著者
水原 啓暁
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

エピソード記憶に代表される海馬記憶を実現するための動的な皮質間ネットワークが創発するメカニズムを解明することを目的として,脳波とfMRIの同時計測を実施した.海馬記憶に関連する課題として風景写真を観察中の脳波とfMRIの同時計測にもとづき,海馬記憶に関連する皮質ネットワークを同定し,前頭からのシータ波の発生タイミングにおいて,前頭前野内側面,前頭眼野,高次視覚領野および海馬傍回場所領域の反応が発生することを示した.また,神経の振動子ダイナミクスの協調により認知処理に必要な皮質ネットワークが動的に形成されていることを示すために, fMRIの空間分解能で特定した皮質位置での脳波時系列データを再構築する技術を開発した.
著者
吉川 由希子 松浦 和代 三上 智子
出版者
札幌市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

北海道内に居住している障がい児の在宅ケア支援の社会資源は、小児を受け入れている訪問看護ステーションや介護事業所、レスパイト施設などは都市部に集中していた。また、家族からの聞き取り調査では、自治体によって在宅ケア支援への対応が異なっていた。今回の研究期間では実態調査とモデルの検討段階にとどまったため、継続して地域の特性を生かした在宅ケア支援ネットワークモデルを展開していく。
著者
佃 修一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

蜘蛛のような形をしたマシンが足先を固定されているときにとることの出来る状態のなす配置空間のおおよその形(安定ホモトピー型)を,いくつかの場合に決定した.またゲージ群とよばれる空間の,素数pごとに決まるおおよその形(pで局所化したホモトピー型)をいくつかの場合に決定した.
著者
木村 忠史 久保 泰
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

タランチュラ毒腺のcDNAライブラリーの中から約4000個の制限酵素切断パターンに基づき約1500個のクローンを選択しDNA配列の解析を行い869個の高い品質の配列データを得た。このうち284個(=32.7%)が毒様の配列を示していた。これは他種のクモで報告されている30.6% や32.5%とほぼ同等の値であり本研究の妥当性が示された。更にPCRクローニングにより34個の毒様配列を得た。これらから重複無く48個の独立した新規の毒様配列を得、GTx1~GTx7, GTx-TCTP, GTx-CRISPの9つ
著者
大利 昌久 新海 栄一 池田 博明
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.111-119, 1996
被引用文献数
10 16

The redback spider, Latrodectus hasseltii, is a common venomous spider in Australia. This species had not been recorded in Japan until late 1995. Large numbers of redback spiders were collected in Osaka City and in Yokkaichi City, Mie Prefecture, in November 1995. Another species of widow spiders, namely, the brown widow spider L. geometricus, was also collected in various ports : Yokohama, Tokyo, Nagoya, Osaka and in Okinawa. The author has reviewed current available information on widow spiders including the life cycle, reproduction, hunting behavior, systematics and distribution of each species, etc. The invasion route of these species into Japan is also discussed. The invasion of redback spiders into Japan apparently dates back several years as frequently old, empty egg sacs have been found. There is no information on how the redback spiders survived the winter season in Japan. Fortunately, so far in Japan no biting cases have been reported.
著者
DODBIBA Gjergj 藤田 豊久
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では金属液体として金属ガリウムを使用し、分散させる強磁性粒子には数百nmの粒子径で温度の上昇とともに飽和磁化が低下する感温性がある鉄合金粒子をシリカ被覆してガリウムに分散させやすくして使用した。ガリウム中に3%程度の本粒子径の鉄合金粒子を分散させると、流体は外力でやわらかく変形するゲル状になった。本流体は流動性が少ないため、流動性がある磁性流体よりは懸濁液であるMR流体に近いと考えられる。この金属流体へ磁界の印加の有無によるトルクと角速度の関係を円錐平板型粘度計および共軸二重円筒型にて測定した。磁界中での流体の粘度変化が少なければ、応用として磁界の印加でオンとオフで移動できるスイッチ、あるいは、磁界印加状態で温度が変化すると流体が保持されなくなることによる温度スイッチなどが考えられる。
著者
小堀 孝之 野瀬 正照 三船 温尚 武笠 朗 清水 克朗 横田 勝 戸津 圭之介
出版者
富山大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2005

