著者
岡 正明 大山 優美子 小川 貴史
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.201-208, 2005

エダマメは,小中学校における栽培学習の教材として多く用いられているが,収穫適期が夏休み中になり,生徒に収穫を体験させられないという失敗が多い.本実験では,エダマメ6品種を用いた2年間12回の栽培実験を行い,播種日から収穫適期までの日数と,その期間の気温との関係を解析した.その結果,早生・中生品種について,気温データのみを用いる有効積算温度法により収穫適期の予測が可能であることが示された.また,平年並み気温の年であれば,年度を越えて適用できる計算法の可能性が示唆された.エダマメをマルチビニール無しの畝に直播きする圃場において,収穫適期を夏休み期間から外すためには,宮城県では6月中旬播種・夏休み後収穫の栽培時期が望ましいと考えられた.
著者
山岡 正輝 岩根 和巳 岩城 修
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRU, パターン認識・理解
巻号頁・発行日
vol.93, no.431, pp.71-78, 1994-01-21
被引用文献数
1

文書画像認識理解のためのレイアウト解析における新しいアプローチを提案する.従来の知識ベース型アプローチは,文書画像中に存在する項目領域の抽出に際し,相対位置などの関係性を記述した知識ベースを基に解析を進める手法であった.このため,項目領域の抽出精度が他の項目領域の抽出精度に依存するなどの問題があった.そこで、パターン分類アプローチに基づく新しい手法を提案する。本手法では、黒連結矩形を統合して作成される基本矩形を項目に分類することによりレイアウト解析を進め,最後に基本矩形から各項目に対応する領域を作成する.これにより,他の項目領域の抽出結果に左右されない選択的な項目領域の抽出が可能となった.科学技術論文を対象とした実験により提案手法の有効性を確認した.
著者
長尾 佳代子
出版者
大阪体育大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

2006年夏に、Southern Illinois University, Morris Libraryにおいて、Karma初版の掲載誌のバックナンバー、Open Court社が所蔵していた校正原稿、及び書簡類などの調査を行った。原稿や編集者間で交わされた書簡などの調査から、第2版単行本での文章改訂の詳細やその後の単行本出版の際の挿絵や製本、販売方法、宣伝活動などについて行った著者の指示の具体的な様子が分かった。鈴木大拙、長谷川武次郎、大原嘉吉、釈宗演らとPaul Carusが交わした大量の書簡の調査からは、東京帝国大学等の日本の教育機関や宗教界との活発な交流の詳細が判明した。また、その他の書簡類等からは、Paul Carusの出版活動における思想的な背景について、フリーメイソンとしての活動やドイツ系アメリカ人社会での活躍、物理学や数学、音楽などの多岐にわたる分野での多彩な活動の様子など、多くの情報が得られた。これらの調査結果の一部は「南イリノイ大学カーボンデイル校特別文庫注の日本資料」(『大阪体育大学紀要』vol.38,pp.61-70)として報告した。また、2007年6月3日に京都、花園大学において開かれる仏教文学会大会で「『蜘蛛の糸』原資料Karma出版の経緯---オープン・コート社寄贈南イリノイ大学モリス図書館所蔵資料について---」と題して研究発表を予定している。収集したKarma各版の整理と分析は、これらの調査結果の分析と平行して現在も進めている。
著者
池田 香代子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告.IM, [情報メディア]
巻号頁・発行日
vol.95, no.62, pp.31-37, 1995-07-14

これまでうわさは、おもに社会学の分野で研究されてきた。しかし最近、とくに80年代に入ってからは、口承文芸としても、都市伝説、現代伝説などと呼ばれて、世界の先進工業国で蒐集、研究が進められてきた。メディアが発達しても、情報伝達の手段としてのうわさは、役割を終えていない。それどころか、すぐれた情意伝達の手段としても、うわさはマスメディア状況と相乗的に、また補完的に作られ、流布している。うわさからは時代の気分が読み取れる。それは漠然とした不安やその解消、満たされない願望やその充足などである。ここではうわさの文芸学的な研究分野である、現代伝説論を紹介する。
著者
西野 文人
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.41, pp.99-100, 1990-09-04

