著者
寺岡文雄
雑誌
歯科技工
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.468-473, 1996
被引用文献数
1
著者
和田 明 吉田 秀司 境 晶子
出版者
大阪医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

プロテオミクスにおいて現在最もよく普及しているのはO'Farrellが考案した等電点2次元電気泳動法にもとづくIPG法である。しかし最近、このIPG法の深刻な弱点がプロテオミクスの蛋白分離の段階に困難を齎している。一つは塩基性蛋白質の分離が不十分であること、もう一つは蛋白スポットが人為的に分裂することである。こうした弱点が等電点法の本質そのものに由来するため、これを克服するには分離原理のことなる新しい方法が必要であるが、われわれが開発したRFHR 2D PAGEは等電点法を採用せず、等速電気泳動に基づくため、この要請にこたえることが出来る。本研究の目的はRFHR法の分離能をさらに向上させ、極微量の蛋白質の検出・同定を可能にすることと、改良されたRFHR法による大腸菌と真核生物のプロテオーム解析を推進することである。先ずRFHR法の分離能向上について1.水冷方式の装置を考案し、厳密な温度制御を可能にした。その結果、4℃、1次元500V、2次元300Vの泳動では分離能の大幅な向上が見られ、大腸菌全蛋白質に対してIPG法の2倍を超える568の蛋白遺伝子を同定した。これはCBB染色で検出できた700スポットの80%を超える高い同定率である。分画をさらにきめ細かくすれば、極微量の蛋白質の検出・同定を実現できる。2.0次元ゲルを廃止し、蛋白質を1次元ゲルに直接濃縮させるように0次元濃縮過程を改良した。これによって、今後装置の自動化に取り組むことが容易になった。次いで真核生物のプロテオミクスについて1.ラット肝プロテオミクスを進める上で、懸案である蛋白の可溶化を促進するため、2Mチオウレアの導入を試み、難溶性のより大きい蛋白質や膜結合性蛋白質の分離能を向上させた。2.第3年度からヒトcell lineのプロテオミクスへの取り組みを開始した。引き続き取り組んでいく。
著者
茂木 豊
出版者
福岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

2つの調査が基本的には同一の調査票を用いて、田川市及び添田町において行なわれた。田川市の人口は1995年において56,547人、添田町の人口は同年において13,763人である。これらの2つの地域は、福岡県の田川地域の10市町村の一部を構成し、田川市はその地域の中心都市である。調査票を用いた調査の対象者は、田川市における調査では、その人口集中地区の一部に住む30代から40代までの女性で、添田町における調査では、その町の中心部に住む30代から50代までの女性であった。調査票の内容には、地域の各種施設の便利さ、生活構造、地域生活などが含まれる。人口の分散は、日本の社会における緊急の課題の1つである。田川市及び添田町は、地方の小都市の例とみなすことができるが、これらの地域は、分散政策の焦点となるべきである。巨大都市に住む人々が、自然に親しむことを求めて、次第に地方の小都市に移動するという予測も存在するが、現在のところ、そのようにはなっていない。地方小都市の生活が、移動しようとする者にとって魅力を持たなければならない。そのような地域は、基本的なアメニティが確保されるとともに、巨大都市にはない何かがなければならない。小都市の範域のコンパクトさは、そのような目標を達成するためには都合がよいはずである。地域の生活のしやすさに関する主観的評価は、その地域のアメニィティのレベルを調べるのにはあまり有効ではないこと、また、自然に親しめるかどうかということは、実際の住居移動に結びつかないとしても、アメニティのレベルの評価とは関連があるということなどが明らかになった。
著者
石丸 隆 山口 征矢 長島 秀樹 神田 譲太 茂木 正人 平譯 享 北出 裕次郎
出版者
東京海洋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