江戸末期の武生大仏は胎内に入って調査でき分鋳技法が多用されたことが解明できた。その他の江戸大仏は胎内に入れないことから、外部調査だけでは組み立て法が分鋳か鋳接か断定できず報告書作成が滞った。そのため、平成19年度は内部観察用ファイバースコープを隙間から挿入し、九品寺大仏、瀧泉寺大日如来像の胎内調査を行った。前者は分鋳と鋳接、後者は鋳接で組み上げたことが判明した。また、吉祥寺大仏は垂下した裳先の裏面観察によりその鋳接の具体が解明できた。次に、江戸中期の大型大仏の法華経寺大仏胎内へ入って調査を行った。偶然にも雨天直後に胎内に入り、接合部分から胎内への雨水の染み込みが見られるものの、冬期であっても陽光を受け短時間で乾燥することが分かった。また、蓮台との隙間から風が内部に入り乾燥を速めていた。目視観察ではあるが、青銅内部にまで及ぶ深刻な腐食の進行は無いと判断できた。今年度、背中の扉から胎内へ入れたもの2体、扉から頭を入れられたもの2体(観音寺大仏、芳全寺大仏)、ファイバー観察したもの2体、隙間から覗いたもの2体(駒形大仏、御代の大仏)で、これらによって分鋳、鋳接の外面痕跡が明らかになった。これらの内部観察と結果の援用によって、組み立て法がおおむね確定できるものに、分鋳と鋳接が1体(九品寺大仏)、分鋳が1体(観音寺大仏)、主に分鋳でパーツを作り鋳接で組み上げたものが1体(武生大仏)、鋳接が14体(瀧泉寺大日如来、天王寺大仏、宝龍寺大仏、西迎寺阿弥陀如来、駒形大仏、品川寺地蔵菩薩座像、円福寺大仏、法華経寺大仏、吉祥寺大仏、宇都宮大仏、芳全寺阿弥陀如来、光明寺不動明王、御代の大仏、鎌ヶ谷大仏)であった。胎内調査では内部に及ぶ腐食が認められるものはなかった。首の固定に不安なものがあり、調査によって複数通りの固定方法が解明しており、それを基に今後の修理を的確に行うことができると考えている。
著者
細川 江利子
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、日本の現代舞踊家であるケイ・タケイ(1939-)と山田せつ子(1950-)を対象とし、文献研究、インタビュー調査、トレーニングおよび作品創作過程を収録したビデオ分析を行い、2氏の舞踊観、トレーニング方法、舞踊作品創作方法の特徴を明らかにした。また、2氏の方法論は、学校教育における表現・創作ダンスの指導においても有効であり、特に即興表現と作品創作の指導法について多くの知見を得ることができた。
著者
谷口 文朗
出版者
帝京科学大学
雑誌
帝京科学大学紀要 (ISSN:18800580)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.25-43, 2006-03-31

