著者
黒瀧 秀久 北原 克宣 加瀬 良明 吉田 義明 范 為仁 菅原 優 北原 克宣 加瀬 良明 吉田 義明 范 為仁 菅原 優 應和 邦昭 姉歯 暁 堀口 健治
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

北東アジアにおける共通食料自給率政策の構築の課題を明らかにするため、北東アジアの農業構造、農業政策、農産物貿易構造、農産物の消費動向を分析した。その結果、共通食料自給率政策構築のためには、農業に対する価値観を共有し、共通政策を構築していくことが重要であることが明らかとなった。
著者
富澤 元博 山本 出
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.231-236, 1992-11-20
被引用文献数
8

イエバエおよびミツバチ頭部のニコチン性アセチルコリンレセプター(nAChR)画分のα-ブンガロトキシン(α-BGTX)結合部位への薬物の結合を, ラジオレセプターアッセイにより検討した.塩基性の高いニコチン, ノルニコチン, アナバシン, ジヒドロニコチリンでは親和性が強く, 塩基性の低いミオスミン, ニコチリン, コチニンでは弱かった.ピリジルメチルアミン類の3位異性体で塩基性の高いものの親和性が強かった.ニコチンの光学異性体では, d体よりl体のほうが強かった.以上の結果はこれらニコチノイドの殺虫活性と対応していた.アセチルコリンエステラーゼの強力な阻害剤であるオキサジアゾロン化合物のnAChRへの親和性は認められなかった.ニコチンと同じ構造部分をもつイミダクロプリドは強い親和性を示し, α-BGTXやニコチンと同一部位に相互作用することが示された.
著者
伊藤 直紀 野澤 智 和南城 伸也
出版者
上智大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,相対論的Sunyaev-Zeldovich効果に関して,十分な成果を上げることができた。相対論的Sunyaev-Zeldovich効果は,銀河団内部の高温電子の熱運動による熱的効果と,銀河団全体が宇宙背景放射に対して運動することによる,運動学的効果の二つの効果がある。本研究において,われわれは,この両方の効果に関して,非常に精度の高い結果を導出することに成功した。われわれの理論的研究の成果は,すでに,世界各国で始まっているSunyaev-Zeldovich効果の精密観測の結果の解析に取り入れられている。本研究の過程で,研究代表者は,各国のこの分野の研究者を訪問し,非常に有意義な討論を行うことができた。2004年には,5ケ月にわたって,Cambridge大学Cavendish研究所に滞在し,同研究所の多くの研究者たちとSunyaev-Zeldovich効果に関して詳細な討論を行うことができた。その後,同研究所の定期的な訪問者として,2005年,2006年,2007年の夏に同研究所を訪問して,討論を継続している。また2005年9月と2007年4月に,ドイツ国GarchingのMax-Planck-Institut fuer Astrophysikを訪問し,所長のSunyaev教授と,懇談する機会をもつことができた。Sunyaev教授は,言うまでもなく,Sunyaev-Zeldovich効果の研究の創始者であり,同教授と2回にわたって懇談できたことの意義は,計り知れないほど大きい。これ以外にも,本科研費により,Princeton大学,Roma大学,CERN研究所を始めとする,多くの研究機関を訪問し,招待講演を行った。このことにより,本研究は国際的に非常に高い評価を受けるにいたった。
著者
高橋 雄造
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMD, 機構デバイス
巻号頁・発行日
vol.96, no.438, pp.1-6, 1996-12-20

静電気放電の諸特性を, 集中型電圧源による放電と比較しつつ, 説明する. 静電気放電の測定には, イメージインテンシファイヤ付ビデオレコーダと, リヒテンベルク粉図形が非常に役立つ : それは, これらによって, 放電の起きた場所が検出されるからである. 帯電したポリマーシートが接地金属円筒からはがれるとき放電がおき, 放電が開始する帯電電荷密度は, 34μC/m^2であって, 帯電極性やシートの暑さに依存しない. 放電進展の図形は, 負帯電では樹枝状, 正帯電では円形である.
著者
加藤 義臣 矢田 脩
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.171-183, 2005
参考文献数
31
被引用文献数
2

