著者
別府 俊幸
出版者
松江工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

エンジニアリングデザインとは、メーカにおいてクライアントの要求に適合するシステムやコンポーネント、プロセスを開発するプロセスである。研究では、卒業生がデザインプロセスに参画して能力を発揮することを目的として、教科内容および教科書の作成を進めた。ものづくり体験に立脚したデザインプロセスの学習、および学習した知識を応用するデザイン演習を組み合わせた教育法を提案した。現在、教科書を作成中である。
著者
斎藤 喬
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本年度は、当初の研究実施計画に沿って平成19年9月21日から同年12月21日までの91日間フランス共和国に滞在し、研究対象となる「グラン・ギニョル」に関連する文献資料等の収集を行った。これまでパリの「グラン・ギニョル」に関連する研究はフランスにおいてもごくわずかなものであったが、本年はアメリカの研究者によるロンドンの「グラン・ギニョル」についての専門書が刊行された。また、演劇史的観点から「グラン・ギニョル」以前となる17世紀までのホラーのスペクタクルについて論文集が編まれるなど、ごく近年になって非常に著しい成果が見られる。報告書の作成においてこれらの関連資料は不可欠であると同時に、欧米における「恐怖」研究の広がりと深まりを如実に感じさせるものである。しかしながら、宗教学的な視座をもってこのような対象を分析する研究は現在のところ管見の限り見当たらない。上記した「グラン・ギニョル」関係の成果以外に、本年度は雑誌論文が一本掲載された。そこでは、十八世紀西欧において、啓蒙主義思想家たちが当時の民衆を理性の光で開明された状態へと導こうとする言説と、彼らが批判し脱却しようとした旧弊としてのキリスト教的な制度を形作る説教の言説とが「教える」という身振りにおいて形式的な相同性を持つことを指摘している。その他、東京大学で行われた表象文化論学会第二回大会において、「死」と「ホラー」を主題とするパネル発表を企画し構成した。広義のスペクタクルに携わる多くの研究者が集うこの大会において、「恐怖」なる感情を直接の研究対象として提示し取り上げることができたのはたいへん有意義なことである。
著者
明星 敏彦 小笠原 真理子 浅井 琢也 松倉 正雄
出版者
日本エアロゾル学会
雑誌
エアロゾル研究 (ISSN:09122834)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.35-43, 1998-03-20 (Released:2010-02-03)
参考文献数
17
被引用文献数
1

This work describes the performance of the midget impinger for submicron aerosols. Collection efficiencies of the midget impinger were investigated numerically and experimentally. Flow fields in the midget impinger were solved using FLUENT, which is a computational fluid dynamics software and calculates RNG k-ε model for intermediate Re number, k-ε model for high Re number, and laminar flow model. Polystyrene latex (PSL) particles ranging from 0.10 to 3.1 μm and monodisperse diethyl-hexyl-sebacate (DEHS) mist ranging from 0.3 to 1.5 μm were aerosolized and introduced into the midget impinger. These theoretical and experimental results show a good agreement. The impinger shows poor performance for submicron particles and bubbling in the impinger contributes to 10% higher collection efficiency for submicron mist particles than that without water filling. PSL particles larger than 0.6 μm show bounce off the bottom surface of the impinger.
著者
大澤 武司
出版者
熊本学園大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、近年公開が進む中華人民共和国外交部档案(公文書)の体系的な調査・収集を行い、人道を大義名分として行われた日中間における民間経由の戦後処理、すなわち「戦後日中民間人道外交」に込められた建国初期中国の冷戦外交戦略の一端を明らかにしたものである。従来、「戦後日中民間人道外交」は戦後日中友好運動史の文脈において肯定的に語られることが多かったが、本研究はかかる評価の描き直しを試みるものである。
著者
鈴木 唯史 米倉 達広
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会総合大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, 1997-03-06

仮想現実の実現において視覚的要素の果たす役割は大きく、中でも我々は仮想空間の中の点光源とその反射光が、人間の立体感の知覚の手がかりとなり得ることを確認した。[1] このことをリアルタイムCGに応用することは現実感の向上をもたらすものとして期待ができる。そこで本稿では、仮想空間の中で扱う対象を線香花火としそれを実現するシステムを開発したので報告する。
著者
飛田 範夫
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.64, no.5, pp.427-430, 2001-03-30