練習船「海鷹丸」による,南大洋インド洋セクターの調査・研究をH14,16,17年度の3次にわたって実施した.調査海域は,H14年度はケルゲレン海台付近およびウイルクスランド沖,H16年度は,リュツォ・ホルム湾沖及びウイルクスランド沖,H17年度は,リュツォ・ホルム湾沖である.主調査海域のケルゲレン海台周辺,リュツォ・ホルム湾沖およびウイルクスランド沖では深層水の形成機構や挙動,表層生態系と海洋環境との関係,中深層生態系の解明を主テーマとして,ADCP, CTD等による海洋観測と,水中光学的測定,表層性動植物プランクトン,仔稚魚の分布,基礎生産力測定,多段式開閉ネットによる各層生物採集等を行った.また,リュツォ・ホルム湾沖では,昭和基地と呼応したエアロゾルの観測を行った.観測海域に至る各航路上では,連続プランクトン採集器の曳航を行い(H16年度はGraham Hosie氏が乗船して担当),オーストラリア南極局の「オーロラオーストラリス」や「しらせ」による採集試料と合わせて,プランクトン群集の変動と海洋環境の長期変動との関係解明のための解析を行なう.H17年度は当初,南大洋航海の計画は無かったが,海洋構造や生態系の中長期変動を捉えるためには可能な限り継続的な調査を行うことが求められるため,国立極地研究所との協同によりリュツォ・ホルム湾沖の観測を行うこととなった.現在までに,インド洋セクターにおける深層循環の経路や流量,海氷の広がりと,氷縁における植物プランクトンのブルームとの関係等について論文を発表した.また,採集したオキアミを用いた研究により計量魚探によるオキアミ資源量の高精度な推定のための基礎的研究の成果を発表した.また,プランクトン群集組成に大きな経年変動を認め,これが南極発散線の発達や南極周極流の経路と密接な関係を持つことなどが明らかとなり,学会発表を行い投稿準備中である.
著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 石井 倫子 表 きよし 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、現代の能楽研究における資料調査の実績を踏まえ、全国に散在する文庫・図書館・個人所蔵の謡本を博捜し、曲目索引を作成して『国書総目録』【能の本】以後に発見された謡曲作品・伝本を網羅的に補足することから出発し、上記500曲の各作品ごとに、伝存するテキストの系統関係を調査した上で、主要な系統の伝本を、一曲につき数本ずつ翻刻することを目指した。室町期成立の能のテキストを網羅的に翻刻・集成するような事業は今まで全く存在せず、本研究が能楽のみならず、近世・近代前期の文芸研究、および国語学に与える影響は、きわめて大きい。最終的な成果は、『謡曲大成』(仮称)の刊行を企図しているが、一曲ごとに数十本存在する伝本を書写・校合する作業が予想以上に難航し、このたびようやくア行74曲の系統付けが完了した。C-18として付属させた冊子がその成果内容である。これらの作業過程で、古写本・古版本の新出資料を複数調査することが出来た。その中には江戸時代版行番外謡本の系統研究に重要な位置を占める、伊藤正義氏蔵「寛永頃刊行観世流異書体小本」のような稀覯本も含んでいる。早稲田大学演劇博物館蔵「春藤流升形十番綴謡本」三百番のような、従来存在は知られていたが位置付けが不明であった本についても発見があった。この本は、観世流系ワキ方であった福王流の江戸後期の大規模な謡本集成に先駆けて行われた、金春流系ワキ方系の謡本集成としては比較的早い例に属することなどが明らかとなった。また謡本研究とは直接関連しないが、本研究費による謡本の所在調査の過程で、研究分担者や研究協力者による、曲ごとの作品研究が活性化した。さらには、本研究費による謡本調査の過程で、研究代表者の竹本による世阿弥能楽論書『三道』の最善本の発見なども行われた。いずれも本研究の特筆すべき副次的成果といえよう。
著者
小川 貴弘 長谷山 美紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IE, 画像工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.488, pp.67-72, 2008-02-11

本文では,画像内容に基づく類似画像検索を実現するため,カーネル主成分分析を用いた画像の意味的特徴量の推定手法を提案する.提案手法では,あらかじめキーワードが付与されているデータベース中の画像をクラスタリングし,各クラスタから得られる画像特徴量および意味的特徴量の非線形固有空間を用いて,新たな写像を導出する.このとき得られる写像は,同一のクラスタに属する画像に対して,その画像特徴量から意味的特徴量を高精度に推定する.そこで,提案手法ではキーワードが未知のクエリ画像に対して,その意味的特徴量を推定する際に画像特徴量で生じる誤差に注目することで,属するクラスタの適応的選択を行う.これにより,クエリ画像の意味的特徴量は最適なクラスタによって精度良く推定されるため,その結果から画像内容に基づいた類似画像検索を行うことが可能となる.
著者
待鳥 聡史
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究課題は、アメリカをはじめとする各国において顕著に見られるようになった政党間の対立激化(分極化)に焦点を合わせて、分極化がなぜ生じてきたのかについて実証的に解明しようと試みた。アメリカの場合、政党内の予備選挙制度の普及が分極化の促進要因になっていることがしばしば指摘されるが、主としてアメリカの歴史的事例や日本との比較検討を通じて、より大きな政治制度構造の影響が重要であるとの結論に至った。
著者
三成 由美 徳井 教孝 酒見 康廣 北原 詩子 松田 千照
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

保育所乳幼児の健康増進及び生活習慣病を予防するための、栄養教育を実現させることを目的に、乳幼児の食生活を明らかにし、また、腸内細菌叢都の関係を検討したので報告する。保育所乳幼児における食育は、保護者と子どもの育ちを共有し、保育所の長所を中心に家庭や地域と連携した食育実践が重要であり、保育所に栄養士の必置義務の導入が望まれる。
著者
浅川 正之 南方 久和
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.263-272, 2000-04-05

宇宙初期に存在していたと考えられるクォークがもはや核子や中間子内に閉じ込められていない相への転移に際しては,同時に「カイラル対称性」の回復という相転移が起きると信じられている.本稿ではこのカイラル相転移に伴って生じると考えられている「誤ったカイラル軸を持つ偽真空」のドメイン形成の力学について,非専門家向けに解説する.超相対論的原子核衝突実験によってこれらの相転移を実験室で観測できる可能性が現実的になってきた現在,このドメイン構造の物理は非平衡な環境下で進行する動的相転移過程の実験室として,広い分野の方々に興味をもって頂けると期待している.
著者
政宗 貞男 押山 宏 飯田 素身
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1993

