著者
石原 昭彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

高齢期のヒトおよび実験動物(マウスおよびラット)を用いて筋萎縮および骨粗しょう症を抑制するための方法を検討した。30歳代(17名)、60歳代(15名)、70歳代(12名)、80歳代(9名)の女性を被験者として、最大努力での膝伸展筋力と踵骨の骨密度を測定した。さらに、60-80歳代の被験者には、最大努力の50%(最初の2ヵ月間)、70%(3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)、100%(さらに3ヵ月間の休息を挟んで次の2ヵ月間)で膝伸展筋力を発揮する運動を行った。30歳代に対して60-80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。さらに、60-70歳代に対して80歳代は、有意に低い最大努力での膝伸展筋力と骨密度を示した。最大努力の50%と70%の運動では、年齢に関係なく最大努力での膝伸展筋力に変化はみられなかった。一方、最大努力の100%の運動では、60歳代と70歳代において、最大努力での膝伸展筋力に有意な増大認められた。骨密度については、年齢および運動強度に関係なく変化はみられなかった。以上の結果より、60-70歳代では、強度の高い運動を継続することにより低下した筋力を改善できる可能性があること、一方、骨密度については、運動に関係なく改善がみられないことが明らかになった。高齢者でも日ごろより強度の高い運動を継続することにより比較的高い筋力を維持できることから、そのような運動プログラムを作成することが今後の課題となった。骨密度については、運動の影響を受けなかったことより、若いときから骨密度を高めておくことが重要であると考えられる。一方、実験動物を用いた研究では、運動量よりも運動強度に依存して高齢期の筋萎縮および骨粗鬆症を抑制できることが明らかになった。したがって、高齢期の骨粗鬆症および萎縮の抑制には強度の高い運動を継続することが必要であると結論された。
著者
柴田 重信
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

我々の体内時計は24時間よりずれており24時間に合わせる機構として同調がある。同調刺激には光と食事が重要であることが分かっている。そこで、マウスを用い、朝・昼・夕食のいずれが、同調刺激として有効であるか、また、食事の内容によって同調刺激に差が見られるか否かについてマウスを用いて調べた。その結果、長い絶食の後の食餌(ブレイクファスト)が、血糖値を上げ、インスリン分泌を引き起こしやすい食事内容が体内時計を同調させやすかった。
著者
齋藤 美穂 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真 野嶋 栄一郎 松居 辰則 石川 真
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、小学校の一斉授業場面において、教師と生徒のノンバーバルなコミュニケーションの手段であり、また教師のソーシャル・プレゼンスの一要因でもある表情を分析することにより、表情が学級風土に与える影響を検討した。教師の特徴的な表情や表出程度、印象などを多角的に検討した結果、表出される表情や程度は教師によって様々であったが、教師の表出する表情は、教師自身の印象や児童との一体感、学級風土に影響を与えることが明らかとなった。
著者
石田 亨 八槇 博史 溝口 理一郎 中小路 久美代 高田 司郎 中西 英之 荒井 幸代
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

セマンティックWebで提案されている基本技術は計算中心の技術であり,コンテンツを作成,利用するユーザ(人間側)への考察が欠けている.セマンティックWebの成功のためには,人間社会のWeb利用とセマンティックWebの計算中心のアプローチとのギャップを埋める人間中心の技術開発が必要である.このような問題意識に基づき,本研究では以下の三拠点に分かれて研究を展開した.京都大学では,厳密なオントロジーを人が記述することは容易でないとの立場から,人間が既に表現したコンテンツからオントロジーを抽出する研究を進めた.Web情報に関しては,既存データからのオントロジーの抽出に取り組み,カテゴリを特徴付けるキーワードの自動抽出や,表データからのオントロジーの抽出などを行った.また,既存オントロジーを整理して一覧とし,新しいオントロジーの設計を支援する研究を行った.大阪大学では,人間中心のセマンティックWebのためのオントロジー開発には小規模で分散したオントロジーを状況に応じてマージしたり,マッピングしたりする技術が不可欠であるとの考えから,オントロジー分散開発過程を包括的に支援する計算機環境を開発した.東京大学では,異なる「文化」に属するメンバ間の協調作業における,協調・交渉オントロジーの発現と発展に着目して研究が進められた.上記の研究と並行して,この分野を推進する活動も行った.人工知能学会にセマンティックWebとオントロジー研究会を継続的に発展させると共に,2004年にはセマンティックWeb国際会議(ISWC)をわが国で開催する中心的役割を果たした.また,2003年にElsevierから出版が始まったJournal of Web Semanticsの初代共同編集長を務めた.
