著者
瀬地山 角
出版者
東京大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1995

今年度は北朝鮮と韓国で資料収集を行ったほか、資料の収集と整理を行い、最終的に単著として刊行する上での最終的な準備を行った。北朝鮮では簡単なインタビューや見学を行い、実情に対するある程度の感覚をつかむことができた。特に儒教と社会主義が絡んで独特のジェンダー規範が形成されていったことを後づけることができた点は大きな成果となった。社会主義としての中国との類似点のほかに同一の文化としての韓国との類似点を摘出できた点は本研究の独自の貢献であると考える。また韓国では統計資料などを中心に資料を集め、論文執筆への基礎作業を終えることができた。そうした成果についてはアジア経済研究所の研究会、ソウルや静岡での国際シンポジウム、日本社会学会・現代中国学会などさまざまな機会で発表し、批判を吸収してきている。アジア経済研究所の研究会での成果は佐藤・服部編『韓国・台湾の発展メカニズムの再検討(仮)』としてまもなく出版される予定であり、そのなかで私は家父長制という文化規範の考察を通じて、韓国・台湾の経済が似ているように見えて実はかなり違う様相を持つものであることを文化的側面から明らかにした。女子労働・肉体労働の評価といった点で伝統的文化規範の作用から大きな差異が生まれるのである。今年度後半からは主に単著の執筆に専念しており、本研究の成果は、博士論文として総合文化研究科に提出した後、勁草書房より『家父長制の比較社会学(仮)』として出版される予定となっている。
著者
長岡 信治
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

九州の霧島火山,阿蘇火山,九重火山の過去約10万年間のテフラの層序と分布の詳細を明らかにした。テフラから霧島・阿蘇・九重の各火山の高解像度の爆発的噴火史の復元を試みた。霧島火山や阿蘇火山は成層火山の形成を伴う爆発的噴火を繰り返しているが,九重は,溶岩ドーム形成が主体で,爆発的噴火は少ない。噴出率については,阿蘇は最近低下しているが,霧島と九重は増加傾向にあり,将来大規模な噴火が発生する可能性が高い。
著者
森 善宣
出版者
佐賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

米国、中国、ロシアで公開された資料を丹念に収集した結果、朝鮮戦争(1950年6月)の開戦に至る経緯と開戦後の韓国と北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)での政治・経済・社会的な変化を把握する上で、大別して5点に要約できる研究成果を挙げることができた。1.朝鮮の解放(45年8月)から南北分断体制の樹立(48年8〜9月)を経て朝鮮戦争に至る経緯を米ソ両国の朝鮮政策との関係で再整理する中で、北朝鮮による開戦の試図は当時の首相だった金日成が朝鮮共産主義運動の主導権を喪失したのを挽回しようとするところにあった点を明らかにできた。2.朝鮮戦争の開戦経緯と開戦後に起きた金日成による朝鮮労働党内の粛清とを連続的かつ論理整合的に説明できる北朝鮮内の内部矛盾の展開という仮説が正しいことを確認できた。朝鮮統一の戦略と朝鮮労働党内の権力闘争が結び付いた金日成と副首相兼外相の朴憲永との暗闘が矛盾の根源だった。3.朝鮮戦争の渦中から「対立の相互依存」構造と研究代表者が呼ぶ朝鮮分断の状態がどのように形成されたのかを実証的に明らかにできた。同族殺し合う戦争を経る中で南北朝鮮の国内に冷戦の論理を取り入れ、国内の政敵を軍事境界線の向こうの敵と同一視することで権力維持を図るようになった。4.これらの研究成果を得るために行った資料調査の中で、米国ならびに中国から公開されている資料をほぼ漏らすことなく収集でき、またロシア資料の所在と公開状況を把握できた。米国立記録保管所(National Archives II in College Park City)、北京の中国共産党直属の梢案館、モスクワに散在する記録保管所である。5.中国に亡命中の元文化宣伝副相だった金鋼氏など北朝鮮の比較的に高位の人物にインタヴューすると共に、彼らの所持する希少な資料を入手する約束を取り付けた。同時に世界各国にいる朝鮮戦争研究者との接触を通じて、今後の情報収集に道筋をつけることにも成功した。
著者
藤吉 康志 川島 正行 山崎 孝治 塚本 修 岡本 創 杉本 伸夫 三浦 和彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