Management games are a comprehensive way for students of our Science and Engineering Department to experience the whole processes of management visually and experimentally. Management games set in the context of the manufacturing industry have been used over the last thirty years by more than 5 million business people in Japan but no comparable management games set in the service industry has been produced yet, despite the fact that the ratio of total supply of services is increasing year by year in Japan to 58.1 percent of total supplies in 2001 as shown in Input-Output Analysis data compiled and published by the Japanese government. The management disciplines of manufacturing businesses and services businesses are very different in ways such as : 1] No inventory exists in the service production process, such as an inventory of intermediate products and finished products, because services are real-time actions that bring customers benefits. 2] Any supplies and demands of services have to be met at a specific time, place and opportunity and sales and supply costs are incurred concurrently. 3] The supplier of services is "servant" to the customer and any additional supply of services is not possible at the same time as supplying services. 4] Customers of services have to be present at the service supply spots where the qualified technicians, tools and equipment are to be found. 5] Customers need not only enough money but also enough time in order to avail themselves of services. 6] Services are paid for in cash and no deferred payment is acceptable except by credit card. 7] The ratio of fixed investments in tools, equipment, buildings and land to total assets is greater than in the case of the manufacturing industry and the price of services is often massively discounted in order to promote sales. Services are categorized as one of two types --- "franchised" such as family restaurants and beauty and hair salons or "networked" such as railways and telecommunications. There are fundamental differences between the two and they cannot be dealt with in the same management game framework. The author of this article concentrated his efforts to produce management games of "franchised type services", specifically "Beauty & Hair Salon" Business Game.Beauty & Hair Salon Management Game starts with each player holding 1000 units of money and each begins to compete for customers in competitive markets, not by quoting prices but by appeal chips that symbolize the reputation of the salon's technicians and hair treatment products sales to customers. The results of one year's business operations are easily compiled into a statement of "profit and loss" and a "balance sheet", enabling players to develop strategic thinking skills for future business operations while playing the game.
著者
松田 文子 永瀬 美帆 小嶋 佳子 三宅 幹子 谷村 亮 森田 愛子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.109-119, 2000-06-30

本研究の主な目的は, 数と長さの関係概念としての「混みぐあい」概念の発達を調べることであった。実験には3種の混みぐあいの異なるチューリップの花壇, 3種の長さの異なるプランター, 3種の数の異なるチューリップの花束の絵が用いられた。参加者は5歳から10歳の子ども136名であった。主な結果は次のようであった。(a)5, 6歳児では, 混んでいる・すいているという意味の理解が, かなり難しかった。(b)数と長さの間の比例的関係は, 5歳児でも相当によく把握していた。しかし, この関係への固執が, 混みぐあい=数/長さという1つの3者関係の形成を, かえって妨げているのではないか, と思われた。(c)長さと混みぐあいの反比例的関係の把握が最も難しかったが, 8歳児は, 2つの比例的関係と1つの反比例的関係のすべてを, かなりよく把握しているようであった。(d)これら3つの2者関係を1つの3者関係に統合することは大変難しかった。8歳から10歳にかけて大きく進歩したが, 10歳でも約25%の子どもしか統合を完了していないようであった。このような結果は, 小学校5年算数「単位量あたり」が子どもにとって難しい理由を示唆した。
著者
程 子学 程 同軍 小山 明夫
出版者
会津大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

資源の割り当て問題は分散処理環境における重要な問題の一つとして知られており、多くの研究がなされています。また、ネットワーク環境の劇的な発展に伴い、様々な分散協調型のアプリケーションが開発されています。分散協調型のアプリケーションの上では、協調して動作するプロセスやユーザが一つのグループとして、動作するものとみることができます。複数のグループが同時にそれぞれなんらかの動作を行う場合、異なるグループに属するプロセス同士の間で資源競合が生ずる場合があり、そこで資源の割り当てが不適切に行われた場合、いくつかのグループの動作に支障がきたす危険性があります。そういった新たな形態の資源競合は、古くからある解決の手法では、十分に対処することができず、またその解決法に関する研究は、あまり十分には行われていませんでした。私どもは、従来の資源割り当て問題を拡張した「プロセスグループに対する資源割り当て問題」という問題を提起し、その分散的解決法に関する研究を行って参りました。本研究では、今までの研究結果を踏まえて、まず、資源の容量を超えない範囲で複数のプロセスによる資源の共向利用の時に、有効な割り当て手法として、割り込まれたプロセスに悪い影響を与えなく、全体的な効率が向上できる割り込みによる資源割り当て方法を提案しました。そして、予約済みや使用中の資源を他のプロセスに譲り合うために、別の利用可能な資源を予約・使用するという譲り合いによる資源割り当ての方法を提案し、資源を要求する複数プロセスの平均待ち時間を短縮する研究を行いました。さらに、複数のプロセスグループがあるタスクを平行に実行することを想定するグループ間の資源割り当てモデルを提案しました。最後に、提案された手法を実際のアプリケーションにどのように適用するかを検討するために、携帯電話のチャンネルの割り当てについて考察しました。開発された割り込み手法や譲り合い手法をプロセスグループに関するモデルに導入するために、いろいろと試みましたが、まだ十分な結果が得られていません。将来の課題として残されております。
著者
正野 逸子 川本 利恵子 村瀬 千春
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, 2002-03-01