著者
松井 良明
出版者
奈良工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ともに1835年に成立した動物虐待法と公道法は、イングランドにおける前近代的なスポーツに対する法的規制としての歴史的意義を有していた。両法は、アニマル・スポーツと公道でのスポーツ活動を合法的に実施するための条件として、「生活妨害」、「風紀紊乱」、「迷惑行為」に該当する要素の払拭と、「動物の福祉」、「万人の通行権」への配慮を提示し、それらの近代化を促した。両法が成立するまで、動物闘技ならびに公道でのスポーツ活動の違法性は、コモン・ロー上の「生活妨害罪」の適用を通して示されているに過ぎなかった。だがその一方で、両法は狩猟、テニス、ファイヴズ、クリケットなどを意図的に対象から除外してもいた。そのため、それらの近代化を停滞させ、前近代性を温存させる側面も有していた。続いて『チティの実用制定法集』第5版を検討した結果、19世紀の制定法に基づくスポーツ規制の広がりは以下のとおりであることが明らかとなった。「動物」、「陸軍」、「鳥」、「刑法」、「犬」、「魚」、「狩猟の獲物」、「遊戯と賭博」、「公道」、「未成年者と子供」、「酩酊アルコール飲料」、「市場と定期市」、「首都ロンドン」、「警察」、「大衆娯楽」、「公衆衛生」、「鉄道」、「歳入」、「船舶」、「日曜日」、「放浪者」19世紀イギリスにおけるスポーツの近代化に関しては、上記項目に分類された制定法諸規定を検討する必要がある。また、その際には個々の制定法の背後にある政治的意図に加え、個々の制定法が施行された後の諸判例の検討も必要となるだろう。イングランドにおけるスポーツに対する政治的な介入はその近代化を促すきっかけになると同時に、その背後にあった政治的な意図についての再考を促している。
著者
百橋 明穂 LUDVIK Catherine CATHERINE Ludvik
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

・弁才天と宇賀神の結び付き、いわゆる『弁天五部経』の英訳;宇賀弁才天の漢訳儀軌を解読;宇賀神の姿と名前の起源を判明するため、経典に登場するインドと中国の蛇神の系譜を調べた。・比叡山弁天堂の年中行事、儀礼を調査し、さらに他の弁才天関係の現地調査した:鎌倉の鶴岡八幡宮旗上弁財天社、銭洗弁天宇賀裾神社、江ノ島神社、竹生島宝厳寺と都久夫須麻神社、鹿児島の最福寺大弁財天、名古屋の桃巌寺等。九月に研究室の中国での研究調査旅に参加し、弁才天関係の志発見・新知見を得た。・弁才天像のデジタル・フォトアーカイブを作成した。従来の印度・日本の弁才天の図像に加え、今回殊に調査に基づいた中国の新発見・新知見の作例増加させて完全なものとした。・上の三つの研究方法で宇賀弁才天関係の資料や写真を収集した結果、当初本一冊を刊行する計画であったが、中国の新たな作例と新知見の増加により、研究が大幅に展開し、著書2冊と論文を執筆することとなった:Uga-Benzaiten: The Origins and Development of the Combined Deity(準備中);The Indian and East Asian Metamorphoses of a Goddess: From Sarasvati to Benzaiten(準備中)。・仏教学と美術史学関係のセミナーや学会に参加し、意見交換した。
著者
佐藤 容子
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