当該研究期間、2002年と2004年の2回、北極海上に発生する雲と降水システムの総合的な観測を実施した。まず、北極海に出現する大きな気象擾乱には、背の低いタイプと背の高いタイプがあり、前者は北極海起源、後者は北太平洋起源の低気圧であるとを示した。次に、北極層雲の水平構造を調べ、対流性と層状性の構造の2つの水平パターンが存在することを見出した。この結果は、詳細な数値モデルによるシミュレーションの結果と整合的であった。また、雲レーダーを用いた観測で、雲の鉛直構造を明らかにし、雲頂高度がほぼ-45℃に存在すること、2km以下と5km付近の2高度で雲の出現頻度が高いこと、更に、北極海では雲は多層構造を示していることなどを明らかにすることができた。さらに、雲レーダーとライダーと組み合わせるアルゴリズムによって、雲粒の粒径分布も求めることができた。海洋と大気との乱流フラックスも実測し、放射収支と合わせて、北極海での熱収支を見積もることができた。また、客観解析データとレーダーデータを基に、北極域での水収支とその季節変動も見積もることができた。更に、エアロゾル-海洋-大気-雲の相互作用を新たに見出した。これは、海水温の変化と、海起源の雲核の数濃度や大気境界層内の雲の発達とが良く対応していることを観測事実として示したもので、北極海上における下層雲の形成過程が、温暖化に伴う海水温変化に影響を受けることを示した画期的な成果である。以上の成果は、国内外での学会で発表し、他国の研究者から高い評価を受けた。更に、熱帯・中緯度との観測結果との比較も行い、2012年にESA(Europe Space Agency)とJAXAとで共同で打ち上げ予定の雲観測衛星(EarthCARE)の科学的基礎データとしての重要性を強調した。
著者
岩村 三千夫
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
アジア經濟旬報
巻号頁・発行日
no.753, pp.1-6, 1969-04-21
著者
掘江 未来 芦沢 真五 芦沢 真五 太田 浩 黒田 千晴 舘 昭 米澤 彰純 吉川 裕美子 堀江 未来
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.国内調査日本の高等教育機関における外国成績・資格評価の実態を明らかにするため、留学生受け入れ大規模校30校を対象に、質問紙調査及び訪問調査を行った。留学生入試に携わる教職員から得られたデータを分析した結果、日本では、留学生選抜において、外国成績評価のシステムは確立しておらず、個々の教職員の経験と知識によって書類が評価されていること、特に重視されているのは証明書の真偽検証であること、留学生選抜に教員が深く関与していることが明らかになった。2.アメリカ及びヨーロッパ諸国における調査及び関係機関におけるトレーニング受講NAFSA年次総会やEAIE年次総会に参加し、米国・欧州における外国成績・資格評価システムの基礎情報及び最新動向について情報を収集した。また、外国成績・資格評価を専門的に行う団体であるWES、AACRAO、NUFFICを訪問し、これらの機関における評価手法、成績・資格評価の専門家育成のプロセス、ならびにオンラインデータベースの開発のプロセス、運用状況について調査した。3.実務ワークショップ/研究シンポジウムの開催2006年3月、米国・イギリス・オランダから外国成績・資格評価の専門家を招き、日本の大学の入試担当職員に対し外国成績・資格評価の理論的な枠組みについての講義を実施し、議論を深めた。2006年7月、アメリカとヨーロッパから外国成績評価の専門家を招聘し、日本の高等教育機関で留学生選抜業務に携わる教職員を対象とした、外国成績・資格評価の実務ワークショップを開催した。2006年11月、本研究で得られた知見をもとに、米国・オランダから高等教育専門家を招き、日本における外国成績・資格評価のシステム化の可能性について議論した。
著者
塩村 耕 高橋 亨 阿部 泰郎 榊原 千鶴
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