【研究目的】在宅ケアチームで訪問看護婦と最も協働場面の多い,ホームヘルパーの業務内容の基礎データを得るために実態調査を行った.【研究方法】調査対象:北九州市Kヘルパーステーションに従事するホームヘルパー4名であり,訪問調査数4例(サンプル)である.ホームヘルパーおよび訪問相手先がともに本調査に同意した者のみが対象となっている.調査方法:タイムスタディによる30秒スナップリーディング法を用いて1名のホームヘルパーに1名の観察者が追随し,休憩時間を除く9〜12時までの作業動作内容をすべて観察記録した.看護業務の分類:越河氏の看護業務分類(大分類項目(以下大項目と略)20項目,小分類項目(以下小項目と略)342項目に,研究者が訪問介護の特有の業務と予測した内容を項目として大頃日に7項目,小項目に109項目追加した.【結果及び考察】1.作業場所:最も多い作業場所は利用者宅,次に屋外であった,2,関わる相手:ホームヘルパーが関わる相手で最も多いのは相手なしで,次に利用者・家族であった.相手なしが多いのは,利用者・家族への直接援助が少なく,家事援助が大部分を占めるホームヘルプサービスの特徴を示していると考える.3.大項目別業務量構成:大項目別業務量構成のスナップトータル数が100を越えるのは「補助者業務」「訪問に関する移動」「コミュニケーション」の3項目であった.サンプル別に比較すると,「補助者業務」以外はサンプルによって差が認められた.4,小項目別業務量構成:大項目別業務量の中で出現数の多かった頃日は,ホームヘルパーに特有な業務である「補助者業務」であり,その中でスナップ出現数が多かったのは"病室の掃除・整頓""病室以外の掃除"・整頓"調理""買い物"であった.この結果は家事援助の業務がホームヘルパーの業務の特徴であるが,その特徴を示していた.また,「コミュニケーション」で日常会話のスナップ出現数が多いのは,日常会話から関係作りやその日の業務の要望把握が行われること,日常会話そのものが精神的慰安にもなり、結果として業務の一環として行われることによるものではないかと考える.
著者
新井 学 倉田 佳明 磯貝 哲 高橋 信行 橋本 功二 平山 傑 土田 芳彦 村上 裕子 辻 英樹 井畑 朝紀 成田 有子
出版者
北海道整形外科外傷研究会
巻号頁・発行日
2010

肘頭骨折を合併した小児上腕骨外顆骨折の2例を経験した。【症例1】7歳男児,遊具から転落受傷し,上腕骨外側顆骨折はJacob 分類stageⅢ,肘頭骨折は2mmの転位であった。両骨折に対し観血的骨接合術を施行した。【症例2】4歳男児,ソファーから転落受傷し,上腕骨外顆骨折はJacob 分類stageⅡ,肘頭骨折は転位がわずかであった。右上腕骨外側顆骨折に対し観血的骨接合術を施行した.肘頭骨折は保存的加療とした。2症例とも骨癒合が得られ可動域制限なく経過良好である。肘頭骨折に上腕骨外側顆骨折が合併する受傷機転として,肘関節伸展位で内反および外反力が関与し,上腕骨外側顆骨折を合併した肘頭骨折は比較的稀であるが,見逃されると機能障害を残すため認識しておくべき損傷形態である。