まず、宮崎県内でのLD児についての理解の浸透を図って、学校単位での講義や全県規模での教員対象の講義を行った。同じ教員に複数回の講義をした。また、保護者にも、地域ごとに、LDについての講話を行った。その上で、公立の大規模小学校1校と中規模小学校3校(児童数合計2,230名)に対して、PRSを用いたLD児のスクリーニングを行った。抽出された児童にWISC-III、K-ABC、DAMなどの検査を行い、67名のLD児が確認された。出現率は約3%であった。次に、これらのLD児について、彼らの学級での仲間関係と適応感を査定するために、自己報告による孤独感尺度、社会的コンピテンス尺度、社会的スキル尺度、そして、学級における人気投票を行った。また、担任教師には、子どもの社会的スキルと学校への適応状況について評価してもらった。その結果、LD児は健常児に比べて孤独感が強く、社会的コンピテンスは低く、向社会的スキルが少なく、外面化問題行動と内面化問題行動が多かった。仲間からの人気度も明らかに低かった。教師評価でも、LD児の社会的スキルは低く、学校への適応度も低かった。そこで、小学校2年生と3年生の学習障害児をターゲットにして、3週間にわたって、文脈論モデルに基づいて、学校ベースのソーシャルスキル・トレーニングを実施した。ターゲット・スキルは、「上手な聞き方」、「仲間への言葉かけ」、「集団活動への入り方」であった。トレーニングの結果、ターゲット児だけでなく、学級の仲間達も、孤独感と外面化問題行動、内面化問題行動は低下し、向社会的スキルが増加した。さらに、トレーニングの維持効果をみるために、1年後に再び、ベースライン時と同じ査定を行った。その結果、トレーニング効果は比較的よく維持されていることが明らかになった。
著者
磯部 彰
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2001

明清時代以来、宝巻は民間秘密宗教の経典として見られて来た。そして、反体制の出版物であったがゆえに、原刻本は多く禁書とされたため、写本や清末民国の重刻本が残るにすぎず、出版文化史からは研究しにくい分野であった。しかし、実際に、中国やアメリカに残る明代の宝巻を調査すると、古宝巻は教派系と呼ぶ民間宗教経典と故事系と称する民間文学作品に大別され、明代前期以前は教派系宝巻が主流であったことが判明した。本計画研究の、前半2年間は、明代及び清初の教派系宝巻の原刻本の所在調査とその書誌研究に重点を置き、従来知られてはいなかった『普覆週流五十三参宝巻』という黄天道の教派系宝巻を発見し、その内容及びその製作者が華北の宣府(宣化県)出身で、出版は北京城内にあった経舗の一つ、党家に依託したことを明らかにした。後半2年の研究では、明刊教派系宝巻を刊行した版元の性格について分析を行なった。明代の宝巻は、かなりの種類が北京城内で出版され、版元は党家などの経舗が受け負い、施主は弘陽教の宝巻などが巻頭に記すような皇妃・宮女、皇親・官僚、或は、地方の地主や郷紳などが資金を提供しつつ、各教派の宗教活動を支援していたらしいことがわかった。経舗では、北蔵などの官版も印刷を受け負っていたので、宝巻と官版宗教経典とは版本としての体裁も似通うか、同類に属していた。つまり、版元から宝巻の性格を考えた時、明代から清初にかけて、経帖装の教派系宝巻は、王朝の出版統制の網にはかからず、禁圧されることになるのは、清の雍正時代以降のことであった。
著者
中道 正之 安田 純 志澤 康弘
出版者
大阪大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2003

本研究では、自然・科学教育の重要性が叫ばれている今日において、動物園はその絶好の場所と捉え、動物園における人と動物の相互作用についての基礎研究を行い、「動物園行動学」という新しい研究分野を確立することを意図した。このために、来園者の行動、動物の行動、動物と来園者の相互作用を記録した。今年度は、特に実際に動物園に来て、動物を直接見ることによって、「好きな動物、見て楽しめる動物」が変わることを確認した。これは、動物園で実際に動物を見ながら楽しむことによって動物への印象が変わることを意味している。また、動物園で新築されたサルの新動物舎が、来園者にどのように評価されるのかを、行動観察、来園者へのアンケート調査で分析した。