Brown and yellow types in the forewing fringe color in the so-called "Eurema hecabe (L.)" show sympatric distribution on Okinawajima Island in the Ryukyu Islands and occurrence of their characters is closely linked with seasonal wing morph expression and host plant use (Kato, 2000a, b). Further, these sympatric types are sexually isolated at the level of behavior (Kobayashi et al., 2001). In the present study, distribution pattern of these two types was investigated in southwestern Japan (16 sites) and Taiwan (3 sites) and their taxonomic status was reevaluated. In Amami-Oshima, Kuroshima, Kumejima, Taketomijima, Iriomotejima and Yonagunijima Islands, only the brown type was found while in Kagoshima-shi, and Okinoerabujima, Yoronjima and Tokashikijima Islands, only the yellow type was seen. Sympatric distribution of the two types was found in Tokunoshima, Okinawajima, Miyakojima, Ishigakijima and Haterumajima Islands, and Taiwan. The fringe color type was linked with seasonal wing morph expression and host plant use in all populations, as shown in previous papers (Kato, 2000a, b). These results strongly suggest that the two types have differentiated at the species level. The examination of the lectotype of Papilio hecabe Linnaeus, 1758 revealed that it was the brown type. Based on these, we here propose that the yellow type butterflies belong to a different species, Eurema sp.
著者
西本 哲也 小原 謙一 藤田 大介 土屋 景子 西本 東彦
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, 2007-04-20

【目的】理学療法教育場面で学生のモチベーションの問題は大きく取り上げられ、多数の養成校で授業や実習形態の工夫がなされている。問題解決型学習やクリニカルクラークシップなどもそうであり、臨床に即した実践・模擬実践を通して学生のモチベーションや臨床適応能力向上に効果があることが報告され、それらから学ぶべきことが非常に多い。我々はモチベーションが向上する背景には必然的にポジティブ感情が伴っているような漠然としたイメージを抱いている。Fredricksonはポジティブ感情が思考と行動のレパートリーを増加させるという拡大-構築理論を提唱しているが、今回我々はポジティブ感情の付与要素を創造・実現的刺激と、娯楽・癒し的刺激に分け、各々が行動意欲にどのような影響を及ぼすかを検討し、学生に有効なポジティブ感情を付与するための要素を見出そうとした。<BR>【方法】岡山県内の福祉施設業務に従事する介護関係職、看護師、ボランティアの計49名を対象とし、約2時間のイベント前後の行動意欲および気分について調査した。イベントはA群(男性6名・女性14名、平均31歳)が「介護予防におけるリハビリの基本技術」研修会、B群(男性4名・女性11名、平均34歳)が一般に人気の娯楽番組を2番組続けて鑑賞、C群(男性4名・女性10名、平均36歳)はコントロール群でイベントは通常の業務内容であった。行動意欲は単語レベルの自由記載で現在したいことを全て記入してもらい(5分間)、その後幾つかのカテゴリーに分類した。気分については坂野らの気分調査票を使用した。行動意欲、気分調査はイベント前後での記載数、点数を比較(Wilcoxon検定;p<0.05)し、カテゴリー、項目のイベント前後での増減についての比率も比較検討した(2サンプル比率検定;p<0.05)。またA・B群は終了後の満足度についての5段階評価も行った。<BR>【結果】行動意欲については小川らの研究を参考に10のカテゴリーに分類した。A・B群ではイベント前後で記載事項が有意に増えており、A群では「勉強・仕事」が有意に増加していた。B群では「遊び」など幾つかのカテゴリーでの増加傾向が見られたが有意に増えたカテゴリーはなく「勉強・仕事」はむしろ減少傾向であった。C群でも有意に増えたカテゴリーはなかった。気分調査ではどの群もイベント前後で有意な変化は見られなかったが、A・Bでは「爽快感」で増加傾向が、「疲労感」「不安感」で減少傾向が見られた。満足度はA・B群とも2名を除き4以上であった。<BR>【考察】A・B群ともイベントによる行動意欲の拡大が示唆されたが、A群ではより創造・実現的な要素が拡大され、B群のイベントである娯楽的な刺激ではその要素はむしろ減少した。息抜きは癒しになるが創造・実現なポジティブ感情を誘発することは難しい可能性がある。今後は行動意欲とストレス尺度や不安尺度との関連を調査する必要性を感じた。
著者
増永 良文
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告データベースシステム(DBS)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.65, pp.175-184, 1993-07-22