人間とは動物の中で唯一死の概念を有する「死を知る人(homo memor mori)」であり、そうであるがゆえに未来へ本を遺し、過去の本を読む「本の人(homo librarius)」でもある。したがって、書物は人類の遺した文化遺産の中で最重要のもので、我々は遺されたそれらの全体像を出来るだけ明らかにすべき責務がある。この研究計画の目的は、古典籍の宝庫として知られる西尾市岩瀬文庫の古典籍全1万8千点について、各書籍の書誌、成立、内容を詳細に書き込んだ、いまだかつて見られないような「記述的(descriptive)」な書誌DB(データベース)を完成・公開し、そのことを通して新たな時代の書誌目録のあり方を全国の所蔵機関や文庫に提案することにある。本研究計画に先立つ事前調査を含めて6年間の集中的調査を経て、現在1万1千点について調査入力が終了した。また、DB公開運用の先行モデルとして、並行して調査を進めてきた名古屋大学附属図書館神宮皇学館文庫について平成17年4月より書誌DBを公開し、新たに判明した問題点を改善した。まだまだ前途は遼遠ながら、岩瀬文庫という豊富にして多彩な内容を含む一大文庫について、DBを完成公開する夢の実現が具体化しつつある。正直に言えば、古典籍にかかわる一研究者として、珠玉の知見に満ちたDBを公開することに躊躇する気持ちは、調査開始以後しばらくの間は強くあった。しかしながら、大量の古典籍-その全ては死者の遺したものである-に触れる中で、書物と人間との関わりについて体感開悟するところがあり、今ではDBの公開が書物の活用に大きく資するものであり、そのことが書物を遺してくれた先人たちに対する報恩となることを確信している。そして、このようなDBが方々の文庫に備わることによって、日本の人文学が新たな局面に一歩を踏み出すに違いない。
著者
岡本 健
巻号頁・発行日
2010-09-25

第2回 観光・余暇関係諸学会共同大会. 2010年9月25日. 東洋大学 白山第2キャンパス. 東京都.
著者
工藤 拓 松本 裕治
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.20, pp.97-104, 2001-03-05
被引用文献数
8

本稿では,チャンキングの段階適用による日本語係り受け解析手法を惺案し,その評価を行う.従来法は,任意の二文節間の係りやすさを数値化した行列を作成し,そこから動的計画法を用いて文全体を最適にする係り受け関係を求めるというモデルに基づいていた.しかし,解析時に候補となるすべての係り関係の尤度を計算する必要があるため効率が良いとは言えない.本提案手法は,直後の文節に係るか係らないかという観点のみで決定的に解析を行うため,従来方法に比べ,モデル自身が単純で,実装も容易であり,高効率である.さらに,従来法では,個々の係り関係の独立性を前提としているが,本提案手法はその独立性を一部排除することが可能である.本提案手法を用い,京大コーパスを用いて実験を行った結果,従来法と比較して効率面で大幅に改善されるとともに,従来法以上の高い精度(89.29%)を示した.In this paper, we apply cascaded chunking to Japanese dependency structure analysis. A conventional approach consists of two steps: First, dependency matrix is constructed, in which each element represents the probability of a dependency. Second, an optimal combination of dependencies are determined from the matrix. However, this method is not always efficient since we have to calculate all the probabilities of candidates. Our proposed cascaded chunking model is quite simple and efficient, since it estimates whether current segment modifies immediately right-hand side segment to parse a sentence. In addition, proposed model does not assume the independence constraints in dependency relation. Experimental results on Kyoto University corpus show that our system achieves accuracy of 89.29%, higher than that of our previous system, as well as improves the efficiency of parsing.
著者
河野 啓子 松木 秀明 式守 晴子 松岡 昌子
出版者
東海大学
雑誌
東海大学健康科学部紀要 (ISSN:13474162)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.57-63, 2003
被引用文献数
1

東海大学健康科学研究科看護学専攻(修士課程)が開設され、3年を経た現在、より充実した大学院にするための見直しが必要と考えられた。その基礎資料を得るために、看護職の大学院への進学ニーズを明らかにすることを目的に本研究を行った。その結果、以下のことが明らかになった。1)大学院への進学希望者は「すぐに進学したい」は2.0%、「条件が整えば進学したい」は48.5%であり、両者をあわせると50%強であった。2)大学に対する要望としては、「研究指導日、講義日程が調整可能」、「通信教育」、「夜間開講」、「社会人特別選抜」、「土・日・祝日開講」など、働きながら就学できる条件が多くあげられた。3)大学院への進学において特に重要視する項目は、「カリキュラムの内容」、「入試科目」、「地理的条件」であった。
著者
福 知栄子 倉知 桂子 若林 敏子 内本 充統
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