新動物舎の展示環境が見やすいことが、来園者の滞在時間を増加させること、そして、動物を見つけ出そうとする探索行動も増加することが、旧動物舎との比較から、確認できた。直接観察とアンケート調査の併用で、新動物舎の簡便な評定が可能であることを実証した。自然の中で暮らすニホンザルを近くで見て楽しむことが可能な野猿公園での来園者の意識に関する調査も、昨年度に続いて行った。来園者の関心は、おとなよりも子ザルに、動きの乏しい休息時のサルよりも、毛づくろいなどをしてかかわっているサルや遊んでいる子ザルに対して高かった。また、寿命などの生物学的な点だけでなく、母ザルと子ザルの関わりなどに注目する傾向が確認された。教育価値としての野猿公園の潜在力が確認された。
著者
大島 規江
出版者
国際教養大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究はオランダのアムステルダムを事例にエスニック・エンクレイブの変容を(1)人口的側面、(2)空間的側面、(3)社会・経済的側面、そして(4)文化的側面から包括的に分析・実証したものである。1990年代からのエスニック・エンクレイブの郊外への拡大には、福祉国家オランダの住宅供給システムのみならず、エスニック事業所やエスニック・コミュニティの存在が大きな要因となっていることが実証された。
著者
千葉 龍介
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年,自律ロボットによる家庭内・オフィス内作業が達成されつつあるが,未だその作業効率には疑問が残っており,適切なロボットの行動計画を行う必要がある.本研究では,家庭内・オフィス内という未知・動的な環境で高効率かつロバストな行動を達成するため,ロボットの行動計画法の提案を行う.家庭内での掃引作業を例に採り,遺伝的プログラミングにより高効率性を,遺伝的アルゴリズムによりロバスト性を獲得する.これらを同時に行うための競争的共進化手法を提案し,シミュレーションによりその有効性を検証する.
著者
阿部 泰記
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究において地方劇・地方志・善書などの文献資料と包公廟を実地調査した結果、従来からの研究を以下のように体系的に整理することができた。権力者の悪行から庶民をまもったことで有名な北宋時代の包拯に対して、後世の民衆は語り物・演劇などの分野で物語を創作してその遺風をしのんだ。物語では包拯の豪毅な性格を特異な風貌で描写し、包拯が非道を挫いて弱者を救済する話は時代が下るとともに膨張し、民衆は祠廟を建立して包拯を祀り、包拯は今日にいたるまで民衆の心の中に生き続けている。民衆は知謀と超能力を有し天地を共鳴させる人物を救済者として期待した。民衆が好む物語には貞節な妻、孝行な息子、書生の出世などの類型があり、包拯はその中で主人公を救済する重要な役目を果たした。後に包拯の物語は百話の規模で創作され、小説『龍図公案』や地方劇など今日までさまざまな物語が語り継がれている。特に石玉崑が語った説書『龍図公案』は公案に武侠を参入させて大流行し、四護衛を従えて銅〓で悪人を斬首する豪腕な包拯像を民衆に印象づけた。各地に林立する包公廟には、包拯と一緒に四護衛・銅〓が奉祀されている。包拯の祭祀は文化大革命以後とだえたと報告されていたが、信仰の自由が認められた今日では全国的に復活する傾向にある。本研究で調査した図書館は京都大学・東京大学・早稲田大学・東洋文庫・中国国家図書館・中国戯曲研究所・首都図書館・湖北省図書館・漢川市文化館・湖南省図書館・湖南師範大学・上海図書館・淅江省図書館・広東省中山図書館・順徳市図書館・台湾中央研究院・台湾国家図書館・政治大学である。また実地調査した包公廟は、台湾高雄県・台北市・雲林県・香港・マカオ・広東省番禺市・肇慶市・同市硯洲・湖南省長沙市・濁陽市・醴陵市・攸県・平江県・湘陰県・宜章県・江西省萍郷市・万載県・宜春市・河南省准陽県など約50カ所である。
著者
高橋 良二 RODRIGUEZ BENITEZ E.