本研究では文部省検定済教科書(中学生の社会科・地理)を例にして,その電子化を行っている.教科書は学習指導要領に示される目標・内容・内容の取扱を基本に,国際化,重点化,情報化,学習効果等に留意して編集されている.情報化には記述に加えて図版が多用・活用され,学習効果を狙って内容がよく整理されている.しかし,紙による印刷物であることから来る限界があり,更に情報化や学習効果の向上を達成するには教科書の電子化で対処することが考えられる.本稿では,教科書をどう電子化するのが,電子化の意義,電子化のための教科書の構造分析,教科書の論理構造に加えて内容構造導入の必要性,試作したプロトタイプシステムの画面インタフェース,そして検索体系について報告する.Under the guidance of Ministry of Education, Culture and Science, text books are edited and written well so that high educational effect can be achieved. Educational topics are selected to adapt the current trends to internationalization or computerized society. Although many color and monochrome pictures and graphs are used to enhance understanding, there is a limitation in education and learning in the sense that text book are the traditional printing materials. To break through this limitation, we have developed a multimedia electronic text book in geography for junior high school, which is reported in this paper.
著者
小郷 直言 米川 覚
出版者
富山大学
雑誌
高岡短期大学紀要 (ISSN:09157387)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.47-66, 1990-03

本稿では,学生の教育,学習への応用を中心に据えて,ワークステーション上に構築した一つのハイパーメディア・システムについて述べる。システムの持つべき特性として,1)マルチメディアの取り込み,2)インターフェースヘの配慮,3)ネットワークによる拡大,4)知識の増幅を目指す,5)協調的な作業環境を提供するなどについて特に注意を払った。さらにハイパーメディア・システムの応用例として,電子教科書,案内板,テレビ講座,双方向遠隔授業システムについて考察する。
著者
堀池 信夫 井川 義次 菅本 大二 辛 賢 松崎 哲之
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

中国ムスリムは、唐代に先達が入華して以来、元代まで各地に広がり、その間、イスラム思想は中国の伝統思想との対立や融合をへて、明代にいたって中国イスラーム哲学とも称すべき独自の哲学が起こってくる。本研究はその中国イスラム哲学の形成期について、諸哲学者の著述をめぐってその具体的施策の内容面にまで踏み込んで研究を進めたものである。
著者
田中 秀雄 黒星 学 光藤 耕一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

水中で機能するメディエーター(I)を含む水溶液を分散媒、基質とメディエーター(II)を吸着あるいは固定化した固体粒子(シリカゲル、ポリマー粒子、活性炭など)を分散相とする固体粒子分散-水系電解法について組織的な研究を行い、ろ過-洗浄-濃縮といった簡便な操作で生成物を分取、水溶液(分散媒)と固体粒子(分散相)を回収・再利用する、実質的に廃棄物のない環境負荷O合成プロセスを開発した。
著者
根津 朝彦
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本年度は、研究実施計画通り学位申請論文「戦後「論壇」における『中央公論』のジャーナリズム史研究-「風流夢譚」事件と編集者の思想を中心に」を完成させた。2009年5月の予備審査に草稿を提出し、それに合格し、同年11月に博士論文を提出し、2010年3月に博士(文学)の学位授与が認められた。本年は、とりわけ博士論文の未完成部分であった一章の論壇時評の分析と、二章の『中央公論』の主要論文の分析を中心に取り組んだ。一章では、1945~1972年の『朝日新聞』『毎日新聞』『読売新聞』の膨大な論壇時評を読み込み、それぞれの時期ごとの特徴を位置づけた。二章では、これまで作成したものに加えて、1950年代後半の『中央公論』の論調を代表するルポルタージュの分析を行った。それにこれまで総計22人延べ30回の聞書き調査の内容を精査し、中央公論社の一次資料である『書店はんじょう』『中公社報』『社内だより』の分析を盛り込み、これまでの投稿論文から構成した三章と四章に加筆して、博士論文を完成した。研究の成果は大きくいって四点に集約される。第一に、戦後「論壇」の全体像を提示したこと。第二に、その「論壇」において『中央公論』を特徴づける主要論調を明らかにしたこと。第三に、「風流夢譚」事件の全貌を戦後ジャーナリズム史の中で位置づけたこと。第四に、総合雑誌編集者の役割の問題提起を行ったことである。2年間を通じて滞りなく研究課題を遂行し、最大の研究目的である博士論文の完成を計画通り達成することができた。
著者
東京大学理学部
出版者
東京大学理学部
雑誌
東京大学 理学部廣報
巻号頁・発行日
vol.2, no.8, pp.1-4, 1970-09-10

