著者
長田 年弘 篠塚 千恵子 水田 徹 金子 亨 師尾 晶子 櫻井 万里子 櫻井 万里子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

本研究課題は、水田徹(当時の研究代表)によって平成6年に開始されたパルテノン彫刻共同研究を発展的に継承するものである。ギリシア、アテネにおいて築いた各美術館との協力関係を土台としてパルテノン彫刻に関する総合的研究を進めた。アジアを視座とするギリシア美術史研究を推進した。
著者
佐藤 誠 峯 陽一 文 京洙 シャーニー ジョルジオ カルロス マリア・レイナルース 中村 尚司 鄭 雅英 佐藤 千鶴子 安藤 次男 小島 祥美 大倉 三和 スコーマン マキシ ソロモン フセイン コーネリッセン スカーレット バレスカス マリア・ロザリオ ベイリー エイドリアン アティエンサ マリア・エラ ハートウェル レオン デヤヘール ニコラ 大西 裕子 坂田 有弥
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

国際人口移動を単なる労働移民の問題にとどまらない複合現象として理解する視点にたち、日本とアジア、南アフリカと南部アフリカという二地域における国際人口移動の実態把握と比較分析を通じて、流出地域と流入地域において人間の安全が保障されるための課題は何であるのかを、人間安全保障の批判的摂取をふまえつつ解明した。具体的には、社会セクターにおける人口移動に焦点をあて、国際人口移動研究への理論的貢献を行った。
著者
梅澤 実 土井 進 浦野 弘 濁川 明男 中山 玄三 姫野 完治 谷塚 光典
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

教育実習における実践的能力を評価する評価基準を明らかにすることをねらいとし、教育実習での実習生の学びから、評価基準を探った。その結果以下のことが明らかになった。(1)授業設計段階での意思決定:初期は、興味・関心」が意思決定に大きく関わるが,授業の回数を重ねるに従い,その観点は次第に薄れ,理解度の項へと関心が高まる。(2)授業実践過程における意思決定:「子僕の反応」による意思決定要因は,「予想外の応答」と「子供の行動」に分けられる。「意思決定の実際」では、授業展開における「リスキー」か否かの判断は,授業が予定通り成立するかどうかである。しかし,実習が進むにつれ,子供達が「理解」するために,どのような意思決定をすればよいかという意識が芽生える。(3)授業を見る観点の変容:初期段階は、「子ども主体」の実現を探ろうとする意識で、大学における講義等で得た知識を授業者の具体的教授行為に同定する。授業を1〜2回経験した段階で、「説明」「発問」という教授行動を児童の側から捉える。授業を3〜4回経験した段階から、「特定児童」に目が向けられる。最後の段階では、「教材」についての見方、「子どもの学習にとって、どんな意味があったか」といった、「子どもの学習」と「教材」との関係を視野に入れた批判的視点が獲得される。
著者
林 健太郎 駒田 充生 宮田 明
出版者
公益社団法人大気環境学会
雑誌
大気環境学会誌 (ISSN:13414178)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.78-90, 2006-03-10
被引用文献数
7

茨城県つくば市のシバ草地において,2004年8月14日〜2005年2月28日のアンモニア性窒素(NH_x;アンモニア:NH_3とアンモニウム塩粒子:NH_4^+粒子)の乾性沈着を調べた。フィルターパック法によりNH_xの大気濃度を観測し,インファレンシャル法によりNH_xの沈着速度を推計した。NH_3の沈着速度の推計では,気孔からのNH_3揮散および地表のぬれの効果を考慮した。大気濃度および沈着速度の積を乾性沈着量とした。期間全体の平均として, NH_3およびNH_4^+粒子の大気濃度は150および89μmol m^<-3>,沈着速度は0.66および0.061cm s^<-1>,乾性沈着量は80および4μmol m^<-2>d^<-1>であった。大気濃度は田園地域の代表的なものと考えられ,沈着速度は既往研究の下限付近であった。期間全体の平均として,気孔からのNH_3揮散は沈着速度に対して0.013cm s^<-1>(2.0%)の減少効果,地表のぬれは0.042cm s^<-1>(6.4%)の増加効果を示した。年間値に換算したNH_xの乾性沈着量はわが国のNH_4^+の湿性沈着量と同程度であり,NH_xの大気沈着において乾性沈着が重要な寄与をなすことが示された。さらに,自然草地や森林など,調査地よりも粗度が大きな植生では沈着速度がさらに増加するため,これらの植生ではNH_xの乾性沈着の寄与はより大きいと推定される。
著者
野村 智幸
出版者
新潟大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2008