出版者
独立行政法人農業技術研究機構
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

乾燥、高温等の環境ストレスによって大豆の種子に裂皮(種皮の亀裂)が発生し、外観品質が悪化して商品価値が低下する。特に、納豆、煮豆等、種子の形で流通する商品においては裂皮の発生は致命的であるため実需者から高度抵抗性品種の育成が強く求められているが、年次によって裂皮が多発する。本研究では、難裂皮性品種と易裂皮性品種の交雑後代を供試し、裂皮抵抗性のQTL解析を行うことにより選抜マーカーを開発する。難裂皮性品種「エンレイ」と易裂皮性品種「ナスシロメ」とのF_6系統(100個体、各30個体)を圃場で栽培し、個体ごとに開花日を調査した。開花始40日後に上位半数の莢を摘除し、裂皮の発生を促した。成熟期に種子の裂皮指数(裂皮無:0〜甚:4)を1粒ごとに評価し、個体および系統の難裂皮性を調査した。さらに、成熟期、莢数、子実重等の生育特性を評価した。MAPMAKER/EXP. ver. 3.0を用いて連鎖地図を作成し、QTL Cartographer ver. 2.0を用いて、composite interval mappingによって開花まで日数、成熟まで日数、裂皮指数、莢数、子実重、100粒重のQTL解析を行った。その結果、成熟まで日数を支配するQTLが1個見いだされた。主茎長を支配するQTLが2個見いだされた。種子数、子実重、100粒重を支配するQTLが、それぞれ1個、1個、3個見いだされた。難裂皮性を支配するQTLが2個見いだされた(D1 b連鎖群のACI2とM連鎖群のACI1)。ACI1とACI2は、昨年度にF_3系統でも検出され、年次・世代間で再現性が認められた。ACI1とACI2は、早晩性や粒大を支配するQTLとは異なった位置に見いだされ、それらのQTL近傍のマーカーを用いることにより、早晩性や粒大とは無関係に難裂皮性を選抜できることが明らかになった。
著者
石田 久之
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大学の訪問等により、支援の組織化状況とその課題、学内各種組織の役割分担、基本的な支援ポリシー等を調査した。大学での支援は三つに分けられる。第一に、学習や生活で、自身をコーディネートできる能力をつけるための支援。次に、情報保障である。三番目が出口支援であるが、これは単なる就活支援ではなく卒業後の生き方へのアドバイスも含むものである。学内リソースを有機的に結びつけ、学生毎にこれらを遂行することが求められている。
著者
林 行夫 柴山 守 土佐 桂子 長谷川 清 高橋 美和 笹川 秀夫 小林 知 増原 善之 小島 敬裕
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

タイ、ラオス、カンボジア、西南中国(西双版納・徳宏)での全9調査区画において771寺院の施設構成と位置情報、5500の出家者の移動データを収集し、全データを統合しタイでの移動経年データを地域情報学的手法(Hu2マップシステム、ラティスとオートマトン)で時空間解析し他区画への適応を試みた。文献から寺院と出家者の移動をデータベース化したミャンマーをふくめ地域間比較を可能とする『マッピング・データ集成I』(+1DVD)を作成した。
著者
西田 ひろ子 西田 司 玉置 泰明 富沢 寿勇 根橋 玲子 SMITH Wendy A. SMITH Wendy SMITH Wendy. 石川 准
出版者
静岡県立大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1996