目次/理学部会合日誌/教授会メモ/幹事会より/教官人事移動[原文ママ](7月1日より8月16日まで)/理学部ところどころ(臨界実験所)
著者
桐谷 圭治 法橋 信彦
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.124-140, 1962-06-30
被引用文献数
3 33

ミナミアオカメムシの最近の増殖の原因を生命表を連続3世代にわたって作成することにより解析した。調査は, 1化期にはバレイシヨ236株, 2化期は早期栽培水稲1,250株, 3化期は晩期栽培水稲1,000株を2区(1区は無処理区, 他はクモ除去区として隔日にクモを採集除去)に使用した。調査は1化期(5月7日〜7月17日), 2化期(7月5日〜8月16日)は週2回, 3化期(9月5日〜10月29日)は隔日ごとに全株調査を行なった。1化期の卵および各令期, 2,3化期の卵期, 1,2令期の個体数は実数を用いたが, 3令期以後は観測値を(1)式により補正を行ない, 各令期の中期における個体数Nを算出した。[numerical formula]A=各令期別の累積観測値, P=各令期の出現期間中における平均調査間隔, I=各令期の平均期間。各令期間は2化期についてはささげのさやを飼料として30℃で, 3化期は直接調査ほ場で測定した。3化期における卵から成虫羽化までの所要日数は25℃, 30℃, 自然温下でそれぞれ40.1日, 34.7日, 42.5日であった。産卵期間は2〜3週間で, 1株当たりの卵塊密度は1化期0.10,2化期0.10,3化期0.07で, 平均卵塊サイズはそれぞれ74.1卵, 82.5卵, 97.6卵であった。卵から成虫羽化までの生存曲線は, DEEVEY(1947)の第IIと第III型の中間の型を示した。死亡率曲線は1化および2化期は, 卵期から2令期にかけて1つのピークが見られるが, 3化期は越冬成虫の死亡による産卵前の他のピークがあると考えられる。死亡率(100qx)は1化期では, 卵から2令期幼虫にかけて減少するが, 2・3化期では逆の傾向を示す。これはおもに1化期と他の化期との間の卵寄生率の違いによる。卵期のおもな死亡要因は, 卵寄生蜂, 生理的原因による死ごもりおよび気候要因である。Asolcus mitsukuriiはどの化期でも最も優位な種である。Telenomus nakagawaiは3化期卵にはほとんど見られない。その他の卵寄生蜂2種は2化期卵にわずかに寄生した。卵寄生率は1化期74%, 2化期25%, 3化期21%であった。A.mitsukuriiによる寄生率は後期に産れた卵塊ほど高くなるが, T.nakagawaiではこのような関係は見られない。若令幼虫は強い集合性をもっているため, 若令期における捕食や気候要因による死亡は幼虫集団全体の消滅をもたらす。1化・3化期の95卵塊の観察および2化期の令期別の集団消滅率から2令幼虫が最もクモに捕食されやすい時期であることがわかった。3化期におけるクモの捕食がカメムシ個体数に及ぼす影響は, ふ化幼虫数の2.3%に当たると計算された。天候は卵期, 老令幼虫の直接的死亡要因としては通常の条件下では重要でないと思われる。若令の幼虫集団は地表面に近いところにある場合は豪雨によって消滅することがよくある。台風が卵および1令幼虫に及ぼす影響は, 発育が進んだ段階にあるものほど大きい。すなわち産卵直後のものは最も影響少なく, 1令初期のものは最も大きい。2令になった幼虫は台風による影響を全く受けなかった。卵から成虫羽化までの死亡率は1化期約99%, 2化期91%, 3化期95%であった。成虫の性比を1,産卵卵塊数2,その間に死亡がないと仮定すれば, 個体数変動の状況は1対の越冬成虫は1.48頭の1化期成虫を生じ, 続いて早期栽培水稲で11.00頭の2化期成虫, これが晩期栽培水稲では54.44頭の3化期越冬前成虫を生ずる。すなわち水稲における連続2世代の繁殖は1化期成虫のおよそ35倍に成虫密度を高める。このことは各種作付の水稲が混在しているわが国南部でミナミアオカメムシが増殖した事情を説明しているかと考えられる。3世代にわたる生命表の比較から, 1化期卵における平均寄生率74%を, 6月に産まれた卵の平均寄生率90%(5月は60%)の水準に上げる, いいかえれば早い時期に産まれた卵の寄生率を天敵の導入または増殖によって人工的に高めることができれば, ミナミアオカメムシの個体群密度を長期にわたって低い水準に保ちうる可能性があると結論された。
著者
竹内 由美 若林 信一
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.T99-T106, 1990-07-05
被引用文献数
1

