著者
萩原 英敏 Hidetoshi HAGIWARA
出版者
淑徳短期大学紀要委員会
雑誌
淑徳短期大学研究紀要 (ISSN:02886758)
巻号頁・発行日
no.52, pp.43-60, 2013

3歳未満児保育から見た、Attachment理論を中心とした親子関係が、青年期前後の人格形成に、どう影響するかを、文献、資料、著者の臨床体験などから概観し、以下の様な主旨の論となった。1.長期の発達を見る縦断的研究は、一番必要とされる対象者のフォローが出来ていないなど、科学性に疑問が残る。2.精神分析学から出た、BowlbyやEriksonの発達学は、主観性の問題はあるが、現象を見ていると、的を得えている。3.Bowlbyの理論は、AAIやSSPの方法により青年期前後の親子関係を見れるようになった。4.Attachment理論での親子関係の重要性が、3歳未満児保育の実施に、大きな問題を投げかけている。5.Eriksonのアイデンティティ理論を、個から関係性のものに、とらえ直す事によって、アタッチメント理論との連携が可能になった。6.3歳未満児保育により、特定な人(主に親)のAttachmentの恒常性の獲得が危惧され、青年期前後に、孤独・無力感を呈するのではないかと思われた。7.現場の保育所からも、Attachment不足現象が報告され、3歳未満児保育の問題点が浮かび上った。
著者
細谷 雄一
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.138-155, 2014-06

特別記事 : 平成二十五年度慶應法学会シンポジウム EUの政治・経済秩序はじめに一 イギリス政治における反欧州的イデオロギー(一) 欧州懐疑主義の起源 : 一九七五年国民投票(二) サッチャー首相のブルージュ演説(三) イギリス独立党(UKIP)の台頭(四) 欧州人民党からのイギリス保守党の離脱二 キャメロン政権のヨーロッパ政策(一) 保守党の二〇一〇年総選挙マニフェスト(二) 保守=自由の連立交渉(三) 二〇一一年EU法令三 EU加盟を問う国民投票(一) キャメロン首相の国民投票演説(二) キャメロン演説の反響おわりに : イギリス政治の漂流
著者
梶田 隆章
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, 2008-09-05
著者
池上 賢
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.75, pp.149-167, 2009-07-31

The purpose of this study is to analyze how audiences tells and give meanings to experiences of manga including "Weekly Shonen Jump", which was the most famous manga magazine in Japan in the 1980s through the early 1990s. I focused on the master narrative which would become the frame of experience. For the method I was analyzed life-story interview data of five informants and their manga experiences. As a result, it was revealed that the reflexivity in which social discourses about media play an important roll in relationship between audience and media.
著者
岡崎 貴世
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

<b>目的</b> マスクには感染症対策、アレルギー対策、ホコリや粉塵などから喉や気管支を保護する効果がある。また、給食施設においては調理従事者の衛生管理対策として使用される。しかし長時間の着用によって内部が蒸れてきて不快感を生じたり臭いを発してくることもある。さらにマスクが微生物の汚染源となり、マスクを介して細菌が食品に伝播されることも考えられる。そこで、マスクの使用状況の調査と使用済みマスクの微生物汚染度を測定した。<br><b>方法</b> 大学生148人を対象にマスクの使用状況に関するアンケートを実施した。マスクの汚染状況は微生物検査とATP検査で評価した。微生物検査は、生理食塩水中で使用済みマスクを一定時間揉み洗いして検査液を調製し、一般細菌(標準寒天培地)、ブドウ球菌(卵黄加マンニット食塩培地)、真菌(PDA培地)の測定を行なった。また検査液のATP検査を行なった。<br><b>結果</b> 学生のマスクの使用頻度は高く、中には一度使用したマスクを翌日に再使用する人がいた。また着用時にマスクを手で触れる人が多いことがわかった。使用済みマスクの細菌汚染状況には個人差があり、汚染度の高いマスクで10<sup>5</sup>cfuを超える一般細菌が検出された。またその大部分はブドウ球菌だった。マスクの一般細菌数とATP発光量に関連は認められず、マスクには今回の測定で検出されない口腔細菌等が多数付着しているため、ATP発光量に影響したと考えられた。<br>
著者
今岡 典和
出版者
関西福祉大学社会福祉学部研究会
雑誌
関西福祉大学社会福祉学部研究紀要 (ISSN:1883566X)
巻号頁・発行日
no.12, pp.55-60, 2009-03