江戸時代の庭園に使われている庭石の販売経路,燈籠・蹲踞などの石造品の製作と販売経路については,不明な点が多い。大坂について史料を調べてみると,石材の運搬に便利なように西横堀と長堀,東横堀(松屋町筋)の堀割り沿いに,多くの石屋が分布していたことがわかる。庭石は各地の名石,石材としては御影石・竜山石・和泉石などが搬入され,原石あるいは加工品が再び各地に販売されている。高野山などに残存する石造品の刻銘からも,大坂の石屋の活動を知ることができる。賃金・労働時間・販売などについても問題は多かったが,既得の権利を守るために明和7年(1770)には,石問屋株仲間と切石屋株仲間が形成されている。
著者
二宮 修治
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、屋内外に展示されているブロンズ製彫刻のアシッドライン(線状の腐食)のメカニズムを究明することを目的とし、異なった環境での大気汚染調査とブロンズの化学組成との関係について検討した。金属試験板、大理石試験板の環境暴露試験として、市販あるいは溶製されている大理石、青銅(BC6)、古銅(東大寺大仏殿屋根材の再現)、銅(JIS-H-3100)、炭素銅(JIS-G-3141)を使用して、屋内外の暴露試験を行い、同時に環境汚染物質の測定も併行して行った。大理石では環境の汚染度の指標となること、銅製品金属試験板では、青銅中の亜鉛と鉛に及ぼす環境因子の影響が顕著に認められ、塩基性硫酸銅、塩基性硝酸銅の生成が確認され、塩基性炭酸銅は検出されなかった。ブロンズの化学組成により腐食の進行が異なることを定性的に見出したので、本研究では、(1)東大寺八角灯篭の再現(Cu94% Sn2.5% Pb1% As2.5%)、(2)ロダンのブロンズの組成(Cu94% Sn4% Zn1%)、(3)ロダンのブロンズから亜鉛を除いた組成(Cu95% Sn5%)、(4)JIS規格の青銅(BC7)の4種類のブロンズ製テストピースを専門の鋳造家に依頼して作成し、博物館の屋内外の暴露試験・リーチング試験を行った。暴露期間が短いため、明確な結果を得るまでに至っていないが、さらに、環境暴露を継続的に行っているので、今後の調査により明らかになるものと期待される。大気環境の異なる3博物館(都市部の中心地域、沿岸地域、火山地域)における雨水と博物館内・外での大気環境(ガス、ミスト)中の汚染物質の計測を行った。大気汚染物質の量は、発生源に関係するが、季節的な変動やその輸送経路としての気象条件が関与することが見出だされた。また、環境によるブロンズの腐食に違いが見られ、環境汚染因子との相関性が認められた。
著者
村岡 一信 千葉 則茂 太田原 功
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1252-1258, 1995-10-20
被引用文献数
11

コンピュータグラフィックスによるリアルな自然景観のシミュレーションのためには, 季節感の表現法の開発が重要である.本論文では, 冬季の近接景観, すなわち庭園の石や灯籠などの積雪景観シミュレーションのための積雪モデルを提案する.本手法では, 少数のパラメタを指定することで, 冠雪などの代表的な積雪形状を生成することができる.
著者
額尓 徳尼 堀田 紀文 鈴木 雅一
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.338-350, 2009 (Released:2010-07-27)
参考文献数
54
被引用文献数
2 1

内蒙古自治区全域における砂漠化と緑化事業がもたらした植生変化の実態を把握するために,NOAA/AVHRR の衛星リモートセンシングデータから求めたNDVI(正規化植生指数)を用いた検討を行った。まず,文献から植生変化の実態が明らかな地域において,NDVI の変化と植生変化について比較し,1982~1999 年までの約18 年間における植生の変動を調べた。植生変化が少ない地域でのNDVI の変動から,植生増減を判断するNDVI 変化の閾値を検討し,1982~1986 年と1995~1999 年の夏季NDVI の差を ΔNDVI とし,植生の増減を8km 分解能のピクセル毎に求めた。そして,ΔNDVI により植生が変化した地域を抽出して図化した。その結果,内蒙古自治区全体としては,NDVI が増加した地域の割合が減少した地域の割合を大きく上回り,植生増加の傾向が示された。赤峰市(特に敖漢旗)の植生増加が顕著であり,次いでシリンゴル盟,フフホト市,バヤンヌール市の一部にまとまったNDVI 増加が示され,内蒙古全域においてNDVI が増加した面積が約20 万km2 程度見られた。北半球の高緯度地域では温暖化によるNDVI の増加が報告されているが,行政区毎に求めたNDVI が増加した地域の面積と,統計資料に基づいて集計した造林面積と耕地化された面積の合計に良好な比例関係が見られ,内蒙古自治区における夏季のNDVI 増加は主に緑化と農耕地の拡大という人為的な要因による植生増加である。一方で,NDVI 減少が抽出された内蒙古自治区西部(アラシャ盟),東北ホルチン砂地周辺などでは,もともと植生が乏しい地域であり,これらの地域では砂漠化による植生減少が指摘された。
著者
菊池 道樹
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.43-44, 2001-08-25
著者
岡崎 直観 劉 瀟 綱川 隆司 辻井 潤一
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.23, 2009

