伝子診断法の開発が可能になった。遺伝子解析、遺伝子診断研究も含め、これらの研究成果は現在印刷中を含め国際誌に原著論文総説29編、国際会議録14編、著書5篇として発表した。和文総説、報告書も22編発表した。
著者
鈴木 三郎
出版者
日本ヤスパース協会
雑誌
コムニカチオン (ISSN:13473174)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, 1987-12-10