著者
春山 幸志郎 川上 途行
出版者
公益社団法人 日本リハビリテーション医学会
雑誌
The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine (ISSN:18813526)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.352-357, 2015 (Released:2015-07-04)
参考文献数
23
被引用文献数
2

目的:脳卒中患者におけるTimed Up and Go test(以下TUG)と運動イメージ能力を反映したimagined TUG(以下iTUG)の時間差の指標が転倒予測に有用か否かを明らかにすること.方法:脳卒中患者47 名の自宅退院後6 カ月間の転倒発生を追跡調査した.ベースラインとして対象者の年齢,性別,疾患名,麻痺側,罹病期間,転倒歴,歩行補助具の有無,MMSE,TUG,TUGとiTUGの時間差(delta time)を退院時に評価した.転倒および評価結果からロジスティック回帰分析を実施し,転倒予測因子を抽出した.結果:追跡可能であった対象者は33 名であり,転倒率は48.5 %であった.解析の結果,delta timeのみが有意な因子であり(p<0.01),転倒予測のためのカットオフ値は0.88 %であった.結論:脳卒中者における自宅退院後6 カ月間の転倒発生はdelta timeにより識別可能であった.
著者
田村 豊
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.6, pp.322-329, 2017-11-25 (Released:2018-05-25)
参考文献数
30

Swann Reportが公表されて以来,食用動物由来耐性菌のヒトの健康への影響が指摘されるようになった.農林水産省では,家畜衛生分野における薬剤耐性モニタリング制度を設立し,抗菌薬の使用量と耐性菌の出現状況を監視している.内閣府食品安全委員会では科学的資料により抗菌性飼料添加物と治療用抗菌薬により出現する耐性菌の食品媒介性のヒトの健康影響評価を実施している.次いで農林水産省はその評価結果に基づき,リスクの低減化対策を実施している.最近,海外で問題となっているST398の家畜関連メチシリン耐性黄色ブドウ球菌は現時点で食用動物から分離されたとの報告はない.また,プラスミド性コリスチン耐性遺伝子であるmcr-1を保有する大腸菌は病豚から高頻度に分離されているが,まだヒト由来株では検出されていない.今後は薬剤耐性アクション・プランに従ってOne Healthに基づいた耐性菌対策を医療と獣医療の連携のもとに強化する必要がある.
著者
山田 欣伯
出版者
社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会雑誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.511-520, 2002-08-10 (Released:2010-08-10)
参考文献数
32

目的: 失活歯の多くは, 支台築造が行われ全部被覆冠で修復される. しかし, 長期的な経過は常によい結果を示しているわけでなく, しばしば脱落や歯根破折のような臨床的なトラブルにみまわれる. 本研究の目的は, 失活臼歯に対する部分被覆での修復の可能性を明らかにすることである.方法: 一定の基準で選択した140本のヒト抜去小臼歯を用い, 各10試料の14条件とした. 2種類のMOD窩洞を形成し, 種々の方法で修復した. すなわち, 条件1は無形成歯, 条件2~4, 10は窩洞形成のみ, 条件5, 6, 11は光重合型コンポジットレジンによる修復, 条件7, 8, 12は鋳造インレーによる修復, 条件9, 13, 14は, 鋳造アンレーによる修復である. 各試料に対し荷重試験を行い, 破折強度および破折様相を求め, 相互に比較した.結果: すべての条件のなかで, 接着性レジンセメントで合着した鋳造アンレーが最も高い破折強度を示した. ただし, 破折様相は再修復が困難であった. 次に高い強度を示したのは鋳造インレーであった. コンポジットレジン修復は, 有意に低い破折強度を示したが, 破折様相は容易に再修復できるものだった.結論: 鋳造アンレーによる修復の破折強度は, 無形成歯よりも高い値を示し, 失活臼歯を部分被覆タイプの修復物で修復が可能であることが示された. また, コンポジットレジン修復におけるボンディング剤や鋳造修復における接着性レジンセメントの有効性が示された.
著者
堀内 元 中島 大貴 桜井 伸二
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.18026, (Released:2018-09-07)
参考文献数
17
被引用文献数
2