ウィキペディアでは,同一の実体を複数の言語で説明することがあり,それらのエントリ間は言語横断リンクで結ばれる.そこで,本研究では言語横断リンクで結ばれたエントリ同士を並行コーパスと見なし,対訳用語対をマイニングする.提案手法は,単一言語に対して用語抽出を行い,その用語に対する訳語を,統計的機械翻訳に基づく翻訳確率,並行コーパス中における共起回数,言語を横断した用語周辺文脈の類似度で選出する.
著者
吉田 勇
出版者
日本法社会学会/有斐閣
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1996, no.48, pp.199-203,244, 1996-03-30 (Released:2009-01-15)

In Japan, the frequent use of word "Sei-i" is observed in the process of negotiations and dispute resolutions. The essential core of "Sei-i" originated in the Japanese confucianism of the Tokugawa period. Since then, it has been gradually transformed into a complex of traditional, modern and contemporary types of "Sei-i". Therefore, Japanese "Sei-i" has various meanings today.Careful observation indicates that sometimes a sence of "Sei-i" gives normative influence on human relations, though it often plays only an emotional role. In that case, the word "Sei-i" is used to express a normative sense which people have in mind, especially when the injured party negotiates with the injurer for apology and compensation. And it is worth notice that both persons think highly of "Sei-i", but they often understand the same contents of it quite differently.A few scholars have already studied some aspects of "Sei-i", but they don't focus their concerns upon its normative sense. This paper deals with its normative sense in the process of negotiations and disputes between the injured party and the injurer.The main purpose of this paper is to construct theoretical model of normative contents and social functions of "Sei-i". Normative contents of "Sei-i" are classified into procedural contents and substantive ones, and both contents are constructed as a set of normative rules.This paper is the first step to the heuristic study of "Sei-i" as a sense of social norm.
著者
小山田 耕二
出版者
京都大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

平成20年度は、大規模非構造ボリュームデータ向け粒子ボリュームレンダリング技術の高度化を行った。非構造ボリュームデータとは、4面体や6面体が不規則に配置された空間で定義された数値データのことであり、有限要素法を用いた数値流体シミュレーション結果によくみられるボリュームデータである。昨年度開発した粒子ボリュームレンダリング法は,格子の視線順並べ替え処理を必要としない画期的な可視化技術として評価されている一方すべてのサブピクセル値を格納するために巨大なフレームバッファが必要とされることが問題点として指摘された。また、粒子発生においてメトロポリス法を採用したためすべての格子データをメモリにロードしておく必要があり、巨大ボリュームデータ処理時の問題として認識されていた。本年度では,これら問題点を解決するために、アンサンブル平均法の考えを取り入れたピクセル重畳法の開発を行った。本手法は本質的にサブピクセルの個数と同数の繰り返しを行うことにより生成画質の向上を図る。具体的には、フレーム更新毎に乱数のシードを変えながら粒子を生成し、その粒子を画像平面に投影し、その寄与を加算する。指定された回数だけ加算後にその加算値を加算数で除し、最終ピクセル値を得るものである。この手法では、もとの解像度のフレームバッファを準備するだけでよく、巨大フレームバッファの確保の必要性がなくなった。しかも繰り返しの途中で重畳されている画像は若干画質が荒いものであり。大規模データ可視化の場合の詳細度制御に活用することが可能である。
著者
小山 智幸 小山田 英弘 陶山 裕樹 孫 玉平 伊藤 是清 船本 憲治 田中 利光
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

フライアッシュ、砕石粉、各種非反応性スラグ、焼却灰など、発生量が増大している種々の副産粉体を、コンクリートの性能を向上させながら大量に有効利用する方法を確立することを目的とし、既に得られた実験室レベルの成果をもとに、構造部材レベルにおける構造性能と設計方法ならびに耐久性能を総合的に検証した。結果、本コンクリートは構造体コンクリートとして使用できること,及びその調合設計,構造設計ならびに耐久設計の方法を明らかにした。
著者
鄭 潔西
出版者
関西大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