1.フィリピンおよびマレーシア進出日系企業における対人コミュニケーション摩擦についての質問票調査において、フィリピンでは、18社524名(フィリピン人従業員448名、日本人従業員76名)、マレーシアでは、26社637名(マレーシア人従業員484名、日本人従業員153名)の協力を得た。2.現地従業員の日本人に対する、また日本人の現地従業員に対する「コミュニケーション上の困難度」についてのインタビュー調査を実施。フィリピンでは14社、日本人20名、フィリピン人42名、マレーシアでは15社、日本人22名、マレーシア人48名の協力を得た。3.上記(1)の本調査協力企業のうちフィリピンでは15社において、またマレーシアでは17社において労務管理の実態調査(質問票及びインタビュー)に対して協力を得た。4.マレーシア人と日本人の勤労倫理、労働観念比較調査を実施。マレーシア進出日系企業1社を事例研究対象として選び調査を実施した。5.マレーシア進出日系企業における参与観察。日本人とマレーシア人の間に生じているコミュニケーション上の問題点を文化人類学的視点から調査した。6.マレーシア人及びフィリピン人の退社後の交友関係についての質問票調査を実施した。7.フィリピン及びマレーシア進出日系企業における、日本人上司と現地従業員部下の間の対人湖謬ンケーション摩擦調査を実施した。特に日本人上司のリーダーシップが現地従業員に受け入れられているかどうかを調査した。
著者
陳 晋
出版者
沖縄大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は「世界の工場」になりつつある中国の製造業を取り上げ、企業戦略論の枠組を適用しつつ、最も代表格にあげられる自動車産業と家電産業に参入して大量生産の確立を目指す中国上位メーカーの競争力蓄積の成果と問題を比較し検討した。あわせて、WTOの加盟にともない、中国製造業のダイナミックな変化、およびグローバル化を踏まえた企業行動の行方を分析した。中国の自動車メーカーと家電メーカーはともに1950年代中期に現れたが、70年代の中期まで国際比較から見れば、自動車メーカーの生産規模や技術水準は家電メーカーよりかなり上であった。その後、1970年代末の改革開放から今日までの20数年間の発展を経て、ともに政府の産業保護、政策支援を受けながら、両産業の競争力は逆転し大きな格差が現れてきた。以上の認識のもと、本研究の問題関心は次のとおりである。すなわち、WTO加盟にしたがって中国の自動車と家電メーカーの間で、顕在化しつつある競争力の格差は、どのように生じたのか、その要因はなにかである。具体的に、いままでの政府による産業政策などといった外部環境要因とともに、それぞれ産業における内部競争の度合いおよび各自上位メーカーの戦略構築過程とどのような関係があるかなどである。結論として、両産業それぞれの外部環境要因、業界内部の競争の度合いおよび各上位メーカーの戦略構築過程の差異は、それぞれ上位メーカー間に行動重心の政策適応から市場適応へ修正する時間差を発生させ、競争力の格差を形成させたことを明らかにした。まず、中国の自動車メーカーにおける競争力の蓄積は、政府の一貫した競争排除政策、とくに需要がトラックから乗用車へ移行しはじめた80年代の後半に採られた中央政府の厳しい参入制限と競争排除政策によって強く制約された。これに対して、家電メーカーに対する政府政策の直接介入は80年代の後半になると、多数の新規参入と大量生産能力の導入によって、家電製品の生産が売り手市場から買い手市場へ転換したため、ほぼ不可能になった。また、大手国有自動車メーカーは、業界の中核的な地位を占めながら、終始政府政策や計画投資の依存から抜けられないので、市場環境の変化に備える競争力の構築は大きく立ち遅れた。これに対して、80年代に後発した非国有企業を中心とする家電メーカーは、初めから政府の計画投資などに期待せず、市場ニーズに応え、厳しい国内市場競争でしのぎを削ってたたかい、市場経済の波に乗って業界の上位に上り、競争力を着々と伸ばして強くなっていた。
著者
熊本 博光
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