絶縁ギャップを有する金属放電管の内面を利用した新しい静電的ヘリシティー入射法の可能性を探るために、STE-2装置においてRFPおよびULQプラズマを用いて基礎実験を行い、以下の結果を得た。結果(3)は、この方法の有効性を示唆している。(1)非円形断面放電管内に生成されたRFP(セパラトリクスはない)において、周辺部から電極を挿入してヘリシティー入射を試みた。放電管の形状などから電極は8mmφの円筒構造、入射位置は同一ポロイダル断面内に制限されている。電極間電圧を400Vまで印加し、電極間電流として100A程度を得ている。最大電流密度はRFP放電の平均トロイダル電流密度と同程度である。電極近傍ではヘリシティー入射に伴うトロイダル磁束の増加(5%程度)が観測された。この磁束増加は入射ヘリシティーの極性によらない。従って、入射ヘリシティーの極性に応じてプラズマの応答が異なるのか、あるいは局所的なジュール加熱によるβ値の増加が重要なのか、のいずれかである。周辺トロイダル磁場およびポロイダル磁場にはヘリシティー入射の影響は観測されなかった。(2)トロイダル磁場に空間的な変調をかけて2分割放電管を共通に貫く磁束をつくり、これがRFP放電におよぼす影響を調べた。変調磁場が元のトロイダルバイアス磁場と逆向きの場合、RFP放電に悪影響を与える変調レベルは同極性の場合より低い。この原因の解明を進めているが、RFPの異常放電抵抗の機構と関連する可能性がある。(3)低電流ULQ放電において、本研究で提案している方法を基づいてヘリシティー入射を行った。放電管ギャップ近傍の局所的な測定では最大20%程度のトロイダル電流の増加が観測された。この基礎実験に続いてギャップ部分に局所的シェルを取り付けて誤差磁場を減らし、特性が改善されたRFPプラズマにおいて同様の実験を進めている。
著者
今井 浩
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.411-412, 1995-03-27

本稿では,最適化アリゴリズムの研究動向について,まず伝統的なものと相対的に新しいものを簡潔にまとめる.そして,その中の厳密解法である分技限定法・動的計画法に関連するもので,VLSIの論理設計の分野から実用性が注目されてきた2分決定グラフ(BDD)の最適化問題への応用について触れる.また,モダンヒューリステックでの近傍探索に関連した話題として,局所情報のみを用いて全域情報を列挙する逆探索手法について述べる.分量の制限のため,このように具体的に紹介するのは筆者の興味からこの2つに限るが,もちろん最適化は広範な分野であり,本稿を元に他の研究動向についても興味をもって頂けると幸いである.
著者
砂山 渡 川口 俊明 田村 幸寛
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J93-D, no.10, pp.2032-2041, 2010-10-01

近年のインターネットの普及につれ,大学などの教育機関において電子レポートを提出する機会が増えてきている.手書きのレポートであれば,人間が目で見て採点する必要があるが,電子的なデータとして存在するレポートであれば,そのレポート内の単語情報を計算機が自動的に取り出すことができるため,採点支援環境の構築により,人間の負荷を軽減することが期待できる.実験や演習のレポート課題においては,その課題に即したレポート提出者の意見が含まれている必要がある.しかし,レポートの独自性だけではなく,課題に関連して記述されている情報量を評価対象とする必要がある.そこで本研究では,レポートの情報量を,「レポートの課題に対する結果,及び結果に対する自分の意見の記述量」として定義し,これをもとにした客観的な各レポートの情報量を提示することで,レポート評価者がレポートの比較を行うことができるシステムを提案する.評価実験の結果,レポートの長さのみによらず,レポートの内容による評価を支援することができた.
著者
岩崎 哲弥 綾木 良太 島田 秀輝 佐藤 健哉
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J93-B, no.10, pp.1388-1396, 2010-10-01

インターネットのBGP経路制御環境を前提とした,ルータの性能調査や運用監視技術の評価,実験を行う際には,可能な限りインターネットで運用されるルータと同等の環境が必要とされる.このような状況をテスト環境において実現するために,複数のBGPエミュレータが提案されている.しかし,これらのBGPエミュレータでは,インターネットと同等な経路情報,経路広告頻度の双方を満たした経路広告ができない.そこで,本研究ではインターネットで交換されるBGPの経路情報のアーカイブデータを利用し,過去の広告時刻を考慮した経路の再現,広告が可能なBGPエミュレータの開発を行った.また,経路情報をRDBMSにて管理することで,過去の特定期間における経路情報や,特定のパス属性値に基づく経路情報を柔軟に抽出し,広告することを実現した.実装したBGPエミュレータの評価を行い,経路の再現広告を行うBGPエミュレータとしての有用性を示す.