英語文書に対して何らかの処理を行うためには,英語形態素解析ツールが必要であるが,それは単に活用形の処理をして辞書を検索するだけではなく,文書の構造の認識,大文字処理,熟語処理,未登録語処理といった処理が組み込まれていることが必要である.また,形態素解析では様々な言語データを使用するが,これらのデータ量が不充分であってもうまく処理できるようになっていることが必要である.本稿では英語形態素解析Emorでの品詞推定における精度向上のための手法について述べる.
著者
樋口 忠彦 川崎 雅史 出村 嘉史
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、近代以降市街地の急速な拡大にもかかわらず、自然と市街地とが一体化した良質な景域が形成された京都の山辺の丘陵地形を対象にして、CGを援用した地形・敷地の空間デザイン分析、および文献資料調査、ヒアリング調査などにより、自然環境と密接に関連した景域の敷地計画と景観設計に関する新たな知見を得ることを目的とした。1.複数の丘陵地を利用した住居群・街路網・広域庭園の景観設計京都の神楽岡界隈の景域を対象とした。近代以前の敷地構成、特に吉田神社・真如堂・金戒光明寺境内との接続によって形成された街路網と土地造成を明らかにした。次に近代における吉田山斜面の広大な茶室庭園と計画的住宅群開発や、その周辺に発達した街路網に着目し、大文字山への眺望特性を地形データに基づくCGから分析し、斜面建築と庭園の統合的な敷地造成と広域な景観設計法を評価した。2.「野」の緩傾斜地形に展開する疏水と沿線都市の景観設計浄土寺・鹿ヶ谷の景域および南禅寺周辺の景域を対象とした。測量データに基づくCGを用いて敷地構成の原形を分析し、複数寺院の境内と建設された琵琶湖疏水分線を軸として「哲学の道」と文人が居住した住居地域界隈の、地形断面などに基づき敷地構成および景観特性を明らかにし、広域でまとまる景観形成の手法を評価した。3.山裾の広域傾斜を利用した広域公園の景観設計円山公園の界隈を対象とした。近世における複数の時宗寺院の塔頭群が複合して名所界隈を形成した景域を絵画史料や現地形に基づく再現CGにより解析し、急傾斜地形の眺望性に特化した懸崖建築と一体的造成による回遊庭園の統合的な景観設計を評価した。次に、近代公園の庭園敷地において微地形を考慮した敷地造成と疏水利用による景観の展開を調査し、広域的な景観設計の解明を行った。
著者
馬場 伊美子 木村正行
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG)
巻号頁・発行日
vol.1994, no.110, pp.183-190, 1994-12-16

文献[1]で提案された文字認識方式を検討する目的で、英字印刷文字認識の大分類実験を行った。実験その1では、ローマン体、ボールド体、イタリック体の各々の大文字と小文字をすべて異なる字種と見なした合計156字種を対象とし、標準パターンの作成に用いたデータを未知入力として、構造情報を活用する大分類実験を行った。その結果、大分類の段階で約95.5%の字種が真の候補1個に確定することが確かめられた。実験その2では、ローマン体の大文字と小文字を認識対象として、種々のプリントデータを未知入力とした。この場合には、標準パターンの作成を工夫すると、真の候補が大分類結果にほぼ100%含まれ、かつ平均候補数を殆ど1個とすることが可能であることが確認された。This paper concerns basically two experiments to examine the method of rough classification which is newly devised with the idea to use the structural information of a character[1]. The one is a rough classification based on the new method, using the same input data as that used to make standard patterns for the classiflcation, and the other is also a rough classification but uses input data other than that used in the former, taking an effect of noise on the classification into account. It has been illustrated from the result of these two experiments that the new method has a big possibility to make a breakthrough in making character recognition much faster.
著者
圓谷 裕二
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究の目的は、メルロ=ポンティの哲学における真理論と存在論と芸術論に焦点を絞りながら、彼の哲学のもつ哲学史上の画期的な意義について明らかにすることである。本研究は、このことをメルロ=ポンティの前期哲学から後期哲学への移行を跡づけながら照らし出している。第一章は、主として前期の主著である『知覚の現象学』に即しながら、メルロ=ポンティの真理論を彼のパースペクティヴ主義との不可分な関係から解明している。世界内存在としての身体主体は世界を上空飛翔的に認識する主観ではないし、認識や定立の根底にある前述定的知覚はパースペクティヴ的にしか物や世界を生きることができない。彼のパースペクティヴ主義の独自性こそが同時に彼の世界論や時間論そして真理論の固有な展開を可能にしている。第二章は、後期哲学の核心をなす内部存在論に着目しながら、そこでの方法論の特徴を析出し、前期の現象学から後期の存在論へと重心を移動させた主要な理由を解明している。第一原因も究極目的も措定しえない状況の中で、根源について問いかけるための方法がいかなるものなのかを論究するのが第二章の課題である。第三章は、第二章での方法論の考察を踏まえながら、後期メルロ=ポンティの存在論を<見えるもの>と<見えないもの>の弁証法的関係として解釈している。第四章は芸術論を主題とするが、メルロ=ポンティの芸術論は、芸術を他のさまぎまな領域から区別される独自の領域と見なすのではなく、むしろ、世界と我々との原初的な出会いの場の典型的なモデルとして位置づけている。言い換えれば、芸術とは何かという問いは、知覚経験の根源的在り方を問うことにほかならない。
著者
玉村 竹二
出版者
駒澤大学
雑誌
駒澤史学 (ISSN:04506928)
巻号頁・発行日
pp.9-10, 1953-01
著者
畑 靖紀
出版者
独立行政法人国立文化財機構九州国立博
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