自動車運転の認知行動アニメーションにおいては、個々の自動車の追従ならびに操舵制御が基本アルゴリズムとなる。そこでまず、車両を状態方程式でモデル化し、スライディングモード制御法を用い、追従と操舵に対して新たな制御器を構築した。この結果、車両や路面状態の不確定部分に対してロバストな運転が可能となり、人間運転者と同様の良好な制御結果が得られた。たとえば、圧雪路での急激な車線変更時には、熟練運転者に見られるカウンタ・ステアも実現され、車両位置と方向は安定を保ちながら隣接車線に一致した。次にこれらの基本的制御アルゴリズムをもとに、現車線前方車への追従制御、隣車線前方車への追従制御、自由走行、車線保持制御、車線変更制御、停止制御などに関する認知判断モデルをアルゴリズム形式で明らかにし複数目標下での複雑な状況にも対応可能にした。さらに、自動車群の認知行動アニメーションのために、2車線周回道路環境を3次元仮想現実ソフト上に作成し、様々な視点からのシミュレーションを可能にして、認知行動モデルの有効性を視覚的に示した。すなわち、道路、交差点、信号、建物などをオブジェクトとして作成し、10台の自動車運転車両を走らせ、自由走行から先行車への追従制御、交差点での停止制御、車線変更制御などをアニメーション化し、フロントガラス及び上空から見た情景を視覚化した。このアニメーションに際しては、設備備品として購入したパソコンが重要な役割を果たした。将来の課題としては、雪道などの路面状況の変化を道路環境に含めること、懸架系をも考慮して車内から見た状況をより現実感のあるものにすること、交通事故状況の再現などがある。
著者
恒次 祐子
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2003

これまでに実験室実験において,生理応答の個人差をパーソナリティで説明することを試み,不安傾向,タイプA型傾向と味覚・嗅覚刺激時の脳血液動態との間に関連がある可能性を見出した。今年度は実験をフィールドに拡大し,実際に生活の場で自然環境と触れる際の生理応答の個人差について唾液中コルチゾールならびに分泌型免疫グロブリンA (s-IgA)を用いて検討した。森林浴実験を国内10箇所で実施した。被験者は毎回異なる男性大学生12名とし,午前中に森林中にて15分間の歩行を行い,午後には同じく森林中にて15分間の座観(椅子に座って景観を眺める)を行った。コルチゾール,s-IgA分析用の唾液は,朝,歩行前後,座観前後,夕方の1日6回行った。また対照として各地で「都市部」実験地を設定し,同じスケジュールで測定を行った。結果として,コルチゾール濃度にはどこの実験地においても明確な日内変動が認められ,主観申告との対応も良く出ていた。一方IgA濃度については主観申告との対応があまり見られず,値の個人差も大きかった。これについて文献的調査を行ったところ,ソーシャルサポート(日常生活で自分をサポートしてくれる人の数等に関する主観申告),タイプA型傾向などによってs-IgA濃度のベースラインが異なるという報告や,ストレスの種類によって視床下部-下垂体-副腎皮質系または視床下部-交感神経系のどちらが刺激されるかが異なり,それにより免疫応答の方向が決定されるという報告があることが分かった。s-IgAについては今後さらに文献的調査を実施し,刺激受容から分泌までの時間や,濃度の上昇・低下の持つ意味を整理する予定である。
著者
奥野 喜裕 村上 朝之
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、クローズドサイクルMHD発電の実用化に向けて、「MHD発電機の実用高度化」研究を戦略的に推進した。衝撃波管駆動MHD発電実験装置、および高精度電磁流体数値シミュレーションを駆使して、類似の発電システムの中では世界最高の発電出力密度を達成するとともに、発電機形状の改良による発電性能の向上を実証し、理論的裏付けとともに,更なる性能向上に向けての確度の高いロードマップを提示することができた。