The purpose of this study was to clarify the exertion of torque and motion related to the generation of mechanical energy in both hip joints during baseball batting. The participants were 98 male amateur baseball players (body height: 172.6±5.6cm, body weight: 70.3±8.1kg, age: 19.0±1.9yr, career: 11.0±2.8yr). The batting motion was recorded using a motion capture system (10cameras, 250Hz), and the ground reaction forces acting on each foot were estimated using 2 force plates (1000Hz). Hip joint angles were expressed as Euler angle of the thigh relative to the lower torso. Hip joint torques were calculated using inverse dynamics. Other kinetic variables–e.g. hip joint torque power, mechanical work by hip joint torque–were also calculated. The main results were as follows: 1. Throughout the analysis phase, there was no significant correlation between the bat head speed at impact and the angles of both hip joints. 2. For the hip joint on the pitcher side, the generation of mechanical energy by flexion and adduction torque was large during the phase before maximum pelvis rotational velocity. 3. For the hip joint on the catcher side, the generation of mechanical energy by extension torque was large in the phase before maximum pelvis rotational velocity. These results suggest that there are no differences in the kinematics of both hip joints depending on the bat head speed at impact. In addition, it is indicated that the ability to exert flexion and adduction torques for the hip joint on the pitcher side and the extension torque for the hip joint on the catcher side during baseball batting motion contribute to the generation of mechanical energy.
著者
Yuto Sekiguchi Mayuka Yamada Takuya Noguchi Chise Noomote Mei Tsuchida Yuki Kudoh Yusuke Hirata Atsushi Matsuzawa
出版者
The Japanese Society of Toxicology
雑誌
The Journal of Toxicological Sciences (ISSN:03881350)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.435-440, 2019 (Released:2019-06-04)
参考文献数
24
被引用文献数
3 15

Fas/CD95 plays a pivotal role in T cell-mediated cytotoxicity. Accumulating evidence has suggested that resistance to Fas-mediated apoptosis contributes to the escape of cancer cells from immune destruction, and allows to undergo proliferation and outgrowth of cancer cells. In this study, we found that the anti-cancer drug gefitinib, a tyrosine kinase inhibitor of epidermal growth factor receptor (EGFR), has an ability to enhance Fas-mediated cytotoxicity. In the presence of nontoxic concentrations of gefitinib, Fas-induced activation of caspase-8 and subsequent apoptosis was dramatically promoted, suggesting that gefitinib increases the sensitivity to Fas-mediated apoptosis. Interestingly, the effects of gefitinib were observed in EGFR or p53 knockout (KO) cells. These observations indicate that both EGFR and p53 are dispensable for the enhancement. On the other hand, gefitinib clearly downregulated heat shock protein 70 (HSP70) as previously reported. Considering that HSP70 contributes to protection of cells against Fas-mediated apoptosis, gefitinib may increase the sensitivity to Fas-mediated apoptosis by downregulating HSP70. Thus, our findings reveal novel properties of gefitinib, which may provide insight into the alternative therapeutic approaches of gefitinib for Fas-resistant tumors.
著者
五十嵐 崇訓
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.65, 2018-03-01 (Released:2018-06-09)
参考文献数
87
被引用文献数
1

肌は,人間にとって最も“目にする”身近な認識対象の一つである.そのため,肌の外観(アピアランス)は,学術・産業分野における重要な研究の対象として研究が進められている.この際,肌のアピアランスの特徴を決定する重要な因子の一つである“色”は,不可欠な評価対象である.そのため,肌の色彩を理解する上で有用となる様々な観点からの研究が展開されている.本報では,このような多岐にわたる研究分野の中から,肌色とその周辺に関する基礎知見として三つの観点から先行研究をレビューする.まず,肌色に関する一般的な評価知見として,(1)データベースに基づいた肌色特徴に関する最近の研究を振り返る.次に,しばしば肌色の理解において必要となる生理学的観点からの評価知見として,(2)分光データや画像データなどから肌の主要色素(メラニンとヘモグロビン)を定量化・指標化するための解析法の事例をレビューする.最後に,これらの評価では捉えづらいと考えられる肌特有の評価知見として,(3)肌・顔に特徴的な知覚を扱った最近の研究事例の一端を振り返る.
著者
猪阪 善隆 楽木 宏実
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1074-1080, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
10

ヨード造影剤は時に急性腎障害をきたすが,慢性腎臓病患者ではそのリスクが高い.造影剤投与直後に起こる血管攣縮に伴う腎虚血と造影剤による尿細管の障害が造影剤腎症のメカニズムと考えられているが,造影剤投与後短時間で発症するため,予防が重要である.さまざまな臨床研究が行われているが,現時点で有効な予防法は,造影剤使用量を最小限にすることと,適切な輸液のみであり,患者のリスクと病態の把握が肝要である.
著者
Kazushi Ohya
出版者
Japanese Association for Digital Humanities
雑誌
Journal of the Japanese Association for Digital Humanities (ISSN:21887276)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.68-85, 2015-09-02 (Released:2015-09-02)
参考文献数
24

This paper introduces the idea of data sharing strategy based on a conversion service, not on a sharing application, scheme, or ontology, that are dominant in proposals for language documentation. Although these three methods have been basic tactics for sharing corpora, they have a conceptual flaw in terms of descriptive linguistics. In this paper we report the results of a previous project - the LingDy project, and propose a basic concept for corpus sharing strategy to support personal diachronic data sharing. This paper is a revised version of a handout at JADH2012, so readers should be careful that this content is based on results at the time of 2012.
著者
清水 彩洋子 平良 暁子 畑﨑 聖弘 馬屋原 豊 平良 真人 古賀 正史
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.121-127, 2015-02-28 (Released:2015-03-05)
参考文献数
18
被引用文献数
2