岡山県内ファミリーサポートセンター依頼会員調査からセンター活動の活用状況や期待および課題を捉え、さらに全国アドバイザー調査からはセンター活動の支援状況や支援プロセスおよび今後の課題等を把握した。また、事例を通して地域子育て支援活動としてセンター活動が果たすコーディネート機能について検討した。依頼会員は、子育てへの安心感(緊急支援)を得ることやワークライフバランスを図るために登録をしている。提供会員には、子どものケア・ニーズへの対応とともに、親のニーズへの対応も期待している。地域住民参加型の子育て支援ネットワークづくりへの依頼会員の貢献が今後の課題である。アドバイザー調査からは、センター活動がひとり親、障害のある親、外国人の親等多様な家族を支援する実態がみえる。支援活動の質を左右するマッチング場面のアドバイザー同席は半数である。提供会員研修には、手どもの育ちや応急手当等と子育て不安への理解等親関連の内容も含まれる。センターが地域関連機関との間で情報交換をするのは、保健所や保育所が最も多く、次に子育て支援センターや主任児童委員等である。個別ケース支援の連携もあり、アドバイザーのコーディネート機能による地域連携活動として、くらしが不安になる離婚前後での支援や親の精神的不安が強い時期の支援等の事例がみられる。今後の課題は、提供会員の量的拡大と質的向上、関連機関との連携の充実、アドバイザーの知識・技術の向上等である。適切で柔軟なコーディネートができるアドバイザーの質的向上のための研修体制・スーパービジョン体制の確立が重要である。子育て家族が抱える課題を共通理解し、地域で子どもと家族を支援するチームとして支援者と親が協働で活動することが今後のセンター活動の展望を切り開く。
著者
石田 理永
出版者
千葉大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

平成12年度は、環境外乱による地盤震動特性のマスキング現象の解明に向け、実験的・解析的双方の側面からの検討を行った。実験的検討としては、平成11年度に構築したリアルタイムの交通流記録システム(池上通信機(株)・ZPC-104他)と、既存の地盤振動モニタリング・収録システムを連動させ、道路交通に起因する地盤振動と交通流との相関の抽出を試みた。その際に、補助的に騒音も計測するのが良いと考え、新たに積分形普通騒音計(リオン(株)・NL-06)を購入した。当初の研究計画では、数パターンの敷地と道路との取り合いをフィールド調査の上選択して、地盤振動・交通流同時計測を実施する予定であったが、振動・映像・騒音同時計測手法の工夫・習得にじっくりと時間を費やしたため、千葉市内の計155箇所においてフィールド調査は行ったものの、同時計測としては、今年度の段階では、千葉大学西千葉キャンパス南門付近の平面道路と敷地境界における検討のみとなった。交通外乱による地盤振動を適切に説明するためは振動源特性(走行速度・積載状況・車種・路面凹凸等)まで遡って一台一台の車両走行状況を精度良く把握することが鍵となるため、現在、同時刻における敷地境界での振動・騒音と映像のパターン分類と、波形・スペクトルの定常的、非定常的特性の考察を進めており、今後に繋がる成果が出つつ有る。解析的検討としては、平成11年度に地盤振動計測を実施した東京都墨田区鐘ヶ淵周辺の敷地の1つである、高架道路に面した公園について、既存の動的相互作用解析コードSASSIを使用し、高架道路の複数橋脚による伝播波動の重ね合わせに関する検討を行った。推定加振力による平行成層地盤上の複数橋脚基礎同時加振の結果は、橋軸直交測線上の地盤振動観測記録を定性的・定量的に説明しており、環境外乱による地盤震動特性のマスキング現象の一端を解明することができた。
著者
山本 伸一
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