戦国期の地域権力の性格の捉え方には様々な見解があるが,近年は特に「戦国大名」の概念を求める立場と,守護の概念を重視する立場が並存している.本稿では,戦国期の地域権力における守護職・守護権の意義を重視する立場から,その意義について改めて論じ,さらに具体例として越前朝倉氏を取り上げ,朝倉氏における守護職・守護権の意義について検討した.朝倉氏は,応仁の乱の時に越前守護代となり,長享・延徳の相論で斯波氏との間で越前の支配権と自らの家格をめぐって争い,その後守護家として幕府から認定されるにいたる.戦国期においては,守護権(国成敗権)は守護家という家によって体現されるのが大きな傾向であり,朝倉氏も守護家として認定されることと越前の支配権は深く結びついていた.そこに,戦国期の地域権力の中でも守護家を独自の存在として捉える意義が存するであろう.
著者
加藤 弘通 太田 正義 水野 君平
出版者
北海道大学教育学研究院附属子ども発達臨床研究センター
雑誌
子ども発達臨床研究 (ISSN:18821707)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-12, 2016

本研究の目的は、通常学級と特別支援学級に分け、いじめ被害の実態と被害者が援助要請行動を生起させる要因を教師の指導と生徒との関係性から検討することであった。公立小中学校41,089名を対象に質問紙調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。1つは、過去3ヶ月のいじめ被害の実態は、通常学級の小学校で42.7%、中学校で31.5%、特別支援学級の小学校で45.5%、中学校で30.9%であった。2つは、いじめ被害にあった者のうちで「先生に知らせた」とする者の全体の児童生徒に占める割合を算出したところ、通常学級では小学校で約25%、中学校で約15%であり、特別支援学級では小学校で約50%、中学校で約42%であった。3つは、いじめ被害者の教師への援助要請行動を生起する要因としては、学校種、および通常学級と困難学級では異なる結果が得られた。以上をふまえ、学校種・学級種に応じた対応の必要性を論じた。
著者
三上 隆三
出版者
和歌山大学
雑誌
経済理論 (ISSN:04516222)
巻号頁・発行日
vol.327, pp.45-64, 2005-09
著者
長尾 眞 森 信介
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.61, pp.1-8, 1993-07-09
被引用文献数
38

シャノンによる情報理論の確立により,自然言語をマルコフ過程としてとらえ,言語のもつ性質を明らかにしようという立場が提案された.この立場は,あるn文字の組合せがどのような頻度で生じるか(グラム)を調べることにその中心があったが,計算機の性能やテキストデータの不足などにより、大蜆模なテキストに対して、あるいは大きなnに対して言語統計を取ることが行われなかった.我々は,今日の計算機を用いるとこれが実現できると考え,大規模なテキストの任意のnについてのnグラムを簡単にとる方法を考案し,200万文字から3000万文字の中規模の日本語テキストデータに対し,nグラム統計をワークステーションを使って比較的短時間でとることに成功した.その結果,種々のnに対するnグラム統計を比較して調べることによって言葉として有意義なものが取り出せるということが明らかになった.同時にさらに大きいテキストを用いることの必要性と、可能性が明らかになった.In the process of establishing the information theory, C. E. Shannon proposed the Markov process as a good model to characterize a natural language. The core of this idea is to examine the frequency of a string composed of n characters (n-grams), but this statistical analysis of large text data and for a large n has never been carried out because of the low capability of computer and the shortage of text data. Taking advantage of the recent powerful computers to execute it, we developped a new algorithm of n-grams of large text data for arbitrary n and calculated successfully, within relatively short time, n-grams of some middle size Japanese text data containing between two and thirty million characters. From this experiment it became clear that the automatic extraction or determination of words is possible by mutually comparing the n-gram statistics for different values of n.
著者
宮崎 佑介 松崎 慎一郎 角谷 拓 関崎 悠一郎 鷲谷 いづみ
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.291-295, 2010-11-30
参考文献数
27
被引用文献数
1