HbA1cは血糖コントロール指標として広く用いられているが,貧血や異常ヘモグロビンを有する患者のHbA1cは血糖コントロールを正しく反映しない.今回,HbA1cが偽性高値を示したために,経口血糖降下薬の投与を受けた非糖尿病異常ヘモグロビンの2例を経験した.2例とも高血糖は認めなかったが,免疫法で測定したHbA1cが高値を示した.1例はスルホニルウレア薬の投与で低血糖をきたしたが,他の1例はDPP4阻害薬およびビグアナイド薬の投与のために低血糖は起こさなかった.内服薬中止後に行ったOGTTの結果,1例は境界型,他の1例は正常耐糖能であった.HbA1cと血糖の乖離より異常ヘモグロビンを疑い,グロビン遺伝子解析を行った結果,β鎖のヘテロ変異を認め,Hb Himeji[β140Ala→Asp]と診断した.今回の経験より,糖尿病の診断はHbA1cのみでは行ってはならないことを再認識した.
著者
岩崎 幸司
出版者
一般社団法人 国際P2M学会
雑誌
国際プロジェクト・プログラムマネジメント学会誌 (ISSN:24329894)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.79-88, 2008-03-14 (Released:2017-10-18)

新薬開発は10年以上の長期間にわたり数百億円を先行投資するにもかかわらず、成功確率は1%以下の典型的なハイリスクハイリターンのプロジェクトである。国際P2M学会(IAP2M)製薬研究会では、これにP2Mのプログラムマネジメントを適用することにより、成功確率を向上させ企業としての国際競争力を向上させることを目指して2006年2月から検討を進めてきた。今回は、医薬品開発の特殊性を解説したうえでP2Mのプログラムマネジメントの概念を適用することを考え、アーキテクチャマネジメント、プロジェクトの経済性評価、製品プロファイルとリスク管理、資源調達マネジメント及びプロジェクトマネジャーの資質について考察しているので、その中間結果を報告することにより議論の材料を提供したい。
著者
真下 いずみ 四本 かやの 角谷 慶子 橋本 健志
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.87-95, 2019-02-15 (Released:2019-02-15)
参考文献数
19
被引用文献数
1

併存障害を有する成人期ADHD患者に訪問作業療法を実施した.症例は40歳代の女性で,家事や育児を遂行できず入退院を繰り返していた.訪問作業療法では,注意の持続困難を考慮した片づけの工程の簡素化,視覚優位の特性を活かした視覚的手掛かりの設置などを行い,症例の遂行能力に適合するように環境を調整した.同時に,同居家族に心理教育を行い,多職種連携を行った.結果,症例は家事と育児を遂行できるようになり,介入後2年間入院しなかった.以上から,成人期ADHD患者の訪問作業療法の意義は,作業療法士が障害特性に関する医学的知識と作業の専門的知識を活用して,患者の生活を再建することであると考えられた.
著者
武田 朋恵 中島 そのみ 松下 慎司 平山 容子 渡邊 まゆみ
出版者
公益社団法人 北海道作業療法士会
雑誌
作業療法の実践と科学 (ISSN:24345806)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.34-39, 2020 (Released:2020-05-29)
参考文献数
5

発達性協調運動障害がかかえる手先の不器用さの一つに箸がうまく使えないことがあげられているが,介入報告例は少ない.今回,箸を握り持ちしている発達性協調運動障害児に対して,箸の材質を変えて指の動きを観察したところ,市販の木箸と比較し,木製の使い捨て割り箸を使用時に手指の屈曲と押し付けが弱く,指の動きを引き出しやすい様子が確認できた.そこで,割り箸で把持物体を挟んで容器に移す操作練習と手指巧緻動作の基盤となる身体中枢部の安定性を高める介入を実施した.介入3か月後に母指が箸の開閉に関わるようになり,介入6か月後には木箸でも同様の操作が可能となり,食事時の握り持ちの状態は改善した.
著者
林 寛平
出版者
一般社団法人 日本教育学会
雑誌
教育学研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.213-224, 2019 (Released:2019-10-12)
参考文献数
33

比較教育学は「政策移転」の概念を用いてきたが、「教育の輸出」事象においては輸出側の優位性を保持し、利益を確保し続けるためにトランスフォーメーションが疎外される。本稿はPartnership Schools for Liberia(PSL)の事例を用いて、トランスフォーメーションを意図しない新しい形の政策移転の特徴を明らかにし、「教育の輸出」において「パッケージ化された学校」を購入するという事象を分析するための枠組みを構築する必要性があることを指摘する。

2 0 0 0 OA 学会規約

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.324-325, 2020-07-01 (Released:2020-08-24)

2 0 0 0 OA 活動報告

出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.319-323, 2020-07-01 (Released:2020-08-24)