今年度は、研究に関係する資料収集を行った上で、計画したいくつかの課題を遂行した。一、論文「万暦二十一年潜入日本的明朝間諜」(『学術研究』2010年第5期総306期)、「16世紀末明朝的征討日本戦略及其変遷-以万暦朝鮮之役的詔令資料為中心」(『明史研究論叢』第8輯)、「一六世紀末明朝の対日本情報システムの一環となった琉球国」(『南島史学』75・76合併号)、「万暦二十一年豐臣秀吉中毒〓命誤伝考」(王勇主編『中日美系的暦史軌迹』、上海辞書出版社)、「萬暦二十年代傳入明朝和朝鮮的日本豊臣秀吉死亡情報」(松浦章編著『明清以來的東亜海域交流史』、[台北]博揚文化事業有限公司)を発表し、学術報告「Information Networks in East Asia during the Last Decade of the 16th Century : Intercommunication and the Imperial Strategy of Ming Dynasty China」(The Fourteenth Asian Studies Conference Japan(ASCJ)、日本・東京・早稲田大学、2010年6月19日)、「16世紀末的東亜和平構建-以日本侵略朝鮮戦争期間明朝的外交集団及其活動為中心」("東亜区域合作与中日韓美系"学術研討会、中国・上海・復旦大学、2010年11月8日)、「関于隆慶万暦前期倭寇的両个問題被虜人和御倭賞格」("国際視野下的中西交通史研究"学術研討会、中国・広州・〓南大学、2010年12月20日)と「16世紀末的東亜-以中日両国向的人物往来和情報流通力中心」(広東省社会科学院広東海洋研究中心招待講演、中国・広州・広東省社会科学院、2010年12月30日)を行い、明代万暦時期における明日間の人的往来、情報ネットワーク、明朝側の対日本戦略などの諸問題に関する最新の研究成果を発表した。二、関西大学に博士論文「明代万暦時期の中日関係史の研究」を提出し、文化交渉学の博士号を取得した。上記のように、今年度の研究は計画通り遂行した。
著者
中田 知生 岩間 暁子 高田 洋 中井 美樹 岩間 暁子 高田 洋 村上 あかね 中井 美樹
出版者
北星学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究においては、欧米において社会学分野の学術雑誌に頻繁に用いられる新しい分析モデルについて、理解し、社会学研究にどのように適用できるかを考え、実際に分析を行ってみることである。本研究においては近年の社会学の理論構築のために収集された調査データ、特に、変化を扱うことが可能であるパネルデータや、調査においての回答拒否を含んだデータなどは、従来の分析方法では正確な推定値を算出することができないからである。本研究では、アメリカの大学における統計学・データ解析に関する実際を知った上、それらを分析する方法としてのそれらの新しい統計モデルやそれらを分析するソフトウェアに関する情報を収集した。採取的には、雑誌論文において、これらの新しい方法のいくつかについて、論文を執筆して掲載した。
著者
柳井 毅
出版者
分子科学研究所
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

高スケーラブルな新規電子相関計算法の基礎理論として、電子相関計算のボトルネックとなる積分変換計算を効率化するような「局所ハミルトニアン法」を提唱し、その基礎理論を確立した。本提案手法では、この変換計算に対して、局在化分子軌道を変換基底として利用し、基底空間を区分けし、各区分けで小さな積分変換を行う。そして区分同士の相互作用も低次まで考慮する積分変換を行う。局所ハミルトニアン法の基礎理論を計算機上に実装し、その性能を評価した。(LiH)n鎖をテスト分子として、局所ハミルトニアン法による積分変換計算の計算コスト(総flop数)を見積もった。見積もりでは、ハミルトニアン分割での打ち切りを判定する敷居として、分割領域の二組(IJ)の空間的距離が15bohr以内の組み合わせのみを考慮し、さらにScwarzの公式を用いたprescreeningを施した。長鎖の(LiH)nに対して、総flops数は、鎖長に対して良好な低次スケーリングを示し、ほぼlinear scalingな計算コストであった。従来のo(N^5)の計算コストである計算法と比較して、局所ハミルトニアン法の計算は、n=15~20程度ですでに効率よい計算であることを示した。上の開発で得られた、局在化分子軌道ベースの打ち切り近似ハミルトニアンを利用することで、Pulay、Wernerらの局所電子相関法LMP2法を実装することができる。PulayやWernerらによる実装は、積分変換が難所であったが、本研究では「局所ハミルトニアン」をその強力な処方箋として大規模計算に活用できると期待される。DNA Base-Pairをテスト分子として、Base Pairの相互作用エネルギーをLMP2により求めた。局所ハミルトニアンの分割として2種類の分割様式を試したが、分割様式によらず二種類の計算は誤差が少なく良い一致を示した。分割ではBase Pairの水素結合を切っているが、従来型のMP2計算の結果と比較しても遜色ない精度を算出することを確認した。以上の結果から、本手法の基礎的なアルゴリズムは大まかに形成されたと言える。