岩手県一関市にある74の農業用ため池において、2007年9月〜2009年9月にかけて、コイの在・不在が浮葉植物・沈水植物・抽水植物の被度に与えている影響を明らかにするための調査を行った。その結果、絶滅危惧種を含む浮葉植物と沈水植物の被度が、コイの存在により負の影響を受けている可能性が示された。一方、抽水植物の被度への有意な効果は認められなかった。コイの導入は、農業用ため池の生態系を大きく改変する可能性を示唆している。
著者
大久保 街亜
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.57-67, 2016

<p>Although null hypothesis significance testing has been strongly criticized for decades, it has been the dominant statistical method in the field of psychology. Non-reproducibility of findings in psychology can be attributed, at least partially, to an arbitrary threshold (i.e., .05) in the null hypothesis significance testing and overrepresentation of <i>p</i>-values. The present study surveyed papers from the <i>Japanese Journal of Social Psychology</i> and examined whether or not such overrepresentation also existed among psychology researchers in Japan. Effect size measures and <i>p</i>-values did not correspond well when <i>p</i>-values were set at around .05. Moreover, the frequency of <i>p</i>-values just below .05 was greater than expected. These results imply that the overrepresentation of <i>p</i>-values can produce unreliable and irreproducible results. Two types of remedies are discussed to alleviate the problems of overrepresentation of the <i>p</i>-values.</p>
著者
鳥山 平三
出版者
大阪樟蔭女子大学
雑誌
大阪樟蔭女子大学人間科学研究紀要 (ISSN:13471287)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.83-91, 2003-01-31

物性心理学的観点から見ると、人間の性格のタイプは4類型に分けられる。すなわち、人間が使用する「物」の特性から連想される、「木の性格」「鋼の性格」「布の性格」、そして、「プラスチックの性格」である。「プラスチックの性格」とは、軽薄で、脆く、無機質で無情な、冷淡で自己中心的な特性が著しい。現代人の多くは、ともすればこの性格に陥りやすい。したがって、親や教師は子どもたちを、努めてその反対の「木の性格」になるよう育て、導くといいだろう。「木の性格」は、優しさ、しなやかさ、生きんとする活力、温かさ、有機性、そして、したたかさと粘り強さを有している。
著者
高木浩光
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.9, pp.1-1, 2013-03-07

監視カメラとプライバシーの問題は古くから議論の続いてきた課題であるが,昨今,情報処理技術と通信技術の高度化と低廉化により,単に映像を録画すするのではなく,様々な形で情報を加工,分析(例えば,被写体の人物の顔画像から性別や年齢を推定する等)し,通信回線を通じてデータを集約する形態のシステムが登場し,防犯や監視の目的以外の,商用目的等にも用いられ始めている.そこではカメラはもはや撮影をしているとは言えず,「性別センサー」あるいは「年齢センサー」として機能しているとも言え,その情報自体は個人情報保護法の個人情報に当たらないとの理由から,被写体となる人々に告知することなく公共の場所でカメラが見えない形で設置される例が現れ始めている.本講演では,こうした見えないカメラの設置をプライバシーの観点でどのように捉えるべきかについて再考すべく,カメラ以外の他の分野における従来のプライバシー上の問題点について整理し,比較することで,何が問題となり得るのか,その原理は何かを明らかにすることを試みる.また,諸外国の動向を交えながら,日本における法制度の現状と今後の可能性について考察し,関連技術の研究開発と普及に際して考慮すべきことを示したい.
著者
勝谷 紀子 岡 隆 坂本 真士 朝川 明男 山本 真菜
出版者
社会言語科学会
雑誌
社会言語科学 (ISSN:13443909)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.107-115, 2011

本研究は,日本の大学生が「うつ」に対してどのような素朴な概念(しろうと理論)をもっているかについて,自由記述データに対するテキストマイニングおよびKJ法で検討した.首都圏の313名の大学生が調査に回答した.「うつ」という主語を用いて,文章完成法による自由記述を求めた.305名分の自由記述の内容について3名の評定者によるKJ法を用いた内容整理,および形態素レベルに分割してテキストマイニングを用いた内容分析をおこなった.その結果,うつの一般的な特徴,うつの人々へのイメージ,うつの特徴,うつの原因,うつの治療法についての記述がみられた.うつのしろうと理論を検討することの理論的示唆について考察した.