室町時代の中国文物に対する認識の基盤を解明しようとする本調査研究では,当時の中国文物受容の枠組みを規定した足利将軍家の評価・意義付けを主要な課題として下記の3つの観点から考察した。(1)前年度に引き続き,文献資料とくに後花園天皇(1419-1470)の室町殿行幸を記録した『室町殿行幸御餝記』(永享9年:1437)の記載に注目して,伝来する同書の写本を校訂した。その内容をもとに会所附書院に飾られた文房具などの唐物飾りの組み合わせを分析して,その陳列方法および陳列装置との関わりを考察した。(2)現存する東アジアの美術・工芸のうち日本で唐物飾りとされた作品,およびこれらと同時代の作品を調査して,その基礎的なデータを収集した。特に九州国立搏物館の特別展「京都五山 禅の文化展」および韓国国立中央博物館の展観において出陳作品を詳細に観察し,室町時代を中心とする東アジアの美術・工芸に関する具体的な知見を得ることができた。(3)足利将軍家による中国文物受容の枠組みを相対化する試みとして,唐物のなかでも中心的な位置付けを与えられた仏教絵画に注目し,鎌倉・南北朝・室町時代の現存作品や文献資料を考察した。とくに日本最古の白衣観音図とされる九州国立博物館所蔵の一本について紹介を行い,その意義を考察した。
著者
木田 章義
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

建仁寺両足院所蔵の、抄物を中心として、仮名を含む文献を中心に資料調査を行い、写真撮影と整理作業、それに平行して、担当者を決めて資料分析を行った。禅僧の抄物が非常に専門的な内容であり、かつ、大部なものが多いため、予想外に分析に手間取り、資料の影印刊行の予定も大幅に遅れてしまった。調査資料に関する纏まった成果は、1~2年後からということになるが、若手研究者も数人育ち、関係資料もほぼ整理ができた。同時に、漢籍・仏典の調査も行っていたので、五山禅僧の教養の基盤もかなり明らかになり、この面でも大きな成果があがった。
著者
松原 達哉
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.18-28, 1959-12-30

乗法九九学習を成功させるためには,児童の心身の発達および経験内容から考察して,何才何か月ごろから開始するのが,最も適当であるかを研究すること。さらに,算数学習のレディネスに影響を与える要因についての分析的研究をすることの2つを目的とした。実験方法は,アメリカの「算数の学年配当7人委員会」の方法を改善し,4つの実験群を設けた。この各実験群に,第1基礎テスト,第2基礎テスト,予備テスト,終末テスト,把持テスト,知能検査,配慮実験,ゲス・フー・チストその他の調査を実施した。被験者は,大,中都市,農村の8小学校2年,3年生1,046名を対象に22名の教師が,同一指導案によって指導した。本実験の基準に従って整理した結果では,乗法九九学習の指導開始は,8才1か月(2年2学期)から行なっても可能であることが実証された。現在,8才7か月(3年1学期)から開始しているが,さらに,6か月早めても,わが園児童の場合は,可能であると考られる。これは,アメリカのC.Washburneらの実験に比べ,2才1か月早い。また,算数学習のレディネスの要因としては,(1)算数学習に必要な知能,(2)四反応の速さ,(3)視聴覚および視聴覚器官の障害の有無,(4)健康,栄養,疲労の条件,(5)家庭的背景,(6)情緒の安定性,(7)根気の強さ,(8)自主性,(9)数の視聴覚記憶,(10)語の視聴覚記憶,(11)算数に対する興味,(12)算数的経験などが重要なものであることが実証された。
著者
畝見 達夫 仙田 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音楽情報科学(MUS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.40, pp.133-138, 2002-05-18