当初の研究計画が、ゲルショム・ショーレムによる先行研究の批判的検討であったのに対して、以下に述べるように、当該年度の研究の過程において、より新規性に富む視点からシャブタイ派運動を分析することができた。そのなかで私が研究の目的として設定したのは、シャブタイ派思想における反律法主義の起源の解明であり、これはシャブタイ派思想のカバラーの性質を究明しようとした所期の目的をより厳密にしたテーマである。律法主義(nomism)を本質とするユダヤ教において、戒律の変更と更新を目指す反律法主義(antinomism)は、単に律法を副次的に理解する非律法主義(anomism)とは区別されねばならない。現段階の想定によれば、メシアの時代における救済の実現のために行われた祭日、慣習、戒律の大胆な変更は、(1)ツファット盛期のカバラー、及び(2)中世の占星術に影響されていた現象である。反律法主義の起源を研究するために、それぞれの点について以下のことを研究した。(1)ツファット盛期のカバラー(16世紀にパレスチナの小都市で起こったカバラーの復興運動)においては、神秘家によって伝統的な戒律や慣習がより厳密に規定され直したことが知られている。このカバラー的律法主義を終末論的に解釈したのが、シャブタイ派の反律法主義であることを立証する。(2)中世の占星術は、ユダヤ教徒、キリスト教徒、ムスリムなど宗教の枠組みを越え、多くの知識人が共有した普遍的な学問領域であった。すでにカバラーはその初期から占星術を採用しており、こうした言説のなかには、反律法主義的な性格のものが存在する。シャブタイ派文献のなかにもその影響が見られるため、その関連性を一次資料に依拠しながら研究する。現在のところ、研究成果の発表にはいたっていないが、以上の論点はシャブタイ派思想研究においては、極めて本質的かつ独創的な試みであると考える。
著者
汪[テイ]
出版者
鈴鹿大学
雑誌
鈴鹿国際大学紀要Campana (ISSN:13428802)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.135-148, 2009-03-20

In December, 2007, the Revised Act of the National Holidays in China was published by the Government. This was a result of heated discussions about the slighted traditional holidays in the bustle of Western ones in many Chinese cities, which occurred on websites and in newspapers in the past two years. These discussions are a reflex of the problem on the recipience and conflict of foreign cultures brought in China in recent years. This paper shows the recent flow of those discussions and topics including exploration of young people's positive feelings to Western cultures.
著者
熊谷 正俊 伏木 匠 横田 孝義 佐野 豊 鈴木 研二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.45, no.12, pp.2696-2705, 2004-12-15
被引用文献数
5

本論文では全国規模の交通情報サービスを目的とした所要時間長期予測手法を提案する.この手法は曜日/祝祭日/季節/五十日等の多様な因子を加味した予測が可能であり,全国域の大規模なデータをコンパクトな予測モデルで取り扱うことができる.その基本となる考え方は,たとえば朝夕の渋滞に相当するような複数の基底データが日付に応じた強度で合成され,所要時間データを構成しているというものである.この考え方に基づけば,所要時間データは日付によって変化しない基底データと,日付によって変化する合成強度とに分解され,曜日等の因子と関連づけて予測すべき情報は後者のみである.基底データと合成強度への分解には,主成分分析を用いた特徴空間射影が利用可能であり,合成強度に関する予測は特徴空間上で行われる.所要時間データ空間に比べて低次元化されていることから,特徴空間上では予測モデルを肥大化させることなく,高精度な予測処理を行うことが可能である.特徴空間からの逆射影は分解された基底データの合成による所要時間データの復元に相当し,特徴空間上で予測された合成強度の逆射影により所要時間データの予測値が得られる.実際の所要時間データを用いた評価により,この手法が予測精度の効率的な改善に有効であることが確認された.We propose a travel time forecast method for nation wide traffic information services. This method can deal with various "day factors" which traffic condition depends on, e.g. days, seasons, and vacations, without complicated local parameter setting. It also has the advantage in both the size of the database and the amount of the calculation for forecasting. The basic idea of the method is that travel time data consists of the weighted sum of several "feature bases" which represent characteristic traffic patterns such as congestion in morning or evening. The feature bases are the information which is independent of the day factors; in contrast, the information to be forecasted according to the day factors is weighting coefficients of the feature bases. The feature bases are given by the feature space projection using principal component analysis, and the forecasting process for the weighting coefficients is performed in the feature space. Since the dimension of the feature space is smaller than that of the travel time data space, the method can achieve an accurate forecasting process with a small database and a little amount of calculation. The information of the feature bases are restored to the forecast data of travel time by the inverse projection from the feature space. Evaluation results show that the method efficiently improves the forecast accuracy for wide-area applications.