タングステンメタライズ-アルミナ界面のガラス相の選択分析法について検討した.試料のタングステンメタライズをはく離し, ガラス相を露出させた後, (1+5)硫酸により200℃, 1.5時間の加圧酸分解を行うことによりガラス相のみの選択溶解が可能であった.そこで試料と同一濃度の硫酸及び標準的な試料に含まれるAl, Si, Mg, Caを加えた標準液を用いてICP-AESで分析を行った.その結果溶出量としてサンプル当たり±0.1mg, 組成比としてAl_2O_3,SiO_2が±1wt%, MgO, CaOが±0.5wt%の精度でメタライズ中に浸透したガラス量及び組成の評価が可能となった.
著者
海野 義信 寺田 進 池上 陽一 高力 孝 原 和彦
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

高度耐放射線性を持つp型シリコン半導体位置測定器の基本技術を完成させた。シリコンマイクロストリップセンサーは平方センチ当り10**15個の積分通過粒子数の高度耐放射線性を、更にシリコンピクセルセンサー技術では10**16レベルまでを評価。各種構造や信号収集の放射線量依存性を明らかにし、ホットエレクトロン解析・TCAD解析による細部構造最適化により、照射前で耐電圧1kVを達成する設計を完成。新開発の高集積・高熱伝導・低質量のハイブリッドを設計し両面読み出しモジュールを完成、熱および電気特性等の性能を評価した。
著者
谷川 恵一 青田 寿美 木戸 雄一 山下 則子 高木 元 中丸 宣明 青木 稔弥
出版者
国文学研究資料館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

幕末から明治初期にかけての時期に刊行された仮名垣魯文の著作をひとつひとつ検討していくという基礎作業を積み重ねた本課題は、当該時期の文学・文化研究の学術基盤の整備に関して、主として以下のような成果を挙げた。1.従来の仮名垣魯文の著作目録を大幅に補訂し、236点に及ぶ魯文の著作を掲出し、それぞれの著作の所蔵先を併記した著作目録を作成した。なお、本目録では、当時の戯作者と本屋(版元)をめぐる出版状況に鑑み、魯文序や魯文〓といった一般的には著作と扱われない作品をも拾い出すことで、より広範な問題領域に対応させた。2.80点の魯文の著作または魯文に関連する著作について、書誌事項を中心とした詳細な解題を作成した。3.明治8年から12年にかけて魯文を主筆として刊行された『仮名読新聞』の記事の中から、魯文およびその周辺人物の動向に関連した記事を拾い出し、仮名読新聞記事データベースを作成した。4.購入した原本や原資料を展示に供し、また研究成果の一部を取り込んで、詳細な解説を付した展示目録を作成・配布することによって、研究活動を対外的に拓いたものとした。これらに加え、従来明らかでなかった以下の事項について取り組み、明治初期という過渡期における文学と出版文化との研究を進展させた。5.新聞に掲載された〈つづきもの〉が単行本として刊行される過程において、著者・版元・読者がどのように関与したのか、具体的な作品に即しながら再構成した。6.「著作道書キ上ゲ」として知られるテクストを同時代の情況の中で多角的に分析することによって、明治という新たな時代を迎えたときの魯文たち戯作者の動向を明らかにし、文学史におけるあらたな戯作の位置づけを提出した。