模擬育種法に基づく作曲支援システムの設計について述べる.Sbeat2 と名付けられた我々のプロトタイプシステムでは,育種の単位である個体をソロ楽器5パート,ピアノ,ドラムス,パーカッションの計8パートからなる16拍の小節に対応させる.遺伝情報からある種の再帰アルゴリズムを用いて旋律を生成する.画面に譜面の形式で表示された個体の中から気にいったものを選択し,音を確認し次世代集団を生成するための親とする.親の遺伝子に突然変異と交叉を加え子孫の遺伝情報を構成する.この世代交代をくり返すことによってユーザは徐々に気に入った音楽を得ることができる.テンポや音色など領域固有の操作機能を埋め込むことによって,初心者が簡単に気にいった音楽を作るための支援ツールを構成することができる.This paper presents a design of support system for musical composition based on Simulated Breeding. In our prototype system named Sbeat2, each individual in the population is a bar of sixteen beats including eight parts, five solos, piano, drums, and percussion. The melody is generated by a type of recursive algorithm from genetic information. By selecting favorite pieces among scores displayed on the screen, the user certifies the sounds and selects them as parents for reproduction. The genetic codes of children are generated through mutation and crossover. Iterating this process, the user obtains better pieces gradually. Embedding some domain specific functions, such as changing tempo and selecting tones, we can build a useful tool to make it easier for a beginner to compose his/her favorite musical pieces.
著者
多田 幸生 西本 一志 前川 督雌 間瀬 健二 中津 良平
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2000, no.94, pp.1-8, 2000-10-12

本稿では、無線通信機能を持ち、かつ身につけて移動しながら演奏できるような装着型の楽器を提案する。これは、複数の楽器を通信機能を用いて接続することで、場所や相手に囚われない自由なセッションを可能にし、新しい楽器演奏のシチュエーションを生成するものである。また、装着した楽器から自分の音楽の嗜好や気に入ったフレーズを発信する事で、セッション相手を自動的に探すことはもちろん、音楽による自分自身の演出をも行うことができる。さらに、本楽器から発信されるフレーズを蓄積するサーバーを町中に設置し、その町に訪れる人が無意識のうちにその町の音楽を創造することで、その町自体を演出することも可能とする。In this paper, we propose a novel wearable and mobile musical instrument that is equipped with communication facility. This instrument allows people to perform a session anywhere and with anyone. This instrument also can scatter information of the performer's taste of music as well as his/her favorite phrases within the restricetd area around her/him. Thus, this instrument automatically looks for performers with whom s/he can perform a session on street. Additionally, the performer can direct himself/herself with the scattering music like dress. Furthermore, a town can be directed by putting a server that collects phrases scattered by the instruments and scatters the collected phrases at a square. We believe that this instrument creates a new musical culture.
著者
熊倉 誠一郎
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

挿管し陽圧呼吸で管理する全身麻酔施行前後に、気道上皮被覆液中(以下ELF)のインターロイキン-8(以下IL-8)濃度の測定を行った。揮発性吸入麻酔薬であるセボフルランに亜酸化窒素を併用投与すると、併用しない場合と比較し、術後ELF中のIL-8の濃度が有意に上昇した。しかし静脈麻酔薬であるプロポフォールに亜酸化窒素を併用投与した場合には、IL-8濃度の上昇は有意には高まらなかった。以上から今回の研究によりセボフルランと亜酸化窒素を併用投与することで肺局所に炎症を惹起する可能性が認められた。