匂いを感じ取る嗅神経細胞は、定期的に死と再生を繰り返す珍しい細胞であることが知られている。しかし、その元となる再生母細胞やその細胞が再生後に成長していく様子は、不明な点が多い。本研究では、マウスの嗅球(嗅神経細胞の線維が入力される脳組織)を除去したり、アルカリで標本を処理するなどの工夫を凝らすことによって、嗅神経細胞の変性・消失(死んでいく過程)と成長の様子を光学顕微鏡や走査電子顕微鏡を用いて詳細に観察することができた。
著者
大内田 研宙
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、膵癌における癌幹細胞及びその周囲に存在して癌幹細胞を支持している細胞群であるニッチを同定し、その生物学的特徴を明らかにした。さらに、同定した癌幹細胞や癌幹細胞とニッチの相互作用を標的として、膵癌根治を目指した治療法を開発すすめた。その過程においてCD10陽性間質細胞が重要な役割を果たしていることを見いだし,その分子生物学的性質を明らかとするために、膵癌間質細胞である膵星細胞株を樹立し、ソーティングによりCD10陽性膵星細胞を分取し、膵癌細胞株2種と分取した陽性膵星細胞あるいは陰性膵星細胞を間接共培養した。その結果、CD10陽性膵星細胞株が陰性膵星細胞株より膵癌細胞株の浸潤能をより増強させ、癌間質相互作用に深くかかわっていることが明らかになった。
著者
室伏 次郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1385, pp.30-31, 1996-03-18
著者
宮川 正弘 巽 久行 村井 保之
出版者
筑波技術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

視覚障がい者の机上作業を支援するために,対象物のクロックポジション位置と手の速度を音で知らせる腕の誘導システムを提案した。手および机上の物体位置の認識は光景分析を避け,手や物に貼付されたマーカーと光学的位置追跡装置を用いて実時間で認識した。視覚障がい者の手の誘導は作業空間の認知地図創生を支援するためのもので,距離場空間モデルに基づいて得られた空間状況を積極的に提示した。手の誘導速度をファジィ制御で決定すること,ニューラルネット等による混雑度を提示することは有効であった。
著者
長崎 勤 宮本 信也 小野里 美帆
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

第I部では会話・ナラティブ発達研究の意義と課題について検討した。第II部・会話の発達では、健常幼児の2、3歳児は、母親の明確化要求に応答することで会話を継続し、かつ子どもが自発的に明確化要求を使用することで会話に参加する様相が認められ、広汎性発達障害児では、自ら明確化要求を使用することで会話を継続していくことはみられなかった。ナラティブの発達では、直前の「ケーキ作り」経験についての母子会話場面を分析した結果、3歳では複数の出来事に言及したり,それらを関連付けることが少なく、4歳になると複数の節を「時間」関係で関連付け、5、6歳になると「因果」「比較」「逆」等の多様な関係において節を関連付けるという発達過程が示された。フィクショナル・ストーリーの語りにおける視覚的手がかりの有効性を検討した結果、6歳児において周辺要素手がかりが物語理解と物語産出を促進し、物語理解においては5・6歳の年齢段階で中心要素がすでに獲得されていた。第III部では、自閉症児を対象に工作とおやつ場面の共同行為ルーティンを用いて、話者の不明確な発話に対する明確化要求の使用を目的とした指導を行った結果、指導者の曖昧な指示に対して、事物を差し出して「これですか?」と自発的に聞き返すことが可能になっていった。広汎性発達障害児を対象とし、物語文法の各要素を示す連続絵を提示し、「吹き出し」への書き込みを指導手続きに導入した結果、絵に描かれていない情報を含むCUが産出され、「欲求」「感覚」などが「吹き出し」に書き込まれるようになった。第IV部においては、以上の研究を基盤にした第I段階(通常2〜3歳代)から第III段階(通常5〜6歳代)までの「会話を通したナラティブ発達支援・基礎プログラム試案(NAP)」を提案した。
著者
弘田 潤 紙谷 智彦
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.313-320, 1993-07-01
被引用文献数
9

新潟県上川村の30%択伐施業後数年が経過したブナ天然林において, 残存母樹の密度が異なる四つのプロットを設置し, 豊作年における母樹の結実と堅果散布について調査した。保残された母樹の樹冠の大きさや分布は一様でなく, 林冠の疎開は必ずしも結実促進に結び付いていなかった。各プロットの落下堅果の充実率は60.9〜68.7%で著しい差はなかった。一方, 1m^2当りの落下堅果量は多い方から437個(母樹密度147本/ha), 345個(同53本/ha), 302個(同104本/ha), 53個(同21本/ha)で, プロット間で著しい差があった。また, プロット内での落下堅果量の分布には大きなばらつきがあった。最も落下堅果量が少なかったプロットでは, 1m^2当りの落下充実堅果数が10個未満の場所が多く, 翌年発生した実生も更新に必要な量に達していなかった。以上の結果から, 大面積を更新の対象とする現行の天然更新施業において更新を成功させるためには, ha当り50本以上の母樹を適正に配置することが必要といえた。
著者
光末 紀子 宗像 惠 曽根 ひろみ 須藤 健一 山崎 康仕 三浦 伸夫
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

平成12年度には、各研究領域に内在するジェンダー問題の摘出と分析が行われ、平成13年度には、研究会の開催と討議によってジェンダーに関する本格的な共同研究が進められた。平成14年度はこれをさらに推し進め、「現代社会における文化的性差を支える価値観と諸規範を根底から問い直す」という共通テーマに対する各人の研究成果を持ち寄って数回の研究会で意見交換を行い、共同討議を通じて研究の成果を統合することがめざされた。この研究計画にもとづき、3年間に合計9回の研究集会が開かれた。それぞれの報告者とテーマは以下のとおりである。第1回 曽根ひろみ「公娼制と梅毒」、桜井徹「『女としての自然』の収奪」。第2回 ブライディ・アンドリュース(ハーバード大学科学史・科学哲学科助教授)「アメリカにおけるジェンダー研究」。第3回 藤目ゆき(大阪外国語大学助教授)「公娼制度と日本軍慰安婦制度」。第4回 ロバート・フローデマン(コロラド鉱業大学教授)"Corrosive Effects : Environmental Ethics, Eco-feminism, and the Metaphysics of Acid-mine Drainage"。第5回 カリーム・ベナマル"Theory of Abundance and Scarcity"、土佐桂子「ミャンマーにおけるトランスヴェスタイト-男装者(ヤウチャシャー)のジェンダー論」。第6回 金野美奈子「性別職務分離研究再考-ジェンダー分析の方法論的リスク」。第7回 三浦伸夫「『レディーズ・ダイアリー』にみる18世紀英国の女性と数学」。第8回 光末紀子「B.パッペンハイムの思想と行動-ドイツにおける第一波フェミニズムの一動向」。第9回 曽根ひろみ「日本近世の法制とジェンダー」。いずれの研究集会においても、濃密な内容の報告をめぐって活発な討論が交わされ、本科研の共通テーマに関する研究分担者間の共通認識はいっそう深められた。その結果、新たな性差規範に基づく個々人のジェンダー・アイデンティティの確立と、あるべき「両性の共同性」への展望とを獲得するための基礎が築かれたと言えよう。さらに、各々の研究分担者における研究の進展の一部を紹介すれば、以下のごとくである。(1)光末は、19世紀末から20世紀初頭にわたるフェミニズム第一波の時代に、多くのフェミニストたちがジェンダーをめぐる様々な論争に参加したが、それらの論争を「母性」というキーワードのもとに検証した。(2)曽根は売買春についての歴史学、民俗学、社会学の研究史を批判的に検討し、それを一冊の単著にまとめた。(3)阪野は、ブレア政権の家族政策が、就労促進型給付の拡大や選別主義の強化といった点で保守党政権との連続性が強いことを明らかにした。(4)宗像は、フロイトのセクシュアリティ論を再検討し、男根中心主義とされるフロイト理論に伏在する、女性的セクシュアリティの始原性の契機を探求した。(5)土佐は、90年代のミャンマーの主要な雑誌に見られるジェンダー関係の記事を収集調査した。(6)上野はフランクフルト学派にみられる家父長制批判の論理とその逼塞を検討し、塚原はハーディングとハラウェイの観点観測論および強い客観性の概念を吟味した。
著者
勝原 裕美子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

1.研究目的:看護管理者が直面する倫理課題を明らかにし、それらの倫理課題にどの程度対処しているのかを明らかにすること。2.研究方法:全国のランダムに選択した500病院を対象とし、同意の得られた140(28%)病院の看護師長総勢1039人を対象に全国調査を実施。472名(46%)から回答が得られた。質問紙は6分野(患者の療養環壌、職員の労働環境、サービスの質、人間関係、臨床教育、専門職としてのモラル)、39項目からなり、それぞれA「自分の管理する病棟で生じる頻度」、B「自分の管理する部署で生じた時の師長としての対応の程度」、C「対応しても不満足が残る程度」、D「自分の勤める病院内で見聞きする程度」の4側面を4段階のライカートスケールにてきくという構成である。3.研究結果:1)対象者の内訳は、女性450名、男性22名。平均年齢48.5才。師長の平均経験年数は8.8年であった。2)セクションAで平均点の高かったのは、1位から順に「人的資源が不足している」「仕事がどのように評価されているのかが不透明である」「サービス残業が行われている」であり、いずれも職員の労働環境に関するものが上位であった。逆に平均点の低い順は、「職員の間で暴力行為がある」「患者から内緒にして欲しいと頼まれた内容を、患者への配慮なしに他言する」「患者・家族から暴力行為がある」であった。3)セクションA, B, C, Dごとに平均点の高い順に並び替え、順位相関を検定したところ、AとC, AとDには非常に高い相関がみられた。また、AとB、BとCには逆相関がみられた。このことより、師長が自分の管理する部署でよく起きていると認知している倫理課題は病院でもよく起きていると認知しており、そのことにできるだけ対処しようとしているが、対処しても不満が残っているということが明らかになった。